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46 回復初期のうつ病患者への作業療法で正しいのはどれか。
1.指示は詳細に行う。
2.自己決定の経験を促す。
3.励ましながら活動を行う。
4.1回の活動時間は短くする。
5.長期間継続できる作業を勧める。
解答4
解説
かかりやすい:几帳面で完璧主義、責任感が強い人が多い。
うつ病の特徴:意欲低下、精神運動抑制などの症状のため、自己評価が低く、疲労感が強い。
①調子が悪いのは病気のせいであり、治療を行えば必ず改善すること。
②重要事項の判断・決定は先延ばしにする。
③自殺しないように約束してもらうことなど。
【作業基準】
①工程がはっきりしている。
②短期間で完成できる。
③安全で受身的で非競争的である。
④軽い運動(いつでも休憩できる)
【対応】
①気持ちを受け入れる。
②共感的な態度を示す。
③心理的な負担となるため、激励はしない。
④無理をしなくてよいことを伝える。
⑤必ず回復することを繰り返し伝えていく。
⑥静かな場所を提供する。
1.3.× 指示は詳細に行う/励ましながら活動を行う必要はない。なぜなら、うつ病の人は几帳面で完璧主義、責任感が強い人が多いため。もし失敗したり工程を飛ばしてしまった場合、さらに症状が悪化する可能性がある。無理をしなくてよいことを伝える。
2.× 自己決定の経験を促す必要はない。なぜなら、自己決定が負担に感じてしまう可能性があるため。工程がはっきりしている方が良い。また、就職や転職、離婚など重要事項の判断・決定は先延ばしにする。
4.〇 正しい。1回の活動時間は短くする。うつ病の治療で最も重要なことは、十分な休養をとることであり、これをしっかりと説明する必要がある。
5.× 長期間継続できる作業を勧める必要はない。なぜなら、うつ病の治療で最も重要なことは、十分な休養をとることであるため。短期間で完成できるもので、いつでも休める作業が望ましい。
47 パニック障害に対する作業療法導入初期の作業療法士の対応で適切なのはどれか。
1.リラクセーションを練習する。
2.集団作業療法で役割を持たせる。
3.作業活動を通して自己洞察を促す。
4.スポーツ活動で体力の向上を促す。
5.パニック発作の不安がある場合は作業療法を中止する。
解答1
解説
パニック障害とは、誘因なく突然予期せぬパニック発作(動悸、発汗、頻脈などの自律神経症状、狂乱・死に対する恐怖など)が反復して生じる状態をいう。また発作が起こるのではないかという予期不安を認め、しばしば広場恐怖を伴う。治療として、①SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、②抗不安薬、③認知行動療法(セルフコントロール)などである。
1.〇 正しい。リラクセーションを練習する。なぜなら、あまり負担をかけずに身体的回復を促し、リフレッシュ効果が見込めるため。治療の③認知行動療法(セルフコントロール)に該当する。
2.× 集団作業療法で役割を持たせる優先度は低い。なぜなら、集団作業療法は認知行動療法の基本的な手技ではあるが、導入時には負担が大きく、不安を助長することにつながりかねないため。
3.× 作業活動を通して自己洞察を促す必要はない。なぜなら、パニック障害は、誘因なく突然予期せぬパニック発作であるため。自己洞察することで、パニックを防げるわけではない。ちなみに、自己洞察とは、”自分自身の体調、心の状態をどれだけ分かるか”で自分の性格や思考、感情傾向、など、自分についての洞察(自分の心、体の状態を把握する)を得ることをいう。
4.× スポーツ活動で体力の向上を促す優先度は低い。なぜなら、導入時は、疲労を感じやすいため。休憩をこまめに早めにとり精神的にも負担をかけないことが重要である。
5.× パニック発作の不安がある場合は作業療法を中止する優先度は低い。なぜなら、不安対処能力の向上につながるため。不安が生じても、作業に集中してそれにとらわれない時間を過ごすことにより、症状の改善を図ることが目的となる。
48 ギャンブル障害(病的賭博)について誤っているのはどれか。
1.女性に多い。
2.反復性である。
3.患者の利益を損なう。
4.合理的な動機を欠いている。
5.統制できない衝動に関連する。
解答1
解説
ギャンブル依存症(病的賭博)は、WHO国際疾病分類第10改訂(ICD-10)の診断カテゴリーでは「習慣及び衝動の障害」としてまとめられている。それに類似するものとしては、①病的放火、②病的窃盗、③抜毛症などがある。それらの疾患の基本特性としては、(1)明らかな合理的動機を欠く。(2)患者自身および他の人々の利益を損なう。(3)行動の反復性。(4)統制できない衝動に関連づけられるとされている。しかし以上の項目を満たしていたとしても、他の精神疾患のひとつの症候として現れる場合もあり、厳密な診断は困難である。
病的賭博(ギャンブル障害)は、ギャンブルへの病的な執着のために自己のギャンブル行動を制御できず、治療的アプローチがなければギャンブルへの強い欲求が再燃し、やめ続けることの困難な状態のことである。このため、経済的困窮、離婚、親子の不和、窃盗や横領などの犯罪、自殺企図など、重篤な個人的、家庭的、社会的問題を引き起こすことが多い。ギャンブル障害の患者さんは、経済的に追い詰められるために、しばしば、うつや不安の症状を呈す。内科や産業医を受診する際には、うつや不安からくる、不眠、食思不振、疲れやすさ、胃痛、吐き気、体重減少、下痢、便秘、頭痛、肩こりなどの、ごくありふれた症状を主訴にされる場合が多い。
1.× 女性ではなく「男性」に多い。全体で7:3(男女比)といわれている。若年期は男性に多く、女性は中年~高齢期で男性より多くなる。
