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21 臨床研究に関する倫理指針で正しいのはどれか。
1. 研究への参加は任意である。
2. 研究終了後は、守秘義務は解除される。
3. 個人データは誰にでも開示する義務がある。
4. 開始した研究への参加中止の申し立ては認められない。
5. 第三者へ個人データを提供する場合、事後報告が必要である。
解答1
解説
1.〇 正しい。研究への参加は任意である。研究への参加は対象者の自由意志に基づく。臨床研究においては、医療倫理を尊重し、対象者への十分な説明と同意(インフォームドコンセント)を行うことが大原則である。また、ヘルシンキ宣言に基づき、医学研究においては被験者の福祉が他のすべての利益に優先する。
2.× 研究終了後であっても、守秘義務は遵守される。解除されることはない。
3.× 個人データは、本人の同意なく開示できない。
4.× 開始した研究への参加中止の申し立ては随時可能である。参加の拒否や同意の撤回は行える。
5.× 第三者へ個人データを提供する場合、「事後報告」ではなく事前に本人の同意が必要である。本人の同意を得ないで第三者に個人情報を提供してはならない。
インフォームド・コンセントは、「十分な説明を受けたうえでの同意・承諾」を意味する。医療者側から診断結果を伝え、治療法の選択肢を提示し、予想される予後などについて説明したうえで、患者自らが治療方針を選択し、同意のもとで医療を行うことを指す。診断結果の伝達には「癌の告知」という重要な問題も含まれる。
22 疾患を有する人の中で、検査で正しく陽性と判定される割合はどれか。
1. 感度
2. 一致率
3. 特異度
4. 偽陽性率
5. 偽陰性率
解答1
解説
1.〇 正しい。感度は、疾患を有する人の中で、検査で正しく陽性と判定される割合である。
2.× 一致率は、観察者が観察した結果がどの程度一致しているかを表す値である。
3.× 特異度は、疾病なしの者を正しく陰性と判定する割合である。
4.× 偽陽性率は、疾病なしだが、検査結果は陽性と判定される割合である。
5.× 偽陰性率は、疾病ありだが、検査結果は陰性と判定される割合である。
・疾病を有するものを正しく疾病ありと診断する確率を「感度」という。
・疾病を有さないものを正しく疾病なしと診断する確率を「特異度」という。
・検査陽性者のうち実際に疾病を有する者の割合を「陽性反応的中度(陽性的中率)」という。
・検査陰性者のうち実際に疾病を有さない者の割合を「陰性反応的中度(陰性的中率)」という。
23 作業遂行の評価の説明で正しいのはどれか。
1. 意志質問紙は生活満足度を評価する。
2. AMPSは患者への質問紙により評価する。
3. 興味チェックリストは作業の満足度を評価する。
4. COPMは作業の運動技能と処理技能を評価する。
5. 役割チェックリストは役割の知覚と価値を評価する。
解答5
解説
1.× 意志質問紙は、「生活満足度」ではなく、作業や活動の取り組み度や集中度合いを評価する。作業や活動の取り組み度や集中度合いを観察する人間作業モデルに基づいた評価法で、14項目を4段階で評価し、満点は56点である。
2.× AMPS(Assessment of Motor and Process Skills:運動技能とプロセス技能の評価)は、患者への「質問紙」ではなく、観察により評価する。ADLとIADLに関わる16の運動技能と20の遂行技能を観察する。例えば、地域で自立生活を送るのが可能かどうか評価する。
3.× 興味チェックリストは、「作業の満足度を評価する」のではなく、患者への質問し患者が興味のある活動は何かを調べるものである。
4.× COPM(Canadian Occupational Performance Measure:カナダ作業遂行測定)は、「作業の運動技能と処理技能を評価する」のではなく、①患者が現時点で改善したいと考える活動と、②それらの重要度、③遂行度(でき栄え)、④満足度をそれぞれ10点満点で患者が主観的に評価する。
