この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
31 上腕能動義手の適合判定で、肘離断患者の場合に実施しない検査はどれか。
1.回旋力に対する安定性
2.ソケットの適合チェック
3.引っ張り荷重に対する安定性
4.ケーブルシステムの効率チェック
5.肘の最大屈曲に要する肩関節の屈曲角度
解答1
解説
肘関節離断では、肩関節回旋運動は120°以上の正常に近い可動域を持っている。義手の点から見た特徴は、断端長が長いために能動肘ブロック継手が取り付けられず、継手のロック機構がソケットの外側に取り付けられている能動単軸肘ヒンジ継手が処方される。(※参考書:「切断と義手 P166」著:澤村誠志より)
1.× 回旋力に対する安定性は、肘離断患者の場合に実施しない検査である。なぜなら、肘関節離断では、肩関節回旋運動は120°以上の正常に近い可動域を持っているため。ちなみに、上腕・肩離断義手検査において、回旋力に対する安定性が障害されている場合、肘継手の調整不良や、コントロールケーブルシステムの問題が考えられる。
2.〇 ソケットの適合チェックは、上腕・肩離断義手検査、前腕義手検査する項目である。肘離断用ソケットは、上腕骨上課の隆起部が問題になりやすいため適合を特に配慮したソケットとなっている。
3.〇 引っ張り荷重(下垂力)に対する安定性は、上腕・肩離断義手検査、前腕義手検査する項目である。引っ張り荷重(下垂力)に対する安定性が障害されている場合は、ソケットのトリミング不良やハーネスの強度不良が原因である。
4.〇 ケーブルシステムの効率チェックは、上腕・肩離断義手検査、前腕義手検査する項目である。ケーブルシステムの効率チェックは、ケーブルの長さの不良で起こる。主に、「①ハーネスの調整不良、②コントロールケーブルシステムの問題、③肘継手の問題、④断端や肩関節の問題」があげられる。
5.〇 肘の最大屈曲に要する肩関節の屈曲角度は、上腕・肩離断義手検査する項目である。肘離断患者の場合でも上腕二頭筋長頭の機能低下も避けられないため検査する項目として当てはまると考える。ちなみに、肘の最大屈曲に要する肩関節の屈曲角度は、ケーブルの長さの不良で起こる。主に、「①ハーネスの調整不良、②コントロールケーブルシステムの問題、③肘継手の問題、④断端や肩関節の問題」があげられる。
【上腕・肩離断義手検査】
①義手装着時の断端の可動範囲、②義手の肘屈曲範囲、③義手装着時の肘の能動屈曲範囲、④肘完全屈曲に要する肩の屈曲角、⑤肘を(90°から)屈曲するのに必要な力、⑥コントロールシステム操作方法の効率、⑦肘90°屈曲位でのフックの開大あるいは閉鎖、⑧口及びズボンの前ボタンの位置でのフックの開大と閉鎖、⑨トルクに対するソケットの安定性、⑩下垂力に対する張力安定性、⑪適合感とソケット圧迫時の快適さ、⑫義手の重さ
【前腕義手検査】
①義手装着時及び除去時の肘の屈曲度、②義手装着時及び除去時の前腕の回旋度、③コントロールシステム操作方法の効率、④肘90°屈曲位でフックまたは手の開大率あるいは閉鎖率、⑤口及びズボンの前ボタンの位置でのフックまたは手の開大あるいは閉鎖、⑥下垂力に対する張力安定性(移動の長さ)、⑦適合とソケット圧迫時の快適さ、⑧義手の重さ
(※参考書:「切断と義手」著:澤村誠志より)
32 二分脊椎で正しいのはどれか。
1.上肢障害の合併が多い。
2.胸椎部に多く出現する。
3.脊髄髄膜瘤は神経症状が出ない。
4.移動能力評価はHofferの分類を使う。
5.脊髄係留症候群の好発年齢は2~3歳である。
解答4
解説
二分脊椎とは、脊椎の先天的な形成不全によるもので、脊髄が癒着や損傷しているために、様々な神経障害を呈する。下肢の運動障害・感覚障害のほか、膀胱直腸障害が出現する。また、合併症として水頭症がある。知的障害がある場合には, 自立生活を考える時期にかかわることが出てくる。
1.× 「上肢」ではなく下肢障害の合併が多い。症状としては、排便障害(約70%)、下肢運動障害(約80%)、痛みなどの感覚障害(約80%)がみられる。両下肢の運動障害として、足が動かない(麻痺)、足の変形、左右の足が非対称、足が細いなどがみられる。
2.× 「胸椎部」ではなく仙椎・腰椎に多く出現する。二分脊椎とは、神経管閉鎖障害のうち腰仙部の脊髄・脊椎・皮膚などにみられる先天奇形であり、特に脊髄髄膜瘤では約90%に水頭症、ほぼ前例にChiariⅡ型奇形(小脳扁桃、小脳中部下部、延髄、第4脳室が大孔を通って頸椎管内へ下降変位したもの。第2頚髄を越えて陥入することが多い)を合併する。
3.× 脊髄髄膜瘤は神経症状が出ないとは一概にいえない。脊髄披裂あるいは脊髄髄膜瘤児は、生下時より両下肢の運動・知覚障害、膀胱直腸機能障害などの脊髄・脊髄神経の機能障害を認めることが多いが、これらの症状の重症度は病巣の位置する脊髄レベルとその病理学的変化の程度に依存する。したがって、S2以下に病巣が位置すれば、運動神経や足関節の変形は見られない。
