この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
96 イネイブラー(enabler)である家族と患者との共依存が問題となる疾患はどれか。
1.うつ病
2.統合失調症
3.アルコール依存症
4.Alzheimer型認知症
5.自閉スペクトラム症
解答3
解説
イネイブラー(enabler)とは、嗜癖その他の問題行動を陰で助長している身近な人のことを指す。「世話焼き人」などと訳されることが多い。
1〜2.4〜5.× うつ病/統合失調症/Alzheimer型認知症/自閉スペクトラム症は、イネイブラー(enabler)である家族と患者との共依存が問題となる疾患となる第一選択とは言いにくい。
3.〇 正しい。アルコール依存症は、イネイブラー(enabler)である家族と患者との共依存が問題となる疾患である。アルコール依存症者が飲み続けることを可能にする(周囲の人の)行為を「イネイブリング(enabling)」、それをしてしまう人(後援者)のことを「イネイブラー(enabler)」という。責任の肩代わりをすると本人が感じるべき後悔や痛みを軽減してしまうため、本人は嫌な思いをせずに済む。その結果、「喉元過ぎれば」で、飲み続けることを可能にしてしまう悪循環になる。家族、友人、同僚、上司など、本人のことを大切に思っている人ほど「イネイブラー(enabler)」になりやすい。
97 適応障害について誤っているのはどれか。
1.日常生活に支障を生じる。
2.認知行動療法は有効である。
3.薬物療法が治療の中心になる。
4.抑うつ気分を伴うことが多い。
5.適応的なストレス・コーピング技能を養う必要がある。
解答3
解説
適応障害は、大きな生活の変化(進学、就職、転居など)やストレス性の出来事(離別、死別など)に対して、順応するまでに様々な症状(抑うつ気分、不安など)を呈するものをいう。例としては、職場の勤務異動により、新しい部署の仕事や人間関係に慣れることができずに、苦悩や情緒不安定な状態が特続することが挙げられる。
1.4.〇 日常生活に支障を生じる/抑うつ気分を伴うことが多い。適応障害は、大きな生活の変化(進学、就職、転居など)やストレス性の出来事(離別、死別など)に対して、順応するまでに様々な症状(抑うつ気分、不安など)を呈するものをいう。例えば、憂うつな気分や不安感が強くなるため、涙もろくなったり、過剰に心配したり、神経が過敏になったりといった症状が出て日常生活に支障を生じる。
2.〇 認知行動療法は有効である。認知療法とは、認知(物事にたいする捉え方)のゆがみに気づかせて、それを行動療法的に修正していこうとする治療法である。「行動のゆがみも認知のゆがみによるものである」との考えから、最近では、認知療法と行動療法をまとめて認知行動様法と呼ばれるようになっている。社会生活技能訓練<Social Skills Training:SST>、自己教示法などがあげられる。
3.× 治療の中心になるのは、薬物療法ではなく「精神療法」である。薬物療法は補助的役割で処方する。例えば、不眠症状がある場合は対症療法的に睡眠導入薬を処方したり、重症化した際はSSRIや抗不安薬を出したりなどである。
5.〇 適応的なストレス・コーピング技能を養う必要がある。コーピング技能とは、普段の生活を振り返り、ストレスと上手に付き合うための方法のことである。適応障害は、大きな生活の変化(進学、就職、転居など)やストレス性の出来事(離別、死別など)に対して、順応するまでに様々な症状(抑うつ気分、不安など)を呈するものをいう。
98 統合失調症について正しいのはどれか。
1.男性に多い。
2.急性発症することが多い。
3.若年の発症は予後が良い。
