第48回(H25) 作業療法士国家試験 解説【午後問題36~40】

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36 手背部と前腕部の熱傷における急性期の安静肢位として正しいのはどれか。2つ選べ。(※不適切問題:解答なし)

1.DIP関節伸展位
2.PIP関節屈曲位
3.MP関節伸展位
4.手関節屈曲位
5.前腕回外位

解答 なし(採点除外)
理由:設問が不十分で正解が得られないため。

解説

前腕部の「どこ」に熱傷があるのか記載がないため、不適切問題となったと考えられる。熱傷部位はそのままにしておくと、瘢痕化し関節が拘縮するため、拘縮を予防できる肢位で固定する必要がある。

1.〇 正しい。DIP関節伸展位に保持する。なぜなら、手背の熱傷により、総指伸筋腱・腱鞘が障害されると、MP関節過伸展PIP・DIP関節屈曲位の拘縮が起こりやすいため。
2.× PIP関節は、屈曲位ではなく、伸展位を保つ。
3.× MP関節は、伸展位ではなく、屈曲位を保つ。
4.× 手関節は、屈曲位(掌屈位)ではなく、軽度伸展位(軽度背屈位)を保つ。
5.△ 前腕回外位と断定できない。なぜなら、前腕部の「どこ」に熱傷があるのか記載がないため。

 

参考にしてください。

理学療法士国家試験 熱傷についての問題7選「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

37 障害者の就労について正しいのはどれか。

1.トライアル雇用は12 か月実施できる。
2.障害者もハローワークで職業紹介を受けられる。
3.ジョブコーチは保健所配置の専門職員のことである。
4.民間企業に対する障害者雇用率は10 %と規定されている。
5.利用開始時に65歳以上では就労継続支援A型を利用する。

解答2

解説
1.× トライアル雇用は、12 か月ではなく、原則3か月実施できる。トライアル(試行)雇用とは、ハローワーク(公共職業安定所)の紹介により、障害者や就労に何らかの支援を要する者を試用雇用する制度である。
2.〇 正しい。障害者もハローワーク(公共職業安定所)で職業紹介を受けられる。ハローワーク(公共職業安定所)では、職業相談、職業紹介、求人確保、事業主に対する助言・窓口などの業務を行うほか、就職後の障害者に対する助言、指導も行っている。
3.× ジョブコーチ(職場適応援助者)は、保健所配置の専門職員ではない。ジョブコーチとは、障害者が一般の職場でスムーズに働けるように、障害者と企業の双方を支援する就労支援の専門職のことで、障害者職業センター、民間社会福祉法人または障害者を雇用する企業に所属する。
4.× 民間企業に対する障害者雇用率は、10%ではなく2%と規定されている。障害者の雇用率は、事業主に対し、その雇用する労働者に占める身体障害者・知的障害者の割合が一定率以上になるよう義務づけられている。
5.× 利用開始時に65歳以上でも就労継続支援A型は利用できない。そもそも就労継続支援A型は、通常の事業所に雇用されることが困難であり雇用契約に基づく就労が可能である者を対象としている。つまり、年齢によって利用権限があるわけではない。

障害者総合支援法に基づく障害者の就労支援事業

①就労移行支援事業:利用期間2年
【対象者】一般就労等を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探し等を通じ、適性に合った職場への就労等が見込まれる障害者(65歳未満の者)①企業等への就労を希望する者
【サービス内容】一般就労等への移行に向けて、事業所内や企業における作業や実習、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援等を実施。通所によるサービスを原則としつつ、個別支援計画の進捗状況に応じ、職場訪問等によるサービスを組み合わせ。③利用者ごとに、標準期間(24ヶ月)内で利用期間を設定する。

②就労継続支援A型(雇用型):利用期限制限なし
【対象者】就労機会の提供を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上を図ることにより、雇用契約に基づく就労が可能な障害者。(利用開始時、65歳未満の者)
① 就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者
② 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者
③ 企業等を離職した者等就労経験のある者で、現に雇用関係がない者
【サービス内容】通所により、雇用契約に基づく就労の機会を提供するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者について、一般就労への移行に向けて支援。一定の範囲内で障害者以外の雇用が可能。多様な事業形態により、多くの就労機会を確保できるよう、障害者の利用定員10人からの事業実施が可能。

③就労継続支援B型(非雇用型):利用制限なし
【対象者】就労移行支援事業等を利用したが一般企業等の雇用に結びつかない者や、一定年齢に達している者などであって、就労の機会等を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上や維持が期待される障害者
① 企業等や就労継続支援事業(A型)での就労経験がある者であって、年齢や体力の面で雇用されることが困難となった者
② 就労移行支援事業を利用したが、企業等又は就労継続事業(A型)の雇用に結びつかなかった者
③ ①、②に該当しない者であって、50歳に達している者、又は試行の結果、企業等の雇用、就労移行支援事業や就労継続支援事業(A型)
の利用が困難と判断された者
【サービス内容】
通所により、就労や生産活動の機会を提供(雇用契約は結ばない)するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者は、一般就労等への移行に向けて支援。平均工賃が工賃控除程度の水準(月額3,000円程度)を上回ることを事業者指定の要件とする。事業者は、平均工賃の目標水準を設定し、実績と併せて都道府県知事へ報告、公表。

