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21 聴理解と読解は良好であるが復唱が障害される。漢字より平仮名が書きづらい。
考えられる失語症はどれか。
1.伝導失語
2.感覚性失語
3.失名詞失語
4.超皮質性運動失語
5.超皮質性感覚失語
解答1
解説
・聴理解と読解:良好
・復唱:障害
・漢字より平仮名が書きづらい。
→「漢字より平仮名が書きづらい」という特徴は、ブローカ失語(運動性失語)にみられやすいが選択肢にない。聴理解と読解(流暢性)は良好、復唱は不良であることから伝導失語といえる。
1.〇 正しい。伝導失語とは、言語の理解や発話の機能が保たれているものの、言葉を繰り返す能力が障害される失語症の一種である。つまり、発話の流暢性・言語理解は可能だが、復唱が困難である失語症である。
2.× 感覚性失語(Wernicke失語)とは、流暢に言葉は出てくるが、話し言葉を理解することが困難になる障害である。左半球(優位半球)側頭葉の損傷によって起こる。
3.× 失名詞失語(健忘性失語) とは、流暢に言葉は出て、言語理解・復唱も行えるものの、物の名前を思い出せないなど、 言葉に関する記憶の喪失が特徴的である。物の名前が出てこないため、回りくどい話し方が多くなる。
4.× 超皮質性運動失語とは、発話の流暢性は困難だが、言語理解・復唱は可能である失語症である。
5.× 超皮質性感覚失語とは、発話の流暢性は良好、復唱は可能であるが、言語理解が障害される失語症である。
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【PT/OT/共通】失語ついての問題「まとめ・解説」
22 COPMの実施過程で作業が6つ特定された。
次の手順でスコア化するのはどれか。
1.緊急度
2.自立度
3.重要度
4.遂行度
5.満足度
解答3
解説
COPM(Canadian Occupational Performance Measure:カナダ作業遂行測定)とは、患者が現時点で改善したいと考える活動と、それらの重要度、遂行度、満足度を10点満点で示したものである。第1段階~第4段階まである。第3段階は初回評価、第4段階は、再評価となり、核問題の遂行度と満足度をクライエントがもう一度評定する。総スコアを計算し、初回評価時と再評価時の変化を見る。
1~2.× 緊急度/自立度の評価項目はない。
3.〇 正しい。重要度は、第1段階「作業における問題点の決定」の次の手順でスコア化する項目である。第2段階は、「重要度の判定」という項目となり、重要度→遂行度→満足度の順で評定する。(※参考:「カナダ作業遂行測定COPM(Canadian Occupational Performance Measure)」より)
23 Parkinson病患者で早期に困難となる動作はどれか。
ただし、いずれの動作も上肢での代償はないものとする。
1.寝返り
2.平地歩行
3.階段の昇り
4.端座位の保持
5.椅子からの立ち上がり
解答1
解説
パーキンソン病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。また、自律神経障害による便秘や起立性低血圧、排尿障害、レム睡眠行動障害などが起こる。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。
矛盾性運動(逆説的運動)とは、本来難易度が高いはずであるが、スムーズに足が出るといった現象である。すくみ足の症状があっても、床の上の横棒をまたぐことができること、リズムをとったり、視覚的な目標物を踏み越えさせたりすると、本来難易度が高いはずであるが、スムーズに足が出るといった現象である。ちなみに、階段昇降もこれに含まれ、平地歩行に比べて障害されにくい。階段昇降は、歩行の改善、下肢筋力強化の効果も期待される。
1.〇 正しい。寝返りは、Parkinson病患者で早期に困難となる動作である。なぜなら、寝返り・起き上がり動作は、頸部や体幹の回旋を伴うため。したがって、姿勢反射障害や固縮の影響が大きい。
2.5.× 平地歩行/椅子からの立ち上がりは、Hoehn&Yahrの重症度分類ステージⅣで困難となる動作である。
