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21 疾病の指標で、罹患期間が長くなると高くなるのはどれか。
1. 死亡率
2. 致命率
3. 有病率
4. 罹患率
5. 累積罹患率
解答3
解説
1.× 死亡率とは、単位人口を一定期間(通常1年)観察したときの死亡発生率である。罹患期間が長くなっても一定期間における死亡数が増えるわけではない。
2.× 致命率とは、対象とする疾患に罹患した者のうち、その疾患が原因で死亡した者の割合である。主として急性疾患の重症度を示す。罹患期間が長くなっても一定期間における死亡数が増えるわけではない。
3.〇 正しい。有病率とは、ある一時点において疾病を有している者の割合である。罹患期間が長くなれば、観察時点での有病者数が増えるため、有病率は高くなる。
4.× 罹患率は、一定期間内における対象者の観察期間の総和(観察人年)のうち、同一期間内に新たに疾病が発生した人の率である。罹患期間が長くなっても観察期間内に新たな患者数が増えるわけではない。
5.× 累積罹患率は、疾病発症時点の特定が難しい高血圧や糖尿病などの疾病において、すべての対象者の観察期間を同一に設定することで罹患率の代わりに用いられることがある。罹患率と異なり、分母に観察集団の観察開始時点の人数を用い、同一期間内に新たに疾病が発生した人の割合を表す。罹患期間が長くなっても観察期間内に新たに発生した患者数が増えるわけではない。
【有病率:ある一時点の有病者の割合】
観察時点における有病者数÷観察時点における観察集団の人数
【罹患率:一定期間内の患者発生の率】
観察期間内に新発生した患者数÷観察集団全員の観察期間の合計
【累積罹患率:一定期間内の患者発生の割合】
観察期間内に新発生した患者数/観察集団の観察開始時点の人数
【死亡率:一定期間内の死亡発生の率】
観察期間内の死亡者数÷観察集団に対する観察期間の合計
【致命率:一定期間内の死亡発生の割合】
観察期間内のある疾病の死亡者数÷観察期間内のある疾病の罹患者数
22 財布を何度も鞄から出し入れし、そわそわと落ち着かない行動がみられる。
この行動のMaslowの欲求階層モデルにおける欲求段階はどれか。
1. 安全欲求
2. 承認欲求
3. 認知欲求
4. 生理的欲求
5. 自己実現欲求
解答1
解説
人間の欲求を自己実現に向かう5段階の階層で示したものである。最下層から最上層に向かって、①生理的欲求、②安全欲求、③認知欲求(愛と所属の欲求)、④承認欲求、⑤自己実現欲求の順である。
①生理的欲求:食事や睡民、排泄など、最も基本的な欲求
②安全欲求:人間が生きるための基本的な欲求、危険から逃れ、生活するうえでの安全・安定への欲求である。
③認知欲求、社会的欲求(愛と所属の欲求):友人や家族等の周囲の人々と関わりたいという集団への帰属を求める社会的な欲求である。
④承認欲求:自分が他者から価値のある存在であると認められたい、尊敬されたいという欲求である。
⑤自己実現欲求:自分の世界観・人生観に基づいて、「あるべき自分」になりたいと願う欲求である。
※近年、⑥自己超越の欲求を第6段階としては発表している。これは「社会をより良いものにしたい」など自分のエゴを超えたレベルの理念を実現したいという、他者や社会など自分の外にあるものにベクトルが向いている欲求である。
1.〇 正しい。安全欲求とは、安全に生活したいという欲求である。本症例は、「財布を何度も鞄から出し入れし、そわそわと落ち着かない」状態であり、これは財布が奪わ
れていないか、強迫的に確認して自身の安全を確かめるための行動である。
2.× 承認欲求とは、自分が他者から尊敬されたい、社会から価値があると認められたいという欲求である。
3.× 認知欲求(愛と所属の欲求、帰属の欲求)とは、孤友人や家族等の周囲の人々と関わりたいという集団への帰属を求める社会的な欲求である。
4.× 生理的欲求とは、生命維持に必要な本能的な欲求である。例えば、食欲や睡眠欲などである。
5.× 自己実現欲求とは、自分の潜在能力を引き出して、なりたい自分になりたいという欲求である。
23 作業活動の分析で誤っているのはどれか。
1. 必要とされる技能を示す。
2. 使用する道具を示す。
3. 作業耐久性を示す。
4. 工程で分類する。
5. 所要時間を示す。
解答3
解説