4.中年期以後に発症することが多い。
5.高EEの家族のもとで再発率が高くなる。
解答5
解説
EE(Expressed Emotion)とは、「感情表出」といい、感情の表し方(表情、口調、態度など)という意味である。患者と接するときに家族に生じた主に否定的な感情をありのままに表すことをいう。感情表出が強い(=高EE)場合は、患者の症状は悪化しやすいとされ、家族心理教育では感情表出を抑えるような指導教育が行われる。統合失調症の患者は、周囲の人たちの接し方にとても敏感である。特にご家族をはじめとする身近な人たちの感情の表し方は、病気の再発に大きな影響を与えるといわれている。
1.× 男性に多いといった報告はなく、発症の男女比はほとんどない。ちなみに、予後は女性の方が良い。
2.× 「急性発症」ではなく「徐々に発症・進行」することが多い。なぜなら、統合失調症の中で最も多いタイプがこの破瓜型であるため。ちなみに、急性の発症するのは、緊張病型である。緊張型は、20歳前後に発病することが多く、激しい興奮状態と昏迷状態(周囲に対する反応が極端に鈍くなる状態)という正反対の症状が現れる。具体的には、じっと動かなくなる、奇妙な姿勢を取るなどといった症状がみられる。一定期間を過ぎると症状は良くなるが、症状が良くなったからといって治療を止めると再発する恐れが高い。
3.× 若年の発症は予後が「良い」のではなく「悪い」。思春期発症に発症する破瓜型(解体型)は予後不良である。徐々に発症・進行し、陰性症状が主で、思考障害が著しい。
4.× 発症することが多いのは、「中年期以後」ではなく「思春期から30歳まで」である。統合失調症の人の70〜80%を占める。
5.〇 正しい。高EEの家族のもとで再発率が高くなる。EE(Expressed Emotion)とは、「感情表出」といい、感情の表し方(表情、口調、態度など)という意味である。患者と接するときに家族に生じた主に否定的な感情をありのままに表すことをいう。感情表出が強い(=高EE)場合は、患者の症状は悪化しやすいとされ、家族心理教育では感情表出を抑えるような指導教育が行われる。統合失調症の患者は、周囲の人たちの接し方にとても敏感である。特にご家族をはじめとする身近な人たちの感情の表し方は、病気の再発に大きな影響を与えるといわれている。
99 ステロイド薬による精神障害について正しいのはどれか。(※不適切問題:採点対象外)
1.幻覚は認められない。
2.高齢者は発症しやすい。
3.発現率は80%を超える。
4.意識障害を伴うことは少ない。
5.精神症状はステロイド薬の投与量に関係なく出現する。
解答5・2?(正式解答なし)
対応:採点から除外する
理由:選択肢に正解がないため。
解説
重度:消化管潰瘍、糖尿病、感染症、骨粗鬆症・骨壊死、筋炎、精神症状(抑うつ、せん妄)
軽度:中心性肥満、体重増加、満月様顔貌
1.× 幻覚はみられることが多い。ステロイド薬による精神神経症状の中で、最もよくみられるのは抑うつ状態であり、次いで多いのがせん妄である。他にも、極めて多彩な精神神経症状[不眠、不安焦燥状態、攻撃的な性格変化、躁状態、幻覚妄想状態、けいれん、軽度認知障害(健忘、短期記憶障害)、傾眠、昏睡などの意識障害]が報告されている。これらの症状は、必ずしも独立して起こるわけではなく、縦断面で、不安焦燥状態~抑うつ状態~せん妄と移行したり、横断面でも抑うつ状態に軽度の意識混濁や健忘を伴う場合がある。(※参考:厚生労働省HPより「重篤副作用疾患別対応マニュアル~薬剤惹起性うつ病~」)
2.? 高齢者は発症しやすいのではなく「関連し合っている」。なぜなら、ステロイド薬に限らず、高齢者は薬剤によってせん妄が引き起こされる場合も多いため。※高齢者は発症しやすいという記載は、何と比較しているのか不明であるため、発症しやすい・発症しにくいの解答はできない。