3.× 階段の昇りは、比較的維持されやすい項目である。なぜなら、矛盾性運動(逆説的運動)が特徴であるため。
4.× 端座位の保持は、Hoehn&Yahrの重症度分類ステージⅤで困難となる動作である。
ステージⅠ:片側のみの症状がみられる。軽症で機能障害はない。
ステージⅡ:両側の症状がみられるが、バランス障害はない。また日常生活・通院にほとんど介助を要さない。
ステージⅢ:歩行障害、姿勢保持反射障害が出現し、ADLに一部介助に一部介助が必要になる。
ステージⅣ:日常生活・通院に介助を必要とする。立位・歩行はどうにか可能。
ステージⅤ:寝たきりあるいは車いすで、全面的に介助を要する。歩行・起立は不能。
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24 重症筋無力症で正しいのはどれか。
1.肺小細胞癌を合併する。
2.Parkinson病より患者数が多い。
3.テンシロン試験で症状が改善する。
4.血清クレアチンキナーゼ値が上昇する。
5.誘発筋電図の反復刺激試験で振幅の漸増を認める。
解答3
解説
重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである。
【診断】テンシロンテスト、反復誘発検査、抗ACh受容体抗体測定などが有用である。
【治療】眼筋型と全身型にわかれ、眼筋型はコリンエステラーゼ阻害 薬で経過を見る場合もあるが、非有効例にはステロイド療法が選択される。胸腺腫の合併は確認し、胸腺腫合併例は、原則、拡大胸腺摘除術を施行する。難治例や急性増悪時には、血液浄化療法や免疫グロブリン大量療法、ステロイド・パルス療法が併用 される。
(※参考「11 重症筋無力症」厚生労働省HPより)
1.× 肺小細胞癌を合併するのが特徴的なのは、Lambert-Eaton症候群(ランバート・イートン症候群)である。Lambert-Eaton症候群とは、肺小細胞癌を高頻度に合併する傍腫瘍性神経症候群で、神経終末部のアセチルコリン(Ach)の放出障害をその病態の基盤とする神経筋接合部・自律神経疾患である。四肢筋力の易疲労性を生じ、筋の反復運動により筋力が増強する(waxing現象)のがみられる。
2.× Parkinson病より患者数が「多い」ではなく少ない。Parkinson病の患者数は、人口10万人あたり100~150人と推定されており、神経変性疾患の中では最も頻度が高い。一方、重症筋無力症は、10万人あたり5.1人である。
3.〇 正しい。テンシロン試験で症状が改善する。テンシロンは欧米の商品名であり、日本ではアンチレクスという商品名で発売されている。重症筋無力症患者では、長短時間作用型抗ChE薬であるテンシロンの静注により、一過性に筋力が回復する(テンシロン検査)。
4.× 血清クレアチンキナーゼ値が上昇するのが特徴的なのは、多発性筋炎である。血清クレアチンキナーゼとは、筋の損傷が起こると上昇を示す。心筋炎、心外膜炎、進行性筋ジストロフィー、多発性筋炎などにより上昇する。重症筋無力症は、筋の障害ではないため血清クレアチンキナーゼは上昇しない。
5.× 誘発筋電図の反復刺激試験で振幅の漸増を認めるのが特徴的なのは、Lambert-Eaton症候群(ランバート・イートン症候群)である。重症筋無力症の場合、振幅が漸減(waning:ウィニング)する。
多発性筋炎とは、自己免疫性の炎症性筋疾患で、主に体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下をきたす。典型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ。膠原病または自己免疫疾患に属し、骨格筋に炎症をきたす疾患で、遺伝はなく、中高年の女性に発症しやすい(男女比3:1)。5~10歳と50歳代にピークがあり、小児では性差なし。四肢の近位筋の筋力低下、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられる。手指、肘関節や膝関節外側の紅斑(ゴットロン徴候)、上眼瞼の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)などの特徴的な症状がある。合併症の中でも間質性肺炎を併発することは多いが、患者一人一人によって症状や傷害される臓器の種類や程度が異なる。予後は、5年生存率90%、10年でも80%である。死因としては、間質性肺炎や悪性腫瘍の2つが多い。悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であるので、その合併が否定されなければ直ちに温熱療法を開始してはならない。しかし、悪性腫瘍の合併の有無や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、ホットパックなどを用いた温熱療法は疼痛軽減に効果がある。
