第59回(R6) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題51~55】

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※解答の引用:第59回理学療法士国家試験及び第59回作業療法士国家試験の合格発表について(厚生労働省HPより)

 

 

51 外胚葉から発生するのはどれか。

1.筋
2.子宮
3.甲状腺
4.消化管
5.松果体

解答

解説

各胚葉に由来する器官

外胚葉:神経(脳・脊髄)・表皮(毛・爪)・感覚器(視・聴覚)
中胚葉:骨格(軟骨)・・循環器系(心臓・血管・リンパ)・泌尿生殖器(腎臓・精巣・子宮・卵巣)
内胚葉:消化器(胃・腸)・呼吸器(気管・肺)・尿路系(膀胱・尿道)

1~2.× 筋/子宮は、中胚葉から発生する。
3~4.× 甲状腺/消化管は、内胚葉から発生する。
5.〇 正しい。松果体は、外胚葉から発生する。

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52 ミオシンフィラメントが存在するのはどれか。2つ選べ。(不適切問題:解3つ)

1.A帯
2.H帯
3.I帯
4.Z帯
5.筋節

解答1・2・5
対応:3通りの解答を正解として採点する。

解説

筋収縮の機序

【筋収縮の機序】
①筋小胞体から放出されたCa2+がトロポニンと結合する。
②ATPエネルギーを利用したミオシンの頭部首振り運動が起こる。
③アクチンフィラメントを引き寄せながらミオシンフィラメント上を滑走して筋収縮が起こる。

【運動による筋疲労によって起こる事象】
①代謝産物の蓄積(乳酸の増加やpHの低下)
②エネルギー供給率の低下(ATP低下、ADP増加、グリコーゲン低下)
③興奮収縮連関不全(筋小胞体へのCa2+取り込み低下)

1.〇 正しい。A帯は、ミオシンフィラメントが存在する。A帯とは、暗帯ともい、ミオシンフィラメントがある部分で、アクチンフィラメントと重なり合っている。ミオシンフィラメントとは、太さ百万分の12ミリというアクチンフィラメントよりやや太い糸で、ミオシンという「頭が2つになったマッチ棒」のような形のタンパク質が200本ほど束になったものである。
2.〇 正しい。H帯は、ミオシンフィラメントが存在する。H帯とは、A帯中央の明るい部分(ミオシンのみからなる部分)である。
3.× I帯とは、明帯ともいい、筋収縮のメカニズム(滑り説)では、アクチンフィラメントがミオシンフィラメント側に滑り込むことで収縮が生じると説明しており、この際に短縮するのはアクチンフィラメントのみの部分であるI帯(明帯)である。
4.× Z帯とは、I帯(明帯)の中央部分に存在し、アクチンを束ねている。
5.〇 正しい。筋節は、ミオシンフィラメントが存在する。筋節とは、サルコメアともいい、Z体とZ体の間のことである。収縮時はその間が短くなる。

 

苦手な人向けに、まとめました。参考にどうぞ。

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53 肩甲背神経に支配される筋はどれか。(※不適切問題:解2つ)

1.肩甲挙筋
2.鎖骨下筋
3.前鋸筋
4.僧帽筋
5.菱形筋

解答1・5
対応:複数の選択肢を正解として採点する。

解説
1.〇 正しい。肩甲挙筋は、肩甲背神経に支配される。肩甲挙筋の【起始】第1~(3)4頸椎の横突起後結節、【停止】肩甲骨の上角と内側縁の上部、【作用】肩甲骨を内上方に引く、【支配神経】頸神経叢の枝と肩甲背神経:C2~C5である。
2.× 鎖骨下筋の【起始】第1肋骨上面の胸骨端、【停止】鎖骨の中部下面、【作用】鎖骨を下方に引く、【神経】鎖骨下筋神経:C5,(C6)である。
3.× 前鋸筋長の【起始】第1~8(~10)肋骨前外側面、【停止】第1,2肋骨とその間の腱弓からの筋束は肩甲骨上角。第2,3肋骨からは分散して広く肩甲骨内側縁。第4肋骨以下からは下角、【作用】全体:肩甲骨を前方に引く。下2/3:下角を前に引いて肩甲骨を外方に回旋し、上腕の屈曲と外転を補助。最上部:肩甲骨をやや引き上げる、【神経】長胸神経である。
4.× 僧帽筋の【起始】後頭骨上項線、外後頭隆起、項靭帯、第7頸椎以下全胸椎の棘突起および棘上靭帯、【停止】肩甲骨の肩甲棘と肩峰の上縁および鎖骨外側1/3(三角筋の起始範囲とほぼ同じ)、【作用】上部:肩甲骨と鎖骨の肩峰端を内上方にあげる。中部:肩甲骨を内側に引く。下部:肩甲骨を内下方に引き下げると同時にその下角を外側に回旋する、【神経】副神経(外枝)と頸神経叢の筋枝である。
5.〇 正しい。菱形筋は、肩甲背神経に支配される。菱形筋には、大菱形筋と小菱形筋がある。ちなみに、大菱形筋の【起始】第2~4胸椎の棘突起および棘上靭帯、【停止】肩甲骨内側縁(肩甲棘より下部)である。また、小菱形筋の【起始】下部項靭帯、第7頸椎と第1胸椎の棘突起、【停止】肩甲骨内側縁(肩甲棘より上部)である。

