第48回(H25) 理学療法士国家試験 解説【午後問題41~45】

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41 健常成人が開脚立位の姿勢から、素早く右足を一歩前へ踏み出そうとしている。
 右足が離床するまでの足圧中心点の動きに関する説明で正しいのはどれか。

1.右に変位したのちに大きく左へ変位する。
2.最初に左へ大きく変位して右へ少し戻る。
3.徐々に左へ変位する。
4.急速に左へ変位する。
5.正中を保持している。

解答1

解説

 歩き始めの一歩は、①踏み出そうとして蹴りだしの力が働く。②その後、離地できるように、反対側へ重心を移動させる。したがって、選択肢1.右(踏み出そうとした右足)に変位したのちに、大きく左(離地するため)へ変位する。

 

 

 

 

 

42 寒冷療法の適応で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.閉塞性動脈硬化症
2.炎症の急性期
3.Raynaud病
4.褥瘡
5.痙縮

解答2/5

解説

1.× 閉塞性動脈硬化症は禁忌である。なぜなら、末梢血管が収縮し血液量が減るためである。
2.〇 正しい。炎症の急性期は適応である。RICE処置のI(冷却:Icing)にあたる。
3.× Raynaud病は禁忌である。なぜなら、Raynaud病(レイノー病)は、末梢血管障害であるためさらに悪化を助長するため。
4.× 褥瘡の治癒に働かないため、不適切である。
5.〇 正しい。痙縮の軽減に適応となる。

寒冷療法の生理作用

寒冷療法の生理作用には、局所新陳代謝の低下、毛細血管浸透圧の減少、血管収縮とその後の拡張、感覚受容器の閾値の上昇、刺激伝達遅延による中枢への感覚インパルス減少、筋紡錘活動の低下等がある。これらの作用により、炎症や浮腫の抑制、血液循環の改善、鎮痛作用、筋スパズムの軽減が期待される。

(引用:「寒冷療法」物理療法系専門領域研究部会 著:加賀谷善教)

 

 

 

 

43 電磁影響を下げるための方法で正しいのはどれか。

1.EMC規格の機器に取り替える。
2.プローブのコードは長くする。
3.水道の蛇口でアースをとる。
4.電源コードは重ねて束ねる。
5.部屋を乾燥させる。

解答1

解説

1.〇 正しい。EMC規格(Electromagnetic Compatibility)の機器に取り替える。EMC(Electromagnetic Compatibility)とは、電磁両立性(電気機器などが備える、電磁的不干渉性および耐性)のことである。EMC規格の機器は、電子機器などから発せられる電磁影響を他の電子機器や人体に与えず(不干渉性)、さらには自信が電磁の影響を受けたとしても十分な体制を持ち、正常に作動するよう作られている。
2.× プローブのコードは、「長く」ではなく短くする。なぜなら、プローブのコードは長くなればなるほど、電磁界の影響を受けやすくなるため。
3.× 水道の蛇口でアースをとるのは、昔簡便な方法としてよく行われていた(地面へとつながっていたため)が、現在は水道の蛇口の素材も変更されアースの効果が失われているため不適切である。
4.× 電源コードは重ねて束ねると、発熱・発火の危険性がある。
5.× 部屋を乾燥させると静電気が生じやすく発火の危険性がある。加湿器等で適切な湿度を保つようにする。

 

 

 

 

 

44 足の内側縦アーチの低下に対する靴の補正で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.逆Thomasヒール
2.外側ソールウェッジ
3.外側フレアヒール
4.月形しんの延長
5.舟状骨パッド

解答4/5

解説

 内側縦アーチの低下は、扁平足である。つまり、扁平足に対した対応が求められる。また、扁平足のため踵骨が内側に倒れ込む外反も考慮する。内側縦アーチは、踵骨・距骨・舟状骨・内側楔状骨・第1中足骨からなる。外側縦アーチは、踵骨・立方骨・第5中足骨からなる。

 

1.× 逆Thomasヒールは、内反尖足に適応となる。
2.× 外側ソールウェッジは、内反膝(O脚)内反足が適応となる。
3.× 外側フレアヒールは、内反足に適応となる。
4.〇 正しい。月形しんの延長は、着地時に靴内部での支持性を高める役割がある。内側が長い月形しんは、X脚前足部回内変形扁平足に適応となる。一方、外側が長い月形しんは、O脚・内反尖足に適応となる。
5.〇 正しい。舟状骨パッドは、内側縦アーチの低下に適応となる。舟状骨は、内側縦アーチの構成要素であるため、舟状骨パットを入れアーチの形成を助ける。ちなみに、中足骨パッドは、横アーチの低下(開張足)に適応となる。

 

 

 

 

 

45 大腿義足の膝継手選択時の留意点の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

1.短断端者:遊脚相のコントロール
2.長断端者:立脚相での安定性
3.不整地歩行:立脚相におけるイールディング機構
4.低活動者:アライメントによる安定化
5.高齢者:多軸インテリジェント

解答3/4

解説

1.× 短断端者は、「遊脚相」ではなく立脚相の安定性を優先する。
2.× 長断端者は、「立脚相」ではなく遊脚相の膝コントロールを優先する。なぜなら、長断端者では断端のコントロールによる膝の安定性が確保されるため。
3.〇 正しい。不整地歩行は、立脚相におけるイールディング機構(yielding)が有効である。イールディング機構とは、体重を支持しながら膝関節を屈曲させる膝継手である。不整地歩行など、高度の活動性が必要な場合、遊脚相だけではなく立脚相の安定性を付加することも要求される。
4.〇 正しい。低活動者は、アライメントによる安定化を優先する。アライメントの安定化には、床反力が膝継手の十分前を通る(膝ロック)ように、膝継ぎ手を後方移動させる方法がある。活動性が低い切断者では、軽量化と膝固定も含めた安定性が要求される。
5.× 高齢者は、「多軸インテリジェント」ではなく単軸の方が望ましい。なぜなら、高齢者の切断者には、単軸の方が重量が軽く、操作がしやすいため。多軸インテリジェントは、歩行速度に応じて下腿部の振り出しを制御するもので、高齢切断者には不向きである。

 

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