(※参考:「皮膚筋炎/多発性筋炎」厚生労働省様HPより)
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【PT/OT/共通】重症筋無力症についての問題「まとめ・解説」
25 成人期の二次障害で頸椎症性脊髄症を発症しやすい疾患はどれか。
1.先天性多発性関節拘縮症
2.アテトーゼ型脳性麻痺
3.痙直型脳性麻痺
4.骨形成不全症
5.分娩麻痺
解答2
解説
頚椎症性脊髄症とは、加齢による頸椎の変形によって内側の脊髄が圧迫されて、巧緻性の低下や手足のしびれが生じる疾患である。箸での食事が難しくなったり、ボタンをとめるのが困難になることもある。
1.× 先天性多発性関節拘縮症とは、子宮内で発生して多くの関節が「固まる」まれな病気の総称で、複数部位の関節拘縮(特に上肢と頚部)と筋形成不全を特徴とする。主な合併症として、内反尖足や股関節脱臼、長管骨の骨折などがあげられる。成長期に脊柱変形などを認めることはあるが、成人期の二次障害として頚椎症性脊髄症を発症しやすいわけではない。
2.〇 正しい。アテトーゼ型脳性麻痺は、成人期の二次障害で頸椎症性脊髄症を発症しやすい。なぜなら、長年にわたる頚部の不随意運動により頸部に反復し負荷がかかるため。したがって、頚椎の不良姿勢につながり頚髄症を引き起こす。ほかにも二次障害としては手根管症候群を来しやすい。ちなみに、アテトーゼ型とは、麻痺の程度に関係なく四肢麻痺であるが上肢に麻痺が強い特徴を持つ。錐体外路障害により動揺性の筋緊張を示す。筋緊張は低緊張と過緊張のどちらにも変化する。他にも、特徴として不随意運動が主体であることや、原始反射・姿勢反射が残存しやすいことがあげられる。アテトーゼ型脳性麻痺の介助のポイントとして、体幹は包み込むようにして安定させ、四肢をフリーにしないことで安定させるとよい。また、上肢や体幹の極端な非対称性の体位は、体幹の側屈と短縮を引き起こすため避けるようにする。
3.× 痙直型脳性麻痺の二次障害では、成長期に側弯症になりやすい。なぜなら、筋緊張の亢進や原始反射の残存(緊張性迷路反射による反り返り、非対称性緊張性頚反射による体幹のねじれ)が起こるため。ちなみに、痙直型脳性麻痺とは、上位運動ニューロンの障害による痙性麻痺を主症状(筋トーヌス亢進、深部腱反射亢進、病的反射出現、クローヌス出現、折りたたみナイフ現象)とする脳性麻痺である。
4.× 骨形成不全症の二次障害では、易骨折性や進行性の骨変形などである。ちなみに、骨形成不全症とは、易骨折性・進行性の骨変形などの骨脆弱性を示す病状に加え、様々な程度の結合組織の病状を示す先天性の疾患である。具体的な症状として、易骨折性、骨変形などの長管骨の骨脆弱性と脊椎骨の変形に加え、成長障害、青色強膜、歯牙(象牙質)形成不全、難聴、関節皮膚の過伸展などがみられる。さらに、脊柱変形による呼吸機能障害、心臓弁(大動脈弁、僧帽弁に多い)の異常による心不全などが引き起こされることがある。骨折は、乳児期や歩行の不安定な1~2歳ごろと運動をする機会が増える小学生で多いとされている。
5.× 分娩麻痺とは、生まれてくる際に、子宮の収縮力だけでは力不足の場合、医師や助産婦による予想以上の力が腕に行く神経にかかり、神経が外傷し麻痺してしまうことをいう。合併症として、鎖骨骨折が最多である。次いで、顔面神経麻痺、頭蓋内出血が多い。骨折は、若木骨折のため後遣症もなく予後良好である。
①機敏性の低下、筋力損失および脊髄反射の亢進など。
②脊髄レベルでの相反神経作用の障害(動筋と拮抗筋が同時に過剰収縮を起こす病的な同時収納や、痙直の強い拮抗筋からの過利な緊張性相反性抑制による動筋の機能不全)
③両麻痺は両下肢の麻痺に、軽~中等度の両上肢、体幹の麻痺を伴うことが多い。