2.〇 正しい。反復性である。反復性とは、同じことを何度も繰り返すことである。病的賭博(ギャンブル障害)は、ギャンブルへの病的な執着のために自己のギャンブル行動を制御できず、治療的アプローチがなければギャンブルへの強い欲求が再燃し、やめ続けることの困難な状態のことである。
3.〇 正しい。患者の利益を損なう。ギャンブルがやめられず経済的困窮に陥ることもある。ちなみに、「利益を損なう」とは、得られるはずであった利益が得られなくなる、または損をすることをいう。
4.〇 正しい。合理的な動機を欠いている。合理的とは、①目的に合っていて無駄のないさま、②道理や論理にかなっているさま、③むだなく能率的であるさまをいう。ギャンブル依存の原因について、まだはっきりとしたことはわかっていない。生物学的要因、遺伝的要因、環境要因が組み合わされて発症している報告もある。 また、薬物やアルコールと同じように、脳内の報酬系という神経回路が亢進しているため、という説もある。
5.〇 正しい。統制できない衝動に関連する。ギャンブル依存症(病的賭博)は、WHO国際疾病分類第10改訂(ICD-10)の診断カテゴリーでは「習慣及び衝動の障害」としてまとめられている。それに類似するものとしては、①病的放火、②病的窃盗、③抜毛症などがある。それらの疾患の基本特性としては、(1)明らかな合理的動機を欠く。(2)患者自身および他の人々の利益を損なう。(3)行動の反復性。(4)統制できない衝動に関連づけられるとされている。しかし以上の項目を満たしていたとしても、他の精神疾患のひとつの症候として現れる場合もあり、厳密な診断は困難である。
49 作業療法実践時の標準的な感染症予防策として正しいのはどれか。
1.機器や道具の消毒は1日1回行う。
2.屋外での作業療法活動では感染予防は必要ない。
3.活動中は作業療法室内の湿度を40%以下に保つ。
4.手洗いは抗菌性の石酸を使用し5秒程度洗浄する。
5.活動中に患者が出血した場合は手袋をして対処する。
解答5
解説
感染予防策は、院内感染の防止策として推奨されている方法である。感染の有・無にかかわらず患者と医療スタッフすべてに適応される予防対策である。患者の血液や体液、分泌、排泄されるすべての湿性物質、粘膜、創傷の皮膚は感染のおそれがあるとみなして対応・行動する方法である。
1.× 機器や道具の消毒は、1日1回ではなく「使用の前後」に行う。患者と医療従事者双方における医療関連感染の危険性を減少させるために標準的に講じる感染対策である。つまり、患者に直接接触する前 (入室前・診察前、検温や血圧測定など)に手指衛生(手洗いや手袋)は必要となる。
2.× 屋外での作業療法活動でも感染予防は「必要である」。なぜなら、標準予防策(standard precaution)とは、院内感染の防止策として推奨されている方法であり、感染の有無に関わらず入院患者すべてに適用される予防対策であるため。入院患者であれば、屋内・外の条件はない。
3.× 活動中は作業療法室内の湿度は、「40%以下」ではなく「60~70%」に保つ。なぜなら、粘膜が乾燥すると、細菌やウイルスの感染リスクが増すため。しかし、湿度管理は標準感染予防策には含まれていない。
4.× 手洗いは、抗菌性の石酸を使用し「5秒程度」ではなく「全行程40~60秒以上」かけて洗浄する。
5.〇 正しい。活動中に患者が出血した場合は、手袋をして対処する。感染予防策は、患者の血液や体液、分泌、排泄されるすべての湿性物質、粘膜、創傷の皮膚は感染のおそれがあるとみなして対応・行動する方法である。
50 個人情報保護の観点から、事例報告における記載内容と記載方法の組合せで正しいのはどれか。
1.患者氏名:K.R
2.生年月日:1970年12月1日
3.年齢:50歳代前半
4.現住所:東京都千代田区霞が関1-2-2
5.職業:公務員(厚生労働省勤務)
解答3
解説
個人情報保護法とは、個人情報の保護に関する法律の略称である。個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とした個人情報の取扱いに関連する日本の法律である。定義(第2条)には、「この法律において『個人情報』とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう」とされている。
1.× 患者氏名を、K.R(イニシャル)と記載するのは不適切である。また、患者個人の特定可能な氏名(あだ名を含む)や入院番号も個人情報である。患者氏名をあえて載せたい場合は、A氏(別名)とする。
2.× 生年月日を、1970年12月1日と日付まで記載するのは不適切である。生年月日は、臨床経過を知る上で必要となることが多い。あえて載せたい場合は、年月までの記載に留めておく。ちなみに、事例報告に必要な日付は、原則として初診時を X 年とし、X-3 年、X+2 年などと記載する。ただし、日付が病態に関与する場合に限り、日付を記載してよいこととなっている。
3.〇 正しい。年齢は、50歳代前半と記載する。年齢、性別、年収、最終学歴、趣味、家族構成、血液型、身長、体重、出生地、本籍地等は、氏名と結びつく限り個人情報となる。
4.× 現住所は、東京都千代田区霞が関1-2-2と番地まで記載するのは不適切である。原則は患者の住所は記載しない。ただし、疾患の発生場所が病態等に関与する場合は区域までに限定して記載することを可となっている。
5.× 職業は、公務員(厚生労働省勤務)と厚生労働省の職員であることまで記載するのは不適切である。施設名は個人情報である。
(参考文献:論文投稿および学会発表におけるプライバシー保護に関する倫理指針より)