4.〇 正しい。移動能力評価はHofferの分類を使う。Hofferの分類は、4分類に分けられ、①独歩(CA)、②屋内歩行(HA)、③訓練レベル(NFA)、④歩行不能(NA)である。
5.× 脊髄係留症候群の好発年齢は、「2~3歳」ではなく学童期や思春期である。転びやすくなる、尿を漏らすようになるなどの症状が出てくることで気が付く。脊髄脂肪腫などの潜在性二分脊椎症に脊髄係留症候群が起こる。生下時には神経機能障害のないことも少なくないが、加齢とともにみられる。ちなみに、脊髄係留症候群とは、脊髄がある場所に係留(引きとどまる)して神経が引き伸ばされることで神経に何らかの障害をきたした状態をいう。
33 癌治療と合併症との組合せで正しいのはどれか。
1.化学療法:末梢神経障害
2.頸部郭清術:顏面神経麻痺
3.前立腺腹腔鏡下全摘除術:リンパ浮腫
4.乳房切除術:自律神経障害
5.放射線療法:唾液分泌過多
解答1
解説
1.〇 正しい。化学療法は、末梢神経障害が合併しやすい。化学療法による末梢神経障害(しびれ)の原因は、現在も明確な理由はわかっていないが、主に神経細胞の軸索変性や神経細胞への直接、障害していると考えられている。ちなみに、化学療法とは、抗がん剤を用いて癌を治療することをいう。抗がん剤には、癌細胞の増殖を抑えたり、再発や転移を防いだりする効果がある。化学療法後、副作用としてアレルギー反応、だるさ、吐き気、下痢などが起こる。
2.× 頸部郭清術は、「顏面神経麻痺」ではなくリンパ浮腫が合併しやすい。なぜなら、リンパ節だけでなく周囲の血管や筋肉、神経を切除するため。したがって、腕のリンパ液の流れが悪くなることで起こる。リンパ節郭清(りんぱせつかくせい)とは、悪性腫瘍のリンパ行性転移に対する処置としてリンパ節を切除する外科的治療法である。頸部郭清術では、①内頸静脈、②胸鎖乳突筋、③副神経をすべて合併切除する。
3.× 前立腺腹腔鏡下全摘除術は、「リンパ浮腫」ではなく下肢の麻痺が合併しやすい。なぜなら、リンパ節郭清時に閉鎖神経周辺の操作により、閉鎖神経に障害をきたした場合、下肢の内転障害による歩行障害が生じることがあるため。他にも、出血や他臓器の損傷、鼠径ヘルニアをきたすことがある。
4.× 乳房切除術は、「自律神経障害」ではなくリンパ浮腫が合併しやすい。なぜなら、乳房切除術は、がん転移の観点から、腋窩リンパ節を切除することも多く、これによりリンパ液の流れが停滞してしまうため。
5.× 放射線療法は、「唾液分泌過多」ではなく自律神経障害が合併しやすい。なぜなら、放射線治療により、神経系も損傷してしまうことがあるため。ちなみに、放射線療法とは、放射線を患部に体外および体内から照射する治療法である。治療中からおこる可能性がある症状は、気分不快、食欲不振、下痢、倦怠感、頻尿、排尿時痛、白血球減少、貧血、照射した部分の肌荒れなどがある。数か月以降に起こる可能性があるものとして放射線腸炎、過敏性腸症候群、直腸出血、放射線膀胱炎、膀胱出血などがある。
乳癌は乳管や小葉上皮から発生する悪性腫瘍である。乳管起源のものを乳管癌といい、小葉上皮由来のものを小葉癌という。年々増加しており、女性のがんで罹患率第1位、死亡率は第2位である。40~60歳代の閉経期前後の女性に多い。
【乳房切除術後の注意事項】
①患側上肢での血圧測定、採血、注射などは避ける。
②袖口のきつい服や腋窩を締め付ける服は避ける。
③スキンケア、虫刺されに注意する。
④患側上肢では重いものを持たないようにする。
⑤患側上肢の過度の負荷や外傷を避ける。
【リンパ浮腫の治療】
リンパ浮腫の治療は、複合的理学療法といわれ、以下の4つの治療を組み合わせながら行う。①リンパドレナージ、②圧迫療法、③圧迫下における運動療法、④スキンケアである。リンパ液を流してあげることで突っ張った皮膚を緩め、硬くなった皮膚を柔らかくする。この状態で弾性包帯を巻いたり、スリーブといわれるサポーターのようなものや、弾性ストッキングを着用し、リンパの流れの良い状態を保ち、さらにむくみを引かせて腕や脚の細くなった状態を保つ。そして、圧迫した状態でむくんだ腕や脚を挙上する、動かすことでさらにむくみを軽減・改善をはかる。
34 介護保険制度で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.体位変換器は特定福祉用具販売で購入する。
2.第2号被保険者の対象に慢性心不全がある。
3.介護保険料の支払いは40歳以上が対象である。
4.要介護認定結果は申請から60日以内に通知される。
5.訪問リハビリテーションの対象は要介護1以上である。
解答3・5
解説
