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21 作業療法に関する歴史について正しいのはどれか。
1.IL運動によってADLが誕生した。
2.作業療法の起源は道徳療法にある。
3.呉秀三は認知行動療法を実践した。
4.加藤普佐次郎は肢体不自由児施設の創始者である。
5.昭和20年に理学療法士作業療法士法が制定された。
解答2
解説
1.× IL運動とADLは関係がない。自立生活(IL)運動とは、「重度の障害があっても、健常者と同じように自立して、生きていきたい」という障害者の主張を実現するため、障害者の自己決定権の拡大などを目的とした運動である。1960年代にアメリカで始まり、その後世界に広がった。ADLと関係はない。日常生活動作(ADL)の概念は、1940年代にニューヨークのDeaver,Brownによって誕生し、その後、Rusk,Lawtonによって発展した。
2.〇 正しい。作業療法の起源は道徳療法にある。18世紀末にフランスの精神科医ピネルが、患者を鎖から解き、患者の理性を取り戻すために作業を課した。これを道徳療法といい、作業療法の一起源である。
3.× 呉秀三は、「認知行動療法」ではなく移導療法を実践した。隔離拘束が中心であった精神病患者の処遇を解放化に向け、作業療法の一種である移導療法(病的な観念を作業に集中させることで頭から移導させること)を行った。
4.× 加藤普佐次郎は、「肢体不自由児施設の創始者」ではなく、「作業治療」を進めた人物ある。精神病患者に対して、体を動かす作業だけでなく、精神的動やレクリエーションをも治療方法とし「作業治療」を進めた。
5.× 「昭和20年」ではなく、昭和40年に理学療法士および作業療法士法が制定された。理学療法士及び作業療法士の資格を定めるとともに、業務の適正運用や医療の向上を目的としている。
22 国際疾病分類ICD-10について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.作成したのはWHOである。
2.障害の階層性を表している。
3.生活モデルに基づく分類である。
4.精神障害に特化した分類である。
5.我が国の死因統計はこの分類に準拠している。
解答1/5
解説
国際疾病分類ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)とは、異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録・分析・解釈および比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類である。最新の分類は、10回目の改訂版として、1990年の第43回世界保健総会において採択されたものであり、ICD-10 (1990年版)と呼ばれている。
1.〇 正しい。作成したのはWHOである。
2~4.× 障害の階層性を表しているものではない。異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録・分析・解釈および比較を行うためのものである。
5.〇 正しい。我が国の死因統計はこの分類に準拠している。死因統計は死亡診断書および死体検案書をもとに作成され、それらに記載される疾病名の分類にはICDが用いられる。
23 回復期リハビリテーション病棟入院中の脳血管障害患者の在宅復帰支援において適切なのはどれか。
1.入院早期から家屋評価を行う。
2.介護保険を利用し、福祉用具レンタルして外泊訓練を行う。
3.在宅ケアスタッフの情報提供は簡潔にするためになるべく略語を用いる。
4.訪問リハビリテーションスタッフに、病院で行っているリハビリテーション内容を継続するよう申し送る。
5.生活行為向上マネージメント(MTDLP)を用いて入院生活環境のアセスメントを行う。
解答1
解説
急性期を脱したが、まだ自宅に戻れない段階でのリハビリテーションを担当するのが回復期リハビリテーションである。
1.〇 正しい。入院早期から家屋評価を行う。在宅復帰支援において重要であるためである。
2.× 入院中は医療保険が適用され、介護保険を重複して利用することはできない。ただ退院後すみやかに必要なサービスを受けられるように準備する(介護保険申請や区分変更申請)ことが大切である。
3.× 在宅ケアスタッフの情報提供は、意味の取り違えなどのトラブルを防ぐため、なるべく略語は用いないようにする。
4.× 訪問リハビリテーションスタッフに、「病院で行っている内容を継続する」のではなく退院後の生活に合わせたリハビリテーション内容を設定する。
5.× 生活行為向上マネージメント(MTDLP)を用いて、「入院生活環境」ではなく退院後の在宅生活環境のアセスメントを行う。生活行為向上マネジメントとは、作業療法士の包括的な思考過程をわかりやすく表したものである。支援対象者の24時間365日をイメージしつつ、本人のやりたい生活行為に行動計画の焦点が当たるよう設計されている。
24 人間作業モデルについて正しいのはどれか。2つ選べ。
1.人の習慣を評価する。
2.認知症の人には用いない。
3.作業に対する有能感を評価する。
4.作業の満足度を10段階で評価する。
5.運動機能とプロセス技能で構成されている。
解答1/3
解説
人間作業モデルは、キールホフナーによって確立された作業療法の実践モデルである。作業を人間性の保持に必要なものや健康が破綻した後の再調整をするものと位置づけている。どの程度作業に適応しているかを考える要素は、その人の行動を決定するものとして「意志」「習慣化」「遂行技能」の3要素の相互作用と、これに加えて作業を促進するための「環境」を4要素目として挙げている。さらに、この4要素はより細かい10の要素から構成されている。
1.〇 正しい。人間作業モデルでは、人の習慣(習慣化)を評価する。
2.× 人間作業モデルは、精神疾患の種類を問わず適用される。もちろん認知症の人にも用いられる。
3.〇 正しい。作業に対する有能感(意思)を評価する。作業に対する有能感は、「作業がうまくいったのは自分がやったからだ」といった捉え方であり、能力の自己認識(個人的原因帰属)を構成する要素である。なお、「能力の自己認識」は「意志」に含まれる。
4.× 作業の満足度を、「10段階で評価する」のではなく、記述的に評価する。
5.× 運動機能とプロセス技能で構成されていない。運動技能は自分自身や対象物を動かす技能であり、プロセス技能は道具の選び方、使い方などの技能である。これらの技能は、対象者の生活場面での状態を観察することにより日常生活技能を測定する方法であるAMPS (Assessment of Motor and Process Skills)で評価される。
25 パルスオキシメーターで計測する酸素飽和度について正しいのはどれか。
1.健常成人では85%〜90%の値となる。
2.赤色光と赤外光を用いて測定する。
3.血行障害があっても正確である。
4.動脈血酸素分圧に比例する。
5.歩行中は計測できない。
解答2
解説
パルスオキシメータは、プローブを指先や手につけて非侵襲的に脈拍数と経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)をモニターする機器である。
1.× 健常成人では、「85%〜90%」ではなく95~100%の値となる。
2.〇 正しい。赤色光と赤外光を用いて測定する。それらを用い、酸素化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光度の差および心拍動に伴う受光量の変動成分を利用してSpO2を計測する。
3.× 血行障害があると指先や耳など末梢への血流が低下するため、正確な値が測定しにくくなる。
4.× 一定の数式に当てはめて計算するが、比例関係ではない。
5.× 歩行をはじめとした各種運動中でも計測可能である。