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26 びまん性軸索損傷の患者で正しいのはどれか。
1. 運動失調は呈さない。
2. 認知障害の回復は良好である。
3. 四肢、体幹の外傷の合併は少ない。
4. 四肢、体幹の関節拘縮を生じやすい。
5. 社会的行動異常が生活上において問題となる。
解答5
解説
びまん性軸索損傷とは、頭部外傷後、意識障害を呈しているにもかかわらず、頭部CT、MRIで明らかな血腫、脳挫傷を認めない状態である。交通事故などで脳組織全体に回転加速度衝撃が加わり、神経線維が断裂することで生じる。頭部外傷は、前頭葉・側頭葉が損傷されやすい。びまん性軸索損傷の好発部位は、①脳梁、②中脳、③傍矢状部などである。症状として、①意識障害、②記銘・記憶障害、③性格変化、④情動障害、⑤認知障害、⑥行動障害などの高次脳機能障害がみられる。他にも、運動失調、バランス障害も特徴的である。
1.× 運動失調を呈す。バランス障害も特徴的である。
2.× 認知障害の後遺症は残りやすい。頭部外傷は、前頭葉・側頭葉が損傷されやすい。
3.× 四肢、体幹の外傷の合併は多い。なぜなら、びまん性軸索損傷の原因は、交通事故などの外傷が多いため。したがって、受傷後は全身検査が必要である。
4.× とりわけびまん性軸索損傷後、四肢、体幹の関節拘縮を生じやすいといったことはない。血腫の合併がない純粋なびまん性軸索損傷の予後は、歩行やADLが自立する症例も少なくない。四肢、体幹の関節拘縮の原因として、主に不動が挙げられる。
5.〇 正しい。社会的行動異常が生活上において問題となる。症状として、高次脳機能障害(①意識障害、②記銘・記憶障害、③性格変化、④情動障害、⑤認知障害、⑥行動障害など)がみられるため。
27 杖歩行を行う左片麻痺患者の、常時2点支持歩行の歩き出しで正しいのはどれか。
1. 左脚→杖→右脚
2. 右脚→杖→左脚
3. 左脚→右脚→杖
4. 杖→左脚→右脚
5. 杖→右脚→左脚
解答4
解説
常時2点支持歩行(3 動作歩行)とは、健側に持った杖を出し、患側下肢を出した後、健側下肢を出すパターンの歩行である。健側下肢が前に出るときは、常に患側下肢と杖の2点で支持しており、安定性があるため、片麻痺患者の歩行様式としてしばしば用いられる。一方で、交互2点1点支持歩行(2動作歩行)があり、健側に持った杖と患側下肢を同時に出し、次に健側下肢を出すパターンの歩行である。
・3動作歩行の特徴は、常に2点で体重を支えバランスに優れ安定性が得られやすい。
・2動作歩行の特徴は、杖と患側を同時に出した後に健側を出す事でバランスと歩行速度が得られやすい。
4.〇 正しい。杖→左脚→右脚は、杖歩行を行う左片麻痺患者の、常時2点支持歩行の歩き出しで正しい。
28 自宅で電話の応対ができないといった認知症症状の進行があり、意思疎通の困難さがあるが、介助者が注意していれば日常生活は自立できている。
認知症高齢者の日常生活自立度判定基準のランクはどれか。
1. Ⅱa
2. Ⅱb
3. Ⅲa
4. Ⅲb
5. Ⅳ
解答2
解説
(※図:認知症高齢者の日常生活自立度判定基準のランク)
1.× Ⅱaは、ランクⅡの症状が、家庭外でみられ、道に迷う、金銭管理などそれまでできたことにミスが目立つようになる状態である。ちなみに、ランク Ⅱは、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが多少みられても、誰かが注意していれば自立可能な状態である。
2.〇 正しい。Ⅱbは、ランクⅡの症状が、家庭内でみられている状態である。設問の「自宅で電話の応対ができないといった認知症症状の進行があり、意思疎通の困難さがあるが、介助者が注意していれば日常生活は自立できている。」レベルである。
3.× Ⅲaは、ランクⅢの症状が日中を中心にみられる状態である。ちなみに、ランクⅢは、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが時々みられ、介護が必要となる状態である。
4.× Ⅲbは、ランクⅢの症状が夜間を中心にみられる状態である。
5.× Ⅳは、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁にみられ、常に介護が必要なレベルである。
29 関節リウマチ患者の動作と自助具の組合せで正しいのはどれか。
1. 靴下を脱ぐ:ソックスエイド
2. ドアの開閉:ドアノブレバー
3. タオルをしぼる:ループ付きタオル
4. 瓶の蓋を開ける:マジックハンド
5. キーボード操作:キーボードカバー
解答2
解説
1.× ソックスエイドは、靴下を「脱ぐため」ではなく靴下を履くために使用する。
2.〇 正しい。ドアノブレバーは、ドアの開閉に使用する。手指関節の負担を軽減するために軽い力でドアノブを回すことができる。
3.× ループ付きタオルは、「タオルをしぼる」のではなく、上肢・手指に可動域制限があっても洗体が容易になるものである。ループ付きタオルはタオルの両端に輪がついており、タオルを握ることが不要で使用できる。ちなみに、関節に負担がかからないようにタオルを絞るときは、蛇口にひっかけて行うよう指導することが多い。
4.× マジックハンドは、「瓶の蓋を開ける」のではなく、手の届かないところの物を取ったり、引き寄せたりするときに使用する。ちなみに、瓶の蓋を開けるときは、ボトルオープナーを使用する。
5.× キーボードカバーは、キーボード操作に使用するが、対象疾患は「関節リウマチ」ではなく、運動失調患者に用いる。主に、目的のキーを(他のキーに触れてしまうなどで)正確に押せなかったり、キーボードに乗りかかってしまう人などがその適応となる。ちなみに、関節リウマチ(手関節の痛み・拘縮)には、キーボード用のリストレストが有用である。
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30 脊髄損傷患者において、仙髄領域の評価でASIA の評価表に含まれているのはどれか。2つ選べ。
1. 肛門括約筋の随意収縮
2. 仙髄領域の感覚
3. 球海綿体反射
4. 肛門の緊張
5. 肛門反射
解答1/2
解説
(※図引用:ASIA AMERICAN SPINAL INJURY ASSOCIATIONより)
ASIA(American Spinal Injury Association:米国脊髄損傷協会)の脊髄損傷の神経学的・機能的国際評価法は、運動機能スコアと知覚機能スコアの得点結果から、①神経損傷高位、②機能障害スケール、③臨床症状分類を判断できるように構成されている。
1~2.〇 正しい。肛門括約筋の随意収縮/仙髄領域の感覚の有無を評価する。
3~5.× 球海綿体反射/肛門の緊張/肛門反射は、ASIAにはない。
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【OT専門のみ】ASIAについての問題「まとめ・解説」