 

 

 

 

 

54 脳神経と支配筋の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

1.動眼神経:眼輪筋
2.三叉神経:咬筋
3.顏面神経:広頸筋
4.舌咽神経:舌筋
5.副神経:側頭筋

解答2・3

解説

(※図引用:「イラストでわかる歯科医学の基礎 第4版 」永未書店HPより)

1.× 眼輪筋は、「動眼神経」ではなく顔面神経である。動眼神経とは、外側直筋と上斜筋以外の眼筋を支配する運動神経と、眼球内の瞳孔括約筋や毛様体筋を支配する副交感神経を含んでいる。
2.〇 正しい。咬筋は、三叉神経である。咀嚼筋とは、下顎骨の運動(主に咀嚼運動)に関わる筋肉の総称である。咀嚼筋は一般的に、咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋の4種類が挙げられる。三叉神経とは、咀嚼運動にかかわる脳神経である。三叉神経は、主に咀嚼筋の咀嚼運動と顔面の皮膚感覚を司る。運動神経と感覚神経を含む。
3.〇 正しい。広頸筋は、顏面神経である。広頸筋とは、頚部、鎖骨下方の皮膚を上に引き、筋膜を緊張させる筋肉である。【起始】下顎骨縁、【停止】下顎骨縁である。顔面神経とは、表情筋の運動、涙腺や口蓋腺などの分泌作用制御の副交感神経、および味覚を司る感覚神経を含む混合神経である。したがって、顔面神経の障害により、顔面表情筋の障害、角膜反射低下、聴覚過敏、味覚低下(舌前2/3)、涙分泌低下、唾液分泌低下などが起こる。
4.× 舌筋は、「舌咽神経」ではなく舌下神経である。舌下神経とは、舌の運動を支配する運動神経である。一方、舌咽神経とは、知覚・運動・分泌を受けもつ混合神経で、舌の後部3分の1の感覚や咽頭筋の運動を支配する。 また分泌線維は耳下腺に分布し、唾液の分泌を司る。 鼓室粘膜の知覚もこの神経が支配する。
5.× 側頭筋は、「副神経」ではなく三叉神経である。咀嚼筋とは、下顎骨の運動(主に咀嚼運動)に関わる筋肉の総称である。咀嚼筋は一般的に、咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋の4種類が挙げられる。副神経とは、僧帽筋や胸鎖乳突筋など、首を動かす筋肉に分布する運動神経である。

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55 ドーパミンが主に神経伝達物質となっている部位はどれか。

1.黒質
2.視床
3.小脳
4.脳梁
5.前頭葉

解答

解説

ドーパミンとは?

ドパミンとは、運動調節や意欲・学習などに関わる脳内の神経伝達物質である。脳内のドパミン量が不足するとパーキンソン病になり、過剰になると統合失調症になると考えられている。 統合失調症の治療薬は、ドパミンD2受容体に結合して不活性化させる。

パーキンソン病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。また、自律神経障害による便秘や起立性低血圧、排尿障害、レム睡眠行動障害などが起こる。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。

1.〇 正しい。黒質は、ドーパミンが主に神経伝達物質となっている。黒質とは、中脳の被蓋と大脳脚との間に位置し、運動制御に関わる脳の一部であり、ドーパミン生成細胞が多く存在する。
2.× 視床とは、嗅覚以外のあらゆる感覚情報(体性感覚、痛覚、視覚、聴覚、味覚など)を大脳皮質に送る一大中継基地を担う。視床出血の場合は、被殻出血と並んで頻度の高い脳出血で、脳出血全体の30%程度を占めている。麻痺に比べ、感覚障害が強くなる。
3.× 小脳とは、後頭部の下方に位置し、筋緊張や身体の平衡の情報を処理し運動や姿勢の制御(運動系の統合的な調節)を行っている。小脳は、筋トーヌスと運動の調節に関与している。
4.× 脳梁とは、左右の大脳半球をつなぐ交連線維の太い束である。左右の大脳皮質の間で情報をやり取りする経路である。脳梁は、いわゆる高次脳機能、認知機能に分類される症状を担っている。
5.× 前頭葉とは、論理的思考を制御する領域である。前頭葉障害の主症状として、①遂行機能障害、②易疲労性、③意欲・発動性の低下、④脱抑制・易怒性、⑤注意障害、⑥非流暢性失語等が挙げられる。

 

(※図引用:「イラスト素材:脳」illustAC様より)

 

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