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36 関節リウマチ患者の日常生活の評価に用いられるのはどれか。
1.Larsen分類
2.Lansbury指数
3.Steinbrockerのクラス分類
4.DAS28〈disease activity score 28〉
5.AIMS〈Arthritis Impact Measurement Scale〉
解答3
解説
1.× Larsen分類(ラーセン分類)は、関節破壊に対するX線を用いたgrade分類である。
2.× Lansbury指数(ランスバリー指数)は、関節リウマチの活動性の指標である。
3.〇 正しい。Steinbrockerのクラス分類は、関節リウマチ患者の日常生活の評価に用いられる。class分類は日常生活における機能障害度分類、stage分類は病期の分類である。
4.× DAS28〈disease activity score 28〉は、関節リウマチの活動性の指標である。観察対象関節は、肩関節2、肘関節2、手関節2、手指(DIP除く)20、膝関節2で、合計28関節を評価する。
5.× AIMS〈Arthritis Impact Measurement Scale:関節炎影響測定尺度〉は、関節リウマチ患者自身による運動機能評価である。ADL関連6指標と社会活動、痛み、仕事など6指標の計12指標をアンケートでの自己記入により解答する。QOLの評価法として国際的に用いられている。
【ステージ分類:リウマチの病期】
ステージⅠ:X線検査で骨・軟骨の破壊がない状態。
ステージⅡ:軟骨が薄くなり、関節の隙間が狭くなっているが骨の破壊はない状態。
ステージⅢ:骨・軟骨に破壊が生じた状態。
ステージⅣ:関節が破壊され、動かなくなってしまった状態。
【クラス分類:機能障害度】
クラスⅠ:健康な方とほぼ同様に不自由なく生活や仕事ができる状態。
クラスⅡ:多少の障害はあるが普通の生活ができる状態。
クラスⅢ:身の回りのことは何とかできるが、外出時などには介助が必要な状態。
クラスⅣ:ほとんど寝たきりあるいは車椅子生活で、身の回りのことが自分ではほとんどできない状態。
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37 疾患と支援機器の組合せで最も適切なのはどれか。
1.アテトーゼ型脳性麻痺:リーチャー
2.片麻痺:キーボードカバー
3.関節リウマチ:台付き爪切り
4.第2腰髄完全損傷:スライディングボード
5.Parkinson病:BFO
解答3
解説
アテトーゼ型は、麻痺の程度に関係なく四肢麻痺であるが上肢に麻痺が強い特徴を持つ。錐体外路障害により動揺性の筋緊張を示す。筋緊張は低緊張と過緊張のどちらにも変化する。他にも、特徴として不随意運動が主体であることや、原始反射・姿勢反射が残存しやすいことがあげられる。アテトーゼ型脳性麻痺の介助のポイントとして、体幹は包み込むようにして安定させ、四肢をフリーにしないことで安定させるとよい。また、上肢や体幹の極端な非対称性の体位は、体幹の側屈と短縮を引き起こすため避けるようにする。
1.× リーチャーは、「アテトーゼ型脳性麻痺」ではなく脱臼の恐れのある人工股関節や車いす患者が、床のものや遠くのものを拾ったり操作したりするときに使用する。また、アテトーゼ型脳性麻痺では、不随意運動がみられるのためリーチャーの操作は難しい。
2.× キーボードカバーは、「片麻痺」ではなく運動失調のある脊髄小脳変性症、 アテトーゼ型脳性麻痺などに用いられる。なぜなら、キーボードカバーは、振戦があっても他のキーに触れずに目的のキーだけを押すことを補助するものであるため。
3.〇 正しい。台付き爪切りは、関節リウマチに適応となる。なぜなら、関節保護の観点から。台付き爪切りは、関節リウマチによる手指変形の場合や握力低下時でも弱い力で切れる爪切りである。他にも、両側上肢の切断などの患者に適応となる。
4.× スライディングボードは、「第2腰髄完全損傷」ではなく「座位保持可能で立位困難」な場合に用いることが多い。スライディングボードは、座った姿勢を保持したままベッドから車椅子に移乗するための福祉用具である。介助者は少ない力で無理なく介助できる。第2腰髄完全損傷は、スライディングボードを使用せずに移乗可能である。第6頸髄機能残存レベルでは、基本的に前方移乗で行った方が安全に遂行できるが、側方移乗でもトランスファーボードを使用すれば可能である。
5.× BFOは、「Parkinson病」ではなく第4・5頚椎レベル損傷やALSに適応となる。上肢筋力に高度の低下がみられ、BFO(balanced forearm orthosis:非装着式上肢装具)は、前腕を支持することにより、上肢の重さを軽減させ、弱い力で上肢の動きを引き出す自助具である。
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。
(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)
38 術後せん妄への対応で誤っているのはどれか。
1.視力補正
2.脱水補正
3.見当識への刺激
4.早期からの運動
5.夜間の完全消灯
解答5
解説
