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66 アルカローシスをきたすのはどれか。
1.嘔吐
2.飢餓
3.下痢
4.重症の喘息
5.CO2ナルコーシス
解答1
解説
【酸塩基平衡】
血液(体液)のpH:7.40 ± 0.05
→pH7.30:酸性に傾いている状態
→pH7.50:アルカリ性に傾いている状態
アシドーシス(酸性):pHが低下している状態。
アルカローシス(アルカリ性):pHが上昇している状態。
1.〇 正しい。嘔吐は、アルカローシス(特に、代謝性アルカローシス)をきたす。アルカローシスとは、血液のpHが7.45以上となり、アルカリ性に傾いた状態を指す。血液中の重炭酸塩の過剰や酸の減少が原因で発生する。
2.× 飢餓は、代謝性アシドーシスをきたす。なぜなら、飢餓状態では、脂肪分解が進みケトン体が産生され血液が酸性に傾くため。ちなみに、代謝性アシドーシスとは、HCO₃⁻(重炭酸イオン)が低下している状態である。重炭酸イオンを含んだ膵液や胆汁の喪失、腎臓での再吸収障害、体内の酸性物質が過剰になり、その中和のための消費増大によって起こる。代償として、CO₂を排出する呼吸代償(呼吸性アルカローシス)が起こる。
3.× 下痢は、代謝性アシドーシスをきたす。なぜなら、下痢では、腸管から重炭酸イオンが失われ、血液中のアルカリ性成分が減少するため。
4.× 重症の喘息は、呼吸性アシドーシスをきたす。なぜなら、重症の喘息では、気道の激しい炎症と収縮により、十分な酸素を取り入れられず、二酸化炭素が排出されにくくなるため。したがって、体内で二酸化炭素が蓄積し、血液が酸性に傾き、呼吸性アシドーシスを引き起こす。ちなみに、呼吸性アシドーシスとは、換気が低下することが原因で、CO2が体内に蓄積している状態である。
5.× CO2ナルコーシスは、呼吸性アシドーシスをきたす。なぜなら、CO₂ナルコーシスは、呼吸抑制などによりCO₂が体内に蓄積して血中の二酸化炭素濃度が上昇し、血液が酸性に傾く状態を示すため。ちなみに、CO2ナルコーシスとは、高CO2血症によって中枢神経系の異常をきたした状態である。CO2ナルコーシスは、主に慢性閉塞性肺疾患に起こりやすい。
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67 体液性免疫で作動するのはどれか。
1.単球
2.B細胞
3.好中球
4.NK細胞
5.マクロファージ
解答2
解説
体液性免疫とは、B細胞が活性化され、抗体を産生することで、血液やリンパ液などの体液中で病原体を中和・排除するものである。
細胞性免疫とは、T細胞、NK細胞、マクロファージなどが中心となり、感染細胞や異常細胞を直接攻撃・除去するものである。
1.5.× 単球/マクロファージは、細胞性免疫に関与する。なぜなら、単球は、血中を循環し、組織に入ってマクロファージや樹状細胞に分化し、主に貪食作用や抗原提示を行う細胞であるため。
・単球とは、白血球の一種で、最も大きなタイプの白血球である。マクロファージなどへ分化し、貧食・消化・殺菌などの機能を発揮する。単球は、末梢血白血球の2~9%を占める。
・マクロファージとは、単球から分化し、貧食能を有する。異物を貪食して抗原提示細胞になり、抗原情報がリンパ球に伝えられる。直径15~20μmの比較的大きな細胞で、全身の組織に広く分布しており、自然免疫(生まれつき持っている防御機構)において重要な役割を担っている。
2.〇 正しい。B細胞は、体液性免疫で作動する。なぜなら、B細胞は抗原に反応して活性化され、形質細胞に分化して抗体(免疫グロブリン)を産生するため。
・B細胞とは、T細胞と同じリンパ球の一種で、免疫機構を担う重要な細胞である。 B細胞は、リンパ球の約20~40%を占め、骨髄で産生され骨髄内で分化、成熟する。
3.× 好中球は、細胞性免疫に関与する。なぜなら、好中球は主に初期の防御反応である貪食作用を通じて病原体を排除する、非特異的な免疫細胞であるため。
・好中球とは、白血球の中で一番多く、細菌免疫の主役である。マクロファージが好中球に指令し、好中球は活性化・増殖する。末梢血白血球の40~70%を占め、生体内に細菌・真菌が侵入すると、まず好中球が感染部位に遊走し、菌を貧食する。
4.× NK細胞は、細胞性免疫に関与する。なぜなら、NK細胞は自然免疫の一部として、ウイルス感染細胞や腫瘍細胞を直接破壊する細胞であるため。
