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21 ICFで正しいのはどれか。
1.ICD-10と相互補完的な関係がある。
2.社会経済的要因による健康を範囲とする。
3.2015年に世界保健機関で承認されている。
4.生活機能は個人因子と環境因子が含まれる。
5.生活機能の肯定的側面を表すことはできない。
解答1
解説
国際生活機能分類(ICF)は、障害者のみならず、すべての人を対象として、障害を「生活機能」というプラス面からみるように視点を転換した分類法である。この「生活機能」は、「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3レベルに分類されたうえで、さらに「個人因子」「環境因子」の観点が加えられる。
1.〇 正しい。ICD-10と相互補完的な関係がある。国際疾病分類ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)とは、異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録・分析・解釈および比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類である。
2.× 「社会経済的要因による健康」のみではなく、国際生活機能分類(ICF)の範囲である。つまり、「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3レベルに分類されたうえで、さらに「個人因子」「環境因子」の観点が加えられている。
3.× 「2015年」ではなく「1990年」に世界保健機関で承認されている。最新の分類は、10回目の改訂版として、1990年の第43回世界保健総会において採択されたものであり、ICD-10 (1990年版)と呼ばれている。
4.× 生活機能に、個人因子と環境因子は含まれない。「心身機能・身体構造」「活動」「参加」が当てはまる。
5.× 生活機能の肯定的側面を表すことはできないのではなく「できる」。なぜなら、国際生活機能分類(ICF)は、障害者のみならず、すべての人を対象として、障害を「生活機能」というプラス面からみるように視点を転換した分類法であるため。
22 感度・特異度について正しいのはどれか。
1.血液検査は特異度が高い。
2.感度が高いと見落としが多い。
3.特異度が高いと過剰診断が少ない。
4.信頼区間が広いと再現性が高くなる。
5.感度の高い検査としてエックス線による肺がんの発見がある。
解答3
解説
・疾病を有するものを正しく疾病ありと診断する確率を「感度」という。
・疾病を有さないものを正しく疾病なしと診断する確率を「特異度」という。
・検査陽性者のうち実際に疾病を有する者の割合を「陽性反応的中度(陽性的中率)」という。
・検査陰性者のうち実際に疾病を有さない者の割合を「陰性反応的中度(陰性的中率)」という。
・疾病なしだが、検査結果は陽性と判定される割合を「偽陽性率」という。
・疾病ありだが、検査結果は陰性と判定される割合を「偽陰性率」という。
1.× 血液検査は特異度が高いとは一概に言えない。そもそも、何の検査と比較して、特異度が高い・低いを求めているかあいまいな問題である。特異度とは、疾病を有さないものを正しく疾病なしと診断する確率をいう。つまり、「特異度が高い」=「偽陽性が少ない」=「疾患がない人を、きちんと健康と診断できるか」を示している。血液検査をする目的は、①病気の原因を調べる、②診断の確認をする、③病気の進行度合を調べる、④治療効果を確認する、⑤病気の早期発見・早期治療である。また、血液検査の基準値は正常値ではないことに注意する。健常人の95%の方が基準値に含まれるが、言い換えれば健康であっても5%の人が基準値から外れることになる。ひとつの検査だけを見て判断するのではなく、検査結果を総合的に見て判断する必要がある。特に栄養状態を評価できるアルブミン値は、半減期(血中の濃度が半分に減るまでの期間)が 14~21 日と長いため、約3週間前の栄養状態を反映している。
