第57回(R4) 理学療法士国家試験 解説【午後問題26~30】

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26 関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による)における運動方向と代償運動の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

1.肩外旋:体幹側屈
2.肩外転:体幹回旋
3.肩屈曲:体幹伸展
4.股屈曲:骨盤後傾
5.股伸展:骨盤側方傾斜

解答3・4

解説

1.× 肩外旋する際の代償運動は、体幹側屈ではなく「体幹回旋」である。
2.× 肩外転する際の代償運動は、体幹回旋ではなく「体幹側屈」である。
3.〇 正しい。肩屈曲する際の代償運動は、体幹伸展である。
4.〇 正しい。股屈曲する際の代償運動は、骨盤後傾である。
5.× 股伸展する際の代償運動は、骨盤側方傾斜ではなく「骨盤前傾」である。

 

 

 

 

 

27 Danielsらの徒手筋力テストで正しいのはどれか。

1.測定に計測機器は用いない。
2.苦痛がないか確認しながら行う。
3.ベッドの表面は軟らかい方がよい。
4.ベッドの表面の摩擦は大きい方がよい。
5.ベッドは高さ固定式のものを使用する。

解答

解説

1.× 測定に計測機器(ハンドヘルドダイナモメーター)を用いる。スコアは常にニュートンで記録する。標準的なkgで記録した場合、9.8をかけることによりニュートンに変換する。
2.〇 正しい。苦痛がないか確認しながら行う。なぜなら、痛みが発生すると最大筋力が測定できないため。
3~4.× ベッドの表面は、「軟らかい方」ではなく「ある程度の硬さがあった方」がよい。/ベッドの表面の摩擦は、「大きい方」ではなく、「小さい方」がよい。ベッドに沈み込みすぎると、狙った運動方向の正しい運動が行えない可能性があるため。また、ベッドの表面の摩擦が大きいと、重力を除した運動(MMT2)や自重のみの運動(MMT3)に支障をきたすため。
5.× ベッドは、「高さ固定式」より「高さ変動式」のものを使用する。なぜなら、検査の中で患者が端坐位になったとき、床から測定を浮かす場合があるため。身長が高い人にも対応できるようにする。また、抵抗を加える際にも高さが調整できることで、検者の腰の負担を減らすことができる。

 

 

 

 

28 正中神経と尺骨神経の表在感覚支配領域(掌側)が橈側と尺側で分かれる手指はどれか。

1.母指
2.示指
3.中指
4.環指
5.小指

解答

解説

(参考:Redrawn from Anatomy,ed. 5, edited by R O’Rahilly. Philadelphia, WB Saunders Company, 1986: used with permission.)

各神経の働き

正中神経:母指から環指母指側1/2までの掌側の感覚を支配し、前腕部では前腕の回内や手関節の屈曲、手指の屈曲、さらに手部では母指の付け根の筋肉(母指球筋)などを支配。

尺骨神経:小指と環指小指側1/2の掌背側の感覚と前腕の尺側の感覚を支配し、前腕部では手関節の屈曲、手指の屈曲、さらに母指の付け根の筋肉(母指球筋)以外の手内在筋のほとんどを支配。尺骨神経と尺骨動脈、静脈は一緒に手首の尺屈側にあるギヨン管を通過する。

1~3.5.× 母指/示指/中指/小指は、正中神経と尺骨神経の表在感覚支配領域(掌側)が橈側と尺側で分かれる手指ではない。
4.〇 正しい。環指は、正中神経と尺骨神経の表在感覚支配領域(掌側)が橈側と尺側で分かれる手指である。画像を参照して欲しい。

 

 

 

 

 

29 PEDIで正しいのはどれか。

1.二分脊椎は対象にならない。
2.出生直後から使用可能である。
3.補装具の使用頻度を評価できる。
4.WeeFIMより評価項目が少ない。
5.機能的スキルは0~3の4段階で評価する。

解答

解説

<strong>0点(できない)、1点(できる)</strong> (pediatric evaluation of disability inventory)

子ども(生後6か月から7歳半)を対象とした包括的機能評価表である。
評価は、【機能的スキル】と【複合活動】からなる。

それぞれ、①セルフケア、②移動、③社会的機能の3領域に分類される。
機能的スキル:197項目。
複合活動:20項目。

個々の項目では、特定の動作について両親や児をよく知る者に質問して能力を評価する。
介護者による援助尺度や、補助具等の使用についての調整尺度も設定されている。

1.× 二分脊椎も対象となる。なぜなら、疾患の有無に関わらず子ども(生後6か月から7歳半)を対象とした包括的機能評価表であるため。
2.× 出生直後から使用は不可能である。生後6か月から7歳半の子供が対象である。
3.〇 正しい。補装具の使用頻度を評価できる。介護者による援助尺度や、補助具等の使用についての調整尺度も設定されている。
4.× WeeFIMより評価項目が「少ない」のではなく「多い」。なぜなら、PEDIは全217項目、一方WeeFIMは全18項目であるため。
5.× 機能的スキルは、0~3の4段階ではなく「0点(できない)、1点(できる)の2段階」で評価する。ちなみに、介護者による介助尺度は0~5点(全介助~自立)で、調整尺度はN(調整なし)、C(子供用)、R(リハビリテーション器具)、E(広範な調整が必要)という4つのカテゴリーにわけて判定する。

 

 

 

 

30 Freiberg病で障害されるのはどれか。

1.距骨
2.踵骨
3.舟状骨
4.立方骨
5.第2中足骨

解答

解説

Freiberg病とは?

Freiberg病(フランバーグ病)は、中足骨頭に阻血性骨壊死が起きる疾患である。骨幹端および成長板の微小外傷によって生じる。阻血性骨壊死により中足骨頭が扁平化する。第2中足骨頭が侵されることが最も多い。痛みは荷重負荷で最も顕著となる。診断はX線により確定する。治療法としては、コルチコステロイド注射、固定、矯正器具などがある。

1.× 距骨は、症候性骨壊死で障害されやすい。
2.× 踵骨は、Sever病(セーバー病)で障害されやすい。
3.× 舟状骨は、第1Köhler病(ケーラー病)で障害されやすい。
4.× 立方骨は、圧迫骨折(くるみ割り骨折)で障害されやすい。
5.〇 正しい。第2中足骨は、Freiberg病で障害される。Freiberg病(フランバーグ病)は、中足骨頭に阻血性骨壊死が起きる疾患である。骨幹端および成長板の微小外傷によって生じる。阻血性骨壊死により中足骨頭が扁平化する。第2中足骨頭が侵されることが最も多い。痛みは荷重負荷で最も顕著となる。診断はX線により確定する。治療法としては、コルチコステロイド注射、固定、矯正器具などがある。ちなみに、第5中足骨の基部に生じるものをIselin病(イズリン病)という。

 

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