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96.全身性エリテマトーデスにみられにくいのはどれか。
1.頭痛
2.けいれん
3.被害妄想
4.音声チック
5.気分の変動
解答4
解説
全身性エリテマトーデスとは、皮膚・関節・神経・腎臓など多くの臓器症状を伴う自己免疫性疾患である。皮膚症状は顔面の環形紅斑、口腔潰瘍、手指の凍瘡様皮疹である。10~30歳代の女性に好発する多臓器に障害がみられる慢性炎症性疾患であり、寛解と再燃を繰り返す病態を持つ。遺伝的素因を背景にウイルス感染などが誘因となり、抗核抗体などの自己抗体産生をはじめとする免疫異常で起こると考えられている。本症の早期診断、早期治療が可能となった現在、本症の予後は著しく改善し、5年生存率は95%以上となった。主な治療法として、①非ステロイド系消炎鎮痛剤、②ステロイド剤などである。
1~3.5.〇 頭痛/けいれん/被害妄想/気分の変動は、全身性エリテマトーデスにみられる。全身性エリテマトーデスの精神神経症状(中枢神経ループス:CNSループス)であり、軽度のものでは頭痛や髄膜炎症状、重度のものになるとけいれんや錯乱などがみられる。ほかにも、精神症状(うつ状態、失見当識、妄想など)がみられる。
4.× 音声チックは、全身性エリテマトーデスにみられにくい。音声チックの出現が特徴的な疾患は、トゥレット症候群である。音声チックとは、チック症の一種であり、不明瞭な叫び声・反復的な発声・咳払い・ブツブツ言うなどの症状である。チック障害(チック症)とは、本人の意思とは関係なく(不随意)・急に(突発的に)運動や発声が反復して起こる病態で、それぞれ運動性チック、音声チックと呼ばれる。 複数のタイプの症状が長期間続く場合は、トゥレット症候群と呼ぶ。
97.精神遅滞の発症と関連がない疾患はどれか。
1.Klinefelter症候群
2.Prader-Willi症候群
3.Turner症候群
4.Wallenberg症候群
5.West症候群
解答4
解説
知的障害(精神遅滞)とは、「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の支援を必要とする状態にあるもの」と定義されている。状況の判断能力が低く、他者の発言を被害的に受け取る傾向が強い。注意されたことを叱責と捉えるなど自信がなく、自分の気持ちを表現することが苦手である。知的障害では、抽象的概念の形成が困難で、言語概念の形成も遅れることが多く、学習障害を呈する。また、左右の協調的運動や微細運動が不得意であり、更衣動作などの身辺作業面に遅れを伴う。原因として、①出生前要因(染色体異常、奇形症候群、先天代謝異常、神経変性疾患、神経筋疾患、内分泌疾患、子宮内感染など)、②周産期要因(胎内環境異常、新生児疾患など)、③出生後要因(外傷、事故、養育環境など)が挙げられる。
1.〇 Klinefelter症候群(クラインフェルター)とは、男性の性染色体にX染色体が一つ以上多いことで生じる疾患の総称である。 性腺機能不全を主病態としている。性染色体異常により生じる先天異常で、高身長・精子形成不全・無精子症などの性腺機能不全、言語発達遅延、女性化乳房が特徴である。
2.〇 Prader-Willi症候群(プラダー・ウィリ症候群)とは、生後すぐから力が弱く、呼吸や哺乳が障害される。 15番染色体長腕に位置する父性発現遺伝子の働きが欠損したことで発症する。乳児期は筋緊張低下、低体重、幼児期〜学童期には過食肥満、3歳を過ぎたころから食欲が抑制できず、過食と肥満となり、中度の知的障害を合併する。その他に、外性器の低形成、小さな手足、特徴的な顔貌を示す症候群である。染色体異常が原因である。思春期には性格障害、異常行動、成人期には肥満、糖尿病などの症状が問題となる。治療法は食事療法、運動療法、ホルモン療法などがある。
3.〇 Turner症候群(ターナー)とは、典型的には身長が低く、首の後ろに皮膚のたるみがあり、学習障害がみられ、思春期が始まらないのが特徴である。2本のX染色体のうち1本の部分的または完全な欠失によって引き起こされる性染色体異常である。つまり、女性特有の染色体異常である。