介護保険制度とは、寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態(要介護状態)になった場合や、家事や身支度等の日常生活に支援が必要であり、特に介護予防サービスが効果的な状態(要支援状態)になった場合に、介護の必要度合いに応じた介護サービスを受けることができる。
・第1号被保険者は、65歳以上の者である。
・第2号被保険者は、40歳以上65歳未満の医療保険加入者である。
【基本理念】
自己決定の尊重
生活の継続
自己支援(残存能力の活用)
1.× 体位変換器は特定福祉用具販売で、「購入」ではなく貸与する。介護保険制度を利用して福祉用具を使用する際には、原則貸与支給となるが、再利用の心理的な抵抗感の大きいものや使用とともに形態・品質が変化するものは、特定福祉用具として厚生労働省に指定されており、購入対象になる。
2.× 第2号被保険者の対象に慢性心不全「はない」。第2号被保険者は、40歳以上65歳未満の医療保険加入者である。介護保険でサービスを利用できるのは、「特定疾病(16種)」が原因の場合である。厚生労働省での特定疾病の定義として①心身の病的加齢現象と医学的な関係があると考えられる疾病、②加齢とともに生じる心身の変化が原因で、要介護状態を引き起こすような心身の障害をもたらすと認められる疾病に該当するものとしている。つまり、加齢と関係があって、要介護状態の原因となる病気のことである。
3.〇 正しい。介護保険料の支払いは40歳以上が対象である。介護保険法を根拠に、義務付けられている。
4.× 要介護認定結果は申請から「60日」ではなく30日以内に通知される。認定結果に不服がある場合は、60日以内に都道府県の介護保険審査会に審査請求をすることができる。
5.〇 正しい。訪問リハビリテーションの対象は要介護1以上である。介護保険法における訪問リハビリテーションとは、居宅要介護者(主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る。)について、その者の居宅において、その心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行われる理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションをいう(第8条5項)。
【貸与の対象】
①車椅子
②車椅子付属品
③特殊寝台
④特殊寝台付属品
⑤床ずれ防止用具
⑥体位変換器
⑦手すり
⑧スロープ
⑨歩行器
⑩歩行補助杖
⑪認知症老人徘徊感知機器
⑫移動用リフト(つり具の部分を除く)
⑬自動排泄処理装置
(※赤文字は要介護2~5の貸与対象である)
【購入の対象】
①腰掛け便座
②自動排泄処理装置の交換可能部分
③入浴補助用具
④簡易浴槽
⑤移動用リフトの吊り具の部分
がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
関節リウマチ
筋萎縮性側索硬化症
後縦靭帯骨化症
骨折を伴う骨粗しょう症
初老期における認知症
進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
脊髄小脳変性症
脊柱管狭窄症
早老症
多系統萎縮症
糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
脳血管疾患
閉塞性動脈硬化症
慢性閉塞性肺疾患
両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
35 地域包括ケアシステムの構成要素でないのはどれか。
1.医療
2.介護
3.社会貢献
4.生活支援
5.予防
解答3
解説
(※引用:「地域包括ケアシステムの捉え方」厚生労働省様HPより)
1~2.4~5.〇 医療/介護/生活支援/予防は、地域包括ケアシステムの構成要素である。地域包括ケアシステムの5つの構成要素は、住まい・医療・介護・予防・生活支援である。これらの要素が互いに連携しながら有機的な関係を担っている。
3.× 社会貢献は、地域包括ケアシステムの構成要素でない。
地域包括ケアシステムとは、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で生活を継続することができるよう、包括的な支援・サービス提供体制の構築を目指すものである。この地域包括ケアシステムが効果的に機能するために、「4つの助(自助・互助・共助・公助)」の考え方が連携し、課題解決に向け取り組んでいく必要がある。
「公助」は税による公の負担。
「共助」は介護保険などリスクを共有する仲間(被保険者)の負担。
「自助」には「自分のことを自分でする」ことに加え、市場サービスの購入も含まれる。
「互助」は相互に支え合い、費用負担が制度的に裏づけられていない自発的なものである。