術後せん妄とは、手術をきっかけにしておこる精神障害(意識障害のひとつ)で、手術の後いったん平静になった患者さんが1~3日たってから、急激に錯乱、幻覚、妄想状態をおこし、1週間前後続いて次第に落ち着いていくという特異な経過をとる病態をいう。 症状は他にも、一過性・変動性の見当識障害や抑うつ、不安などがみられる。高齢の方に起こりやすく、術後の回復期に起こることが多い。
1~4.〇 正しい。視力補正/脱水補正/見当識への刺激/早期からの運動は、術後せん妄への対応である。lnouye(井上)らが提唱した HELP(The Hospital EIder Life Program)が有名である。これは、総合病院に入院した高齢患者を対象として、看護師、医師、理学療法士などからなる多職種チームが、①見当識や認知機能への刺激、②早期からの運動、③視力補正、④聴力補正、⑤脱水補正、⑥睡眠補助を行うものである。これらによってせん妄の発症と発症期間が有意に減少したことが示されており、せん妄に対する非薬物療法の有効性が示唆される(※参考:「せん妄ガイドライン P41」日本サイコオンコロジー学会様HPより)。
5.× 夜間の完全消灯は、術後せん妄への対応で誤っている。睡眠覚醒リズムを整えるために、昼夜のメリハリをつけることも重要である。日中はカーテンやプラインドを開けて日光を取り入れるようにし、なるべくベッドが窓際になるように心がける。ただし、夜は暗くしすぎると逆に混乱が強くなるだけでなく、転倒・転落のリスクが上がるため、薄明りが推奨されている(※参考:「せん妄ガイドライン P41」日本サイコオンコロジー学会様HPより)。
せん妄とは、疾患や全身疾患・外因性物質などによって出現する軽度~中等度の意識障害であり、睡眠障害や興奮・幻覚などが加わった状態をいう。高齢者は薬剤によってせん妄が引き起こされる場合も多い。
【原因】脳疾患、心疾患、脱水、感染症、手術などに伴って起こることが多い。他にも、心理的因子、薬物、環境にも起因する。
【症状】
①意識がぼんやりする。
②その場にそぐわない行動をする。
③夜間に起こることが多い。 (夜間せん妄)
④通常は数日から1週間でよくなる。
【主な予防方法】
①術前の十分な説明や家族との面会などで手術の不安を取り除く。
②昼間の働きかけを多くし、睡眠・覚醒リズムの調整をする。
③術後早期からの離床を促し、リハビリテーションを行う。
39 精神科作業療法の診療報酬制度で正しいのはどれか。
1.実施時間は患者1人当たり1単位20分である。
2.屋外において作業療法を実施することができる。
3.作業療法に要する材料費は患者の個人負担とする。
4.1人の作業療法士の取扱い患者数は1日75人である。
5.集団作業療法の実施内容は、個々の患者の診療録には記載しない。
解答2
解説
1.× 実施時間は患者1人当たり「1単位20分」ではなく2時間である。なぜなら、精神科作業療法は、実施される作業内容の種類にかかわらず、精神疾患を有する者の社会生活機能の回復を目的としているため。
2.〇 正しい。屋外において作業療法を実施することができる。治療上の必要がある場合には、病棟や屋外など、専用の施設以外において実施することも可能である。
3.× 作業療法に要する材料費は、「患者の個人負担」ではなく保険医療機関の負担(施設の負担)とする。
4.× 1人の作業療法士の取扱い患者数は、「1日75人」ではなく1日50人である。
5.× 集団作業療法の実施内容は、個々の患者の診療録に「記載する」。記載しない施設はない。
40 精神科作業療法のインテイク面接(初回面接)で適切なのはどれか。
1.作業療法の目的を説明する。
2.幻聴がある場合は面接を中止する。
3.ベットサイドでの実施が基本である。
4.緊張が強い患者の場合は対面同位法で行う。
5.作業療法士自身の詳細な個人情報を説明する。
解答1
解説
1.〇 正しい。作業療法の目的を説明する。初回面接では、患者との信頼関係がまだ構築されていない。患者さんがやりたいことや好きなことを尊重すること、今後の方針を話し合うことが大切である。
2.× 幻聴がある場合は面接を中止する必要はない。なぜなら、どのような幻聴があるのか、その様子はどうなのかなど評価できるため。
3.× 必ずしも、ベットサイドでの実施が基本とはならない。むしろ、ベッドサイドは、患者のプライバシー空間であることが多い。全員が全員、初回面接をベッドサイドで行うと決めるのではなく、臨機応変に対応すべきである。
4.× 緊張が強い患者の場合は、「対面同位法」ではなく90°同位や横並び同位で行う。対面同位とは、向かい合って話すことで、視線が合い、緊張感を持った会話を行うことが可能である。一方、90°同位は対面より自然な話、横並び同位は砕けた話になりやすい。
5.× あえて、作業療法士自身の詳細な個人情報を説明する必要はない。ある程度の情報の開示は、信頼関係の構築に寄与するが、初回から詳細な個人情報を提供するには時期尚早といえる。なぜなら、他の患者にも作業療法士自身の詳細な個人情報が知り渡りかねないため。また、担当作業療法士が休みで、代打で入った作業療法士にも話し、「あの人が話してくれた内容をあなたも話しなさいよ」となりかねない。作業療法士も患者の評価をしっかりしたうえで、詳細な個人情報を話すべきである。