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41 間質性肺疾患の所見で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.湿性咳嗽を生じる。
2.拡散障害による低酸素血症を呈する。
3.呼吸機能検査で閉塞性換気障害を呈する。
4.胸部単純エックス線写真で線維化を呈する。
5.コースクラックル〈coarse crackle・水泡音〉を聴取する。
解答2・4
解説
肺機能検査(拘束性障害):肺が縮んでいく病態である。肺活量や全肺気量は低下する。また、間質の線維化によりガスの拡散能は低下し、動脈血酸素分圧も低下する。
単純X線写真:網状陰影・すりガラス陰影が特徴的である。
【間質性肺疾患とは】(以下引用:「肺線維症に関する総合情報サイト」)
間質性肺疾患は、肺の間質という部分に起こるさまざまな病気の総称です。間質性肺疾患は以下のような病気をまとめた呼び名であり、さまざまなものが含まれます。
・原因不明の間質性肺炎(特発性間質性肺炎)
・膠原病に伴う間質性肺疾患
・過敏性肺炎
・サルコイドーシスなどを含むその他の間質性肺疾患
(※図引用:yakugaku lab様HP)
1.× 「湿性」ではなく乾性咳嗽を生じる。乾性咳嗽とは、痰を伴わない咳である。なぜなら、間質性肺炎は、肺の線維化によって肺が広がりにくくなる拘束性肺疾患であるため。ちなみに、湿性咳嗽は気管支拡張症や慢性気管支炎に多い。
2.〇 正しい。拡散障害による低酸素血症を呈する。なぜなら、間質性肺疾患は、肺の間質という部分に起こるさまざまな病気の総称であるため。拡散障害とは、肺に取り込まれたO2が肺胞から血液へ移動し、赤血球のヘモグロビンに結合する経路で病変や異常が生じることである。肺に取り込まれたO2は、拡散によって「肺胞上皮→基底膜→間質→毛細血管内皮→血漿→赤血球膜」を通過し、ヘモグロビンと結合する。このときの拡散のしやすさを拡散能力 (DL)という。拡散経路のうちどこかに異常があると O2は拡散しにくくなることを「拡散障害」という。結果、低酸素血症が生じる。低酸素血症とは、動脈血中の酸素が不足した状態である。酸素投与中以外のSPO2:95~100%が正常である。
3.× 呼吸機能検査で「閉塞性」ではなく拘束性換気障害を呈する。拘束性換気障害とは、1秒率が70%以上であるが、%肺活量が80%未満となる換気障害のことである。
4.〇 正しい。胸部単純エックス線写真で線維化を呈する。線維化を呈するため、網状陰影・すりガラス陰影が特徴的である。
5.× 「コースクラックル〈coarse crackle・水泡音〉」ではなく「ファインクラックル〈fine crackles・捻髪音〉」を聴取する。粗い断続性副雑音(水泡音)は、気道内に溜まった分泌物が呼吸にともなう空気の移動で震えて破裂することで生じる音で肺炎など気道内に痰や分泌物がたまる状況(細菌性肺炎の症状)で聴取される。一方、細かい断続性ラ音(捻髪音)は、高くて細かい断続音のことで、肺線維症・間質性肺炎・喘息・過敏性肺炎などで見られる。
肺に取り込まれたO2は、拡散によって「肺胞上皮→基底膜→間質→毛細血管内皮→血漿→赤血球膜」を通過し、ヘモグロビンと結合する。このときの拡散のしやすさを拡散能力 (DL)という。拡散経路のうちどこかに異常があると O2は拡散しにくくなることを「拡散障害」という。結果、低酸素血症が生じる。ちなみに、通常CO2の拡散障害は生じない。なぜならCO2は、O2よりも約20倍の速さで拡散するため。
42 MRC〈Medical Research Council〉sum scoreによる筋力が集中治療室獲得性筋力低下〈ICU-AW〉の判定を満たすのはどれか。2つ選べ。
1.すべて同一の背臥位姿勢で測定する。
2.ICU入室時の検査で判定する。
3.両側合計で48点未満である。
4.握力が20kg未満である。
5.平均が4点未満である。
解答3・5
解説
