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36 主な障害部位と高次脳機能障害の組合せで正しいのはどれか。
1.前頭葉:失読失書
2.前頭葉:聴覚失認
3.頭頂葉:運動性失語
4.後頭葉:着衣失行
5.後頭葉:視覚失認
解答5
解説
1.× 失読失書は、「前頭葉」ではなく左(優位)半球頭頂葉角回の障害で起こる。ゲルストマン症候群(手指失認、失書、左右失認、失算)が認められる。主に、左頭頂葉(角回)と後頭葉の移行部の損傷で発生するが、4症状がそろって現れることは稀で、失語症を伴う場合が多い。
2.× 聴覚失認は、「前頭葉」ではなく側頭葉にある脳回の障害で起こる。聴覚失認とは、聴覚による言語や環境音の認知が困難になる状態である。純音聴力が一定程度保たれていて「聞こえている」はずなのに、その音が何であるのかを識別できない病態をいう。
3.× 運動性失語は、「頭頂葉」ではなく前頭葉Broca野(運動性失語中枢)の障害で起こる。ブローカ失語(運動性失語)とは、①復唱困難、②言語理解良好、③非流暢を特徴として言語障害である。
4.× 着衣失行は、「後頭葉」ではなく劣位半球の頭頂葉の障害で起こる。着衣失行とは、衣類と身体の関係がつけられず、衣服が着られない状態をいう。
5.〇 正しい。視覚失認は、後頭葉の障害で起こる。左後頭葉の視覚前野から側頭葉の側頭連合野にかけての障害で生じる。視覚失認とは、視覚を介して対象を認知することができなくなる症状である。聴覚や触覚など、別の感覚様式からの情報では認知することは可能である。
【前頭葉障害の主症状】
・遂行機能障害
・易疲労性
・意欲・発動性の低下
・脱抑制・易怒性
・注意障害
・非流暢性失語
37 上腕切断の術後管理で正しいのはどれか。
1.肩関節は外転位に保つ。
2.創がある場合は創傷治癒を優先する。
3.早期の義手装着は幻肢痛を悪化させる。
4.リジッドドレッシング〈rigid dressing〉法は創の観察が可能である。
5.ソフトドレッシング〈soft dressing〉法の弾性包帯は先端ほど緩く巻く。
解答2
解説
1.× 肩関節は外転位に保つのは、「切断の術後管理」ではなく、熱傷時の関節拘縮予防時である。上腕の切断の術後管理では、早期リハビリテーションを進めるため、肩関節中間位で保つことが多い。
2.〇 正しい。創がある場合は創傷治癒を優先する。なぜなら、感染や合併症を予防するため。
3.× 早期の義手装着は幻肢痛を「悪化させる」のではなく緩和させる。切断術後、訓練用仮義手の装着が早ければ早 いほど、客観的に評価することは出来ないが断端痛や幻肢痛が明らかに軽減され、抑制されることが第一の効果である(※参考:「上肢切断者に対するリハビリテーションの実態と問題点」著:中島咲哉より)
4.× リジッドドレッシング〈rigid dressing〉法は創の観察が、「可能」ではなく不可能である。なぜなら、リジッドドレッシング法とは、手術中に断端にギプスを巻いて、義足・義手をつける方法である。術後に直接断端を診ることが出来ないから、痛みの状態やソケットのゆるみについては病棟看護師、セラピストらと共 に慎重に観察し、患者の訴えを正確に判断することが重要なポイントである。
5.× ソフトドレッシング〈soft dressing〉法の弾性包帯は先端ほど、「緩く」ではなく強く巻く。ソフトドレッシング法は、切断縫合創から近位に弾性包帯を巻き、血腫の形成を予防し断端を固定する方法である。利点として、①装着が容易であること、②低コストであること、③創部観察が容易であることが挙げられる。欠点としては、①適切に弾性包帯を巻くことは高度な技術が必要であること、②不適切な巻き方をすると不良断端を形成するリスクがあること、③巻き替えの際に、断端創に機械的刺激を加えることで創治癒が遅延すること、④断端痛・幻肢痛が強く、断端不良肢位をとりやすく関節拘縮を生じやすいこと、⑤断端成熟を得るのに時間がかかることなどが挙げられる。
