第60回(R7)理学療法士国家試験 解説【午前問題21~25】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

21 ノーマライゼーションで正しいのはどれか。

1.医学的モデルに基づいた概念である。
2.日本からはじまった社会理念である。
3.障害者が自己決定権を有することである。
4.福祉サービスを利用せずに生活することである。
5.身体機能の改善によって生活を正常化させることである。

解答

解説

ノーマライゼーションとは?

ノーマライゼーションとは、「障害者が一般市民と同じ環境で、同じ条件で家庭や地域で共に生活すること」を目指す概念である。障害を持つ人が健常者と共存して「普通の社会生活」営めるように、当該社会から物心両面において改善しようという社会的志向である。

1.× 医学的モデルに基づいた概念であるのは、ICFに関しての説明である。医学モデルとは、障害という現象を個人の問題としてとらえ、病気・外傷やその他の健康状態から直接的に生じるものである。ちなみに、ICIDHやICFの医学モデルとは、障害という現象を個人の問題としてとらえ、病気・外傷やその他の健康状態から直接的に生じるものである。したがって、専門職による個別的な治療というかたちでの医療を必要とするものとみる。障害への対処は、治癒あるいは個人のよりよい適応と行動変容を目標になされる。主な課題は医療であり、政治的なレベルでは、保健ケア政策の修正や改革が主要な対応となる(※参考:「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」厚生労働省様HPより)。

2.× 「日本」ではなくデンマーク(1950年代)からはじまった社会理念である。1982年には障害者に関する世界行動計画が採択され、この年を境に日本でもノーマライゼーションの考え方が浸透してきた。

3.〇 正しい。障害者が自己決定権を有することである。ノーマライゼーションとは、「障害者が一般市民と同じ環境で、同じ条件で家庭や地域で共に生活すること」を目指す概念である。障害を持つ人が健常者と共存して「普通の社会生活」営めるように、当該社会から物心両面において改善しようという社会的志向である。

4.× 福祉サービスを「利用せずに」ではなく同じ環境・条件で利用して生活することである。

5.× 身体機能の改善によって、生活を正常化させることであるではない。これは医学的モデルに近い考え方である。障害者が自分らしく社会生活を送るためには、機能改善だけでなく、住環境のバリアフリー化や就労支援などの社会的支援が必要である。

 

 

 

 

 

22 介護保険制度における福用具貸与で、要支援1の者が給付対象となる福祉用具はどれか。

1.T字杖
2.ウォーカーケイン
3.車椅子
4.特殊寝台
5.移動用リフト

解答

解説

要支援1の者が給付対象となる福祉用具

①手すり(工事不要で設置できる手すり、任意の場所に置いて使用できる手すりなど)
②スロープ(段差解消のための工事不要の設置・撤去できるものやダイヤスロープなど)
③歩行器(固定型歩行器や四輪歩行車など。※シルバーカーは対象外)
④歩行補助つえ(サイドウォーカー、松葉づえ、多脚杖、ロフストランド・クラッチなど。※T字杖のステッキなどは対象外)
⑤自動排泄処理装置(ベッドに寝たままの状態で排せつを処理する装置で、排尿、排便をセンサーで感知し、吸引・洗浄・乾燥を自動的に行うもの。※レンタル対象は本体のみ)

1.× T字杖は、対象外である。杖の場合、多点杖であれば対象となる。

2.〇 正しい。ウォーカーケインは、要支援1の者が給付対象となる福祉用具である。歩行補助つえ(サイドウォーカー、松葉づえ、多脚杖、ロフストランド・クラッチなどが該当する。

3~5.× 車椅子/特殊寝台/移動用リフトは、対象外である。要介護2~5で対象となる。

MEMO

【貸与の対象】
①車椅子
②車椅子付属品
特殊寝台
④特殊寝台付属品
⑤床ずれ防止用具
⑥体位変換器
⑦手すり(※要介護1以下)
⑧スロープ(※要介護1以下)
⑨歩行器(※要介護1以下)
⑩歩行補助杖(※要介護1以下)
⑪認知症老人徘徊感知機器
⑫移動用リフト(つり具の部分を除く)
⑬自動排泄処理装置

【購入の対象】
腰掛け便座
②自動排泄処理装置の交換可能部分
入浴補助用具
④簡易浴槽
⑤移動用リフトの吊り具の部分

 

 

 

 

 

23 ICFの分類で環境因子に含まれるのはどれか。

1.移動
2.疾患
3.職業
4.制度
5.既往歴

解答

解説

(※図引用:「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」厚生労働省様HPより)

ICFとは?

ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)は、人間の生活機能と障害分類法として2001年5月、世界保健機関(WHO)において採択された。これまでの ICIDH(国際障害分類、1980)が「疾病の帰結(結果)に関する分類」であったのに対し、ICF は「健康の構成要素に関する分類」であり、新しい健康観を提起するものとなった。生活機能上の問題は誰にでも起りうるものなので、ICFは「特定の人々のためのもの」ではなく、「全ての人に関する分類」である。

1.× 移動は、「活動」である。活動とは、課題や行為の個人による遂行のことを指す。

2.5.× 疾患/既往歴は、「健康状態」である。健康状態とは、自分が抱えている病気や怪我、変調肥満、高血圧、妊娠、ストレスの状態などが含まれる。

3.× 職業は、「参加」である。活動とは、参加とは、生活・人生場面への関わりのことである。

4.〇 正しい。制度は、「環境因子」である。環境因子とは、人々が生活し、人生を送っている物的な環境や社会的環境、人々の社会的な態度による環境を構成する因子である。

 

 

 

 

 

24 障害者自立支援法が障害者総合支援法になったことに伴い新たに支援対象として追加されたのはどれか。

1.難病
2.身体障害
3.精神障害
4.知的障害
5.高次脳機能障害

解答

解説

障害者総合支援法とは?

障害者総合支援法は、2013年に障害者自立支援法から障害者総合支援法へと改正され、障害者と障害児を対象とした障害保健福祉施策についてまとめられた法律である。これにより障害者の範囲が拡大され、身体障害者、精神障害者、知的障害者、障害児の全てが対象とされている。そして、対象となっている者は、認定調査というものを受け「障害支援区分」という障害の重症度分類によって7区分(非該当、区分1~6)に分けられる。それにより受けられるサービス内容が変わってくる。

①障害者も難病患者も自立できる社会をめざす。
②応能負担(所得に応じて自己負担額が変わること)が原則。
③あらゆる障害(身体・知的・精神+難病)についてこの法律で対応する。
④市区町村が事業の母体である。

1.〇 正しい。難病は、障害者自立支援法が障害者総合支援法になったことに伴い新たに支援対象として追加された。
障害者自立支援法の対象は、①身体障害者、②知的障害者、③精神障害者、④障害児
改正された障害者総合支援法の対象は、①身体障害者、②知的障害者、③精神障害者、④障害児 +⑤難病となった。

2~4.× 身体障害/精神障害/知的障害は、すでに障害者自立支援法の対象範囲である。

5.× 高次脳機能障害は、すでに障害者自立支援法の対象範囲である。「第 6 章 高次脳機能障害に関わる制度 P64(※引用:東京都福祉局様HPより)」において、「高次脳機能障害は、行政的な診断基準では「器質性精神障害」として精神障害に位置づけられており、障害福祉サービスの支給申請に当たって必要となる障害者であることを確認するための書類は、精神障害者保健福祉手帳に限らず、自立支援医療受給者証(精神通院医療)、医師の診断書(高次脳機能障害診断基準に該当していることが確認できる内容であること)などにより、申請することができます」と記載されている。

 

 

 

 

 

25 6~12歳におけるGMFCSレベルと動作能力の組合せで正しいのはどれか。

1.Ⅰ:階段で手すり使用
2.Ⅱ:装具なしで歩行
3.Ⅲ:不整地の歩行
4.Ⅳ:通常の椅子で座位保持
5.Ⅴ:四つ這い移動可能

解答

解説

GMFCSのそれぞれレベルの大きな見出し

レベルⅠ:制限なしに歩く
レベルⅡ:制限を伴って歩く
レベルⅢ:手に持つ移動器具を使用して歩く
レベルⅣ:制限を伴って自力移動(電動の移動手段を使用しても良い)
レベルⅤ:手動車椅子で移送される

1.× 階段で手すり使用は、「Ⅰ」ではなくである。
Ⅰは、手すりなしで階段昇降ができる。

2.〇 正しい。Ⅱは、装具なしで歩行できる。
Ⅲは、歩行補助具が必要となる。

3.× 不整地の歩行は、「Ⅲ」ではなくである。

4.× 通常の椅子で座位保持は、「Ⅳ」ではなくである。
Ⅳの場合、座位保持にはベルトが必要である。

5.× 四つ這い移動可能は、「Ⅴ」ではなくである。
Ⅳの場合、自力移動が制限される。

苦手な方向けにまとめました。参考にしてください↓

【PT/OT/共通】GMFCSについての問題「まとめ・解説」

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)