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41 Lewy 小体型認知症患者に特徴的にみられるのはどれか。
1.失認
2.易怒性
3.記憶障害
4.小刻み歩行
5.見当識障害
解答4
解説
Lewy小体型認知症とは、Lewy小体が広範な大脳皮質領域で出現することによって、①進行性認知症と②パーキンソニズムを呈する病態である。認知機能の変動・動揺、反復する幻視(人、小動物、虫)、パーキンソニズム、精神症状、REM睡眠型行動障害、自律神経障害などが特徴である。
1.× 失認は、アルツハイマー型認知症に特徴的である。
2.× 易怒性は、アルツハイマー型認知症や前頭側頭型認知症に特徴的である。
3.5.× 記憶障害/見当識障害は、認知症全般にみられる。
4.〇 正しい。小刻み歩行(パーキンソニズム)は、Lewy小体型認知症に特徴的である。
42 アルコール依存症患者の作業療法で最も重要なのはどれか。
1.運動能力を向上させる。
2.本人の意志を優先する。
3.協調性を体験させる。
4.単独行動を促す。
5.依存性を高める。
解答3
解説
アルコール依存症患者の治療において最も重要なことは断酒である。作業療法を行うにあたっては、離脱症状の有無、身体状態や身体合併症の確認、患者の社会的背景の把握、特有の心理状態への理解が重要である。患者が断酒し、社会復帰できるような作業療法を行っていく。
1.× 運動能力を向上させる優先順位は低い。なぜなら、アルコール依存症患者の治療において最も重要なことは断酒であるため。連続的な飲酒により、身体的合併症や低栄養状態も予想されるため、運動能力より体力の向上のほうが優先度は高いと考えられる。したがって、軽度の運動を実施する。ちなみに、運動能力には、筋力、持久力、瞬発力、全身持久力といったエネルギーを生産する能力としての①運動体力と、知覚を手がかりに状況判断、意思決定、予測などの過程をとおして運動をコントロールする能力としての②運動技能の2つがある。
2.× プログラムは本人の意志より、治療者が設定することを優先する。社会復帰のために、他者との協調性を高める必要がある。
3.〇 正しい。協調性を体験させることは、アルコール依存症患者の作業療法で最も重要である。なぜなら、アルコール依存症患者は単独で断酒することが難しく、自助グループへの所属が有効であるため。メンバーが共通の課題や目標を持ち、互いに支え合うことで問題に向かうことができる。アルコール依存症患者は攻撃的、自己中心的などの人格変化を伴うため、対人関係が不安定であるが、このようなグループへ参加し大勢の人と関わることで協調性を体験することができる。
4.× 単独行動を促す必要はない。むしろ、断酒の維持のため、単独行動ではなく、断酒会などの自助グループへの参加を促す。ちなみに、自助グループとは、共通の悩みを持つ当事者や家族が互いに支えあって、問題に向き合うことを目的に自主的に形成されたグループのことをいう。
5.× 依存性を高める必要はない。なぜなら、依存性を高めることは、アルコールへの依存を強化するおそれが高いため。
43 統合失調症の回復期前期の患者に適切な活動はどれか。
1.SST
2.軽い運動
3.趣味の開発
4.作業所見学
5.買い物訓練
解答2
解説
回復期前期はようやく消耗状態が軽減してきた頃である。したがって、疲労感の回復を主とした種目が望ましい。早すぎる訓練は病的状態への引きこもりや受身的、依存的な行動を引き起こしやすいので注意が必要である。
1.× SST(社会生活技能訓練)は、維持期以降に行う。対人は、回復期前期には負担が大きい。
2.〇 正しい。軽い運動は、回復期前期に行う。なぜなら、疲労感の回復のため。
3.× 趣味の開発は、維持期以降に行う。なぜなら、趣味を持つことは、維持期に無為に過ごすことを防ぐために有効であるため。
4~5.× 作業所見学/買い物訓練は、維持期以降に行う。これらは、対人や人との関わりがあるため負担が大きい。特に、買い物訓練は、それに加え、金銭の取り扱い、外出といった複合的な課題が含まれている。
44 産褥期発症の大うつ病(産褥期うつ病)について正しいのはどれか。
1.妄想は生じない。
2.難産の後に発病しやすい。
3.発病後1週間程度で回復する。
4.乳児に対する攻撃性が出現する。
5.出産後2〜3か月後に生じることが多い。
解答4
解説
産褥期精神病の中でも産褥期発症の大うつ病(産褥期うつ病)は約半数を占める。産褥期の約3%にみられ、産褥1か月以内に発症することが多い。強い抑うつ症状を呈し、育児にも障害が出る。
1.× 妄想を伴う。精神錯乱状態になることもある。ちなみに、精神錯乱状態とは、意識混濁、精神運動興奮、幻覚、その他に伴う複雑な意識障害の総称で、せん妄状態やもうろう状態も含まれる。
2.× 難産(分娩の経過)の影響は今のところ不明である。産後うつ病は、ストレスや体質的な要因に加えて、出産後に急激に変化する体内のホルモンも発症に関与しているといわれている。
3.× 発病後1週間程度で回復するものは、マタニティブルーである。産褥期発症の大うつ病は、一過性の症状ではなく、一般的なうつ病と同様に治療が必要となる。ちなみに、マタニティブルーは、産後3~4日に起こり、一過性の情緒不安定な状態が続くものである。10日程度で症状が消失する。
4.〇 正しい。乳児に対する攻撃性が出現する。育児に自信がない、子供がかわいく思えない、育児放棄等の症状がみられ、虐待などにつながる場合もある。
5.× 出産後2〜3か月後ではなく、多くは産後1か月以内に生じることが多い。
45 うつ病患者への対応で適切なのはどれか。
1.「必ず回復します」
2.「職場を変えてみましょう」
3.「仕事はためずに早めにこなしましょう」
4.「自殺のことは考えないようにしましょう」
5.「あなたなしでは職場はうまくいきませんね」
解答1
解説
気持ちを受け入れる。
共感的な態度を示す。
心理的な負担となるため、激励はしない。
無理をしなくてよいことを伝える。
必ず回復することを繰り返し伝えていく。
静かな場所を提供する。
1.〇 正しい。「必ず回復します」と繰り返し伝えていくことがうつ病患者には大切である。
2.× 職場を変えるアドバイスの必要性は低い。うつ病の時は、重要事項の決定はしないこと、先延ばしにすることが原則である。
3.× 仕事はためずに早めにこなすことは、患者を追い込むことになる。
4.× 自殺のことを考えないようにするのではなく、共に考えていく姿勢を提示していく。自殺念慮への配慮は最も重要な注意点である。
5.× 「あなたなしでは職場はうまくいきませんね」と励ましたり、積極性を促したりすることは、ますます患者を追い詰めてしまう。