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76 脳波検査について誤っているのはどれか。
1.開眼するとα波が抑制される。
2.周波数はα波よりβ波の方が大きい。
3.ノンレム睡眠では高振幅徐波が出現する。
4.小児では成人に比べて背景活動の周波数が低い。
5.成人の安静覚醒閉眼時の背景活動はθ帯域である。
解答5
解説
δ(デルタ)【0.5~4.0Hz】:深い睡眠
θ(シータ)【4.0~8.0Hz】:浅い睡眠
α(アルファ)【8.0~13.0Hz】:安静閉眼時
β(ベータ)【14.0~30.0Hz】:覚醒・活動時にみられる
1.〇 正しい。開眼するとα波が抑制される。これをαブロッキングという。
2.〇 正しい。周波数はα波よりβ波の方が大きい。α(アルファ)の周波数は【8.0~13.0Hz】であり、一方でβ(ベータ)は【14.0~30.0Hz】である。
3.〇 正しい。ノンレム睡眠(深い睡眠)では高振幅徐波が出現する。徐波とは、 α(アルファ)波より周波数が低いものをいう。つまり、①δ(デルタ)波【0.5~4.0Hz】、②θ(シータ)波【4.0~8.0Hz】に分けられる。 両者とも覚醒状態にある正常成人の安静閉眼時には、ほとんど出現しない。
4.〇 正しい。小児では成人に比べて背景活動の周波数が低い。小児では徐波が多く、老人ではα波の徐波化がみられる。
5.× 成人の安静覚醒閉眼時の背景活動は、「θ帯域」ではなく「α帯域(アルファ)【8.0~13.0Hz】」である。
ノンレム睡眠とは、脳の睡眠といわれ、①新陳代謝を促進する成長ホルモンの分泌が増加、②エネルギー代謝の抑制、③体温の低下があげられる。
77 非ステロイド性抗炎症薬の副作用として正しいのはどれか。
1.胃潰瘍
2.多幸感
3.低血糖
4.骨粗鬆症
5.中心性肥満
解答1
解説
非ステロイド性抗炎症薬<NSAIDs>は、炎症などを引き起こすプロスタグランジンの生成を抑え、抗炎症作用や解熱、鎮痛に働く。副作用として、消化器症状(腹痛、吐き気、食欲不振、消化性潰瘍)、ぜんそく発作、腎機能障害が認められる。
1.〇 正しい。胃潰瘍は、非ステロイド性抗炎症薬の副作用である。
2.4~5.× 多幸感/骨粗鬆症/中心性肥満は、ステロイドの副作用である。副腎皮質ステロイド薬の副作用は、①易感染性、②骨粗鬆症、③糖尿病、④消化性潰瘍、⑤血栓症、⑥精神症状(うつ病)、⑦満月様顔貌(ムーンフェイス)、中心性肥満などである。
3.× 低血糖ではなく、高血糖は、ステロイドの副作用である。ちなみに、低血糖が副作用である薬は、インスリンやインスリン分泌促進薬である。
【ステロイドの機序】
ステロイドは細胞の中に入った後にグルココルチコイド受容体に結合する。ステロイドの結合したグルココルチコイド受容体は、細胞の核内へ移行し、炎症に関与する遺伝子の発現を調節すると言われている。 この結果として強力な抗炎症作用と免疫抑制作用が発揮される。
【ステロイドの副作用】
軽度:中心性肥満、体重増加、満月様顔貌
重度:消化管潰瘍、糖尿病、感染症、骨粗鬆症・骨壊死、筋炎、精神症状(抑うつ、せん妄)
ステロイドを長期的に内服した場合、体内でステロイドホルモンが分泌されなくなることがある。そのため、急に薬の内服を止めると体内のステロイドホルモンが不足し、倦怠感や血圧低下、吐き気、低血糖などの症状が起こることがある。これをステロイド離脱症候群という。
(※参考:「副腎皮質ステロイド」日本リウマチ学会様HP)
78 記憶と関係部位の組合せで正しいのはどれか。
1.長期記憶:視床
2.手続き記憶:扁桃体
3.プライミング:小脳
4.エピソード記憶:松果体
5.ワーキングメモリー:前頭葉
解答5
解説
長期記憶の過程は、三段階に分かれる。
①記銘(符号化):外部の刺激がもつ情報を意味に変換して記憶として取り込むこと。
②保持(貯蔵):記銘したものを保存しておくこと。
③想起(保持):保存されていた記憶をある期間後に外に表すこと。
1.× 長期記憶は、視床ではなく「海馬や大脳皮質」が主に関与する。視床は、嗅覚を除き、視覚、聴覚、体性感覚などの感覚入力を大脳新皮質へ中継する。
2.× 手続き記憶は、扁桃体ではなく「小脳」が主に関与する扁桃体は、情動に伴う現象などを司る。
3.× プライミング(入れ知恵記憶)は、小脳ではなく「大脳皮質」が主に関与する。プライミング記憶(入れ知恵記憶)とは、以前に入力された情報が無意識に記憶され、その後の認識などの脳機能に影響を与える記憶のことをいう。例えば、「じゃんけん」という文字を事前に見ていれば、「じ〇〇けん」という穴埋めを見たときに、「じゃんけん」と想起しすい。
