第57回(R4) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題96~100】

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96 てんかん発作で意識障害を伴わないのはどれか。

1.間代発作
2.強直発作
3.欠神発作
4.Jackson発作
5.非定型欠神発作

解答

解説

1.× 間代発作は意識障害を伴う。てんかん発作の全般発作に分類される間代発作は「ガクンガクンとした一定リズムのけいれんが特徴である。
2.× 強直発作は意識障害を伴う。てんかん発作の全般発作に分類される間代発作は強直発作「突然意識を失い、全身が硬く突っ張る」のが特徴である。
3.× 欠神発作は意識障害を伴う。てんかん発作の全般発作に分類される欠神発作は、「突然の動作停止、数秒間ボートする」のが特徴である。虚空(こくう:何もない空間)を注視する。
4.〇 正しい。Jackson発作は意識障害を伴わない。Jacksonてんかん(ジャクソンてんかん)は、部分性単純発作に分類され、焦点運動発作が身体の一部に起こり、これが大脳隣接部分に次々に波及して身体部位に発作が進行していく。予後は比較的良好で、知能は正常である。
5.× 非定型欠神発作は意識障害を伴う。非定型欠神発作は、Lennox-Gastaut症候群(レノックス・ガストー症候群)などのことをいう。Lennox-Gastaut症候群(レノックス・ガストー症候群)は、3~5歳で発症し、急に四肢が硬くなり脱力発作が起こる。知的障害を伴う。

欠神発作の分類

欠神発作は、①定型欠神と②非定型欠神に分類される。非定型欠神は、脳全体に全般性に現れる棘徐波に一致して意識消失を主体とする発作症状がみられるという点では定型欠神と同じだが、発作の始まりや終わりが定型欠神ほどはっきりしなくて、なんとなく始まり、なんとなく終わるということがほとんどである。脳波上も定型欠神のものより遅い1.5~2.5サイクルの棘徐波が認められる。定型欠神は、脳に障害がない患者さんに多くみられるが、非定型欠神はLennox-Gastaut症候群(レノックス・ガストー症候群)など脳に障害のある患者さんによくみられる発作である。

 

 

 

 

 

97 後頭葉の血流量低下が特徴的なのはどれか。

1.HIV認知症
2.血管性認知症
3.前頭側頭型認知症
4.Lewy小体型認知症
5.Alzheimer型認知症

解答

解説

1.× HIV認知症とは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が脳に感染することで精神機能が進行性に悪化する病気ある。他の大半の種類の認知症と異なり、HIV関連認知症は比較的若い人に発生する傾向がある。特徴として、注意力および思考力の低下、見当識障害、覚醒(意識)レベルの変動が挙げられる。また、 多くの病気、薬剤、毒物などが、せん妄の原因になりえる。
2.× 血管性認知症は、基礎疾患に高血圧・糖尿病・心疾患があることが多く、感情失禁を特徴とする。
3.× 前頭側頭型認知症(Pick病)は、人格変化・精神荒廃を特徴とし、性的逸脱行為や滞続言語がみられ最終的に植物状態まで進行し、2~8年で衰弱して死亡することが多い。
4.〇 正しい。Lewy小体型認知症は、後頭葉の血流量低下が特徴的である。したがって、幻視といった症状が出やすい。Lewy小体型認知症とは、Lewy小体が広範な大脳皮質領域で出現することによって、①進行性認知症と②パーキンソニズムを呈する病態である。認知機能の変動・動揺、反復する幻視(人、小動物、虫)、パーキンソニズム、精神症状、REM睡眠型行動障害、自律神経障害などが特徴である。
5.× Alzheimer型認知症は、①初期から病識が欠如、②著明な人格崩壊、③性格変化、④記銘力低下、⑤記憶障害、⑥見当識障害、⑦語間代、⑧多幸、⑨抑うつ、⑩徘徊、⑩保続などもみられる。

 

 

 

 

98 睡眠・覚醒のパターンを記録する睡眠日誌(睡眠表)の記載が最も有用なのはどれか。

1.原発性不眠症
2.ナルコレプシー
3.睡眠相後退症候群
4.レム睡眠行動障害
5.閉塞性睡眠時無呼吸障害

解答

解説

睡眠日誌(睡眠表)とは?

睡眠日誌(睡眠表)とは、個人の入眠時刻と起床時刻を、関係する情報と共に記録するものである。数週間にわたって実施される。普段の睡眠の長さや規則性といった睡眠状態を把握するのに有用である。自分の認識と実際の睡眠状態にはしばしば乖離がみられるが、チェックすることで、自分の睡眠状態を正確に把握したり、自覚していなかった睡眠の特徴を発見したりできる可能性がある。

1.× 原発性不眠症(不眠症)は、睡眠障害の代表といえる症状で、充分に眠る時間が確保できていても眠れない状態である。夜の寝つきが悪く、眠ろうとするとかえって目が冴えたり、途中で目がさめてしまう、普段より朝早く目が覚めるなどの症状が続くものである。睡眠導入剤などの薬物療法に加え、生活の改善や睡眠へのこだわりをとる認知行動療法なども有効である。
2.× ナルコレプシーは、日中の過度の眠気や、通常起きている時間帯に自分では制御できない眠気が繰り返し起こったり、突然の筋力低下(情動脱力発作)も伴う睡眠障害である。入眠時はレム睡眠となるため、入眠時の金縛り、中途覚醒、リアルな悪夢によってうなされることが多い。覚醒状態の維持やその他の症状(入眠時の幻覚、睡眠麻痺)をコントロールするために薬物療法を行う。
3.〇 正しい。睡眠相後退症候群は、睡眠日誌(睡眠表)の記載が最も有用である。睡眠相後退症候群とは、原因が、体内時計が遅れているため、睡眠が遅い時間帯のほうにずれてしまうことにある。症状として、明け方近くまで寝つけず、いったん眠ると昼過ぎまで目が覚めないという状態に陥る。無理をして起床すると、眠気や強い倦怠感などの症状がみられる。
4.× レム睡眠行動障害は、レム睡眠の時に体が動く睡眠障害のことである。原因ははっきりわかっていないが、6割程度はストレスなどによるもの、4割程度が神経変性の病気などとの関連で発症すると考えられている。 
5.× 閉塞性睡眠時無呼吸障害は、眠っている間に呼吸が止まる病気である。医学的には、10秒以上の気流停止を無呼吸とし、無呼吸が一晩に30回以上、もしくは1時間あたり5回以上を診断基準とすることが多い。治療は、①持続陽圧呼吸療法(CPAP)、②口腔内装置、③気道の外科手術などがある。

