第59回(R6) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午後問題56~60】

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56 腋窩神経で正しいのはどれか。

1.三角筋を支配する。
2.広背筋を支配する。
3.後骨間神経を分枝する。
4.上腕内側の皮膚感覚を支配する。
5.腕神経叢の外側神経束から分枝する。

解答

解説

 

 

(Redrawn from Anatomy,ed. 5, edited by R O’Rahilly. Philadelphia, WB Saunders Company, 1986; used with permission.)

腋窩神経とは?

腋窩神経とは、腕神経叢から出る上腕部に走行する末梢神経で、上肢の背側を走行し、上腕部で、停止する。
・分岐:後神経束から。
・感覚:上外側上腕皮神経
・支配筋肉:小円筋と三角筋

1.〇 正しい。三角筋を支配する。三角筋の【起始】肩甲棘、肩峰、鎖骨の外側部1/3、【停止】上腕骨三角筋粗面、【作用】肩関節外転、前部は屈曲、後部は伸展、【支配神経】腋窩神経:(C4),C5,C6である。
2.× 広背筋の【起始】第6~8胸椎以下の棘突起、腰背腱膜、腸骨稜、第(9)10~12肋骨および肩甲骨下角、【停止】上腕骨の小結節稜、【作用】肩関節内転、伸展、多少内旋、【神経】胸背神経である。

3.× 後骨間神経を分枝するのは、橈骨神経である。後骨間神経は、肘の辺りで橈骨神経から分岐して回外筋にもぐりこみ、指伸展の筋肉を支配する。
4.× 上腕内側の皮膚感覚を支配するのは、内側上腕皮神経である。
5.× 腕神経叢の外側神経束から分枝するのは、筋皮神経である。

前骨間神経と後骨間神経について

前骨間神経と後骨間神経は、前腕の橈骨と尺骨という2つ骨の間を繋ぐ骨間膜の前後を走る神経である。両者とも触覚に異常がないのが特徴である。神経炎以外にも、外傷、絞扼性神経障害でも生じる。

【前骨間神経】
・肘の辺りで正中神経から分岐して主に母指(親指)と示指の第1関節を動かす筋肉を支配している。ほかにも、長母指屈筋、方形回内筋を支配する。
→涙のしずくが陽性。

【後骨間神経】
・肘の辺りで橈骨神経から分岐して回外筋にもぐりこみ、指を伸展する筋肉を支配している。
→下垂指(drop finger)となる。

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57 後腹膜に存在するのはどれか。2つ選べ。

1.胃
2.空腸
3.腎臟
4.横行結腸
5.十二指腸

解答3・5

解説

後腹膜器官とは?

後腹膜器官とは、後腹壁の壁側腹膜より後方に位置する臓器である。
・腹膜内臓器:空腸、回腸、横行結腸、S状結腸、脾臓、卵巣、卵管、虫垂
・半腹膜内臓器:肝臓、膀胱、子宮、直腸、盲腸、上行結腸、下行結腸
・後腹膜器官:十二指腸腎臓、副腎、尿管、腹部大動脈、下大静脈、交感神経幹。

1~2.4.× 胃/空腸/横行結腸は、腹膜内臓器である。
3.〇 正しい。腎臟/十二指腸は、後腹膜に存在する。

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58 甲状腺が分泌するホルモンはどれか。

1.メラトニン
2.オキシトシン
3.カルシトニン
4.バソプレシン
5.パラトルモン

解答

解説

甲状腺から分泌されるホルモン

甲状腺から分泌されるホルモンは、①カルシトニン、②甲状腺ホルモンがあげられる。甲状腺ホルモンとは、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があり、新陳代謝を調節している。脈拍数や体温、自律神経の働きを調節し、エネルギーの消費を一定に保つ働きがある。

1.× メラトニンとは、夜間に脳の松果体から分泌されるホルモンで、体内時計による夜間の身体の休息を促す働きを持つ。メラトニン分泌量が低下するため睡眠障害が起こりやすくなる。
2.× オキシトシンとは、脳下垂体後葉から分泌される。乳汁射出、子宮収縮作用がある。また、分娩開始前後には分泌が亢進し、分娩時に子宮の収縮を促し、胎児が下界に出られるように働きかける。児の吸啜刺激によって分泌が亢進し、分娩後の母体の子宮筋の収縮を促す。
3.〇 正しい。カルシトニンは、甲状腺が分泌するホルモンである。骨吸収を抑制する働きを持つ。
4.× バソプレシン(ADH:抗利尿ホルモン )とは、下垂体後葉から分泌され、水の再吸収を促進する抗利尿作用・血圧上昇が起きる。尿を濃くし尿量を減らす作用がある。
5.× パラトルモンとは、副甲状腺ホルモンとも呼ばれ、副甲状腺から分泌されるホルモン。血液中のカルシウムの濃度を維持する作用があり、骨に働いてカルシウムを放出させ、腎臓に働いてその再吸収を亢進させる作用を持つ。

