第52回(H29) 理学療法士国家試験 解説【午後問題76~80】

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76 突然の右不全片麻痺を呈して搬送された患者の発症後6時間の頭部CTを示す。最も考えられるのはどれか。

1. 視床出血
2. 被殻出血
3. 皮質下梗塞
4. くも膜下出血
5. 慢性硬膜下血腫

解答:2

解説

 この頭部CTは、視床レベルの水平断である。被殻が出血していることが分かる。よって、選択肢2. 被殻出血が正しい。CTやMRI画像を見るときは、どこの断面レベルか?を意識して見ると良い。

 

1.× 視床出血は、出血部位よりも内側後方にある。部位が異なる。
3.× 皮質下梗塞などの発症後6時間の超急性期の脳梗塞は、通常CTでは写らない。時間の経過とともに、CTにいて低吸収域を呈する。そのため、NRIの拡散強調像などで判断する。
4.× くも膜下出血の特徴として、シルビウス溝や脳底槽などくも膜下に高吸収域がみられる。
5.× 慢性硬膜下血腫の特徴として、三日月形の高吸収の血腫像となる。

 

 

 

 

 

77 ワルファリンの作用を減弱させるのはどれか。

1. ビタミンA
2. ビタミンB6
3. ビタミンB12
4. ビタミンC
5. ビタミンK

解答:5

解説

 ビタミンKの主要な作用は、血液凝固に関与する機能。 そのため、ビタミンKが欠乏すると、血液凝固に時間がかかり、出血が止まりにくくなる。反対にビタミンKを取りすぎると血液凝固してしまう。ワルファリン(Warfarin)は、抗凝固剤である。つまり、血液サラサラにする薬である。ワルファリンと相反する作用である。よって、選択肢5.ビタミンKが正しい。

 

1.× ビタミンAは、正常な視覚に必要である。なぜなら、ロドプシン(視覚色素)の原料となるため。
2.× ビタミンB6は、アミノ酸・ヘム合成・神経伝達物質の合成などに関わる。
3.× ビタミンB12は、葉酸とともに、赤血球や神経細胞中の核酸合成に関わっている。
4.× ビタミンCは、抗酸化作用をもち、多くのホルモン合成や薬物代謝に関わる。

 

 

 

 

78 正常な肉芽の特徴はどれか。

1. 感染しやすい。
2. 乾燥している。
3. 出血しやすい。
4. 白色である。
5. 分泌物が多い。

解答:3

解説

 肉芽とは、外傷により生体組織が欠損した際や、炎症などの際、その部分に増殖する若い組織である。たとえば皮膚創傷の治癒時に、創面に赤い芽のような柔らかい顆粒として見られる。成分は繊維芽細胞、毛細血管、遊走細胞などである。組織の再生、器質化などに際して重要な役割を果たし、その役割を終えると瘢痕となる。よって、選択肢3.出血しやすい。が正しい。

 

1.× 「感染しやすい」のではなく、起こりにくい。なぜなら、肉芽組織は、痂皮(かひ:かさぶた)で覆われており、外界と接触しないため。
2.× 「乾燥している」のではなく、湿潤に保たれている。創傷による組織欠損部に痂皮が形成され、その中で豊富な新生血管、線維芽細胞から肉芽組織を形成する。その新生血管は内皮細胞間の接着が不完全であるため、血管内液が漏れやすく、また血管内からの細胞の通過も可能である。
4.× 「白色」ではなく新紅色である。
5.× 分泌物は、「多い」のではなく少ない。盛んに増殖する線維芽細胞と新生血管により創傷部位が置換され、最後は膠原線維のみが残り、線維化(瘢痕化)となる。

 

 

 

 

 

79 意識することなく再生される記憶はどれか。

1. 即時記憶
2. 意味記憶
3. 近時記憶
4. 手続き記憶
5. エピソード記憶

解答:

解説

1.✖ 即時記憶は、数秒~1分程度の記憶のことをいう。
2.✖ 意味記憶(陳述記憶)は、言語、社会的常識、専門的知識をいう。
3.✖ 近時記憶は、数分~数日の記憶のことをいう。
4.〇 手続き記憶は、スポーツ技能の習得など、いわば『体で覚える』記憶をさす。意識することなく再生できる。
5.✖ エピソード記憶(陳述記憶)は、生活史など、自分の過去の経験を伴う記憶をいう。

 

 

 

 

 

80 Erikson による発達段階で老年期に獲得すべき課題はどれか。

1.親密
2.統合
3.勤勉
4.自律
5.同一性

解答:2

解説

エリクソンのライフライクル理論(心理社会的発達理論)

【乳児期】基本的信頼感vs不信感
【幼児前期】自律性vs恥・羞恥心
【幼児後期】積極性(自発性)vs罪悪感
【児童期・学齢期】勤勉性vs劣等感
【青年期】同一性(アイデンティティ)vs同一性の拡散
【成人期】親密性vs孤立
【壮年期】世代性vs停滞性
【老年期】自己統合(統合性)vs絶望

よって、選択肢2.統合が正しい。老年期に獲得すべき課題である。

 

1.× 親密は、成人期に獲得すべき課題である。
3.× 勤勉は、学童期に獲得すべき課題である。
4.× 自律は、乳児前期に獲得すべき課題である。
5.× 同一性は、青年期に獲得すべき課題である。

 

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