 

 

 

 

 

99 疾患と治療の組合せで正しいのはどれか。

1.PTSD:電気けいれん療法
2.心気障害:持続エクスポージャー法
3.解離性健忘:自律訓練法
4.強迫性障害:暴露反応妨害法
5.身体化障害:系統的脱感作法

解答

解説

1.× 電気けいれん療法は、PTSDではなく「重度うつ病」の混迷状態や強度の希死念慮を抱いている場合、緊張病状態などに用いられる。ちなみに、心的外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress Disorder:PTSD)に対しても、選択肢4.曝露反応妨害法が用いられる。
2.× 持続エクスポージャー法(エクスポージャー:曝露)の適応疾患は、心的外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress Disorder:PTSD)である。心的外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress Disorder:PTSD)の認知の特徴は「世界はすべて危険なものだ」「自分はそれに対して無力だ」ととらえてしまうことであるとし、患者を安全でトラウマを十分に回想できる状況に置いて、出来事の記憶の中には様々な要素があることに気づかせ、「そのようにとらえる必要はない」というように認知を修正できるようにする方法である。ちなみに、心気障害は病気ではないのに何か重大な病気にかかっているのではないかと不安な状態である。治療の主体は、精神療法や認知行動療法が主に用いられる。
3.× 自律訓練法は、シュルツにより開発された。自己催眠により全身をリラックスさせ、心身のコントロールを行うものである。適応疾患は、成人の心身症・不安神経症・強迫性障害である。ちなみに、解離性健忘(解離症の一種)は、通常のもの忘れでは一般的に失われることのない重要な個人的情報を想起できなくなる病態である。心的外傷またはストレスによって引き起こされることが多い。治療は精神療法やときに催眠法または薬剤を使用する面接法を併用する。
4.〇 正しい。強迫性障害に対し、曝露反応妨害法は適応疾患である。他にも、心的外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress Disorder:PTSD)に用いられる。曝露反応妨害法とは、行動療法の一つであり、不安を起こさせる弱い刺激にさらすとともに不安を抑える行動を禁止(反応妨害)し、不安は何もしなくても時間とともに軽減していくことを体験させ、徐々に刺激を強くしていく方法である。例えば、不潔恐怖の場合に手洗いをさせない(反応妨害)などである。
5.× 系統的脱感作法は、古典的条件付けに基づく行動療法の一つであり、ウォルピにより創始された。不安や恐怖の治療法として開発され適応疾患として、神経症性障害・摂食障害である。徐々に不安を感じる刺激を大きくして慣れさせる方法をとる。ちなみに、身体化障害(身体症状症)は、身体的訴えが多発性で繰り返し起こり、しばしば変化する身体症状を主とするものである。多くの医療機関を受診して、身体的症状を説明する原因はないといわれても受診を続け、本人は抑うつや不安が持続し、周囲との人間関係も悪くなる。治療の主体は支持的精神療法と認知行動療法である。抗不安薬などの薬物療法は依存を招く可能性があるため行わないことが多い。

 

 

 

 

100 ベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用はどれか。(※不適切問題:解2つ)

1.下痢
2.運動失調
3.アカシジア
4.逆行性健忘
5.Parkinson症候群

解答1・2(複数の選択肢を正解として採点する)
理由:複数の正解があるため。

解説

ベンゾジアゼピン系睡眠薬とは?

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、GABAA受容体の作用を増強し、神経活動を抑制する。睡眠薬・抗不安薬として最も広く用いられている。比較的安全性が高いが、最近は依存性の問題が重視されており、適切な処方・十分な服薬指導が重要である。手指のふるえ、冷汗、不安、いらいら、不眠などの離脱症状(身体依存)をきたす。

1.〇 正しい。下痢/運動失調は、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用である。ベンゾジアゼピン系睡眠薬のルネスタ(エスゾピクロン錠)の副作用に下痢がみられる。また、運動失調は、睡眠薬や抗不安薬など一般的に処方されている薬剤でも出現する。
3.× アカシジア(鎮座不能症とも)とは、ムズムズした感覚が下肢を中心に起こり,じっと座っていることができなくなる症状である。抗精神病薬による錐体外路症状として起こる。抗精神病薬の投与初期に起こりやすく、薬剤性パーキンソニズムの一種である。アカシジアは抗精神病薬抗うつ薬制吐薬胃腸薬などによっても引き起こされることがある。
4.× 逆行性健忘とは、発症以前の過去の出来事に関する記憶を思い出すことの障害である。ベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用として、前向性健忘があげられる。
5.× Parkinson症候群は、ドーパミンを抑制する薬に見られることが多い。例えば、精神神経用薬、消化性潰瘍用薬、胃腸運動調整薬、血圧降下剤などである。

 

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