第49回(H26) 作業療法士国家試験 解説【午前問題26~30】

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26 認知症の行動観察評価はどれか。2つ選べ。

1.Clinical dementia rating(CDR)
2.認知症状評価尺度(GBSスケール)
3.Mini mental state examination(MMSE)
4.国立精研式認知症スクリーニングテスト
5.改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)

解答1/2

解説
1.〇 正しい。Clinical dementia rating(CDR:臨床的認知症尺度)は、記憶を中心とした認知機能障害の重症度評価尺度である。
2.〇 正しい。認知症状評価尺度(GBSスケール)は、GBS-A(知的機能)、GBS-B(自発性)、GBS-C(感情機能)、GBS-D(その他の精神症状)、GBS-E(運動機能)の項目で構成され、ある程度量的な測定が可能である。
3~5× Mini mental state examination(MMSE)、国立精研式認知症スクリーニングテスト、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)は、認知機能をみる簡易精神機能検査である。

 

 

 

 

 

 

27 高次脳機能障害に対する作業療法の組合せで適切なのはどれか。

1.純粋失読:なぞり読み
2.物体失認:物品の色名呼称
3.手指失認:握り・放しの運動
4.地誌的障害:都道府県名の列挙
5.左半側空間無視:絵の呼称

解答1

解説
1.〇 正しい。純粋失読に対する「なぞり読み」の作業療法の組合せは適切である。純粋失読は、自発語、書字、聴理解は保たれているのに、文字の理解や音読ができないものである。なぞり読み空書など運動覚促進効果を期待した訓練をすると良い。ちなみに、なぞり読みとは、日本語であれば、左から1文字ずつ順番に読んでいく、従来通りの読み方である。一方、ブロック読みとは、複数の文字の意味を同時にいっぺんに読み取る読み方である。
2.× 物体失認は、物体の視覚性認知が困難となる。そのため、触覚や使用時の音など、他の感覚を利用して認知を促す。
3.× 手指失認とは、自分の指が「何指」かがわからず、「人差し指」と言われてもその指を表示できないといったことである。握り・放しの運動は、主に麻痺に対して行う。
4.× 地誌的障害とは、熟知した場所がわからなくなったり、その場所を思い出したできなくなるものである。都道府県名の列挙は、主に認知面の低下(言葉の流暢性)に対して行う。
5.× 左半側空間無視では、左側に対する意識付けのために、患側に頭や目を向けさせる指導を繰り返し行ったり、食器など日常使用する物品の配置を工夫したりして順応できるようにする。左半側空間無視は、主にプリズム療法を行う。

 

 

 

 

 

28 CI療法(constraint-induced movement therapy)について適切なのはどれか。

1.Brunnstrom法ステージ上肢Ⅱ、手指Ⅱに適応となる。
2.段階的に麻痺側上肢の使用を促す訓練方法を用いる。
3.重度の感覚障害の患者に高い効果が期待できる。
4.毎日1時間の練習を2週間実施する。
5.急性期の患者に用いる。

解答2

解説

(※図引用:「CI 療法の理論と実際*兵庫医科大学リハビリテーション医学教室 著:道免和久」より)

CI療法とは?

CI療法とは、脳卒中片麻痺上肢に対するリハビリテーションの1つであり、非麻痺側上肢の運動を制限し、麻痺側上肢の運動を誘導しようとする治療法である。脳卒中ガイドラインでも推奨されている。

1.× Brunnstrom法ステージ上肢Ⅱ、手指Ⅱ(一般的に重度麻痺レベルの患者)は、適応基準を満たさない。
2.〇 正しい。非麻痺側上肢を2週間拘束し、麻痺側上肢を段階的・集中的に訓練する。
3.× 「重度の感覚障害」ではなく運動障害の患者に高い効果が期待できる。運動機能の向上は期待できるが、感覚障害の改善効果は低い。
4.× 「毎日1時間」ではなく、1日5時間の練習を2週間実施する。
5.× 「急性期のみ」ではなく、慢性期の患者にも適応可能である。

 

 

 

 

 

 

29 FIMの評定で正しいのはどれか。

1.更衣(上半身)7点:上着をたんすから出してもらえば着替えられる。
2.トイレ動作6点:服の上げ下ろしをする際に手すりを使用する。
3.食事5点:咀嚼力が弱いため、あらかじめ軟らかく調理してもらう。
4.整容4点:ホルダー付きの歯ブラシを使用すれば歯磨きができる。
5.表出3点:「水」、「トイレ」などの単語で意思を伝えることができる。

解答2

解説
1.× 上着をたんすから出してもらえば着替えられるのは、「更衣(上半身)7点」ではなく5点である。
2.〇 正しい。服の上げ下ろしをする際に手すりを使用すること(手すりを使用しているが介助不要であるため修正自立)は、トイレ動作6点である。
3.× 咀嚼力が弱いため、あらかじめ軟らかく調理してもらうこと(食事動作そのものは自立しているため修正自立)は、「食事5点」ではなく6点である。
4.× ホルダー付きの歯ブラシを使用すれば歯磨きができること(ホルダー付きの歯ブラシがあれば整容動作は自立しているため修正自立)は、「整容4点」ではなく6点である。
5.× 「水」、「トイレ」などの単語で意思を伝えることができること(表出において、単語、ジェスチャー、Yes/No)は、「表出3点」ではなく2点である。

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30 Horner症候群で正しいのはどれか。

1.散瞳
2.眼瞼下垂
3.発汗亢進
4.眼球突出
5.皮膚冷感

解答2

解説

Horner症候群(ホルネル、ホルナー症候群)

Wallenberg症候群に併発することが多い。Horner症候群はC8~T2の交感神経の障害によって起こる。瞳孔を支配する交感神経の障害により、①縮瞳、②軽微な眼瞼下垂、③眼裂狭小、④顔面の発汗低下などがみられる。

1.× 「散瞳」ではなく縮瞳が見られる。
2.〇 正しい。眼瞼下垂は、Horner症候群の症状である。
3.× 「発汗亢進」ではなく病側顔面の発汗低下がみられる。
4.× 「眼球突出」ではなく眼球陥凹がみられる。視力低下、眼球運動の障害は見られない。
5.× 「皮膚冷感」ではなく紅潮がみられる。

Wallenberg症候群(延髄外側症候群)とは?

Wallenberg症候群(延髄外側症候群)は、椎骨動脈、後下小脳動脈の閉塞により延髄外側の梗塞を来す疾患である。①梗塞と同側の顔面感覚障害(温痛覚)、②梗塞と同側の運動失調(上下肢の動かしづらさ)、③梗塞と同側のホルネル(Horner)症候群(一側眼の瞼裂狭小化、縮瞳、眼球陥凹)、④梗塞と反対側の半身感覚障害(頸から下の温痛覚)、⑤嗄声、嚥下障害、⑥回転性めまい、眼振、⑦味覚障害が生じる。

(※参考:「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会報告書」厚生労働省HPより)

 

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