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46 心臓リハビリテーションにおいて有酸素運動が勧められる理由として正しいのはどれか。
1.乳酸の蓄積
2.除脂肪体重の増加
3.交感神経活動の亢進
4.HDLコレステロールの増加
5.血中カテコラミンの著しい増加
解答4
解説
①体力が回復し、スムーズに動けるようになる(運動耐容能の改善)。
②筋肉や骨が鍛えられ、疲れにくくなるとともに心臓の働きを助ける(心拍数減少)。
③動脈硬化のもととなる危険因子(高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満)が軽減する(HDLコレステロール増加、中性脂肪の減少、肥満の改善)。
④血管が柔らかくなり、循環が良くなる(虚血徴候の軽減)。
⑤呼吸がゆっくりとして、息切れ感が軽減する(運動耐容能の改善)。
⑥自律神経を安定させ、動悸や不整脈が軽減する。
⑦不安やうつ状態が改善し気持ちが晴れやかになる。
⑧心筋梗塞の再発や突然死が減り、死亡率が減少する。
(参考:「心臓リハビリテーション(運動療法について)」神戸掖済会病院様HPより)
1.× 乳酸の蓄積は起こりにくい。なぜなら、乳酸は激しい運動(嫌気的代謝)をした後に蓄積される疲労物質であるため。嫌気的代謝とは、生体内で酸素を利用せずに糖(グルコース)をピルビン酸や乳酸などに分解し、エネルギーを産生する反応過程である。有酸素運動でのエネルギー産生は、クエン酸回路であり乳酸産生が起こりにくい。
2.× 除脂肪体重の増加は起こりにくい。除脂肪体重とは、体重において体脂肪以外の筋肉や骨・内蔵などの総重量のことをいう。筋肉においても有酸素運動から得られにくい。ちなみに、中性脂肪は減少する。
3.× 交感神経活動の亢進は起こりにくい。なぜなら、心臓リハビリテーションでは、運動療法により迷走神経活動の改善から交感神経中枢への求心性刺激を減少するため。また、血圧低下、心拍数減少が起こり、心臓の負担を軽減する。
4.〇 正しい。HDLコレステロールの増加は、心臓リハビリテーションにおいて有酸素運動が勧められる理由である。心疾患におけるリハビリテーションに関するガイドラインにおけるエビデンスレベルAである。ちなみに、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の役割は、血管や体の末梢組織に蓄積した余剰のコレステロールを引き抜いて肝臓に運搬、最終的に便として排泄する。
5.× 血中カテコラミンの著しい増加は起こりにくい。カテコラミン(インスリン拮抗ホルモン)は、低強度運動ではほとんど上昇しない。一方、無酸素運動時には上昇する。ちなみに、カテコラミンとは、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンの総称であり、 副腎髄質ホルモンまたは神経伝達物質としての働きを持つ。
【エビデンスレベルA】
1.運動耐容能を増加する。
2.日常生活同一労作における症状の軽減によりQOLを改善する。
3.左室収縮機能およびリモデリングを増悪しない。
4.冠動脈事故発生率を減少する。
5.虚血性心不全における心不全増悪による入院を減少する。
6.冠動脈疾患および虚血性心不全における生命子後を改善する。
7.収縮期血圧を低下する。
8.HDLコレステロールの上昇、中性脂肪を低下する。
【エビデンスレベルB】
1.同一労作における心拍数と換気量を減少する。
2.左室拡張機能を改善する。
3.交感神経緊張低下が期待できる。
4.冠動脈病変の進行を抑制する。
5.CRP、炎症性サイトカインの減少など炎症関連指標を改善する。
6.血小板凝集能、血液凝固能を低下する。
7.圧受容体反射感受性を改善する。
【エビデンスレベル C】
1. 安静時、運動時の総末梢血管抵抗を減少する。
2.最大動静脈酸素較差を増加する。
3.心筋灌流を改善する。
4.冠動脈、末梢動脈血管内皮機能を改善する
5.骨格筋ミトコンドリア密度と酸化酵素の増加。(Ⅱ型からⅠ型へ筋線維型を再変換する)
47 乳癌術後の上肢リンパ浮腫(病期分類Ⅱ期)の日常生活指導として適切なのはどれか。
1.水分摂取を制限する。
2.熱い温度で入浴をする。
3.患肢の皮膚の保湿をする。
4.患肢のむだ毛を処理する。
5.上腕を締め付けるような服を着る。
解答3
解説
乳癌は乳管や小葉上皮から発生する悪性腫瘍である。乳管起源のものを乳管癌といい、小葉上皮由来のものを小葉癌という。年々増加しており、女性のがんで罹患率第1位、死亡率は第2位である。40~60歳代の閉経期前後の女性に多い。
【乳房切除術後の注意事項】