2.× 感度が高いと見落としが、多いのではなく「少ない」。感度とは、疾病を有するものを正しく疾病ありと診断する確率をいう。
3.〇 正しい。特異度が高いと過剰診断が少ない。なぜなら、疾病を有さないものを正しく疾病なしと診断する確率(特異度)が高いと、そもそも診断ができないため。過剰診断(overdiagnosis)とは、本当は生涯の間にトラブルになるような症状やそのことによって、死に繋がらないといえる疾患を見つけて診断すること。つまり、「決して症状がでたり、そのために死んだりしない人を、病気であると診断すること」である。多とネバ、がん検診はがんによる死亡を防ぐことを目的に、がんによる症状が発現する前に発見し、治療するために行われる。ここには、がんは放置すると進行し致死的となるという前提が存在するが、放置しても、致死的とはならないがんも、一定割合で存在する。端的な例はがんが進行して症状が発現する前に、他の原因で死亡してしまうようながんを早期に発見する場合である。こうした例は、がんの成長速度が極めてゆるやかであったり、極めて早期にがんを発見した場合、あるいは、がんが発見された人が高齢者であったり重篤な合併症を有する場合に生じやすい。このようながんを診断し、治療することは、受診者にとっての不利益につながることから、過剰診断と呼ばれる。
4.× 信頼区間が広いと再現性が、高くなるのではなく「低くなる」。95%信頼区間とは、母平均が95%の確率でその範囲にあるということをさす。信頼区間が、1を挟んでしまうと、母集団でのオッズ比は、2つの練習に差がない・2つのいずれかが優れている(2パターン)という3種類のオッズ比になる可能性を示す。つまり、研究結果は信用できないという結果になる。
5.× エックス線による肺がんの発見は、感度の高い検査とは言いにくい。なぜなら、肺がん検診は、①胸部エックス線検査と②喀痰細胞診の組み合わせで行われるため。また、 実施方法・算出方法によってかなりの差があるが、胸部X線検査の感度(肺がんがある場合に検査が陽性となる確率)は63~88%、特異度は95~99%という報告もある。
23 作業療法における効果判定について正しいのはどれか。
1.再評価は異なる尺度で行う。
2.自然回復の影響は考慮しない。
3.可能な限り質的なデータで示す。
4.結果の前後比較のみで判断する。
5.プログラム再検討の判断材料とする。
解答5
解説
1.× 再評価は、異なる尺度ではなく「同じ尺度」で行う。なぜなら、同じ尺度でないと正確な比較とならないため。ちなみに、尺度とは、「長さをはかる道具、ものさし」が転じて、計算・評価などの規準・標準という意味である。
2.× 自然回復の影響も考慮する。あらゆる影響を考慮する必要があり、どれか一つでも影響を排除した場合はバイヤス(偏り)が生じる恐れがある。臨床試験で高いエビデンスを得るためには様々なバイアス(偏り)を排除しなければならない。
3.× 可能な限り「質的」ではなく「量的」なデータで示す。なぜなら、量的データは身長や年齢、年収など、数量で測定可能なものであるため。 一方、質的データは分類(カテゴリー)として把握されるもので、大きく「名義尺度」と「順序尺度」に分けられる。
4.× 結果の前後比較のみでは判断することは少ない。なぜなら、作業療法において、その過程や作業姿勢、作業の意欲など体と心の両方の問題を判断する必要があるため。
5.〇 正しい。プログラム再検討の判断材料とする。医療・介護過程の展開において、PDCAサイクルを用いることが多い。PDCAサイクルは、計画(Plan)→実施(Do)→再評価(Check)→対策・改善(Action)というサイクルのことを指す。
① 量的データ(量的変数):枚数、身長、金額など、数値で推し測ることができ、数字の大小に意味をもつデータのこと。比例尺度と間隔尺度に分けられる。
比例尺度(比尺度):原点があり、間隔や比に意味がある。つまり、原点(0)からの等間隔盛付けができるものをいう。間隔尺度と違い、数値間の比にも意味がある。(例:年齢、身長、血圧)
