第48回(H25) 理学療法士国家試験 解説【午前問題46~50】

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46 動脈血ガス分析の結果でⅠ型呼吸不全はどれか。

1.PaO2 70Torr、PaCO2 40Torr
2.PaO2 70Torr、PaCO2 50Torr
3.PaO2 50Torr、PaCO2 40Torr
4.PaO2 50Torr、PaCO2 50Torr
5.PaO2 50Torr、PaCO2 60Torr

解答3

解説

【呼吸不全の定義】PaO2≦60Torrである。

ここから、Ⅰ型呼吸不全かⅡ型呼吸不全か決定する。
【Ⅰ型呼吸不全の場合】PaCO245Torr

【Ⅱ型呼吸不全の場合】PaCO245Torr

したがって、Ⅰ型呼吸不全は、選択肢3.PaO2 50Torr、PaCO2 40Torrである。

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47 気管吸引で正しいのはどれか。

1.吸引カテーテルの外径は気管チューブ内径の2/3とする。
2.吸引カテーテルの挿入は気管分岐部までとする。
3.吸引圧は20kPa(150mmHg)以下とする。
4.吸引時間は20〜30秒間とする。
5.咳を誘発しながら吸引する。

解答3

解説

1.× 吸引カテーテルの外径は、気管チューブ内径の「2/3」ではなく1/2以下とする。
2.× 吸引カテーテルの挿入は、「気管分岐部まで」ではなく、気管分岐部に当たらない位置までとする。
3.〇 正しい。吸引圧は20kPa(150mmHg)以下とする。
4.× 吸引時間は、「20〜30秒間」ではなく10~15秒以内とする。なぜなら、吸引中は無呼吸となるため。
5.× 故意に咳を誘発しながら吸引するのは適切ではない。なぜなら、咳嗽による疲労や低酸素血症、不整脈を助長させるため。

口腔内・鼻腔内吸引の注意事項

「気管吸引とは、人工気道を含む気道からカテーテルを用いて機械的に分泌物を除去するための準備、手技の実施、 実施後の観察、アセスメントと感染管理を含む一連の流れのこと」と定義されている。(※引用:気管吸引ガイドライン2013

【目的】口腔内・鼻腔内吸引は気道内の貯留物や異物を取り除くこと。

①人工呼吸器関連肺炎などの感染リスクを回避する。(ディスポーザブル手袋を着用、管吸引前には口腔及びカフ上部の吸引を行う)
②吸引中は無呼吸となるため必ずモニター等でSpO2の確認しながら、カフ圧は-20kPa(150mmHg)以内に保ち、1回の吸引時間は10秒以内とする。
③カテーテル挿入時は陰圧をかけず、自発呼吸がある場合は、患者さんの吸気に合わせて吸引を行う。
④終了後は気道内の分泌物がきちんと吸引できたか、呼吸音等で確認する。

(※参考:「吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コツ」ナース専科様HPより)

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48 分時換気量を変えずに肺胞換気量を増加させる呼吸法はどれか。(不適切問題:解3つ)

1.一回換気量を増やす。
2.口すぼめ呼吸を行う。
3.横隔膜呼吸を行う。
4.呼吸回数を増やす。
5.呼気流速を速める。

解答1/2/3

解説

肺胞換気量:肺と血液の間で実際にガス交換に関与している呼吸気量のこと。

 

1.〇 正しい。一回換気量を増やす。
2.〇 正しい。口すぼめ呼吸を行う。口すぼめ呼吸とは、口をすぼめることによって、呼気に抵抗をかける呼吸である。これにより、気道内圧が上昇し、末梢の気管支の虚脱を防ぐため正しい。
3.〇 正しい。横隔膜呼吸(腹式呼吸)を行う。腹式呼吸は、一回換気量を上昇させるため正しい。
4.× 呼吸回数を増やしても、本問題の条件下(分時換気量を変えない場合)では、一回換気量が減少するため、肺胞換気量は減少する。
5.× 呼気流速を速めると、相対的に呼吸数が増す。したがって、選択肢4と同様となる。

 

 

 

 

 

49 研究法の説明で正しいのはどれか。

1.前方視研究では対象者の過去の現象を調査する。
2.後方視研究の中で介入研究を行うことができる。
3.ケースコントロール研究は横断研究に含まれる。
4.コホート研究では結果に関連する予測因子を分析する。
5.シングルケーススタディはシングルケースデザインの一種である。

解答4

解説

1.× 前方視研究は、対象者の「過去」ではなく、未来の現象を調査する。前方視研究の例として、喫煙者と非喫煙者に分けて長期間追跡し、それぞれの集団が肺がんにかかる割合を調査する。対象者の過去の現象を調査するのは、後方視研究である。
2.× 後方視研究の中で、介入研究を行うことはない。介入研究を行うのは、前方視研究である。後方視研究の例として、アスベストを扱う業務に従事していた労働者と扱っていない労働者に分け、現在の中皮腫の発生率を比較する。
3.× ケースコントロール研究(症例対象研究)は、「横断研究」ではなく縦断的研究に含まれることが多い。
4.〇 正しい。コホート研究では、結果に関連する予測因子を分析する。
5.× シングルケーススタディ(症例研究)は、シングルケースデザイン(単一被験者体法)の一種ではない。シングルケーススタディ(症例研究)は、一症例についての研究・報告のことで稀な疾患について行われることが多い。シングルケースデザイン(単一被験者体法)とは、1人の被験者を対象に何らかの実験的介入を行い、その前後の行動変化に基づいて、介入の有効性を確認する研究法である。

 

 

 

 

 

50 病院で患者の個人情報を取り扱う上で適切なのはどれか。

1.親族の求めに応じ、その場で診療録の開示を行った。
2.個人情報に関する苦情申し立てに医療相談窓口で対応した。
3.患者の同意なしで見舞い客からの病状問い合わせに回答した。
4.病院長の同意を得たので、患者の個人情報を病院外で発表した。
5.学生が個人情報を取り扱っていたことを実習後に患者に説明した。

解答2

解説

1.× 親族の求めに応じ、その場で診療録の開示を行うのは適切ではない。親族の求めでも、患者の許可が必要である。
2.〇 正しい。個人情報に関する苦情申し立ては、医療相談窓口で対応する。医療相談窓口では、医療に関する患者・家族の苦情や相談に応じる。
3.× 患者の同意なしで行うのは誤っている。
4.× 病院長の同意を得ても、患者の同意がなしで行うのは誤っている。
5.× 学生が個人情報を取り扱う場合は、「実習後」ではなく必ず事前に患者に承諾を得る。

 

 

※問題の引用:第48回理学療法士国家試験、第48回作業療法士国家試験の問題および正答について

※注意:著者は理学療法士で、解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究・自己研鑽のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。またコメントにて解き方等教えてくださると幸いです。

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