1/4.〇 正しい。必要とされる技能を示す/工程で分類する。ご飯を箸で食べる作業を、各技能(作業遂行)として分解してみると、①箸に手を伸ばす→②箸を取る→③箸をご飯に近づける→④箸でご飯をつかむ→④箸を口元に移動させる→⑤口にご飯を入れると分けられる。ちなみに、作業がいつでも中断できるものは自由度の高い(難易度を調整できる)活動工程である。
2.〇 正しい。使用する道具を示す。活動遂行時に使用する道具(のり、包丁など)を分析すべきである。
3.× 作業耐久性を示す必要はない。なぜなら、作業耐久性は個人の側面であるため。客観的に評価できるものを示す。
5.〇 正しい。所要時間を示す。活動に要する時間(一区切りできる時間・完成までの時間など)は客観的に評価できる項目である。
24 骨折と損傷を受ける可能性がある筋との組合せで誤っているのはどれか。
1. 鎖骨骨折:小胸筋
2. 橈骨遠位端骨折:方形回内筋
3. 上腕骨外科頸骨折:棘上筋
4. 上腕骨骨幹部骨折:烏口腕筋
5. 橈尺骨骨幹部骨折:第2背側骨間筋
解答5
解説
1.〇 正しい。小胸筋の【起始】第2(3)~5肋骨表面、【停止】肩甲骨の烏口突起である。鎖骨骨折(鎖骨が下方に転位)することで、烏口突起付着部近傍で小胸筋が損傷される。
2.〇 正しい。方形回内筋の【起始】尺骨下部1/4前面、【停止】橈骨下部1/4前面である。橈骨遠位端骨折により、方形回内筋が損傷される。
3.〇 正しい。棘上筋の【起始】肩甲骨の棘上窩、棘上筋膜の内側、【停止】上腕骨大結節の上部である。上腕骨外科頸骨折により、棘上筋が損傷される。
4.〇 正しい。烏口腕筋の【起始】烏口突起、【停止】上腕骨の内側面の中部である。烏口腕筋は、上腕骨骨幹部内側縁に沿って付着しているため、上腕骨骨幹部骨折により、烏口腕筋が損傷される。
5.× 手の背側骨間筋の【起始】4個ありそれぞれ2頭もつ。第1~5中手骨の相対する面、【停止】基節骨、指背腱膜、中節骨底、末節骨底である。第2背側骨間筋は、第2・3中手骨の相対する面から起こり、第3指の基節骨底と指背腱膜に付く。ちなみに、足にも背側骨間筋は存在する。どちらにせよ、橈尺骨骨幹部骨折から、背側骨間筋は離れているため損傷する可能性は低い。
25 嚥下造影検査と比べて嚥下内視鏡検査が適しているのはどれか。
1. 誤嚥の評価
2. 嚥下反射の評価
3. 食道機能の評価
4. 声帯運動の評価
5. 咀嚼機能の評価
解答4
解説
嚥下造影検査は、造影剤(または、造影剤を含む食物)を下させてレントゲン透視によりその状態を観察、評価する検査である。通常は2方向から動画で記録する。
【検査の目的と適応】
摂食嚥下障害の疑われる患者に行い、検査することによって摂食嚥下に関する何らかの情報が得られ、それを治療方針に生かすことができる場合に適応とされる。このため、VFを行うに当たっては、検査の目的を明確にし、得られた情報をどのように生かすかを検査前に十分検討することが重要である。検査の目的は以下の 2 つである。
①症状と病態の関係を明らかにする。
②食物・体位・摂食方法などの調節により治療に反映させる。
(※参考:「嚥下造影の検査法(詳細版) 日本摂食嚥下リハビリテーション学会医療検討委員会 2014 年度版」日本摂食嚥下リハビリテーション学会医療検討委員会より)
経鼻内視鏡(鼻腔ファイバースコープ)で嚥下を観察する検査である。経鼻内視鏡は非常に細径であり、通常は局所麻酔を用いずに挿入できる。
【検査できる項目】
①唾液や喀痰の貯留の有無
②食物を飲み込んだ後の咽頭内への食物の残留の有無
③気管への流入
④嚥下に影響を与えることのある声帯の動きなど。
【利点】
①痰や食物残査などによる口腔内の汚染状況は造影検査よりもわかりやすい。
②実際の食物を用いて検査できる。
③持ち運びが容易(場所を選ばず検査できる)。
(※参考:「嚥下内視鏡検査(VE)について」明石医療センター様HPより)
1~3.× 誤嚥の評価/嚥下反射の評価/食道機能の評価/咀嚼機能の評価は、嚥下造影検査の方が適している。ちなみに、嚥下反射の評価に内視鏡検査を用いると、嚥下の瞬間に咽頭の収縮と内視鏡の光の反射によって観察が困難になる。これをホワイトアウトと呼ぶ。
4.〇 正しい。声帯運動の評価は、嚥下造影検査と比べて嚥下内視鏡検査が適している。声帯運動の評価は、嚥下造影検査にて行うことは困難であるため、実際に、嚥下内視鏡を用いて直接観察する。