第51回(H28) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午後問題86~90】

 

86 痛風について正しいのはどれか。

1. 女性に多い。
2. 80代に多い。
3. 多臓器に症状を起こす。
4. るいそうに合併しやすい。
5. ピロリン酸カルシウム結晶が関節に沈着する。

解答3

解説

1.× 女性ではなく、男性に多い。
2.× 80代ではなく、30~60歳代に多い。
3.〇 正しい。多臓器(関節や耳介・骨・腎など)に症状を起こす。
4.× るいそうではなく、肥満に合併しやすい。るいそうとは、やせの程度が著しい状態である。
5.× ピロリン酸カルシウム結晶が関節に沈着するのは、痛風ではなく偽痛風である。痛風は、尿酸ナトリウムの結晶が関節に沈着する。

 

 

 

 

 

 

87 CRPS(複合性局所疼痛症候群)に関連するのはどれか。

1. Dupuytren拘縮
2. Volkmann拘縮
3. Sudeck骨萎縮
4. 無腐性壊死
5. 異所性骨化

解答3

解説

 複合性局所疼痛症候群(CRPS)とは、「外傷などによる組織損傷後に、疼痛がその原因の程度とは不釣合いに強く長期にわたって持続し、さらに原因と直接因果関係のない浮腫・皮膚血流変化や発汗異常を伴う慢性疼痛症候群」のことをいう。

 

1.× Dupuytren拘縮(デュピュイトラン拘縮)とは、手掌腱膜の肥厚による屈曲拘縮である。外傷糖尿病長期のアルコール多飲などが誘引になりうる。また発生率には人種差があり、遺伝的な要因が関与していると考えられている。
2.× Volkmann拘縮(フォルクマン拘縮)とは、前腕屈筋群に生じる区画(コンパートメント)症候群である。原因は、血行障害や、小児は上腕骨顆状骨折でよくみられる重大な合併症である。
3.〇 正しい。Sudeck骨萎縮(ズディック骨萎縮)は、外傷を契機とした交感神経の異常で反射性交感神経性ジストロフイーによるものとされている。病態は、骨折などの外傷の後、骨折の手術の後に急速に自発痛、運動痛、浮腫と共に著明な骨萎縮を来す。
4.× 無腐性とは、非感染性のことである。無腐性壊死は、血流条件の悪い大腿骨頚部・手舟状骨・距骨・上腕骨解剖頚の骨折によって栄養静脈が損傷を受け、血行が遮断されることで骨折片が壊死に陥る。
5.× 異所性骨化とは、骨組織のない部位に異常骨形成(関節周囲の軟骨形成)が生じる。骨折・脊髄損傷の合併症として起こる。

複合性局所疼痛症候群(CRPS)に関与するもの

カウザルギー
反射性交感神経性ジストロフィー
肩手症候群
外傷後ジストロフィー
Sudeck骨萎縮
交感神経性持続疼痛など

 

 

 

 

 

 

 

88 右後下小脳動脈の閉塞で発症した脳梗塞でみられないのはどれか。

1. 右片麻痺
2. 右眼瞼下垂
3. 右小脳性運動失調
4. 右顔面温痛覚障害
5. 左上下肢温痛覚障害

解答1

解説

Wallenberg症候群(延髄外側症候群)とは?

Wallenberg症候群(延髄外側症候群)は、椎骨動脈、後下小脳動脈の閉塞により延髄外側の梗塞を来す疾患である。①梗塞と同側の顔面感覚障害(温痛覚)、②梗塞と同側の運動失調(上下肢の動かしづらさ)、③梗塞と同側のホルネル(Horner)症候群(一側眼の瞼裂狭小化、縮瞳、眼球陥凹)、④梗塞と反対側の半身感覚障害(頸から下の温痛覚)、⑤嗄声、嚥下障害、⑥回転性めまい、眼振、⑦味覚障害が生じる。

(※参考:「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会報告書」厚生労働省HPより)