①患側上肢での血圧測定、採血、注射などは避ける。
②袖口のきつい服や腋窩を締め付ける服は避ける。
③スキンケア、虫刺されに注意する。
④患側上肢では重いものを持たないようにする。
⑤患側上肢の過度の負荷や外傷を避ける。
【リンパ浮腫の治療】
リンパ浮腫の治療は、複合的理学療法といわれ、以下の4つの治療を組み合わせながら行う。①リンパドレナージ、②圧迫療法、③圧迫下における運動療法、④スキンケアである。リンパ液を流してあげることで突っ張った皮膚を緩め、硬くなった皮膚を柔らかくする。この状態で弾性包帯を巻いたり、スリーブといわれるサポーターのようなものや、弾性ストッキングを着用し、リンパの流れの良い状態を保ち、さらにむくみを引かせて腕や脚の細くなった状態を保つ。そして、圧迫した状態でむくんだ腕や脚を挙上する、動かすことでさらにむくみを軽減・改善をはかる。
1.× 水分摂取を制限する必要はない。なぜなら、水分が不足して血液粘性が高まりさらにリンパ流が滞るため。また、リンパ浮腫の病態はリンパ流の阻害から生じる浮腫である。
2.× 熱い温度で入浴をする必要はない。なぜなら、リンパ浮腫を生じている上肢に負担がかかるため。熱い温度は、急激に血流量・リンパ液の流れが増加する。したがって、患肢の貯留していたリンパ液が、かえってリンパ管に負担がかかる。過度な温熱は避ける。
3.〇 正しい。患肢の皮膚の保湿をする。なぜなら、スキンケアをおこなうことで、皮膚の荒れからの感染を予防できるため。
4.× 患肢のむだ毛を処理する必要はない。なぜなら、化粧品かぶれや、かみそりによる皮膚損傷の可能性につながるため。
5.× 上腕を締め付けるような服を着る必要はない。なぜなら、リンパの流れを妨げるため。服より弾性スリーブのようなものが適当である。
Stage 0(潜在性):リンパ循環不全はあるが、臨床的に症状のないもの
StageⅠ(可逆性):タンパク濃度の比較的高い(静脈などに比較して)浮腫液の早期の貯留で、患肢挙上で改善する圧窩性(押すとへこむ)浮腫。
StageⅡ(非可逆性):患肢挙上のみでは腫脹が改善しない、皮膚の硬い非圧窩性の浮腫。
StageⅢ(象皮病):象皮病で非圧窩性。皮膚の肥厚、脂肪の沈着、疣贅(いぼ)の増殖などの皮膚変化を認める。
48 発症が労働衛生環境に関連しないのはどれか。
1.じん肺
2.腰痛症
3.頸肩腕症候群
4.レイノー症候群
5.大腿骨頭すべり症
解答5
解説
1.〇 じん肺の発症は、労働衛生環境に関連する。じん肺とは、主に小さな土ホコリや金属の粉などの無機物または鉱物性の粉塵の発生する環境で仕事をしている人が、その粉塵を長い年月にわたって多量に吸い込むことで肺組織が線維化してしまった状態である。
2.〇 腰痛症の発症は、労働衛生環境に関連する。腰痛症は、腰部に負担がかかる姿勢を長期的にとった場合、あるいは一過性に過度な負荷を腰部に掛けた際に腰部周囲筋や腰椎によって生じる損傷である。
3.〇 頸肩腕症候群の発症は、労働衛生環境に関連する。頸肩腕症候群とは、神経や血管への圧迫、筋肉への負荷により、首の周囲、肩、腕などに疼痛や痺れを生じる疾患であり、主に同じ姿勢を長時間とったことにより影響で発症することが多い。
4.〇 レイノー症候群の発症は、労働衛生環境に関連する。レイノー症候群とは、寒冷刺激や精神的ストレスに対して手の一部に欠陥攣縮が起きチアノーゼ症状をきたす疾患である。
5.× 大腿骨頭すべり症の発症が労働衛生環境に関連しない。大腿骨頭すべり症とは、大腿骨の骨端部が股関節の成長板でずれる、または分離した状態である。主に成長期に生じることが多く肥満児に認める。
49 地域リハビリテーションについて正しいのはどれか。
1.地域で生活する高齢者のみを対象とする。
2.訪問リハビリテーションと同じ意味である。
3.基本理念にソーシャル・インテグレーションがある。
4.対象者への教育・啓発活動も具体的な取り組みに含まれる。
5.CBR(Community-Based Rehabilitation)マトリクスは日本で作成された。
解答4
解説
地域リハビリテーションとは、障害のある子供や成人・高齢者とその家族が、住み慣れたところで、一生安全に、その人らしくいきいきとした生活ができるよう、保健 ・医療・福祉・介護及び地域住民を含め生活にかかわるあらゆる人々や機関・組織がリハビリテーションの立場から協力し合って行なう活動のすべてを言う。つまり、維持期リハビリテーションを抱含する概念であり、現行法の保健・福祉の領域および地域住民やボランティアまで含めた生活に関わるあらゆる人々が実践する、地域における総合的リハビリテーションである。
