第56回(R3) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題91~95】

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91 急性心筋梗塞の発症後の血液検査所見で上昇がみられないのはどれか。

1.クレアチニン
2.トロポニンT
3.ミオグロビン
4.乳酸脱水素酵素(LD)
5.クレアチンキナーゼ(CK)

解答

解説

急性心筋梗塞後に上昇する血液検査所見

【血液検査】
・WBC:2~3時間上昇(7日に正常化)
・CK:2~4時間上昇(3~7日に正常化)
・トロポニンT:3~4時間上昇(14~21日に正常化)
・AST:6~12時間上昇(3~7日に正常化)
・LD(LDH):12~24時間上昇(8~14日に正常化)
・CRP:1~3日上昇(21日に正常化)
・ESR:2~3日上昇(5~6週)

 ※急性心筋梗塞を来した場合、血液検査にて心筋壊死所見を示すデータがみられるのは、通常、発症2時間以降である。WBC、CKの異常が最も早く出現する。

1.× クレアチニンは、筋肉のエネルギー源であるクレアチニンリン酸の代謝物である。クレアチニンは、腎臓で濾過されて尿中へ排出されるため腎機能を測る指標となる。したがって、クレアチニンの上昇は腎機能低下が起こる腎不全などに見られる。
2.〇 トロポニンTは、3~4時間上昇し、12~18時間で最大値を示せ、簡便な迅速判定キットで検査できる。トロポニンTとは、横紋筋の薄いフィラメント上でトロポニンI・Cとともにトロポニン複合体を形成し、筋収縮の調節に関与している分子量39,000の蛋白である。 平滑筋には存在せず、しかも構造が心筋と骨格筋とで異なるため、両者を明確に識別することが可能となり、現在最も特異的な心筋障害のマーカーと考えられている。トロポニンは、心筋の構成成分であるため、これが血液中に出現する場合には、急性心筋梗塞などの心筋傷害を意味する。
3.〇 ミオグロビンは、6〜10時間で最高値をむかえる。 心筋細胞膜の傷害で上昇し始め、急性心筋梗塞の発症後4時間で上昇する。早期診断に適しているが、ミオグロビンは骨格筋にも多く含まれるため特異性は低い。ちなみに、そもそもミオグロビンとは、筋肉中にあって酸素分子を代謝に必要な時まで貯蔵する色素タンパク質である。
4.〇 乳酸脱水素酵素(LD)は、2〜3日で最高値をむかえる。発症晩期の指標となる。ちなみに、そもそも乳酸脱水素酵素(LD)とは、体内でブドウ糖がエネルギーに変化するときに働く、血清中にある酵素である。主に肝臓、心臓、腎臓、骨格筋、血球に異常が生じると、血液中に流れ出るため、数値が高くなる。
5.〇 クレアチンキナーゼ(CK)は17〜24時間で最高値をむかえる。ちなみに、そもそもクレアチンキナーゼ(CK)とは、筋肉にエネルギーを貯めるときに働く酵素である。全身の運動をつかさどる筋肉(骨格筋)や心臓の筋肉(心筋)に多く含まれている。筋細胞が壊れた際に上昇する逸脱酵素で、急性心筋梗塞に特徴的である。

 

 

 

 

 

 

92 遠城寺式乳幼児分析的発達検査(九大小児科改訂版)で1歳6か月までに獲得されるのはどれか。

1.ボールを前にける。
2.積木を横に二つ以上ならべる。
3.お菓子のつつみ紙をとって食べる。
4.親から離れて遊ぶ。
5.大きい、小さいがわかる。

解答

解説

1.× 「ボールを前にける」は、1歳9ヶ月〜2歳0ヶ月である。
2.× 「積木を横に二つ以上ならべる」は、1歳9ヶ月〜2歳0ヶ月である。
3.〇 正しい。「お菓子のつつみ紙をとって食べる」は、1歳0ヶ月〜1歳2ヶ月である。したがって、1歳6か月までに獲得される。
4.× 「親から離れて遊ぶ」は、1歳9ヶ月〜2歳0ヶ月である。
5.× 「大きい、小さいがわかる」は、2歳3ヶ月〜2歳6ヶ月である。

 

 

 

 

 

93 COPDについて正しいのはどれか。

1.肺癌を合併することは稀である。
2.安静時エネルギー消費量が減少している。
3.増悪時の補助換気療法は非侵襲的陽圧換気〈NPPV〉が用いられる。
4.呼吸リハビリテーションを行っても抑うつ・不安の改善は得られない。
5.COPD assessment test〈CAT〉は点数が高いほどQOLが高いことを示す。

解答

解説

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の生活状態

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は気流制限を特徴とし、①肺気腫、②慢性気管支炎の総称である。つまり、気流閉塞により肺過膨張となり、肺胞の破壊や毛細血管の減少などが生じてガス交換能が障害される。