間隔尺度(距離尺度):目盛が等間隔であるが、数値間の比に意味がない。つまり、数値の差のみに意味がある。等間隔の目盛り付けができるが、原点を持たず、0が絶対的な無を示さないものをいう。(例:気温、年号、知能指数)
② 質的データ(質的変数):好きなスポーツ、血液型、自動車のナンバーなど、単に分類や種類を区別するためだけのデータや、順位、学年など順序に意味があるデータのこと。順序尺度と名義尺度に分けられる。
順序尺度:順序付けができるもの。大小関係はあるものの、間隔には意味はない尺度である。(例:成績、順位、MMT)
名義尺度:数値や名前を割り振ったものである。数値の順序、大きさに意味はない、(例:性別、血液型、学籍番号)
24 作業分析の目標として適切でないのはどれか。
1.治療手段としての作業を体系的に理解する。
2.治療過程を段階づける。
3.作業の材料、道具を分類する。
4.作業遂行に必要な患者の能力を明確にする。
5.作業実施の環境因子を明確にする。
解答3
解説
(※画像引用:日本作業療法士協会様HPより)
1.〇 正しい。治療手段としての作業を体系的に理解する。体系的とは、個々の物事が一つの理論的な秩序・まとまりの中に組み込まれているさま、統一的な原理のもとにある様子などを意味する表現である。例えば、立ち上がり動作練習は、トイレ動作の一部としての理解が必要である。
2.〇 正しい。治療過程を段階づける。特に支援計画において、段階づけて実施する。FIMのように、日常生活動作の練習を現在何%にいて、予後はどれほどか段階付けることは大切である。
3.× 作業の材料、道具を分類することは、作業分析の目標ではない。なぜなら、作業の材料、道具を操作することが必要になるため。分類とは、 ある基準に従って、物事を似たものどうしにまとめて分けることである。
4.〇 正しい。作業遂行に必要な患者の能力を明確にする。例えば、洗髪には肩関節屈曲90°必要であることトイレ動作には移動動作や立ち上がり動作が必要であることなど。
5.〇 正しい。作業実施の環境因子を明確にする。「環境因子」の定義は、「人々が生活し、人生を送っている物的な環境や社会的環境、人々の社会的な態度による環境を構成する因子のことである」。トイレ動作を例に取ると、自室のトイレは、①洋式か和式か、②手すりの有無、③便座の高さなど明確にした上で、作業療法を実施するとさらに効果的といえる。
25 栄養評価に適した項目はどれか。2つ選べ。
1.体重
2.血糖値
3.前腕周囲径
4.上腕三頭筋筋力
5.血清アルブミン値
解答1・5
解説
フレイルとは、「虚弱」「脆弱」という意味であり、加齢するにつれて体力や活力が弱まっている状態のことを指す。診断基準に含まれるのは【①体重減少(6か月間で2~3㎏以上)、②主観的疲労度、③日常生活活動量の低下、④歩行速度の低下、⑤握力の減弱】である。
1.〇 正しい。体重は、栄養評価に適した項目である。6か月間で2~3㎏以上減ると、フレイルの体重減少の項目に当てはまる。
2.× 血糖値は、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度のことである。高値で糖尿病や心筋梗塞・肝硬変にかかりやすい。
3.× 「前腕」ではなく、「上腕」・「下腿」周囲径は、栄養評価に適した項目である。上腕は21cm以下、下腿は30cm以下が基準である。
4.× 上腕三頭筋筋力ではなく「握力」は、栄養評価に適した項目である。
5.〇 正しい。血清アルブミン値は、栄養評価に適した項目である。血清アルブミン値は、正常:4.0g/dL以上、低栄養予備軍:3.5〜3.9g/dL、低栄養:3.5g/dL未満である。栄養状態を検査できる項目として、血清総たんぱく(TP)、アルブミン(Alb)、 コリンエステラーゼ(ChE)、ヘモグロビン(Hb)、総リンパ球数(TLC)である。血清アルブミンの血中半減期は、約15~21日であり、2~3週間前の静的栄養状態を示す。
(表引用:栄養指導Navi 様)
65歳以上の高齢者の栄養状態を簡単に評価するためのツールである。6項目について問診し、合計点数で評価する。