5.〇 正しい。役割チェックリストは役割の知覚と価値を評価する。10の役割(学生、勤労者、ボランティア、養育者、家庭維持者、友人、家族の一員、宗教の参加者、趣味人/アマチュア、組織の参加者)について、過去や現在・将来に行った・行うか、またそれらの価値についてチェックするものである。
24 作業療法の目標設定で誤っているのはどれか。
1. 定性的目標では治療効果の評価が容易である。
2. 長期目標では社会的側面に言及する。
3. 達成可能な現実的なものとする。
4. 制約条件を考慮して設定する。
5. 達成時期を明確に設定する。
解答1
解説
1.× 治療効果の評価が容易であるのは、「定性的目標」ではなく定量的目標である。定量的目標は数値化が可能である分、治療効果の評価が容易である。
2.〇 正しい。長期目標では社会的側面に言及する。長期目標では、国際生活機能分類の参加(社会的側面)を主目標とする。一方、短期目標では、活動、心身機能・身体構造の項目について期間を決めて設定する。
3.〇 正しい。達成可能な現実的なものとする。予後のエビデンスや能力と障壁を勘案して、達成可能な目標を設定する。
4.〇 正しい。制約条件を考慮して設定する。なぜなら、ICF(国際生活機能分類)の各因子(参加・活動、心身機能・身体構造、環境因子、個人因子)は、それぞれがそれぞれに密接に関わっているため。
5.〇 正しい。達成時期を明確に設定する。目標設定は、短期目標と長期目標に分け、到達レベルと達成時期についての設定を行う。主に、短期目標は2週間後、長期目標は3か月後を想定する。
定性的目標:評価者の感覚を基準(雰囲気)に評価する。
定量的目標:誰でもわかる基準(数値化)で評価する。
25 小脳性運動失調の検査の目的で正しいのはどれか。
1. 鼻指鼻試験で反復拮抗運動障害をみる。
2. 線引き試験で運動変換障害をみる。
3. 跳ね返り現象で運動分解をみる。
4. 踵膝試験で測定障害をみる。
5. 膝打ち試験で振戦をみる。
解答4
解説
①測定障害:目標物の距離を正確にとらえられない。
②反復拮抗運動障害:拮抗筋の動きの切り替えがスムーズにできない。
③運動分解:運動軌道が円滑ではない。
④協働収縮不能:複雑な動きを段階的かつ協調的に働かせることができない症状のことを指す。例えば、「後ろへ反り返る」という指示があった場合、同時に膝を曲げてバランスをとるという動作が障害され、後方へ転倒しそうになる。また、背臥位で腕を組んだまま起き上がることができない。
⑤企図振戦:随意運動しようとすると粗大な振戦が出現する。
⑥時間測定異常:動作が遅れる。
1.× 鼻指鼻試験では、「反復拮抗運動障害」ではなく上肢の協調運動の検査(企図振戦、測定障害、協動収縮不能)をみる。ちなみに、反復拮抗運動障害とは、運動する筋とその拮抗筋を交互に迅速に、規則正しく、反復して運動させることが障害された状態を指し、回内・回外運動試験などでみられる。
2.× 線引き試験では、「運動変換障害」ではなく測定障害を見る。測定障害とは、深部覚障害がないにも関わらず運動が、①測定過大(目的点を越える)、②測定過小(目的点に達しない)が起こることである。運動変換障害は、鼻指鼻試験や踵膝試験などでみられる。
3.× 跳ね返り現象では、「運動分解」ではなく上肢の協調運動の検査(時間測定障害)をみる。時間測定異常とは、ある動作の開始や停止をしようとするときに健常人より動作が遅れることをいう。患者に検者の手を両側同時に握るように命ずると、障害側では動作の開始が遅れ、完全に握りしめるまでの時間も遅れる。測定障害は指鼻試験、鼻指鼻試験、足指手指試験、指耳試験、踵膝試験などで評価する。ちなみに、運動分解とは、運動軸道が円滑でなく、何段階かに分かれたり、運動軸道から行きつ戻りつする状態を指す。指耳試験などで評価する。
4.〇 正しい。踵膝試験で測定障害をみる。踵膝試験は、下肢の協調運動の検査であり、測定障害・協働収縮不能がみられる。
5.× 膝打ち試験では、「振戦」ではなく、上肢の協調運動の検査(反復拮抗運動障害)をみる。膝打ち試験は、上肢の協調運動をみる。座って手等と手背で交互に繰り返し膝を叩かせる。動作が遅く不規則で叩く場所が一定しない場合、同側小脳半球の障害を疑う。