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81.思考記録表(コラム表)を用いで現実に沿った考え方や判断ができることを目標とする認知行動療法の技法はどれか。
1.認知再構成法
2.モデリング法
3.問題解決技法
4.系統的脱感作法
5.行動活性化技法
解答1
解説
コラム法(思考記録表)は、嫌な感情が起こったときの状況、 気分、 自動思考などを表(コラム)に記述し、それらを改めるような思考を促すものである。うつ病の精神療法として認知行動療法がある。
1.〇 正しい。認知再構成法は、思考記録表(コラム表)を用いで現実に沿った考え方や判断ができることを目標とする認知行動療法の技法である。認知再構成法は、精神的に動揺した時に浮かんでくる歪んだ考えやイメージを、現実と対比しながら歪みを明らかにして、より適応的な考え方や行動に結びつける認知行動療法の基本的な手技である。
2.× モデリング法(観察学習、模倣学習)とは、モデルの行動を観察することにより観察者の行動に変化が生させる方法をいう。ちなみに、モデリング(訳:模倣)とは、患者に手本となる他者の振る舞いを見せて学んでもらうことである。良いやり方を具体的に示すその行動を見て模倣し、学習していく方法のことをロールプレイという。
3.× 問題解決技法とは、患者に直接働きかけ、①問題提起、②明確化・定式化、③解決法の考案、④意思決定、⑤実施と検証と細かく具体的に実行する方法である。認知行動療法のひとつである。
4.× 系統的脱感作法とは、患者に不安を引き起こす刺激を順に挙げてもらい(不安階層表の作成)、最小限の不安をまず想像してもらう。不安が生じなかったら徐々に階層を上げていき、最終的に源泉となる不安が消失する(脱感作)ことを目指す手法である。認知行動療法のひとつである。
5.× 行動活性化技法とは、主にうつ病に対して選択される新しい精神療法の一つで、本人の思考ではなく行動パターンを変えることを重視し、それにより気持ちを軽くして本来の自分を取り戻すことを目的としたアプローチ法である。つまり、本人の思考ではなく行動を修正することを重視する治療法である。
82.脳卒中の評価法とそれに含まれる項目の組合せで正しいのはどれか。
1.JSS:ADL
2.mRS:バランス機能
3.FMA:歩行速度
4.SIAS:体幹機能
5.NIHSS:関節可動域
解答4
解説
1.× JSS(Japan Stroke Scale)は、「ADL」は含まれない。脳卒中重症度スケールで、意識・言語・無視・視野・眼球運動・瞳孔・顔面麻痺・足底反射・感覚・運動の得点を統計的に算出された重み付けにより合計する評価法である。
2.× mRS(modified Rankin Scale)は、「バランス機能」は含まれない。脳卒中の病態の評価で、脳卒中の病態を「まったく症状なし(grade 0)」から「死亡(grade 6)」までの7段階で評価したものである。仕事や日常生活活動、買い物、公共交通機関、通常歩行、食事などを参考にしながら評価する。
3.× FMA(Fugl-Meyer assessment)は、「歩行速度」は含まれない。片麻痺患者の身体機能の回復についての評価で、上肢・手指・下肢の運動機能やバランス、感覚などを226点満点(その内運動機能はBurnnstrom Stageを基盤にしており100点)で評価するものである。
4.〇 正しい。SIAS(Stroke Impairment Assessment Set)は、脳卒中の評価法で「体幹機能」が評価項目に含まれる。SIASは、脳卒中の機能障害を定量化するための評価である。運動機能だけでなく感覚障害、高次脳機能障害まで幅広く評価する事ができる。項目は、9種の機能障害に分類される22項目からなる。各項目とも3あるいは5点満点で評価される。9種の機能障害は、①運動機能、②筋緊張、③感覚、④関節可動域、⑤疼痛、⑥体幹機能、⑦高次脳、⑧言語機能、⑨健側機能である。
