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41 境界性パーソナリティ障害の治療について最も適切なのはどれか。
1. 治療者への依存を促す。
2. 薬物療法は行わないようにする。
3. 長期入院により適応を良好にする。
4. 他の患者と交流させないようにする。
5. 治療的枠組みを崩さないようにする。
解答5
解説
特徴として、①感情、②対人関係、③自己像が非常に不安定で衝動的である。また、「見捨てられ不安」や「自傷行為」がみられる。若年女性に多く、人口の1~2%にみられる。
1.× 治療者への依存を促す必要はない。むしろ、依存関係をつくらないことが重要である。なぜなら、境界性パーソナリティ障害は、強い依存欲求や見捨てられ不安が、治療者にも向けられるため。
2.× 薬物療法を行う。治療は、精神療法が中心であるが、衝動性や感情不安定には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、感情調整薬(リチウム、カルバマゼピン)、少量の抗精神病薬などの薬物療法が有効である。
3.× 長期入院により適応を良好にするといったことはない。むしろ、長期の入院は、病院スタッフへの依存を強め、現実への適応能力が低下する。したがって、長期入院は避けるべきである。
4.× 他の患者と交流させないようにする必要はない。なぜなら、他者とのかかわりは、対人関係の取り方を学ぶ良い機会であるため。ただしトラブルを避けるため、必要に応じて医療者が介入することはある。
5.〇 正しい。治療的枠組みを崩さないようにする。境界性パーソナリティ障害は、よく枠組みを超えた要求をすることがあるが、それに応じてしまうと、応じきれなかったときに、感情が不安定で衝動的な行動が起こりやすい。したがって、治療の目標を明確にして、治療的枠組みをしっかりと構築する。
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【OT専門のみ】パーソナリティ障害についての問題「まとめ・解説」
42 運動機能の特異的発達障害をもつ児について誤っているのはどれか。
1. チック症状を伴う。
2. ボタンかけが苦手である。
3. ボール遊びが苦手である。
4. 感覚統合訓練が有効である。
5. 特定の技能を直接的に教えることが有効である。
解答1
解説
運動機能の特異的発達障害(発達性協調運動症/発達性運動協調障害)は、知能の遅れや神経障害では説明のつかない、協調運動の発達の重篤な機能障害である。
【特徴】
①生まれながらに不器用である。
②動きがぎこちない。
③書字、スポーツなども苦手である。
1.× チック症状は伴わない。チック症状は、主にトゥレット症候群にみられ突発的・急速・反復性・非律動性の運動あるいは発声があげられる。
2.〇 正しい。ボタンかけが苦手である。他にも、微細な動きを伴う書字や靴ひも結びは苦手である。
3.〇 正しい。ボール遊びが苦手である。なぜなら、粗大な動きと微細な動きの協調が必要であるため。
4.〇 正しい。感覚統合訓練が有効である。なぜなら、遊びの中で感覚入力と運動出力を協調させていく。ちなみに、感覚統合訓練とは、外部環境から得られる感覚刺激を適切に中枢神経系で処理できるようにするアプローチ方法である。
5.〇 正しい。特定の技能を直接的に教えることが有効である。なぜなら、1つの技能に絞ってマンツーマンで訓練することは児の負担も少ないため。
43 認知症患者とのコミュニケーション上の配慮で最も適切なのはどれか。
1. にぎやかな環境で話す。
2. 指示は詳細なものにする。
3. 身振り手振りは使わない。
4. 沈黙した場合は話題を変える。
5. 話題は本人と関係のあるものにする。
解答5
解説
1.× 「にぎやかな環境」ではなく静かな環境で話す。なぜなら、認知症患者は、集中の維持が困難であり、気が散らないような配慮が必要であるため。
2.× 指示は、「詳細」ではなく単純明快なものにする。なぜなら、詳細な指示は、認知症患者には理解が難しく、負担が大きいため。
3.× 身振り手振り(ジェスチャー)を積極的に使う。なぜなら、身振り手振り(ジェスチャー)を使うことで、伝えたい内容が理解しやすくなるため。ジェスチャーのような非言語的メッセージは、言語的メッセージを補う働きがある。