幻肢・幻肢痛とは、腕や足の切断後、失ったはずの感覚があり、かつそこに痛みを感じる状態である。切断をした人の約7割で生じるが、強い痛みは5~10%とまれである。幻肢痛のメカニズム(発生の機序)は解明されていない。下肢より上肢、近位部より遠位部に多く、電撃痛や、捻られるような痛み、ズキズキするような痛みなど様々である。一般的に、切断の手術後1週間以内に発症し、6か月~2年で消失することが多いが、それ以上長引くこともある。幻肢の大きさは健肢とほぼ同様で、幻肢痛が発生するのは、失った手や指、足などが多い。一方、肘や膝に感じることはまれで、4~6歳以下の小児切断例では出現しないことが多い。幻肢痛への一般的な治療方法として、薬物療法と非薬物療法に分けられる。幻肢痛は天候や精神的ストレスに左右されるため、薬物療法は、鎮痛剤(アセトアミノフェン、イブプロフェン)、三環系抗うつ薬抗痙攣薬、プレガバリン(リリカ)などの抗てんかん薬が、神経痛の治療に使われる。非薬物療法としては、ミラーセラピーである。幻肢は断端の運動につれて移動し、断場の状態(神経や癒着など)に関連を持つ場合がある。
※幻視痛は、心因性の要素が関係するため薬物療法以外の治療法 (バイオフィードバック、リラクセーション訓練、認知行動療法、経皮的電気神経刺激法【TENS】 など)も用いられる。ちなみに、ミラーセラピー(mirror therapy)とは、鏡を使用して運動の視覚フィードバックを与える治療法である。矢状面で両肢間に鏡を設置し、鏡に映された一側肢が鏡に隠れた反対側肢の位置と重なるようにする。切断や麻痺などの患側肢の遠位部に健側肢の映った鏡像がつながって見えることで、患側肢が健常な実像であるかのように感じさせながら運動を行う。
(※参考:「幻肢痛」慢性通治療の専門医による痛みと身体のQ&A様HPより)
38 誤嚥性肺炎への対応で正しいのはどれか。
1.食事直後に臥位で休憩させる。
2.酸素投与中はベッド上安静にする。
3.絶飲食中に口腔ケアは不要である。
4.就寝時にベッドの頭位を軽度挙上する。
5.総エネルギー必要量は肺炎の重症度から算出する。
解答4
解説
誤嚥とは、食物や唾液などが声門を越えて気道に侵入することをいう。食事を口に運び、飲み込むー連の運動のどこかの段階が障害されることを嚥下障害といい、誤嚥の要因となる。誤嚥性肺炎とは、口腔内常在菌が食物の誤嚥とともに肺の中へ流れ込んで生じる肺炎のことである。原因は、①嚥下機能自体の低下、②寝たきり状態などによるADL(日常生活活動)の低下、③食物がスムーズに食道へ進めない状態などで、口腔内に長時間食物が存在してしまう状況などが挙げられる。
1.× 食事直後は、「臥位」ではなく座位・半坐位で休憩させる。なぜなら、食事直後の臥位は、食べ物の逆流を促してしまうため。食事後は、少なくとも30分~1時間程度は背もたれを立てた座位や半座位で過ごすことが望ましい。
2.× 必ずしも、酸素投与中において「ベッド上安静」にする必要はない。なぜなら、離床は肺炎の予防だけでなく、肺機能の改善や全身状態の向上、廃用性症候群を予防などに寄与するため。酸素投与中でも、患者の状態に応じて、適度なリハビリテーションを実施する。
3.× 絶飲食中でも口腔ケアは、「不要」ではなく必要である。なぜなら、絶飲食患者は唾液の分泌が減少し、口腔内環境が悪化することがあるため。絶飲食中であっても、口腔ケアは細菌の繁殖を抑え、誤嚥性肺炎のリスクを低減するために重要である。
4.〇 正しい。就寝時にベッドの頭位を軽度挙上する。なぜなら、就寝時にベッドの頭位を軽度挙上することで、逆流や誤嚥のリスクを低減できるため。特に、誤嚥性肺炎を繰り返す患者や高齢者に対しては、30度程度のベッドの頭位挙上が推奨されることが多い。
5.× 総エネルギー必要量は、「肺炎の重症度」ではなく性や年齢、活動量から算出する。基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日)とは、エネルギー必要量を推定するために性・年齢別に定められた、体重あたりの基礎代謝量の代表値である。ただし、肺炎や発熱時には代謝量が増加し、必要なエネルギーは増加する。
廃用症候群とは、病気やケガなどの治療のため、長期間にわたって安静状態を継続することにより、身体能力の大幅な低下や精神状態に悪影響をもたらす症状のこと。関節拘縮や筋萎縮、褥瘡などの局所性症状だけでなく、起立性低血圧や心肺機能の低下、精神症状などの症状も含まれる。一度生じると、回復には多くの時間を要し、寝たきりの最大のリスクとなるため予防が重要である。廃用症候群の進行は速く、特に高齢者はその現象が顕著である。1週間寝たままの状態を続けると、10~15%程度の筋力低下が見られることもある。