5.× NIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale)は、「関節可動域」は含まれない。脳卒中神経学的重症度の評価スケールとして世界的に利用されている。ベッドサイドでできる簡便な評価法の1つである。検査項目は、意識水準、意識障害(質問・従命)、最良の注視、視野、顔面麻痺、上肢の運動左右、下肢の運動左右、運動失調、感覚、最良の言語、構音障害、消去現象と注意障害を0点から2~4で評価する。0点が正常で、点数が高いほど重症である。
SIASについて詳しいことはこちら↓↓
SIASとは?評価方法や評価項目は?【分かりやすく解説します】
※図: 日本版modified Rankin Scale(mRS)
83.積極的な全身持久力トレーニングを開始してよい状態はどれか。
1.心室頻拍
2.脈拍140/分
3.体温38.6℃
4.収縮期血圧60mmHg
5.経皮的酸素飽和度94%
解答5
解説
1. 積極的なリハを実施しない場合
[1] 安静時脈拍 40/分以下または 120/分以上
[2] 安静時収縮期血圧 70mmHg 以下または 200mmHg 以上
[3] 安静時拡張期血圧 120mmHg 以上
[4] 労作性狭心症の方
[5] 心房細動のある方で著しい徐脈または頻脈がある場合
[6] 心筋梗塞発症直後で循環動態が不良な場合
[7] 著しい不整脈がある場合
[8] 安静時胸痛がある場合
[9] リハ実施前にすでに動悸・息切れ・胸痛のある場合
[10] 座位でめまい,冷や汗,嘔気などがある場合
[11] 安静時体温が 38 度以上
[12] 安静時酸素飽和度(SpO2)90%以下
2. 途中でリハを中止する場合
[1] 中等度以上の呼吸困難,めまい,嘔気,狭心痛,頭痛,強い疲労感などが出現した場合
[2] 脈拍が 140/分を超えた場合
[3] 運動時収縮期血圧が 40mmHg 以上,または拡張期血圧が 20mmHg 以上上昇した場合
[4] 頻呼吸(30 回/分以上),息切れが出現した場合
[5] 運動により不整脈が増加した場合
[6] 徐脈が出現した場合
[7] 意識状態の悪化
3. いったんリハを中止し,回復を待って再開
[1] 脈拍数が運動前の 30%を超えた場合。ただし,2 分間の安静で 10%以下に戻らないときは以後のリハを中止するか,または極めて軽労作のものに切り替える
[2] 脈拍が 120/分を越えた場合
[3] 1 分間 10 回以上の期外収縮が出現した場合
[4] 軽い動悸,息切れが出現した場合
1.× 心室頻拍は開始することができない。なぜなら、著しい不整脈がある場合に該当するため。心室頻拍の特徴は、①脈拍数は上昇、②幅広いQRS波が規則正しく出現、③RR間隔は狭くなっている。脈が突然1分間に180など急激に速くなっている。血圧が保たれ、すぐには意識を失わないこともあるが、心室細動に発展しやすく、心室細動となると、発症から5~10秒で意識がなくなって失神し、その状態が続くとそのまま亡くなることが多い。心室頻拍の場合も、ほうっておくと心室細動に移行して、意識がなくなって突然死を起こすことがある。除細動の適応である。また、基礎心疾患を伴う場合は、植え込み型除細動器(ICD)の適応となる。
2.× 脈拍140/分は開始することができない。なぜなら、安静時脈拍40/分以下または120/分以上に該当するため。
3.× 体温38.6℃は開始することができない。なぜなら、安静時体温が38度以上に該当するため。
4.× 収縮期血圧60mmHgは開始することができない。なぜなら、安静時収縮期血圧70mmHg以下または200mmHg以上に該当するため。
5.〇 正しい。経皮的酸素飽和度94%は、積極的な全身持久力トレーニングを開始してよい状態である。安静時酸素飽和度(SpO2)は、90%以下の場合には積極的なリハを実施しない。
1) 骨格筋に対する効果
ミトコンドリア量増加
ミオグロビン含有量増加
ATP含有量増加
グリコーゲン含有量増加
毛細血管密度増大
筋血流量増加
2) 心臓に対する効果
毛細血管密度増大
心臓容積増大
全血液量増加
循環血液量増加
一回拍出量増加
安静時末梢血管抵抗低下
心筋活動量の増加
3) 肺に対する効果
呼吸筋筋力増強による一回換気量の増加
肺血流量の増加による肺拡散容量増加
肺容量の増加
肺胞と肺毛細血管との接触面積増加
4) その他
体脂肪の減少
血中コレステロール量の減少