4.× 沈黙した場合でも話題を変える必要はない。なぜなら、沈黙した場合は、会話の内容を本人なりに理解・考えている可能性が高いため。すぐに話題を変えずに患者が何らかの反応をするまで待つこともある。
5.〇 正しい。話題は本人と関係のあるものにする。なぜなら、本人と関係のある話題は、積極的に会話に参加できるため。また何らかの記憶の想起(脳の賦活)に結びつく可能性がある。
44 アルコール依存症に合併しやすい病状とそれに対する治療との組合せで正しいのはどれか。
1. アルコール幻覚症:抗不安薬の投与
2. Wernicke脳症:ビタミンDの投与
3. 再飲酒:断酒会
4. 振戦せん妄:抗酒薬の投与
5. 人格変化:修正型電気けいれん療法
解答3
解説
アルコール依存症とは、少量の飲酒でも、自分の意志では止めることができず、連続飲酒状態のことである。常にアルコールに酔った状態でないとすまなくなり、飲み始めると自分の意志で止めることができない状態である。
【合併しやすい病状】
①離脱症状
②アルコール幻覚症
③アルコール性妄想障害(アルコール性嫉妬妄想)
④健忘症候群(Korsakoff症候群)
⑤児遺性・遅発性精神病性障害 など
1.× アルコール幻覚症には、「抗不安薬」ではなく抗精神病薬(統合失調症治療薬)の投与である。
2.× Wernicke脳症は、「ビタミンD」ではなくビタミンBの投与である。ビタミンBの欠乏が原因であるWernicke脳症の症状として、①意識障害、②眼球運動障害、③小脳失調などが挙げられる。
3.〇 正しい。再飲酒の予防には、断酒会が有効である。断酒会とは、アルコール依存症者が集まり、体験の共有や苦しみを分かち合うなどとして依存症を克服することを目的とした取り組みである。
4.× 振戦せん妄(離脱症状)には、「抗酒薬の投与」ではなく、主にベンゾジアゼピン系薬剤(向精神薬)を投与する。ちなみに、抗酒薬は、飲酒時の嫌悪感を強めて断酒を維持させるのに用いられる。したがって、抗酒薬には、離脱症状である振戦せん妄の改善効果はない。
5.× 人格変化は、アルコールへの精神的依存が原因である。修正型電気けいれん療法(mECT)とは、頭部に通電することで難治性の精神疾患の症状軽減を目指すものである。特に①不安・焦燥が大きい場合や②自殺企図の危険性の高い場合、③強い抑止を伴う場合などは、急速な症状の改善を期待して行われることが多い。麻酔薬と筋弛緩薬を用いたうえで脳に通電する。脳波上には発作波が記録されるが、筋弛緩薬を用いるので全身けいれんは起こらない。
45 メタボリックシンドロームの改善を目的とした統合失調症患者の評価で優先すべきなのはどれか。
1. 睡眠状態
2. 対人関係
3. 入浴状況
4. 認知機能
5. 服薬内容
解答5
解説
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積を基盤とし、動脈硬化の危険因子を複数合併した状態のことである。
1.× 睡眠状態は、統合失調症の患者に限らず重要である。特に優先すべきものではない。
2.× 対人関係は、メタボリックシンドロームとの関連性は低い。ただし、対人関係は、統合失調症患者の精神症状の評価として重要である。
3.× 入浴状況は、メタボリックシンドロームとの関連性は低い。ただし、入浴状況は、統合失調症患者の生活習慣やADLを評価するうえで重要である。
4.× 認知機能は、メタボリックシンドロームとの関連性は低い。ただし、認知機能は、統合失調症患者の精神症状の評価として重要である。
5.〇 正しい。服薬内容()は、メタボリックシンドロームの改善を目的とした統合失調症患者の評価で優先すべきである。なぜなら、抗精神病薬(第2世代)はメタボリックシンドロームとの関連が認められているため。統合失調症患者は、不規則な生活・運動不足・喫煙・第2世代抗精神病薬の副作用などが原因となり、メタボリックシンドロームのリスクが高い。
①腹部肥満(ウエストサイズ 男性85cm以上 女性90cm以上)
②中性脂肪値(HDLコレステロール値 中性脂肪値 150mg/dl以上、HDLコレステロール値 40mg/dl未満のいずれか、または両方)
③血圧(収縮期血圧130mmHg以上、拡張期血圧85mmHg以上のいずれか、または両方)
④血糖値(空腹時血糖値110mg/dl以上)