4.× Wallenberg症候群は、精神遅滞の発症と関連がない疾患である。Wallenberg症候群(延髄外側症候群)は、椎骨動脈、後下小脳動脈の閉塞により延髄外側の梗塞を来す疾患である。①梗塞と同側の顔面感覚障害(温痛覚)、②梗塞と同側の運動失調(上下肢の動かしづらさ)、③梗塞と同側のホルネル(Horner)症候群(一側眼の瞼裂狭小化、縮瞳、眼球陥凹)、④梗塞と反対側の半身感覚障害(頸から下の温痛覚)、⑤嗄声、嚥下障害、⑥回転性めまい、眼振、⑦味覚障害が生じる。(※参考:「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会報告書」厚生労働省HPより)
5.〇 West症候群(点頭てんかん)とは、乳児期に起こる薬剤治療を行っても発作がとまりにくい(薬剤抵抗性)てんかんである。West症候群より移行して起こるものが、Lennox-Gastaut症候群(レノックス・ガストー症候群)である。Lennox-Gastaut症候群(レノックス・ガストー症候群)の発作は難治性で頻発し、精神発達遅延を伴い、重積状態をきたしやすい。
98.親しい人間関係を構築できず、奇異な考え方や風変わりな行動が継続してみられ、パーソナリティ障害を指摘された。
最も考えられるのはどれか。
1.演技性パーソナリティ障害
2.回避性パーソナリティ障害
3.猜疑性〈妄想性〉パーソナリティ障害
4.シゾイド〈統合失調質〉パーソナリティ障害
5.統合失調型パーソナリティ障害
解答5
解説
1.× 演技性パーソナリティ障害の特徴として、自己の感情を誇張して表出し、他人の影響を受けやすく、自分が注目・賞賛の対象になるように絶えず求めている。
2.× 回避性パーソナリティ障害の特徴として、①社会的状況で恥をかくことや、②相手から拒絶される可能性を常に意識している特徴を持つ。
3.× 猜疑性〈妄想性〉パーソナリティ障害の特徴として、他人に対する不信、疑い深さが強いところがみられる。また、他人の言動を悪い方に解釈する傾向をもつ。
4.× シゾイド〈統合失調質〉パーソナリティ障害の特徴として、社会から孤立しようとする自閉性がある。
5.〇 正しい。統合失調型パーソナリティ障害が最も考えられる。統合失調型パーソナリティ障害の特徴として、親しい人間関係を構築できず、奇異な考え方や風変わりな行動が継続してみられる。したがって、診断基準として、①関係念慮(関係妄想は含まない)、②行動に影響し、下位文化的規範に合わない奇異な信念、または魔術的思考(例:迷信深いこと、千里眼、テレパシー、または”第六感”を信じること;子ども及び青年では、奇異な空想または思い込み)、③普通でない知覚体験、身体的錯覚も含む、④奇異な考え方と話し方ことなどがあげられる。
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99.鉄欠乏性貧血の患者にみられやすい睡眠・覚醒障害はどれか。
1.睡眠時遊行症
2.ナルコレプシー
3.睡眠相前進症候群
4.むずむず脚症候群
5.閉塞性睡眠時無呼吸障害
解答4
解説
鉄欠乏性貧血とは、体内に流れている赤血球に多く含まれるヘモグロビンと鉄分が欠乏する事により、酸素の運搬能力が低下し全身に十分な酸素が供給されず倦怠感や動悸、息切れなどの症状がみられる貧血の種類の中でも最も多く特に女性に多い疾患である。原因としては、栄養の偏りなどによる鉄分の摂取不足、消化性潰瘍やがん、痔などの慢性出血による鉄の喪失、腸管からの鉄吸収阻害などがあげられる。
1.× 睡眠時遊行症(夢遊病)とは、睡眠中にもかかわらず体動が出現しぼんやりと歩き回るものである。無意識の状態で起きだし、歩いたり何かをした後に再び就眠するが、その間の出来事を記憶していない状態を指す。その時間は、30秒から30分までの長さになり得る。夢の映像はまったく、または少ししか想起されないのが特徴である。睡眠障害として睡眠時随伴症(パラソムニア)のひとつに分類される。小児に好発する。成人の場合の原因として、ストレスや生活リズムの乱れが引き金になることも多い。 寝不足、睡眠のタイミングがバラバラなど生活リズムに乱れがあったり、引っ越しなどで環境が変化したときにもおこりやすいといわれている。
2.× ナルコレプシーとは、日中の過度の眠気や、通常起きている時間帯に自分では制御できない眠気が繰り返し起こったり、突然の筋力低下(情動脱力発作)も伴う睡眠障害である。他にも、入眠時はレム睡眠となるため、入眠時の金縛り、中途覚醒、リアルな悪夢(幻覚)によってうなされることが多い。覚醒状態の維持やその他の症状(入眠時の幻覚、睡眠麻痺)をコントロールするために薬物療法を行う。原因は、覚醒した状態を保つのに必要な神経ペプチドであるオレキシンを作り出す神経細胞の変性・脱落にあると考えられている。