3.× 発現率は、80%ではなく数%と報告がある。精神神経科医のもとで薬物治療を必要とするような副作用の頻度は数%である。
4.? 意識障害を伴うことは少ないのではなく意識障害と「関連し合っている」。精神神経症状は、必ずしも独立して起こるわけではなく、縦断面で不安焦燥状態~抑うつ状態~せん妄と移行したり、横断面でも抑うつ状態に軽度の意識混濁や健忘を伴う場合がある。※意識障害を伴うことは少ないという記載は、何と比較しているのか不明であるため、少ない・多いの解答はできない。
5.× 精神症状はステロイド薬の投与量に関係なくのではなく「関係し出現する」。精神症状発現の危険因子として、高用量、高齢、脳器質性疾患(脳萎縮、外傷、脳腫瘍)、精神疾患既往歴や薬物乱用歴、および現在の精神疾患への罹患、投薬前の抑うつ、不眠傾向、疾患に対する不安の強さが挙げられる。また、併用するリバビリンが高用量であった場合(補足:対体重比投与で 800-1400mg/日と投与量は変わる)、抑うつ症状(depressive symptoms)の出現頻度が有意に増加したとの報告がある。(※参考:厚生労働省HPより「重篤副作用疾患別対応マニュアル~薬剤惹起性うつ病~」)
せん妄とは、疾患や全身疾患・外因性物質などによって出現する軽度~中等度の意識障害であり、睡眠障害や興奮・幻覚などが加わった状態をいう。高齢者は薬剤によってせん妄が引き起こされる場合も多い。
【原因】脳疾患、心疾患、脱水、感染症、手術などに伴って起こることが多い。他にも、心理的因子、薬物、環境にも起因する。
【症状】
①意識がぼんやりする。
②その場にそぐわない行動をする。
③夜間に起こることが多い。 (夜間せん妄)
④通常は数日から1週間でよくなる。
【主な予防方法】
①術前の十分な説明や家族との面会などで手術の不安を取り除く。
②昼間の働きかけを多くし、睡眠・覚醒リズムの調整をする。
③術後早期からの離床を促し、リハビリテーションを行う。
100 知的障害の原因となるのはどれか。2つ選べ。
1.Down症候群
2.ネコ鳴き症候群
3.Korsakoff症候群
4.Wallenberg症候群
5.Guillain-Barré症候群
解答1・2
解説
知的障害の定義:「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の支援を必要とする状態にあるもの」
1.〇 正しい。Down症候群は、知的障害の原因となる。ダウン症候群(Down症候群)とは、染色体異常が原因で知的障害が起こる病気である。常染色体異常疾患の中で最多である。Down症候群になりうる異常核型は、3種に大別される。①標準トリソミー型:21トリソミー(93%)、②転座型(5%)、③モザイク型(2%)である。発症率は、平均1/1000人である。しかし、35歳女性で1/300人、40歳女性1/100人、45歳女性1/30人と、出産年齢が上がるにつれて確率が高くなる。症状として、①特異な顔貌、②多発奇形、③筋緊張の低下、④成長障害、⑤発達遅滞を特徴とする。また、約半数は、先天性心疾患や消化管疾患などを合併する。特異顔貌として、眼瞼裂斜上・鼻根部平坦・内眼角贅皮・舌の突出などがみられる。
2.〇 正しい。ネコ鳴き症候群(クリ・デュ・チャット症候群)は、知的障害の原因となる。ネコ鳴き症候群(クリ・デュ・チャット症候群)は、5番染色体の異常によって生じる遺伝子疾患である。甲高い子猫のような泣き声が特徴的であり、中等度〜重度の精神運動遅滞を認める。そのほか身体的特徴として、小頭症、小顎、心臓欠陥、脊柱側弯症、鼠径ヘルニアなどがある。てんかんや心疾患の程度により予後が左右される。