84.ASIAの評価対象はどれか。
1.意識レベル
2.運動失調
3.眼球運動
4.肛門感覚
5.深部腱反射
解答4
解説
ASIA(American Spinal Injury Association:米国脊髄損傷協会)の脊髄損傷の神経学的・機能的国際評価法は、運動機能スコアと知覚機能スコアの得点結果から、①神経損傷高位、②機能障害スケール、③臨床症状分類を判断できるように構成されている。
【ASIAの機能障害尺度の運動障害】
A(完全麻痺):S4~5の知覚・運動ともに完全麻痺。
B(不全麻痺):S4~5を含む神経学的レベルより下位に知覚機能のみ残存。
C(不全麻痺):神経学的レベルより下位に運動機能は残存しているが、主要筋群の半分以上が筋力3未満。
D(不全麻痺):神経学的レベルより下位に運動機能は残存しており、主要筋群の少なくとも半分以上が筋力3以上。
E(正常):運動、知覚ともに正常。
1~3.5.× 意識レベル/運動失調/眼球運動/深部腱反射は、ASIAの評価対象ではない。
4.〇 正しい。肛門感覚は、ASIAの評価対象である。
(※図引用:ASIA AMERICAN SPINAL INJURY ASSOCIATIONより)
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【共通問題のみ】ASIAについての問題「まとめ・解説」
85.ワルファリンの作用を減弱させるのはどれか。
1.ビタミンA
2.ビタミンB1
3.ビタミンC
4.ビタミンE
5.ビタミンK
解答5
解説
【対象】血栓を生じる疾患
【作用】抗血栓作用
【副作用】出血傾向
1.× ビタミンAは、視覚や上皮機能の維持にかかわっている。ビタミンA欠乏は、眼球乾燥症・夜盲症を生じる。夜盲症とは、暗いところではたらく網膜の細胞に異常があり暗順応が障害されて、暗いところや夜に見えにくくなる病気である。ちなみに、嗅覚の閾値は加齢によって上昇する。ちなみに、閾値とは、感覚や反応や興奮を起こさせるのに必要な、最小の強度や刺激などの(物理)量である。したがって閾値が高いと(上がると)、 感覚を感じにくくなることをさす。
2.× ビタミンB1は、チアミンとも呼ばれる水溶性のビタミンで、解糖系やクエン酸回路のエネルギー代謝の一部で補酵素として関わる。ビタミンB1(チアミン)欠乏症では、①末梢神経の症状として脚気、②中枢神経の症状としてKorsakoff症候群(コルサコフ症候群)が生じる。Korsakoff症候群(コルサコフ症候群)の特徴的な症状は、①健忘、②記銘力低下、③見当識障害、④作話である。ビタミンB1の欠乏による脳障害が原因であり、治療はビタミンB1の投与である。完治しにくく後遺症を残す可能性が高い。
3.× ビタミンCは、抗酸化作用をもち、多くのホルモン合成や薬物代謝に関わる。ビタミンC欠乏は、壊血病を生じる。壊血病は、結合組織の異常から毛細血管が脆弱化して出血しやすくなる。
4.× ビタミンEは、脂質の酸化防止である。ビタミンE欠乏は、溶血性貧血や神経障害の原因となる。溶血性貧血とは、血管の中を流れる赤血球が破壊される(溶血)ことにより起こる貧血の一種である。
5.〇 正しい。ビタミンKは、ワルファリンの作用(抗血栓作用:血液サラサラ)を減弱させる。なぜなら、ビタミンKは、血液凝固因子の生合成に必須のビタミンであるため。つまり、ビタミンKが欠乏すると出血傾向となる。新生児ビタミンK欠乏性出血症とは、出生後7日以内に起きるビタミンK欠乏に基づく出血性疾患である。出血斑や注射・採血など皮膚穿刺部位の止血困難、吐血、下血が認められ、重度の場合は頭蓋内出血など致命的な出血を呈する場合もある。特に第2~4生日に起こることが多いものの出生後24時間以内に発症することもある。合併症をもつ新生児やビタミンK吸収障害をもつ母親から生まれた新生児、妊娠中にワルファリンや抗てんかん薬などの薬剤を服用していた母親から生まれた新生児では、リスクが高くなる。また、新生児でビタミンK欠乏状態に陥るのは、①母乳中のビタミンK含量が少ないこと、②ビタミンKは経胎盤移行性が悪いこと、③出生時の生体内の蓄積量が元々少ないうえ、腸内細菌叢が十分には形成されていないことが理由として考えている。