よって、選択肢1.右片麻痺が症状としてみられない。

2.〇 右眼瞼下垂は、Horner症候群に含まれる。三大徴候として、中等度縮瞳・眼瞼下垂(眼裂狭小)・眼球陥凹(眼球後退)である。
3~5.〇 右小脳性運動失調/右顔面温痛覚障害/左上下肢温痛覚障害は症状としてみられる。

 

 

 

 

 

 

89 Guillain-Barré症候群について正しいのはどれか。

1. 高頻度に再発する。
2. 痙性麻痺が中核症状である。
3. 運動麻痺は一側性に進行する。
4. 髄液に異常所見が認められる。
5. ステロイドパルス療法が有効である。

解答4

解説

”Guillain-Barré症候群とは?”

Guillain-Barré(ギラン・バレー)症候群は、先行感染による自己免疫的な機序により、炎症性脱髄性ニューロパチーをきたす疾患である。一般的には細菌・ウイルスなどの感染があり、1~3週後に両足の筋力低下(下位運動ニューロン障害)や異常感覚(痺れ)などで発症する。感覚障害も伴うが、運動障害に比べて軽度であることが多く、他覚的な感覚障害は一般に軽度である。初期症状として、歩行障害、両手・腕・両側の顔面筋の筋力低下、複視、嚥下障害などがあり、これらの症状はピークに達するまでは急速に悪化し、時には人工呼吸器が必要になる。症状が軽い場合は自然に回復するが、多くの場合は入院により適切な治療(免疫グロブリン静注療法や血液浄化療法など)を必要とする。症状は6か月から1年程度で寛解することが多い。臨床検査所見として、①髄液所見:蛋白細胞解離(蛋白は高値,細胞数は正常)を示す。②電気生理学的検査:末梢神経伝導検査にて、脱神経所見(伝導ブロック、時間的分散、神経伝導速度の遅延、複合筋活動電位の低下など)がみられる。複合筋活動電位が消失あるいは著明な低下し、早期から脱神経所見を示す症例は、一般に回復が悪く機能的予後も不良である。

(※参考:「重篤副作用疾患別対応マニュアル ギラン・バレー症候群」厚生労働省様HPより)

1.× 高頻度に再発するのは、Guillain-Barré症候群ではなく、多発性硬化症の特徴である。Guillain-Barré症候群の再発率は2~5%程度である。
2.× 痙性麻痺ではなく、弛緩性運動麻痺が中核症状である。
3.× 運動麻痺は、一側性ではなく左右対称性に進行する。重症例では、四肢麻痺や呼吸筋麻痺となる。
4.〇 正しい。髄液に異常所見が認められる。髄液中の蛋白細胞解離(蛋白質上昇、細胞数変動なし)がみられる。
5.× ステロイドパルス療法が有効ではない。ステロイドパルス療法とは、1gのステロイドを3日間連続で点滴することを1クールとして疾患によって1~3クール行う治療法である。軽症例は保存的治療、中等症以上は免疫グロブリン大量静注や血液浄化療法(単純血漿交換など)を行う。

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

 

 

90 慢性閉塞性肺疾患の急性増悪時の動脈血ガス分析の所見はどれか。

1. 酸素分圧低下、二酸化炭素分圧低下
2. 酸素分圧低下、二酸化炭素分圧正常
3. 酸素分圧低下、二酸化炭素分圧上昇
4. 酸素分圧正常、二酸化炭素分圧低下
5. 酸素分圧正常、二酸化炭素分圧上昇

解答3

解説

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は閉塞性換気障害(呼気を吐き出すことができない病態)である。重症例は肺胞低換気により、Ⅱ型の呼吸不全を来す。したがって、動脈血ガス中の酸素分圧の低下(PaO2≦60Torr)と、同時に肺胞低換気による二酸化炭素分圧の上昇(PaCO2>45Torr)を来す。よって、選択肢3.酸素分圧低下、二酸化炭素分圧上昇が正しい。

 

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