 安静時でも、呼吸によって使われるエネルギー量が、普通の人よりも15~25%も高くなるため、体重低下や栄養不足になるリスクが高くなる。また、食事中に息切れしたり、疲れを感じたりすることで、食べる量が少なくなるケースもみられる。一昔前は、呼吸商との関連により、高脂肪食が勧められたが、現在では否定されている。ただ、脂肪が全カロリーの40%を超えるような高脂肪食では、下痢やお腹の不快感などを引き起こすことがあるので注意が必要である。逆に、脂肪の摂取が全カロリーの20%になるような低脂肪食は、二酸化炭素の生産を増やしてしまったり、必要な必須脂肪酸が不足してしまったりするので、注意が必要である。つまり、高・低脂肪食は避け、バランスのよい食事が必要である。

1.× 肺癌とCOPDの合併頻度は高い。なぜなら、肺癌、COPDとも喫煙が主な原因といわれるため。また気胸などの合併症もよく見られる。
2.× 安静時エネルギー消費量は増加する。なぜなら、努力呼吸となることで呼吸筋を過剰収縮させて余計にエネルギーが必要となるため。COPD患者では呼吸エネルギー消費量が健常人の約10倍とも言われている。
3.〇 正しい。増悪時には非侵襲的陽圧換気〈NPPV〉が用いられる。COPDの急性増悪では、呼吸仕事量が増大し、換気不全によって二酸化炭素の排出がうまく行えなくなる(高二酸化炭素血症)。そこで非侵襲的陽圧換気〈NPPV〉を使用することで換気を補助する必要がある。非侵襲的陽圧換気(NPPV:noninvasive positive pressure ventilation)は、気管チューブなどの侵襲的エアウェイを使用せずに、鼻・口あるいは顔を覆うマスクを用いて呼吸補助をする人工呼吸の方法である。酸素化能の改善・換気異常の改善・呼吸仕事量の軽減を目的で行われる。
4.× 呼吸リハビリテーションを行うことで、結果として抑うつ・不安症状が改善しやすい。なぜなら、楽に呼吸ができるようになるとQOLが向上するため。他にも、病状の探偵、運動耐容能の改善、入院回数と入院期間の減少などの効果がある。
5.× COPD assessment test〈CAT〉は、点数が高いほど症状が重く、QOLは低下する。COPD assessment test〈CAT〉は、COPDの状態が健康と日常生活にどのような影響を与えているか、COPD患者と主治医が知り、共有する質問票である。このテストによって、今のCOPDの状態を的確に医師に伝えられ、またテストの点数によって、患者の状態により合った治療を行うことができるようになる。各項目について問題が無ければ0点、重度の場合は5点となる。

(図引用:一般社団法人 GOLD日本委員会 COPD情報サイト

 

 

 

 

 

 

94 介護保険制度について正しいのはどれか。

1.財源は全て公費で負担される。
2.都道府県の担当部署に申請する。
3.利用者は自由に事業者を選定できる。
4.第二号被保険者の対象年齢は65歳以上である。
5.介護度は介護認定審査会の1次判定で決定される。

解答

解説

(※画像引用:「要介護認定の流れ」厚生労働省様HPより)

1.× 財源は、被保険者(40歳以上の国民)より徴収した保険料(50%)公費(50%)で構成される。ちなみに、公費とは、国(50%)+都道府県(25%)+市町村(25%)を含めた財源構成である。
2.× 「都道府県」ではなく、市町村の担当部署に申請する。
3.〇 正しい。利用者は、自由に事業者を選定できる。利用者がサービスの種類やサービス事業者を自由に選べる。
4.× 第二号被保険者の対象年齢は、40歳から64歳までである。ちなみに、65歳以上は第一号被保険者である。
5.× 介護度は、「介護認定審査会の1次判定」ではなく、「一次判定結果と主治医の意見書に基づく二次判定(介護認定審査会)」で決定される。申請後の流れは、市区町村職員による認定調査や主治医の意見書に基づく一次判定(コンピュータ)→一次判定結果と主治医の意見書に基づく二次判定(介護認定審査会)→要介護度の決定(市区町村)である。

 

 

 

 

 

 

95 de Quervain〈ドケルバン〉病で腱鞘炎を起こすのはどれか。

1.固有示指伸筋腱
2.尺側手根伸筋腱
3.総指伸筋腱
4.長母指外転筋腱
5.長母指伸筋腱

解答

解説

de Quervain〈ドケルバン〉病とは?

de Quervain〈ドケルバン〉病(狭窄性腱鞘炎)とは、短母指伸筋腱長母指外転筋腱が原因で起こる腱鞘炎である。母指の使いすぎや妊娠出産期、更年期の女性に多く見られる。手首に腫れと痛みを伴い、母指を小指側に牽引したときに痛みが増強する。また、親指を握って尺屈すると疼痛が出現するフィンケルシュタインテスト(アイヒホッフテスト)で陽性となる。

1~3.5.× 固有示指伸筋腱/尺側手根伸筋腱/総指伸筋腱/長母指伸筋腱は、de Quervain〈ドケルバン〉病で健鞘炎を起こさない
4.〇 正しい。長母指外転筋腱は、de Quervain〈ドケルバン〉病で健鞘炎を起こす。de Quervain〈ドケルバン〉病(狭窄性腱鞘炎)とは、短母指伸筋腱長母指外転筋腱が原因で起こる腱鞘炎である。

 

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