1.× 地域で生活する高齢者「のみ」ではなく「を含む生活に関わる人々」を対象とする。障害のある子供や成人・高齢者とその家族が、住み慣れたところで、一生安全に、その人らしくいきいきとした生活ができるよう、保健 ・医療・福祉・介護及び地域住民を含め生活にかかわるあらゆる人々や機関・組織がリハビリテーションの立場から協力し合って行なう
2.× 訪問リハビリテーションと同じ意味であるとは一概にいいきれない。訪問リハビリテーションは、実際の生活に即したADL改善や能力の維持を重要視する。したがって、機能・能力の低下予防、活動性向上が主な目標となる。他にも、家族指導、住宅改修などにより生活に密着したアプローチが必要である。一方、地域リハビリテーションは、維持期リハビリテーションを抱含する概念で地域における総合的リハビリテーションである。
3.× 基本理念に「①ソーシャル・インテグレーション」ではなく「②ソーシャル・インクルージョン」がある。①ソーシャル・インテグレーション(integration)とは、すべての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から擁護し、健康で文化的な生活の実現につなげるよう、社会の構成員として包み、支え合うことをいう。「区別」があるのが前提で基本となっている考え方である。一方、②ソーシャル・インクルージョン(inclusion)とは、日本語で「包括」と訳される言葉で、組織内にいる誰もが「その組織に受け入れられ、認められていると実感できる状態」を指す。 もともと社会福祉の分野で提唱された。障害がある、なしは、関係なく、誰でもどの児童でも、生き生きと学校生活を送れるよう支援する、という考えかたである。
4.〇 正しい。対象者への教育・啓発活動も具体的な取り組みに含まれる。リハビリテーションの啓発と地域づくりの具体的な支援として、①市民や関係者へのリハビリテーションに関する啓発活動の推進、②介護予防にかかわる諸活動を通した支えあいづくりの強化、③地域住民も含めた地域ぐるみの支援体制づくりの推進があげられる。
5.× CBR(Community-Based Rehabilitation)マトリクスは、日本ではなく「WHO(世界保健機関)」作成された。CBRマトリクスは、生涯のある人や困難を抱える人の置かれた状況を包括的にみるためのツールである。
50 通所リハビリテーションで正しいのはどれか。
1.他の利用者との交流が少ない。
2.利用者は主に要介護認定を受けた高齢者である。
3.家族の身体的・精神的負担の軽減が主目的である。
4.利用者150名に対し1名の理学療法士の配置が必要である。
5.日常生活の自立を助けるために必要なリハビリテーションを行う。
解答5
解説
通所リハビリテーション(デイケア)は、利用者が老人保健施設・病院・診療所などに通い、日常生活上の支援や、生活機能訓練を受け、可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるようにするものである。
1.× 他の利用者との交流が「少ない」のではなく「多い」。なぜなら、通所リハビリテーションに通う利用者同士で生活機能訓練を受けたり、運動、レクリエーションを実施したりと活動を共にするため。
2.× 利用者は、「主に要介護認定」ではなく「要支援者」を受けた高齢者も利用できる。
3.× 主目的は、「家族の身体的・精神的負担の軽減」ではなく「生活機能向上」である。医師やリハビリ専門がいる中で、安全にかつ専門的な訓練、食事、入浴などの生活支援を受けられる。
4.× 利用者150名に対し、「1名」ではなく「2名」の理学療法士(作業療法士・言語聴覚士でも可)の配置が必要である。人員基準は、「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士については、専らリハビリテーションの提供に当たる者の利用者が100人又はその端数を増すごとに1以上確保されていること」があげられる。つまり、利用者150名に対し、利用者を100で割った数(150 ÷ 100=1.5人→2人)が必要となる。ちなみに、看護師、准看護師、介護職員も含める場合は、利用者の数が10名を超える場合、利用者の数を10で割った数の専属で通所リハビリテーションに関わる従事者が必要となる。その場合は、150÷10=15名は最低でも従事者が必要となる。
5.〇 正しい。日常生活の自立を助けるために必要なリハビリテーションを行う。機能維持回復訓練や日常生活動作訓練を中心に受けられ、日常生活自立を助ける為、リハビリテーションが行われる。
(※一部抜粋:通所リハビリテーション (参考資料) – 厚生労働省より)
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