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41 11種類の筆記検査と4種類の器具検査から9つの適正能を測定し、適職を吟味することができる職業評価はどれか。
1.GATB
2.MODAPTS
3.マイクロタワー法
4.ワークサンプル幕張版
5.内田クレペリン精神検査
解答1
解説
1.〇 正しい。GATBは、11種類の筆記検査と4種類の器具検査から9つの適正能を測定し、適職を吟味することができる職業評価である。GATB(General Aptitude Test Battery:厚生労働省編一般職業適性検査)は、多くの職業で必要とされる9つの能力=適性能(知的能力、言語能力、数理能力、書記的知覚、空間判断力、形態知覚、運動共応、指先の器用さ、手腕の器用さ)を評価することにより、望ましい職業選択を行うための情報を提供することを目的として作成されたものである。
2.× MODAPTS(モダプツ:modular arrangement of predetermined time standards)は、作業能力評価法である。作業動作時間測定法であるMTM(Methods Time Measurement)に改良を加えた簡便な作業能力評価法である。人間の自然な随意動作には、身体に障害がなければその動作時間には個人差はほとんどないという前提のもと、あらかじめ、動作とその所要時間値を調べたもので、実際に要した時間とを比較することにより、作業能力を評価する場合などに用いられる。
3.× マイクロタワー法は、職場の作業に近い13種類の課題から構成される職業評価である。ワークサンプル法を用いて職業能力適性を測定する作業見本法の一つである。13の作業課題を小集団で実施する。職場における作業に類似したサンプルを実際に用い、対象者の職業能力、作業態度や意欲、心身の耐久力など、総合的な職業適性をみる。
4.× ワークサンプル幕張版は、就労支援の場において、障害者の職業能力を評価することに加え、作業上必要となるスキルや補完手段の方法などを把握し、支援するためのツールとしてJEEDが開発したものである。OA作業(数値入力や検索修正など)、事務作業(物品請求書作成や作業日報集計など)、実務作業(ピッキングやプラグタップ組立など)の3分類、16のワークサンプルで構成され、評価のための簡易版と、訓練・補完手段獲得等のための訓練版がある。 利用者の希望職種なども踏まえつつ、障害特性や作業能力等把握したい事項によりワークサンプルを選択し、実施する(※引用:「ワークサンプル幕張版(MWS)」厚生労働省HPより)。
5.× 内田クレペリン精神検査は、性格検査・職業適性検査の一種である。被験者に一定時間計算させ続けることで、作業量・集中力・注意力などの作業能力と、性格傾向を知ることができる。
42 「893」のような数字の組を口頭で提示し、提示した数を小さい順に答えさせようとしたところ、順番を間違ったり回答できないことがみられた。
この患者の症状として考えられるのはどれか。
1.見当識障害
2.意味記憶障害
3.言語流暢性障害
4.巧緻運動機能障害
5.ワーキングメモリの障害
解答5
解説
1.× 見当識障害とは、時間や場所がわからなくなる状態である。たとえば、自分の周囲の状況や、 自分が置かれている状況(人や時間、 場所)が正しく理解できなくなる。
2.× 意味記憶障害とは、言語・知識・社会的常識など時間的要素のない記憶を指す。たとえば、「りんごは赤い」などの記憶が障害される。
3.× 言語流暢性障害には、①意味流暢性、②文字流暢性がある。①意味流暢性は、あるカテゴリーに属する単語をできるだけたくさん想起してもらう。例えば「くだもの」であれば、「りんご、なし、ぶどう・・・」といった具合である。②文字流暢性は、ある特定の文字、例えば「あ、い、う、え、お」のどれか一つを提示して、それから始まる単語をできるだけ多く述べてもらう。言語流暢性課題には長期記憶からの想起、すでに答えた言葉を一時的に記憶する作業記憶、不適切な言葉への抑制、作業への集中力の維持など広い範囲の前頭葉機能の動員が必要である。
4.× 巧緻運動機能障害は、手や指を使った細かい動作が困難になる状態である。つまり、運動機能障害である。
5.〇 正しい。ワーキングメモリの障害が最も考えられる。ワーキングメモリーとは、物事を思考・実行する際に必要な情報を一時的に(数秒から数分程度)保持しながら、それを意識的に操作することができる能力のことである。設問のように、「893」のような数字の組を口頭で提示し、提示した数を小さい順に答えさせようとしたところ、順番を間違ったり回答できないことがみられた場合、ワーキングメモリと密接に関連している。
43 自閉症スペクトラム障害にみられる行動の特徴として最も適切なのはどれか。
1.冗談が通じない。
2.ケアレスミスが多い。
3.語の途中で区切って読む。
4.突発的にまばたきを繰り返す。
5.家ではよく話すが学校では全く話さない。
解答1
解説
自閉症スペクトラム障害とは、正常な社会的関係を構築することができず、言葉の使い方に異常がみられるか、まったく言葉を使おうとせず、強迫的な行動や儀式的な行動がみられる病気である。 自閉スペクトラム症の患者は、他者とコミュニケーションをとったり関係をもったりすることが苦手である特徴を持つ。
広汎性発達障害(自閉スペクトラム障害)とは、相互的な社会関係とコミュニケーションのパターンの障害、および限局・常同・反復的な行動パターンがあげられる。生後5年以内に明らかとなる一群の障害である。通常は精神遅滞を伴う。広汎性発達障害、およびその下位分類である自閉症、アスペルガー症候群、高機能自閉症は、「自閉スペクトラム症」とまとめられた。