4.× エピソード記憶は、松果体ではなく「海馬や大脳皮質」が主に関与する。松果体の主な働きは、概日リズムを調節するホルモン、メラトニンを分泌する。ちなみに、エピソード記憶とは、自分の生活史や思い出など、自分の過去の経験を伴う記憶のことである。「高校受験に失敗した」などである。
5.〇 正しい。ワーキングメモリーは、前頭葉が主に関与する。ワーキングメモリー(作業記憶)は、環境から新しく入ってくる短期記憶を保持する過程と、保持された短期記憶の情報と、長期記憶から取り出される情報とを適合して処理する過程の両方に関与している。物事を実行したり考えたりする際に、一時的に情報を蓄えておく記憶のシステムである。いわゆる短期記憶と異なるのは、情報を保持している間に他の情報処理を行うことである。
79 成人期中期に発症しやすいのはどれか。
1.うつ病
2.統合失調症
3.血管性認知症
4.社交不安障害
5.神経性無食欲症
解答1
解説
成人期中期は、約45~65歳までの期間である。成人期中期は人生のピークを過ぎて坂を下る時期というのが特徴である。
1.〇 正しい。うつ病は成人期中期に発症しやすい。ただし、女性の場合は、30~40歳代がピークとなりやすい。なぜなら、産後うつ病の影響も大きいため。産後うつ病とは、産褥婦の約3%にみられ、産褥1か月以内に発症することが多い。強い抑うつ症状を呈し、育児にも障害が出る。産後うつ病の患者への適切な対応が大切である。抑うつ状態の患者に対し、まずは患者の不安に寄り添い、共感的態度をとることが基本である。
2.× 統合失調症は、思春期~30歳までで70〜80%を占める。妄想型は30歳前後、破瓜型は思春期発症が多い。
3.× 血管性認知症は、60歳~70歳台の男性に起こりやすい。脳梗塞や脳出血によって引き起こされ、全認知症のうち19.5%が血管性認知症である。高血圧や糖尿病、脂質異常症といった基礎疾患、ストレスや喫煙、肥満、メタボリックシンドローム、大量の飲酒などの脳卒中の危険因子は、血管性認知症の発症リスクを高める。
4.× 社交不安障害(社会恐怖)は、学童期~思春期の発症が多い。一方、25歳以上での発症はまれといわれている。対人場面において、過剰な不安や緊張が誘発されるあまり、動悸・震え・吐き気・赤面・発汗などの身体症状が強く発現する。
5.× 神経性無食欲症は、10~思春期の発症が多い。一方、40才以上はまれといわれている。90%が女性である。摂食障害には、拒食症(神経性無食欲症)と過食症(神経性過食症)がある。思春期~青年期の若い女性に発症しやすい。病的な痩せ願望があり、ゆがんだボディーイメージ(痩せているのに太っていると思い込む)のために極端な食事制限や下剤の乱用を行う。その結果、極端なやせ、月経の停止、うぶ毛の増加などがみられる。性格的には頑固で競争心が強く、活動性も高いため、学業成績は優秀なことであることが多い。
80 リエゾン精神医学における医療スタッフのベッドサイドマナーとして適切でないのはどれか。
1.笑顔で接する。
2.座って対応する。
3.心配なことを聞く。
4.抽象的な情報を与える。
5.患者が誇りに思うことを称賛する。
解答4
解説
リエゾン精神医学の概念とは、身体疾患で入院中の患者に対して、患者の精神的・心理的トラブルの改善を図り、身体的疾患の回復を促すことを目的とした医学である。他科の医師およびスタッフの要請に応じてその協力のもと、身体・心理・社会・倫理的な全人的医療を行う。
【リエゾン精神医医療ベッドサイドマナー12カ条】
①座ること
②患者のためにちょっとした何かをしてあげること
③患者に触れること
④笑顔で接すること
⑤最初に患者について知っていることを話すこと
⑥今一番心配なことを訊くこと
⑦病気についての患者の解釈や不安をよく聴いておくこと
⑧患者の仕事や家族に対して、病気が与えている影響についてよく聞いておくこと
⑨患者が誇りに思っている活動や業績を知っておき、時にそれを誉めること
⑩患者が遭遇している人間としての苦境に理解を示すこと
⑪病気を検討することの必要性と目的を共有し、共同観察者の役割を担ってもらうこと
⑫診察の終わりには何か有益な情報を患者にもたらすこと
1~3.5.〇 正しい。④笑顔で接する/①座って対応する/⑥心配なことを聞く/⑨患者が誇りに思うことを称賛することは、リエゾン精神医学における医療スタッフのベッドサイドマナーである。
4.× 抽象的な情報ではなく、「⑫有益な情報」を与える。
76番の睡眠についてですが、ノンレム睡眠は深い睡眠ではないのですか?
コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。