3.× 睡眠相前進症候群とは、夕方の眠気や早朝覚醒を呈するもので、高齢者に多い。原因は、加齢に伴う生体リズムの周期の短縮が関与していると考えられている。治療としては、入眠前の高照度光療法が有効とされている。ちなみに、入眠前の高照度光療法とは、夕方の光の体内時計に対する作用により、生体リズムの位相が後退することを目的とした治療法である。
4.〇 正しい。むずむず脚症候群は、鉄欠乏性貧血の患者にみられやすい睡眠・覚醒障害である。むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群、下肢静止不能症候群)は、身体末端の不快感(むずむず感)や痛みによって特徴づけられた慢性的な病態である。入眠時にむずむず感が生じると、それを軽減するために下肢を絶え間なく動かすために入眠が障害される。原因として、鉄欠乏性貧血、腎機能障害、透析患者などに多く見られ、日本において成人の3%程度に見られる。
5.× 閉塞性睡眠時無呼吸障害とは、眠っている間に呼吸が止まる病気である。医学的には、10秒以上の気流停止を無呼吸とし、無呼吸が一晩に30回以上、もしくは1時間あたり5回以上を診断基準とすることが多い。治療は、①持続陽圧呼吸療法(CPAP)、②口腔内装置、③気道の外科手術などがある。原因として、肥満や下あごが小さい、扁桃が大きいなどにより、息の通り道(上気道)が狭くなっていることから起こる。
100.神経性無食欲症で生じやすいのはどれか。
1.頻脈
2.高血圧
3.高血糖
4.高リン血症
5.高コレステロール血症
解答5
解説
神経性無食欲症は、思春期~青年期の若い女性に発症しやすい。神経性無食欲症の主な特徴は以下の通りである。①病的な痩せ願望、②ボディーイメージのゆがみ、③極端な食べ物制限と下剤などの乱用、④月経の停止、うぶげの増加、⑤乳房萎縮はみられない、⑥性格的には頑固で競争心が強い、⑦母親との心的葛藤をみることがある。
よく見られる身体症状としては、徐脈、低血圧、低体温、産毛の密生、脱毛などで
1.× 頻脈ではなく「徐脈」が起こる。なぜなら、 神経性無食欲症では、甲状腺ホルモンが低下することで代謝が低下し、少ないエネルギーでどうにか生きていくことができるように調節されるため。ちなみに、頻脈の基準として50回/分以下、徐脈の基準として100回/分以上である。
2.× 高血圧ではなく「低血圧」が起こる。なぜなら、 神経性無食欲症では、甲状腺ホルモンが低下することで代謝が低下し、少ないエネルギーでどうにか生きていくことができるように調節されるため。
3.× 高血糖ではなく「低血糖」が起こる。なぜなら、食事量の低下ややせているのに活発に活動することが多くみられるため。
4.× 高リン血症ではなく「低リン血症」が起こる。低リン血症とは、血清リン濃度が2.5mg/dL(0.81mmol/L)未満となった状態である。 原因にはアルコール依存症、熱傷、飢餓、および利尿薬の使用がある。筋力低下、呼吸不全、心不全などがあり、痙攣や昏睡が起こる可能性もある。ちなみに、リンは、人体に必要なミネラルの一種で骨や歯を形成し、体内のさまざまな細胞に存在する。
5.〇 正しい。高コレステロール血症は、神経性無食欲症で生じやすい。なぜなら、代謝の低下により、体内のコレステロールの生成が増加するため。また、①胆汁酸の分泌の減少、②コレステロール代謝の遅延が起こる。神経性無食欲症における高コレステロール血症は、33〜61.1%の患者さんに見られる。
摂食障害には、①神経性無食症、②神経性大食症がある。共通して肥満恐怖、自己誘発性嘔吐、下剤・利尿剤の使用抑うつの症状がみられる。療法場面での特徴として、過活動、強迫的なこだわり、抑うつ、対人交流の希薄さ、表面的な対応がみられる。患者の性格として、細かい数値へのこだわり(①体重のグラム単位での増減、②この食べ物はあの食べ物より〇カロリー多いなど)がみられる。
【摂食障害の作業療法のポイント】
①ストレス解消、②食べ物以外へ関心を向ける、③自身の回復(自己表出、他者からの共感、自己管理)、④過度の活動をさせない、⑤身体症状、行動化に注意する。
【性格的特徴】
①強情、②負けず嫌い、③執着心が強い、③極端な行動に及びやすい。
※問題・解答の引用:第58回理学療法士国家試験、第58回作業療法士国家試験の問題および正答について(厚生労働省HPより)