 

 

 

 

 

59 平衡聴覚器で正しいのはどれか。

1.耳石器は鼓室にある。
2.蝸牛神経は耳管を通る。
3.半規管は角加速度を知覚する。
4.アブミ骨筋は前庭神経に支配される。
5.内耳道は内リンパ液で満たされている。

解答

解説

(※図引用:「耳の構造・説明図」illustAC様より)

1.× 耳石器は、「鼓室(中耳)」ではなく前庭部(内耳)にある。耳石器とは、卵形嚢と球形嚢に存在し、頭部の傾きや乗り物やエレベーターに乗った場合に生じる直線加速度を受容する(頭部の傾きの検出も、重力方向、すなわち直線加速度を感知することである)。
2.× 蝸牛神経は耳管を「通らない」。蝸牛神経とは、聴神経ともいわれ音を脳へ伝える神経である。蝸牛神経と前庭神経を内耳神経といい、内耳道を通る。ちなみに、耳管とは、鼓膜の前壁から始まり、中耳と上咽頭を連絡する管である。中耳にあり、①鼓室内の圧調整、②惨出液を咽頭へ流す機能がある。
3.〇 正しい。半規管は角加速度を知覚する。半規管とは、平衡感覚(頭部の回転加速度:角加速度)を受容する。三半規管とは、①外側半規管、②前半規管、③後半規管の3つの半規管の総称である。すべての半規管は、頭が回転するときの方向と速さを感知する役割があり、外側半規管は水平回転(左右、 横方向の回転)、前半規管と後半規管は垂直回転 (上下、縦方向の回転)を感じ取る。
4.× アブミ骨筋は、「前庭神経」ではなく顔面神経に支配される。アブミ骨筋とは、鼓膜張筋と共に収縮することによって鼓膜および内耳腔の振動を減衰させ中耳における音の伝達特性をさげる。鼓膜張筋は、三叉神経支配である。
5.× 内耳道は、「内リンパ液」ではなく蝸牛神経、前庭神経、顔面神経が通っている。内リンパ液に満たされているのは、蝸牛管である。蝸牛管は、音を感知するコルチ器(聴覚を司る感覚器官)である。コルチ器とは、内耳の蝸牛にあり、聴覚に関与する。コルチ器の有毛細胞は、音の振動に対して有毛細胞が動くことで音を感知する。コルチ器官は、聴覚の受容器細胞である有毛細胞と複数の支持細胞で構成される。

(※画像引用:やまだカイロプラクティック院様)

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60 体細胞分裂の開始に関わる細胞内小器官はどれか。

1.核小体
2.小胞体
3.中心小体
4.Golgi装置
5.ミトコンドリア

解答

解説

体細胞分裂とは?

体細胞分裂とは、細胞分裂の様式のひとつである。1個の体細胞(多細胞生物を構成している細胞のうち生殖細胞以外の細胞の総称)が分裂して同じ遺伝情報を持つ2個の娘細胞を生み出す過程をいう。

1.× 核小体とは、細胞核の中に存在し、rRNAの転写やリボソームの構築が行われる。
2.× 小胞体とは、①粗面小胞体と②滑面小胞体に分類される。①粗面小胞体は、表面にリボソームが付着し蛋白質を合成する。②滑面小胞体は、リボソームが付着していない小胞体の総称のことで、コレステロールの合成や分解、脂質代謝、薬物の解毒、カルシウムの貯蔵などの機能を担っている。
3.〇 正しい。中心小体は、体細胞分裂の開始に関わる細胞内小器官である。中心小体とは、細胞分裂の開始に関わる。細胞分裂を開始する前に中心小体が分裂し、紡錘体を形成するなどの役割を持つ。
4.× Golgi装置とは、蛋白質を修飾する。リボソームで生成され送り込まれてきた蛋白質に糖鎖を付け加える、濃縮するなどの修飾をする機能を持つ。
5.× ミトコンドリアとは、細胞内に存在する細胞内小器官で、 ATPの生成やアポトーシス(細胞死)において重要な働きを担っている。

 

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