3.× Korsakoff症候群は、知的障害の原因とならない。なぜなら、Korsakoff症候群はアルコール多飲、栄養障害などのビタミンB1(チアミン)欠乏によって起こるため。ビタミンB1(チアミン)欠乏症では、①末梢神経の症状として脚気、②中枢神経の症状としてKorsakoff症候群(コルサコフ症候群)が生じる。Korsakoff症候群(コルサコフ症候群)の特徴的な症状は、①健忘、②記銘力低下、③見当識障害、④作話である。ビタミンB1の欠乏による脳障害が原因であり、治療はビタミンB1の投与である。完治しにくく後遺症を残す可能性が高い。
4.× Wallenberg症候群(左延髄外側症候群)は、知的障害の原因とならない。なぜなら、Wallenberg症候群は椎骨動脈や後下小脳動脈の閉塞により起こるため。症状は、①小脳失調、②顔面の温痛覚脱失(障害側)、③Horner症候群:額無汗、眼瞼下垂、眼裂の狭小化、縮瞳(障害側)、④嚥下困難、嗄声、味覚障害、⑤健側の頚部以下の温痛覚脱失、⑥回転性めまい、頭痛、悪心、嘔吐である。
5.× Guillain-Barré症候群は、知的障害の原因とならない。なぜなら、Guillain-Barré症候群は、感冒様症状や腹部症状から1~3週間後に四肢の筋力低下をきたし、運動神経障害を主症状とする筋性脱髄性多発性神経根であるため。末梢神経障害のため、麻痺は四肢の遠位部から起こり、徐々に近位部へ進行する。麻痺の回復経過はその逆で、近位部から遠位部に向けて回復する。重症例では、麻痺が体幹にも及び呼吸筋も侵すため呼吸障害を生じる。発症の1~3週前に感冒症状・下痢・腹痛などが見られ、その1~2週間で急逝に神経症状が発症して弛緩性四肢麻痺や呼吸筋麻痺、脳神経障害などの症状がみられる。症状は、1か月で完成し、その後3か月から1年で徐々に近位部から遠位部にむけて回復する。
ダウン症候群(Down症候群)とは、染色体異常が原因で知的障害が起こる病気である。常染色体異常疾患の中で最多である。Down症候群になりうる異常核型は、3種に大別される。①標準トリソミー型:21トリソミー(93%)、②転座型(5%)、③モザイク型(2%)である。発症率は、平均1/1000人である。しかし、35歳女性で1/300人、40歳女性1/100人、45歳女性1/30人と、出産年齢が上がるにつれて確率が高くなる。症状として、①特異な顔貌、②多発奇形、③筋緊張の低下、④成長障害、⑤発達遅滞を特徴とする。また、約半数は、先天性心疾患や消化管疾患などを合併する。特異顔貌として、眼瞼裂斜上・鼻根部平坦・内眼角贅皮・舌の突出などがみられる。
乳児期の特徴としては、全身の筋緊張が低く、発達の遅れを伴う。理学療法では、バランスボールなどダウン症児の興味関心を抱きやすい環境で筋緊張を高められる運動(主に体幹筋群)を提供する。スカーフ徴候陽性や、シャフリング移動がみられる。スカーフ徴候の正常(陰性)の場合、腕を首に巻きつけるようにすると抵抗するが、陽性の場合は抵抗がみられない。シャフリング移動とは、お座り姿勢のまま移動する(いざり)ことである。脚の動かし方、手の使い方のバリエーションが少なかったり、下半身の筋肉の張りが弱く、筋肉量も少ないために行うことがある。Down症候群の子供では、立位歩行の獲得が遅れるため、シャフリング移動がみられる。正常発達の乳児期前半では、背臥位にて手で足をつかむ動作を行うようになるが、ダウン症乳児の場合、全身の筋緊張が低下しているため、背臥位では股関節外転・外旋した「蛙様肢位(蛙状肢位)」となり、足の持ち上げが難しくなる。読み方は、そのまま「カエルヨウ肢位、カエルジョウ肢位、カエル肢位」などと読む。