・NK細胞とは、ウイルス感染細胞や腫瘍細胞の傷害に働く。抗原を認識するための受容体をもたず、標的細胞を直接攻撃する。
68 排便中枢はどれか。
1.第1~3胸髄
2.第5~7胸髄
3.第10~12胸髄
4.第3~5腰髄
5.第2~4仙髄
解答5
解説
1.× 第1~3胸髄
2.× 第5~7胸髄
3.× 第10~12胸髄
4.× 第3~5腰髄
これらには排便中枢がない。※もし、ほかの選択肢において、加筆すべきことがあれば、コメント欄にて教えてください。
5.〇 正しい。第2~4仙髄は、排便中枢である。便が直腸に入り、直腸内壁が便により伸展すると、その刺激が仙髄の排便中枢(S2~4)に伝達され、直腸の収縮、内・外肛門括約筋の弛緩が起こって排便が起こる(排便反射)。
(今井昭一:薬理学.標準看護学講座5、金原出版、1998より改変)
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69 肩甲骨の筋と運動の組合せで正しいのはどれか。
1.僧帽筋上部線維:外転
2.僧帽筋下部線維:上方回旋
3.菱形筋:下制
4.前鋸筋:下方回旋
5.小胸筋:挙上
解答2
解説
1.× 僧帽筋上部線維は、「外転」ではなく挙上である。
2.〇 正しい。僧帽筋下部線維:上方回旋
僧帽筋の【起始】後頭骨上項線、外後頭隆起、項靭帯、第7頸椎以下全胸椎の棘突起および棘上靭帯、【停止】肩甲骨の肩甲棘と肩峰の上縁および鎖骨外側1/3(三角筋の起始範囲とほぼ同じ)、【作用】上部:肩甲骨と鎖骨の肩峰端を内上方にあげる。中部:肩甲骨を内側に引く。下部:肩甲骨を内下方に引き下げると同時にその下角を外側に回旋する、【神経】副神経(外枝)と頸神経叢の筋枝である。
3.× 菱形筋は、「下制」ではなく上内方に引く(内転・下方回旋・挙上)。
菱形筋には、大菱形筋と小菱形筋がある。菱形筋の神経は、肩甲背神経である。ちなみに、大菱形筋の【起始】第2~4胸椎の棘突起および棘上靭帯、【停止】肩甲骨内側縁(肩甲棘より下部)である。また、小菱形筋の【起始】下部項靭帯、第7頸椎と第1胸椎の棘突起、【停止】肩甲骨内側縁(肩甲棘より上部)である。
4.× 前鋸筋は、「下方回旋」ではなく肩甲骨を前方に引く(外転・上方回旋)。
前鋸筋の【起始】第1~8(~10)肋骨前外側面、【停止】第1,2肋骨とその間の腱弓からの筋束は肩甲骨上角。第2,3肋骨からは分散して広く肩甲骨内側縁。第4肋骨以下からは下角、【作用】全体:肩甲骨を前方に引く。下2/3:下角を前に引いて肩甲骨を外方に回旋し、上腕の屈曲と外転を補助。最上部:肩甲骨をやや引き上げる、【神経】長胸神経である。
5.× 小胸筋は、「挙上」ではなく下制、下方回旋、外転である。
小胸筋の【起始】第2(3)~5肋骨表面、【停止】肩甲骨の烏口突起、【作用】肩甲骨を前下に引く。このとき下角が後内側に回旋する。肩甲骨を固定すると肋骨を引き上げる。【支配神経】内側および外側胸筋神経である。
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70 膝関節で正しいのはどれか。
1.関節面は内側顆より外側顆が広い。
2.前十字靭帯は屈曲運動の制限となる。
3.屈曲位から伸展すると下腿は内旋する。
4.大腿骨と脛骨の長軸は一直線上にある。
5.屈曲の最終可動域に近づくにつれ滑り運動となる。
解答5
解説
1.× 逆である。関節面は「外側顆」より「内側顆」が広い。一方、膝蓋骨の関節面は、内側面より外側面のほうが広い。
2.× 前十字靭帯は、「屈曲」ではなく(過)伸展運動の制限となる。前十字靭帯は膝関節伸展位に緊張が亢進する。
3.× 屈曲位から伸展すると下腿は「内旋」ではなく外旋する。膝関節はらせん関節のため、屈曲位から完全伸展すると脛骨の外旋が起こる。これを終末強制回旋運動(スクリューホームムーブメント)という。
4.× 大腿骨と脛骨の長軸は、一直線上にある「とはいえない」。全体として大腿骨の長軸と脛骨の長軸のなす角度(femoro-tibial angle :FTA)は、正常では176°である。
5.〇 正しい。屈曲の最終可動域に近づくにつれ、滑り運動となる。初期に転がり運動がみられ、最終域周辺では滑り運動のみである。①伸展位からの屈曲初期は転がり運動。②中間域は複合運動。③最終段階は滑り運動となる。
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