【診断基準の要点】
①「社会及び感情の相互性の障害」「社会的相互作用で用いられる非言語的コミュニケーションの障害」「発達レベル相応の関係を築き維持することの障害」の3つがすべて込められること。
②行動、興味活動の、限局的で反復的な様式が認められること。
1.〇 正しい。冗談が通じないことは、自閉症スペクトラム障害に最も関連する。自閉症スペクトラム障害とは、正常な社会的関係を構築することができず、言葉の使い方に異常がみられるか、まったく言葉を使おうとせず、強迫的な行動や儀式的な行動がみられる病気である。 自閉スペクトラム症の患者は、他者とコミュニケーションをとったり関係をもったりすることが苦手である特徴を持つ。下側冗談や皮肉を理解するのが難しい。
2.× ケアレスミスが多いのは、「自閉症スペクトラム障害」ではなく、注意欠陥多動性障害(ADHD)の特徴である。注意欠陥多動性障害(ADHD)とは、発達障害の一つであり、脳の発達に偏りが生じ年齢に見合わない①注意欠如、②多動性、③衝動性が見られ、その状態が6ヵ月以上持続したものを指す。その行動によって生活や学業に支障が生じるケースが多い。対人関係面で周囲との軋轢を生じやすく、大人からの叱責や子どもからのいじめにあうことがある。
3.× 語の途中で区切って読むのは、「自閉症スペクトラム障害」ではなく、学習障害の特徴である。学習障害とは、読む、書く、話すなどのある特定の学習能力が同じ年齢・知能の者と比較したときに期待される水準に達しない状態を指す。学習障害(LD)には、読字障害(ディスレクシア)、書字表出障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)などさまざまなタイプがある。特定の学習能力が年齢や知能レベル、教育レベルから期待されるものより著しく低いものをいい、学習機会がなかった者や、精神遅滞は除外する。
4.× 突発的にまばたきを繰り返すのは、「自閉症スペクトラム障害」ではなく、チック症の特徴である。チック障害(チック症)とは、本人の意思とは関係なく(不随意)・急に(突発的に)運動や発声が反復して起こる病態で、それぞれ運動性チック、音声チックと呼ばれる。 複数のタイプの症状が長期間続く場合は、トゥレット症候群と呼ぶ。運動性チックの初発症状は、まばたきなど顔面に多く認められる。
5.× 家ではよく話すが学校では全く話さないのは、「自閉症スペクトラム障害」ではなく、症選択的緘黙の特徴である。選択性緘黙(場面緘黙)とは、学校や会社など特定の状況下で話すことができないという疾患のことである。(※緘黙:かんもく)。性格によるものではなく、対人コミュニケーションに対する強い不安が根底にあるとされている。
44 精神科作業療法における治療的態度で誤っているのはどれか。
1.退院後の生活支援を行う。
2.患者との心理的距離を保つ。
3.患者の主体的活動を支援する。
4.異常体験の訴えはその都度修正する。
5.無理に活動しなくてもよいことを保障する。
解答4
解説
1.〇 正しい。退院後の生活支援を行う。なぜなら、特に統合失調症の維持期の場合、退院後の再発防止や体力つくり、よりよい生活の獲得が目標になるため。
2.〇 正しい。患者との心理的距離を保つ。なぜなら、特に境界性パーソナリティー障害の場合、患者の心理的距離が近すぎると依存関係へと発展しかねないため。患者が周囲の人を巻き込まないようにするための明確な態度をとる姿勢が重要で、また患者の自傷行為の背景を知るための面接が必要である。ちなみに、境界性パーソナリティ障害とは、対人関係・自己像・感情の不安定・著しい衝動性を特徴とする。情緒が不安定で衝動性が亢進し、対人関係を良好に維持することが困難である。衝動的な浪費、奔放な異性関係、自傷行為、見捨てられ不安などがみられる。
3.〇 正しい。患者の主体的活動を支援する。なぜなら、その人がその人らしく生きる為には、主体的活動できることが前提であるといえるため。作業療法の定義でも「主体的な生活の獲得を図る」ことが目的として挙げられている。ちなみに、主体的とは、自分の考えや判断によって行動する様子のことである。
4.× 異常体験の訴えはその都度、修正する必要はない。否定や修正するのではなく、その訴えを理解し、受容する姿勢が求められる。なぜなら、理解や受容が、安全な環境の提供や精神の安定につながるため。ちなみに、異常体験とは、幻聴・幻覚・幻視などのことをさす。
5.〇 正しい。無理に活動しなくてもよいことを保障する。なぜなら、特にうつ病の急性期の場合、保護的な関わり(休息)が必要となるため。対応として、①気持ちを受け入れる、②共感的な態度を示す、③心理的な負担となるため、激励はしない、④無理をしなくてよいことを伝える、⑤必ず回復することを繰り返し伝えていく、⑥静かな場所を提供することがあげられる。
かかりやすい:几帳面で完璧主義、責任感が強い人が多い。
うつ病の特徴:意欲低下、精神運動抑制などの症状のため、自己評価が低く、疲労感が強い。
①調子が悪いのは病気のせいであり、治療を行えば必ず改善すること。
②重要事項の判断・決定は先延ばしにする。
③自殺しないように約束してもらうことなど。
【作業基準】
①工程がはっきりしている。
②短期間で完成できる。
③安全で受身的で非競争的である。
④軽い運動(いつでも休憩できる)
【対応】
①気持ちを受け入れる。
②共感的な態度を示す。
③心理的な負担となるため、激励はしない。
④無理をしなくてよいことを伝える。
⑤必ず回復することを繰り返し伝えていく。
⑥静かな場所を提供する。