第52回(H29) 作業療法士国家試験 解説【午前問題26~30】

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26 右利きの患者の頭部CT(下図)を別に示す。
 最も考えられる症状はどれか。

1. 左半側空間無視
2. 視覚失認
3. 着衣失行
4. 左右失認
5. 片麻痺

解答4

解説

 本症例は、右利きであることから優位半球は左半球である。画像上は、頭頂葉(頭頂連合野:角回)に損傷がみられ、Gerstmann症候群(ゲルストマン症候群)が考えられる。Gerstmann症候群(ゲルストマン症候群)の主症状は①失算、②失書、③手指失認、④左右失認である。よって、Gerstmann症候群の主症状の一つである選択肢4.左右失認である。

1.3.× 左半側空間無視・着衣失行は、劣位半球(この症例の場合は右半球)頭頂葉の障害である。
2.× 視覚失認は、後頭葉の障害で起こる。
5.× 片麻痺は、左右中心前回の障害で起こる。

 

 

 

 

 

 

27 遠城寺式乳幼児分析的発達検査における手の運動で、生後9〜10か月の発達段階であるのはどれか。

1. ガラガラを振る。
2. 積木を2つ重ねる。
3. 鉛筆でぐるぐる丸を書く。
4. 瓶の蓋を開けたり閉めたりする。
5. おもちゃを一方の手から他方に持ち替える。

解答4

解説

1.× ガラガラを振るのは、4~5ヵ月頃にみられる。
2.× 積木を2つ重ねるのは、1歳2~4ヵ月頃にみられる。
3.× 鉛筆でぐるぐる丸を書くのは、1歳6~9ヵ月頃にみられる。
4.〇 正しい。瓶の蓋を開けたり閉めたりするのは、9~10ヵ月頃にみられる。
5.× おもちゃを一方の手から他方に持ち替えるのは、6~7ヵ月頃にみられる。

 

 

 

 

 

 

 

28 Zancolliの四肢麻痺上肢機能分類のC6B3で機能が残存している筋はどれか。2つ選べ。

1. 円回内筋
2. 総指伸筋
3. 深指屈筋
4. 上腕三頭筋
5. 尺側手根伸筋

解答1/4

解説

C6B3は、手関節背屈が強く、円回内筋橈側手根屈筋上腕三頭筋の機能が残存する。基本機能筋群は長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋である。よって、選択肢1.4.円回内筋(C6B2で+)・上腕三頭筋(C6B3で+)が正しい。

2.5.× 総指伸筋・尺側手根伸筋の基本機能筋群はC7である。
3.× 深指屈筋の基本機能筋群はC8である。

 

 

 

 

 

 

29 Colles骨折の合併症で起こりやすいのはどれか。

1. 肘関節脱臼
2. 腋窩神経麻痺
3. 橈骨神経麻痺
4. 正中神経麻痺
5. 長母指屈筋腱断裂

解答4

解説

 コーレス骨折(橈骨遠位端部伸展型骨折)は、橈骨遠位端骨折の1つである。 橈骨が手関節に近い部分で骨折し、遠位骨片が手背方向へ転位する特徴をもつ。合併症には、尺骨突き上げ症候群手根管症候群(正中神経障害)長母指伸筋腱断裂複合性局所疼痛症候群 (CRPS)などがある。よって、選択肢4.正中神経麻痺が正しい。

1.× 肘関節脱臼は、橈骨頭骨折、尺骨鉤状突起骨折、上腕骨外側上顆部の剥離骨折で伴いやすい。
2.× 腋窩神経麻痺は、肩関節周辺の骨折や脱臼、肩関節の打撲、局所の神経圧迫、不良肢位、手術侵襲などで伴いやすい。
3.× 橈骨神経麻痺は、開放創や挫傷、上腕骨骨折や上腕骨顆上骨折などの骨折、圧迫などで伴いやすい。
5.× 長母指屈筋腱断裂は、腱が断裂されるほどの強い衝撃や刃物で切られたりすると起こる。

 

 

 

 

 

 

30 作業療法中の低血糖発作で注意すべきなのはどれか。

1. 深い呼吸
2. 喉の渇き
3. 手の震え
4. 皮膚の乾燥
5. 筋緊張の亢進

解答3

解説

低血糖症状

血糖値が低下するとカテコラミン(インスリン拮抗ホルモン)の分泌が上昇し、交感神経刺激症状が出現する。さらに血糖値が低下すると脳・神経細胞の代謝が低下し、中枢神経症状が出現する。頭痛や空腹感などの比較的軽度な症状から始まるが血糖値が低下し続けると昏睡に至る。低血糖症状は、①自律神経症状と②中枢神経症状に分けられる。①自律神経症状は、冷感・顔面蒼白・頻脈・動悸・発汗・手の震え・空腹感などである。②中枢神経症状は、頭痛・集中力低下・視力低下・痙攣・昏睡などである。

1.× 深い呼吸は、ケトアシドーシスによるクスマウル呼吸のことであり、高血糖時の症状である。
2.× 喉の渇きは、高血糖時の症状である。
3.〇 正しい。手の震えは、低血糖発作時の自律神経症状としてみられる。作業療法中の低血糖発作で注意すべきである。
4.× 低血糖時、皮膚の乾燥は起こらず、むしろ皮膚は湿潤する。
5.× 低血糖時、筋緊張の亢進は起こらず、むしろ筋緊張低下し、熱産生が抑制される。

 

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