(引用:「就労移行支援について」厚生労働省様HPより)

 

 

 

 

 

38 高齢者の自動車運転で正しいのはどれか。

1.若年者より速度超過の違反が多い。
2.交通事故の発生場所は交差点が多い。
3.65歳から免許更新は2年ごととなる。
4.75歳では高齢者マークの着装は任意となる。
5.70歳では免許更新時に認知機能検査を受ける。

解答2

解説

高齢者の自動車運転

高齢者では、周囲の状況に対する反応の遅れ、脳から手足に指令が伝わる速度の遅れ、筋力低下によるアクセル・ブレーキが十分に機能する踏み込みに達するまでの時間の遅れなどが加わって、ブレーキが間に合わなくなってしまうことが多い。また、高齢運転者による死亡事故の原因は、運転操作不適が最多である、現在では免許更新期間満了の際に70歳以上の高齢者に対しては、「高齢者講習」の受講が義務づけられている。また、運転技術に不安のある高齢者は自主的に免許返納できる制度が設けられている。

1.× 若年者より速度超過の違反は少ない。速度違反は、40歳代より下の年齢層に多い。ただし、若者の運転による死亡事故の原因となる最高速度違反の割合は近年減少している。
2.〇 正しい。交通事故の発生場所は、交差点が多い。高齢者は、信号無視や一時停止違反、漫然運転(わき見運転)などで交差点に進入して事故になることが多い。
3.× 免許の更新は、70歳未満において特に年齢の規定はない。免許の色により有効期限が異なる。有効期限については、グリーン免許(初めて取得した免許)は、3年間。ブルー免許(一般運転者・違反運転者・初回更新者)は、3年間。ゴールド免許(優良運転者)は、5年間である。
4.× 高齢者マークの着装は、75歳ではなく、70歳以上が努力義務(任意)となる。したがって、着装していなくとも罰則はない。
5.× 免許更新時に認知機能検査を受けるのは、70歳ではなく、75歳以上である。高齢者講習(70歳以上)の前に講習予備検査(認知機能検査)を受け、その上で高齢者講習を受けることになった。ちなみに、内容は、記憶力や判断カを測定するもので、①時間の見当識、②手がかり再生、③時計描画という3つの検査項目について、検査用紙に用いて実施する。

 

 

 

 

 

 

39 認知行動療法において重視されるのはどれか。

1.無意識の葛藤
2.全身の弛緩状態
3.あるがままの生活態度
4.幼少期の養育者との関係
5.認知が感情に与える影響

解答5

解説

認知行動療法とは?

認知行動療法とは、自然に頭に浮かんだ考えを記録して、個人の信念や思考様式をもとにして思考のプロセスを把握し、より合理的な考え方ができるように導く療法である。

1.× 無意識の葛藤は、精神分析療法で重視される。
2.× 全身の弛緩状態は、自律訓練法で重視される。
3.× あるがままの生活態度は、森田療法で重視される。
4.× 幼少期の養育者との関係は、家族療法で重視される。
5.〇 正しい。認知が感情に与える影響は、認知行動療法で重視される。認知とは「現実の見方、ものごとの受けとめ方」である。何かの出来事があった時に自動的に頭に浮かぶパターン化された思考が、現実的に不適当な行動をとったりする。認知行動療法はこの自動的に浮かぶ思考の部分に働きかけ、適応的な思考に変容させて、適応的な行動がとれるようにするものである。

 

 

 

 

 

 

40 図に示す課題を含む検査はどれか。

1.VPI 職業興味検査
2.マイクロタワー法
3.職業レディネステスト
4.厚生労働省編一般職業適性検査
5.WCST(Wisconsin Card Sorting Test)

解答4

解説

1.× VPI 職業興味検査は、160項目の具体的な職業に対する興味・関心の有無の回答から、6つの興味領域(現実的、研究的、芸術的、社会的、企業的、慣習的)に対する「興味の程度」と5つの傾向尺度(自己統制、男性・女性傾向、地位志向、稀有反応、黙従反応)に対する「個人の特性」を測定するものである。
2.× マイクロタワー法は、13項目の作業課題を実施することで、5つの領域(運動神経能力、空間知覚、事務的知覚、数的能力、言語能力)の職業適性能を測定する作業見本法の一つである、
3.× 職業レディネステストは、VPI職業興味検査と同じ6つの興味領域について測定する。興味の強さ職業遂行の自信度を測ることにより、職業に関する自分のイメージをチェックしたり、進路選択への動機付けを促すものである。
4.〇 正しい。厚生労働省編一般職業適性検査(GATB:general aptitude test battery)は、図に示す課題を含む9つの適性能(知的能力、言語能力、数理能力、書記的知覚、空間判断力、形態知覚、運動共応、指先の器用さ、手腕の器用さ)を測定する。図は、空間判断力をみるために、同じ図柄を選ばせる。
5.× WCST(Wisconsin Card Sorting Test)は、前頭葉機能、特に思考の柔軟性や高次脳機能に関する検査法である。手元にある図形カードを色・形・数の分類カテゴリーで次々と並べていく。

 

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