MRCスケール(MRC sumスコア)とは、6関節(上肢:肩関節外転、肘関節屈曲、手関節背屈、下肢:股関節屈曲、膝関節伸展、足関節背屈)の合計点から筋力状態を評価するスコアである。
徒手筋力テストで行うため、点数は同じ。
Grade0:視診あるいは触診において収縮がない。
Grade1:視診あるいは触診によりわすかな収縮が認められるが、四肢の動きはみられない。
Grade2:重力を除いた状態でほほ全可動域関節を動かせる。
Grade3:重力に抗してほぼ全可動域を動かせる。
Grade4:中程度の抵抗に抗してほぼ全稼働範囲を動かせる。
Grade5:正常筋力。
6関節を徒手筋力テストで評価し、四肢スコア合計が60点満点となる。5点×6関節×2(左右)
1.× すべて同一の背臥位姿勢で「測定できない」。なぜなら、6関節(上肢:肩関節外転、肘関節屈曲、手関節背屈、下肢:股関節屈曲、膝関節伸展、足関節伸展)を各徒手筋力テストで評価するとため。
2.× ICU入室時の検査で判定すると決まっているわけではない。ただし、徒手筋力テストで評価するため、意識清明かつ十分な協力と言語理解が必要となる。一応、規定として、24時間以上空けて2回以上施行したmedical research council(MRC)スコアが60点満点中48点未満、または検査可能な筋の平均MRCスコアが4点未満であり、重症患者に発症した急性の四肢筋力低下であればICU-AWの疑いのある患者に該当となる(参考:「PICS 集中治療後症候群」日本集中治療医学会より)。
3.5.〇 正しい。両側合計で48点未満である/平均が4点未満であることは、集中治療室獲得性筋力低下〈ICU-AW〉の判定を満たす。ICU-acquired weakness(ICU-AW)の診断基準の3において、24時問以上空けて2回以上行ったMRCスコアの合計が48点未満、または検査可能な筋の平均MRCスコアが4点未満であることが規定されている。
4.× 握力が20kg未満であることは、診断項目に入っていない。握力は全身の筋肉量を表す指標になるため、フレイルの診断基準に含まれる。フレイルとは、「虚弱」「脆弱」という意味であり、加齢するにつれて体力や活力が弱まっている状態のことを指す。診断基準に含まれるのは【①体重減少(6か月間で2~3㎏以上)、②主観的疲労度、③日常生活活動量の低下、④歩行速度の低下、⑤握力の減弱】である。
下記の1かつ2かつ【3or4】かつ5を満たす。
1.重症病態の発症後に進展した全身の筋力低下。
2.筋力低下はびまん性(近位筋・遠位筋の両者)、左右対称性、弛緩性であり、通常脳神経支配筋は侵されない。
3.24時問以上空けて2回以上行ったMRCスコアの合計が48点未満、または検査可能な筋の平均MRCスコアが4点未満。
4.人工呼吸器に依存している。
5.背景にある重症疾患と関連しない筋力低下の原因が除外されている。
43 介護予防事業の基本チェックリストで低栄養判断基準となるBMIはどれか。
1.16.5未満
2.18.5未満
3.20.5未満
4.22.5未満
5.24.5未満
解答2
解説
(※図引用:「表4 基本チェックリスト 」厚生労働省HPより)
1.3~5.× 16.5未満/20.5未満/22.5未満/24.5未満は、判断基準として当てはまらない。
2.〇 正しい。18.5未満は、介護予防事業の基本チェックリストで低栄養判断基準となるBMIである。基本チェックリストの注釈(注)に、低栄養判断基準が記載されている(:「表4 基本チェックリスト 」厚生労働省HPより)。ちなみに、日本肥満学会の基準での、「低体重(18.5以下)」と同様の数値である。
BMIとは、体重(㎏) ÷ 身長の2乗(m) で計算される体格指数のことである。日本肥満学会の基準では、18.5以下:低体重、25以下:普通、30以下:肥満Ⅰ度、35以下:肥満Ⅱ度、40以下:肥満Ⅲ度、40以上:肥満Ⅳ度である。
44 介護保険制度で対象外の住宅改修はどれか。
1.浴室段差の解消
2.階段昇降機の設置
3.外階段に手すりの設置
4.トイレ扉を引き戸に交換