39 認知症の新しいスクリーニング検査法の精度を検証するために、1000人の高齢者に検査を施行したところ以下のような結果が得られた。
この検査法の特異度はどれか。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
1.5%
2.44%
3.80%
4.95%
5.99%
解答4
解説
特異度とは、疾病を有さないものを正しく疾病なしと診断する確率をいう。
①認知症なしの合計:950人
②疾病なし(陰性)と診断されたもの:900人
その確率
900÷950
=0.9473
≒95%
したがって、選択肢4.95%が特異度となる。
・疾病を有するものを正しく疾病ありと診断する確率を「感度」という。
・疾病を有さないものを正しく疾病なしと診断する確率を「特異度」という。
・検査陽性者のうち実際に疾病を有する者の割合を「陽性反応的中度(陽性的中率)」という。
・検査陰性者のうち実際に疾病を有さない者の割合を「陰性反応的中度(陰性的中率)」という。
・疾病なしだが、検査結果は陽性と判定される割合を「偽陽性率」という。
・疾病ありだが、検査結果は陰性と判定される割合を「偽陰性率」という。
40 検査法とその方法の組み合わせで正しいのはどれか。
1.BPRS:自記式質問紙
2.GAF:半構造化面接
3.HTP:構造化面接
4.Rehab:行動観察
5.SDS:描画法
解答4
解説
1.× BPRSは、「自記式質問紙」ではなく評価者面接による質問紙法である。BPRS(Brief Psychiatric Rating Scale:簡易精神症状評価尺度)は、うつ状態の評価を含む尺度である。18項目のうちのいくつかは「抑うつ気分」など、うつ状態の評価に関連する。医師が症状を評価する。他にも特徴として、①20分程度で実施できる簡易評価尺度である。②陰性症状の評価に向いていることがあげられる。記載された事項についての質問を行い、精神障害者全体を対象とした18の項目を7段階で評価する。
2.× GAFは、「半構造化面接」ではなく構造化面接である。GAF(Global Assessment of Functioning:機能の全体的評定尺度)は、心理・社会・職業的機能について0~100の数字で評価する方法である。評価は過去1週間の最低レベルを評点とする。数字が大きいほど健康度が高い。ちなみに、半構造化面接法とは、調査的面接手法のひとつで、通常は1対1で行う面接である。あらかじめ作成した質問内容に従い面接を進めるが、対象者の状況や回答に応じて、追加の質問をしさり、説明を求めたり、面接中に浮かんできた新たな疑問などを投げかけたりする方法である。
3.× HTPは、「構造化面接」ではなく投影法(描画法)である。HTP(House-tree-person test:投影描画法)は、描き手は「家」「木」「人」の絵をかいてもらう。描かれた絵には描き手の心理が投影されている。
4.〇 正しい。Rehabは、行動観察で検査する。Rehab(Rehabilitation Evaluation Hall and Baker:精神科リハビリテーション行動評価尺度)は、病院や施設で生活する人を対象に、逸脱行動、全般的行動の2領域について質問を行い評価する。比較的項目数が少なく(23項目)、簡便で繰り返し使用できるのが特徴である。
5.× SDSは、「描画法」ではなく自記式質問紙である。SDS(Self-rating Depression Scale:うつ性自己評価尺度)は、20項目(主感情2項目、生理的随伴症状8項目、心理的随伴症状10項目)を4段階で自己評価するものである。うつ状態の程度を調べる自記式質問票である。
MMPI(Minnesota Multiphasic Personality Inventory )
YG性格検査
MPI(モーズレイ人格目録)
EPPS(Edwards Personal Preference Schedule )
SDS(Self-rating Depression Scale)
HRSD(Hamilton Rating Scale for Depression)
エゴグラム(TEG)