第50回(H27) 作業療法士国家試験 解説【午前問題41~45】

 

41 うつ状態の評価を含む尺度はどれか。2つ選べ。

1.BPRS
2.POMS
3.TEG
4.WAIS-Ⅲ
5.WCST

解答1/2

解説
1.〇 正しい。BPRS(Brief Psychiatric Rating Scale:簡易精神症状評価尺度)は、うつ状態の評価を含む尺度である。18項目のうちのいくつかは「抑うつ気分」など、うつ状態の評価に関連する。医師が症状を評価する。他にも特徴として、①20分程度で実施できる簡易評価尺度である。②陰性症状の評価に向いていることがあげられる。
2.〇 正しい。POMS(Profile of mood states:気分プロフィール検査)は、うつ状態の評価を含む尺度である。最近1週間の気分の状態(緊張、抑うつ、怒り、活気、疲労、混乱の6尺度)を測定するものである。被検者が答える質問紙法の検査である。
3.× TEG(Tokyo University Egogram:東大式エゴグラム)は、性格検査である。観察可能な行動(言語、声音、表情、ジェスチャー、姿勢、行動)から5つの自我状態に分類し、被検者の各自我状態の発生頻度を棒グラフで示す。
4.× WAIS-Ⅲ(ウェクスラー式の知能検査)は、16歳以上の成人が対象である知能検査である。
5.× WCST(Wisconsin Card Sorting Test)は、前頭葉の実行機能(高次脳機能障害)の検査である。①計画を立てること、②計画を達成するためにとるべき行動を決めること、③状況の変化に対応すること、④衝動的に行動することを抑えることなどの前頭葉の実行機能を調べる検査である。提示されたトランプのようなカードを、色・数・形のどれに基づいて分類するかを判断する。

 

 

 

 

 

 

42 認知症患者の作業課題で適切でないのはどれか。

1.壊れにくい素材での課題
2.道具を使わない課題
3.少ない工程の課題
4.短時間の課題
5.精密な課題

解答5

解説
1.〇 正しい。壊れにくい素材での課題を行う。なぜなら、素材を壊して食べたり、壊れた断端でけがをしたりなどの恐れがあるため。
2.〇 正しい。道具を使わない課題を行う。なぜなら、道具を使う作業は複雑になることが多く,負担が大きいため。
3.〇 正しい。少ない工程の課題を行う。なぜなら、複雑な工程の作業は負担が大きいため。
4.〇 正しい。短時間の課題を行う。なぜなら、集中できる時間が限られているため。
5.× 精密な課題は控える。なぜなら、認知症患者には理解が難しく負担が大きいため。

 

 

 

 

 

 

43 前頭側頭型認知症患者の作業療法でみられる特徴はどれか。

1.同内容の言葉を繰り返す。
2.横道にそれない。
3.約束が守れる。
4.我慢が出来る。
5.品格がある。

解答1

解説

前頭側頭型認知症(Pick病)とは?

 認知症のーつである脳血流量の低下や脳萎縮により人格変化、精神荒廃が生じ、植物状態におちいることがあり、2~8年で衰弱して死亡することが多い。

【病理所見】
前頭葉と側頭葉が特異的に萎縮する。

【症状】
①初発症状は、人格障害・情緒障害など。
②病期前半:記憶障害・見当識障害はほとんどみられない。
③性的逸脱行為(見知らぬ異性に道で抱きつくなど)がみられる。
④滞続言語(何を聞いても自分の名前や生年月日など同じ語句を答える)

1.〇 正しい。同内容の言葉を繰り返すこと(滞続言語)は、前頭側頭型認知症患者の作業療法でみられる特徴である。
2.× 会話中、横道にそれることが多い。よく冗談を言い、話が横道にそれてしまう。
3.× 約束は、守れないことが多い。なぜなら、人格障害がおこるため。
4.× 我慢は、出来ないことが多い。人格障害が目立ち、我慢ができず、衝動行為や脱抑制がみられる。
5.× 品格は、乏しいことが多い。抑制の効かない反社会的な行動(万引き)がみられる。

 

 

 

 

 

 

44 統合失調症の回復期前期での目標について適切なのはどれか。

1.現実生活への移行
2.施設内生活の自立
3.生活の質の向上
4.生活技能の改善
5.社会への参加

解答1

解説

統合失調症の回復期の作業療法のポイント

①急性期後の身体的・精神的疲弊のため、休養を十分にとる。
②簡単な身辺処理の活動(洗面・入浴・更衣など)を促す。
③生活リズムの確立を図る。
④活動量を少しずつ増やす。
⑤少しずつ現実世界へ関心を向ける。

1.〇 正しい。現実生活への移行を徐々に進めていく。
2~5.× 施設内生活の自立/生活の質の向上/生活技能の改善/社会への参加は、維持期の目標である。

 

 

 

 

 

 

45 うつ病患者の作業療法での留意点で適切なのはどれか。

1.経験のある課題を選ぶ。
2.選択する課題を増やす。
3.自己決定場面を減らす。
4.規則的な参加を促す。
5.意欲を引き出す。

解答3

解説

 うつ病の作業療法について、うつ病では意欲低下、精神運動抑制などの症状のため、自己評価が低く、疲労感が強い。そのため、負荷が小さく、自信を回復させるような作業が適切である。病前のようには作業ができないことから自責や自信を無くしてしまうことがあるため配慮が必要である。

うつ病の作業療法の選択基準
  1. 工程がはっきりしたもの。
  2. 短期間で完成できるもの。
  3. 安全で受け身的で非競争的なもの。
  4. 軽い運動。

1.× 経験のある課題を選ぶ必要はない。なぜなら、病前に経験のある課題は、病前のように作業ができない場合に自信を失う恐れがあるため。
2.× 選択する課題を増やすのではなく、減らす。なぜなら、うつ病患者の特徴として物事を決められないため。選択が多い課題は不適切である。
3.〇 正しい。自己決定場面を減らす。選択肢2と同様に、自己決定場面を減らし、作業場面での戸惑いを軽減する。
4.× 規則的な参加を促す必要はない。なぜなら、調子が悪い時に無理に参加を促すと、むしろ症状を悪化させる恐れがあるため。
5.× 意欲を引き出す必要はない。なぜなら、うつ病患者の思考・動作は静止状態にあるため。無理に意欲を引き出さず、自分のペースでできるようにする。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)