5.和式便座を洋式便座に交換
解答2
解説
・手すりの取り付け
・段差の解消
・滑り止め防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
・引き戸等への扉の取り替え
・洋式便器等への取り替え
・これらに付帯して必要となる改修
(※支給限度額は20万円)
1.3~5.× 浴室段差の解消/外階段に手すりの設置/トイレ扉を引き戸に交換/和式便座を洋式便座に交換は、介護保険制度における住宅改修の対象である。
2.〇 正しい。階段昇降機の設置は、介護保険制度で対象外の住宅改修である。住宅改修の第一の目的は、日常生活動作(ADL)が自分で行えるようになることであり、利用者本人の自立意欲の向上である。第二に家族や介護者の精神的、物的負担を軽減することになる。
介護保険とは、平成12年4月から開始された介護を必要とする方に費用を給付し、適切なサービスを受けられるようにサポートする保険制度である。40歳以上の人は、介護保険の被保険者となり、①65歳以上の人(第1号被保険者)と、②40~64歳までの医療保険に加入している人(第2号被保険者)になる。
介護保険の主な給付には、①介護給付と、②予防給付がある。介護給付は、要介護1~5に認定された場合に介護サービスの利用額負担として行われ、予防給付は、要支援1~2に認定された場合に介護予防サービスの利用額負担として行われる。
45 特別支援学校の教育環境で誤っているのはどれか。
1.自立活動関係教室を設置する。
2.発達障害を有する児も在籍する。
3.学級編成人数は10名以上である。
4.複数の食形態での食事が可能である。
5.ベッドタイプのトイレが併設された学校もある。
解答3
解説
特別支援学校とは、障害者等が「幼稚園、小学校、中学校、高等学校に準じた教育を受けること」と「学習上または生活上の困難を克服し自立が図られること」を目的とした日本の学校である。
1.〇 正しい。自立活動関係教室を設置する。自立活動関係教室とは、児童生徒一人ひとりの障害の状態や発達の段階に応じた指導が行われる教室のことである。教育活動全体を通じて行われる自立活動のための学習や総合的な学習の時間等に対応するべく、普通教室、特別教室、自立活動関係諸室、共通学習空間、教材・教具の作成・収納空間等を機能的な連携に配慮して配置することが望ましい。(※参考:「特別支援学校施設整備指針第3章平面計画」文部科学省HPより)
2.〇 正しい。発達障害を有する児も在籍する。なぜなら、発達障害と知的障害を併発している場合なども考えられるため(ただし、特別支援学校に「発達障害」の項目はない)。また、知的障害に対応できる作業学習関係諸室も設置している。ほかにも、視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由児、病弱などに対応する自立活動関係諸室を設置している。
3.× 学級編成人数は「10名以上」ではなく上限6~8名である。なぜなら、子どもたち一人一人の実態に応じたきめ細かな指導を行うため。「公立特別支援学校(小・中学部)の1学級あたりの人数は上限6人で平均3人、特別支援学級(公立小・中学校)の1学級あたりの人数は上限8人で平均3人と、少人数で学級が編制されている」(※引用:「特別支援教育の概要」厚生労働省様HPより)。
4.〇 正しい。複数の食形態での食事が可能である。なぜなら、特別支援学校では、生徒一人ひとりの健康状態や障害の特性に応じる必要があるため。車いすやストレッチャーを使用しての食事、抱かれての食事、特殊な補助用具を付けての食事等多様な形態を考慮している。
5.〇 正しい。ベッドタイプのトイレが併設された学校もある。なぜなら、特別支援学校では、生徒一人ひとりの健康状態や障害の特性に応じる必要があるため。多様な施設があり、中でも生徒に対し2~3人の介助者が付き添い、さまざまな排泄方法に配慮した、バリアフリー便器を設置している施設もある。(※参考:「尼崎市立あまよう特別支援学校」COM-ET様HPより)