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16 55歳の男性。うつ病。3か月前に昇格し研修部門の責任者となった。最近になり睡眠障害と気分の落ち込みとが出現した。職場では研修予定が立てられない、報告書の提出が遅れるなど仕事がこなせなくなった。心配した上司に勧められて精神科を受診し、休職することになった。
この時点の作業療法で適切なのはどれか。2つ選べ。
1.楽しい体験を勧める。
2.休息の重要性を伝える。
3.作業活動時間は短くする。
4.生活課題への取り組みを始める。
5.能力向上のための課題を提供する。
解答2/3
解説
うつ病の作業療法について、うつ病では意欲低下、精神運動抑制などの症状のため、自己評価が低く、疲労感が強い。そのため、負荷が小さく、自信を回復させるような作業が適切である。病前のようには作業ができないことから自責や自信を無くしてしまうことがあるため配慮が必要である。
1.× 楽しい体験を勧める必要はない。なぜなら、楽しい体験も時として負担になるため。負担にならないような気分転換の方法を検討する。
2.〇 正しい。休息の重要性を伝える。うつ病に多い性格として、几帳面であったり約束を遵守する背景がある。しかし、まずは急性期のうつ病患者に必要なことは、安静と休息である。
3.〇 正しい。作業活動時間は短くする。なぜなら、疲労感を感じやすいため。そうすることで、作業量の調節がしやすく、休んでも再開しやすい。
4.× 生活課題への取り組みを始める必要はない。なぜなら、それは回復期の課題であるため。
5.× 能力向上のための課題を提供する必要はない。なぜなら、それは負担が大きく、むしろ症状を悪化させるため。
次の文により17、18の問いに答えよ。
20歳の男性。統合失調症。専門学校に通っていたが、いじめをきっかけに引きこもる生活となった。次第に容姿を批判される幻聴が生じ、不穏興奮状態となって精神科に入院した。3週後、不穏興奮は落ち着いたため作業療法が開始されたが、抑うつ気分の訴え、睡眠過剰および無力感などの状態がみられていた。
17 この患者の回復指標として適切なのはどれか。
1.億劫さを訴える。
2.発語が減少する。
3.退屈感を訴える。
4.異常体験を訴える。
5.作業手順が混乱する。
解答3
解説
急性期の不穏・興奮が落ち着いた後、患者は抑うつ気分・睡眠過剰・無力感を訴えることが多い。これは急性期を終えた患者が、現在は回復期の前段階である状態にあることを示している。この状態を「精神病後抑うつ」という。
1~2,4~5.× 億劫さを訴える/発語が減少する/異常体験を訴える/作業手順が混乱するのは、いまだ「精神病後抑うつ」状態にあることを示している。
3.〇 正しい。退屈感を訴える。退屈感の訴えは、健常者にもみられるもので、精神的・身体的にエネルギーが回復しているととらえられる。
次の文により17、18の問いに答えよ。
20歳の男性。統合失調症。専門学校に通っていたが、いじめをきっかけに引きこもる生活となった。次第に容姿を批判される幻聴が生じ、不穏興奮状態となって精神科に入院した。3週後、不穏興奮は落ち着いたため作業療法が開始されたが、抑うつ気分の訴え、睡眠過剰および無力感などの状態がみられていた。
18 作業療法を開始してまもなく「学校に戻れるだろうか」と不安を訴えた。作業療法士の対応で適切なのはどれか。
1.「勉強を取り入れていきましょう」
2.「生活リズムから整えていきましょう」
3.「スポーツで体力の向上を図りましょう」
4.「集団レクリエーションに参加してみましょう」
5.「SSTに参加して対人関係の練習をしてみましょう」
解答2
解説
本症例は、作業療法を開始してまもなく「学校に戻れるか」と不安を訴えている。この発言から、急性期の後期~回復期の初期の段階であると判断できる。したがって、負担の大きい課題は避けながら心身の基本的な機能の回復が目標となる。したがって、選択肢2.「生活リズムから整えていきましょう」が正しい。
1.× 勉強を勧めるのは、不適切である。なぜなら、現時点では集中力・持続力の回復はまだ不十分であり負担が大きいため。
3.× スポーツで体力の向上を勧めるのは過負荷であるため不適切である。仮にスポーツを実施するにしても、競争しないスポーツにするなど注意が必要である。
4.× 集団レクリエーションの参加を促すのは、負担が大きい。集団での活動は、回復期後期の目標である。
5.× SSTに参加し、対人関係の練習を促すのは、負担が大きい。対人関係の練習は、回復期後期の目標である。SST(Social Skills Training:社会生活技能訓練) とは、社会生活を送るうえでの技能を身につけ、ストレス状況に対処できるようにする集団療法の一つである。
次の文により19、20の問いに答えよ。
10歳の男児。学業成績は中位だが授業中に落ちつきがなく、隣の子に一方的に話しかける、落書きをする、忘れ物をするなどでよく注意を受けていた。片付けも苦手で自室は乱雑であった。心配した母親と共に精神科を受診し、外来作業療法が開始された。
19 この男児に予測される作業療法での様子はどれか。
1.同じ動作を繰り返す。
2.根拠のない自信を示す。
3.道具をしばしばなくす。
4.詳細を作業療法士に確認する。
5.手順にこだわって作業をする。
解答3
解説
本症例は不注意、多動性が認められるため、注意欠如・多動性障害(ADHD)と判断できる。他の症状として、衝動性があげられる。
1.× 同じ動作を繰り返す(常同行動)は、主に自閉症でみられる。
2.× 根拠のない自信を示すことはない。むしろ注意叱責されることが多いため、自己評価は低いことが多い。
3.〇 正しい。道具をしばしばなくす。なぜなら、不注意が症状としてあげられるため。
4.× 詳細を作業療法士に確認するのは、強迫性障害の特徴である。注意欠如・多動性障害(ADHD)の特徴としては、待つことが苦手(衝動性)である。したがって、人の話を最後まで聞かず作業を始めてしまい,再び説再び説明を求めることが多い。
5.× 手順にこだわって作業をするのは、主に自閉症でみられる。
次の文により19、20の問いに答えよ。
10歳の男児。学業成績は中位だが授業中に落ちつきがなく、隣の子に一方的に話しかける、落書きをする、忘れ物をするなどでよく注意を受けていた。片付けも苦手で自室は乱雑であった。心配した母親と共に精神科を受診し、外来作業療法が開始された。
20 この男児に対する作業療法での対応で適切なのはどれか。
1.小集団活動に導入する。
2.強い口調で指示を伝える。
3.ほめずに見守りを重視する。
4.作業手順を詳細に説明する。
5.問題行動には触れずにおく。
解答1
解説
作業療法でのADHD児に対する支援は、叱責せずに、個別に近い対応で作業を粘り強く支援していくことが大切である。
1.〇 正しい。小集団活動に導入する。叱責せずに、個別に近い対応で作業を粘り強く支援していく。
2.× 指示は、「強い口調」ではなく、粘り強く叱責しないよう伝える。強い口調での指示は、叱責と受け止められやすく、自信喪失や自尊心の低下につながりやすいため。
3.× 「ほめずに」見守りを重視するのではなく、ほめた方が良い。ほめることで自信をつけさせ、自尊心の回復を図る。
4.× 作業手順を、「詳細に説明する」のではなく、短く明快に指示することが必要である。
5.× 問題行動には、「触れない」のではなく、その場で指摘・改善を図る。この積み重ねが適応的な行動パターンの獲得につながる。