第48回(H25) 理学療法士国家試験 解説【午前問題21~25】

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21 Danielsらの徒手筋力テストにおいて段階3の運動と測定肢位の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

1.足関節背屈ならびに内がえし:腹臥位
2.股関節伸展:側臥位
3.肩甲骨内転と下方回旋:座位
4.肩関節内旋:腹臥位
5.骨盤挙上:背臥位

解答4/5

解説

1.× 足関節背屈ならびに内がえしは、「腹臥位」ではなく座位または背臥位で行う。
2.× 股関節伸展は、「側臥位」ではなく腹臥位で行う。
3.× 肩甲骨内転と下方回旋は、「座位」ではなく腹臥位で行う。
4.〇 正しい。肩関節内旋は、腹臥位で行う。
5.〇 正しい。骨盤挙上は、背臥位で行う。

 

 

 

 

 

22 母指の関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による)で基本軸が第1中手骨であるのはどれか。

1.対立
2.橈側外転
3.掌側外転
4.IP関節屈曲
5.MCP関節屈曲

解答5

解説

1.× 対立は、母指先端と小指基部(または先端)との距離(㎝)で表示する。
2.× 橈側外転の【基本軸】示指(橈骨の延長上)、【移動軸】母指、【測定部位及び注意点】運動は手掌面とする以下の手指の運動は、原則として手指の背側に角度計を当てる。
3.× 掌側外転の【基本軸】示指(橈骨の延長上)、【移動軸】母指、【測定部位及び注意点】運動は手掌面に直角な面とする。
4.× IP関節(母指指節間関節)屈曲の【基本軸】第1基節骨、【移動軸】第1末節骨である。
5.〇 正しい。MCP関節(中手指節関節)屈曲の【基本軸】第1中手骨、【移動軸】第1基節骨である。

 

 

 

 

 

23 関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による)で測定開始肢位が座位に指定されているのはどれか。2つ選べ。(※不適切問題:解1つ)

1.股関節外転
2.股関節屈曲
3.股関節外旋
4.膝関節屈曲
5.足部内がえし

解答 5(※不適切問題

解説

1.× 股関節外転の測定部位及び注意点は、背臥位で骨盤を固定する。また、下肢は外旋しないようにする内転の場合は、反対側の下肢を屈曲挙上してその下を通して内転させる。
2.× 股関節屈曲の測定部位及び注意点は、骨盤と脊柱を十分に固定する。また、屈曲は背臥位(膝屈曲位で行う)、伸展は腹臥位(膝伸展位で行う)である。
3.× 股関節外旋の測定部位及び注意点は、背臥位で、股関節と膝関節を90°屈曲位にして行う。また、骨盤の代償を少なくする。
4.× 膝関節屈曲の測定部位及び注意点は、屈曲は股関節を屈曲位で行う。背臥位で行う。
5.△ 肢位の指定はない。足部内がえしの測定部位及び注意点は、膝関節を屈曲位で行う。

 

 

 

 

 

24 四肢長と計測部位の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

1.上肢長:肩峰から尺骨茎状突起
2.上腕長:肩峰から上腕骨外側上顆
3.下肢長:上前腸骨棘から内果
4.大腿長:大転子から大腿骨内側上顆
5.下腿長:脛骨外側顆から内果

解答2/3

解説

1.× 上肢長は、肩峰から、「尺骨」ではなく橈骨茎状突起までの距離である。
2.〇 正しい。上腕長は、肩峰から上腕骨外側上顆までの距離である。
3.〇 正しい。下肢長(棘果長)は、上前腸骨棘から内果までの距離である。ちなみに、下肢長には、転子果長もあり、これは大転子から外果までの距離を指す。
4.× 大腿長は、大転子から、「大腿骨内側上顆」ではなく大腿骨外側上顆までの距離である。
5.× 下腿長は、脛骨外側顆から、「内果」ではなく外果までの距離である。

 

 

 

 

 

25 足関節上腕血圧比の基準値で正しいのはどれか。

1.0.21〜0.50
2.0.51〜0.90
3.0.91〜1.40
4.1.41〜2.00
5.2.01〜2.70

解答3

解説

 足関節上腕血圧比(ABI)(Ankle-Brachial-Index)とは、四肢すべての動脈閉塞および開口部の最高の圧力を判別するための方法である。足関節上腕血圧比=足首最高血圧/上腕最高血圧で求められ、これが、0.9未満で閉塞性動脈硬化症が疑われる。以下、参考値をのせる。

参考値

• 正常:1~1.29.
• 境界線:0.91~0.99
• 軽度:0.71~0.90
• 中程度:0.41~0.7
• 重度:0.4以下

1.× 0.21〜0.50は、中~重度の閉塞性動脈硬化症が疑われる。
2.× 0.51〜0.90は、軽~中度の閉塞性動脈硬化症が疑われる。
3.〇 正しい。0.91〜1.40が、境界線~正常域である。
4.5.× 1.41〜2.00/2.01〜2.70は、動脈の石灰化が疑われる。

閉塞性動脈硬化症とは?

閉塞性動脈硬化症は、手や足の血管の動脈硬化により、狭窄(血管が狭くなる)や閉塞(血管が詰まる)を起こして、血液の流れが悪くなり、手先や足先へ栄養や酸素を十分に送り届けることができなくなる病気である。下肢の慢性虚血による間欠性跛行が発症症状であることが多く、虚血が進行すると壊死に至る。50~70歳代の男性、糖尿病症例に多くみられる。太ももの付け根(大腿動脈)や足の甲(足背動脈)を触診し、脈が触れないことで診断し、確定診断には血管造影検査を行う。

【病期】
Ⅰ期:「しびれ」「冷感」。
Ⅱ期:「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」。一定距離を歩くと脚が傷み、休むとまた歩けるようになる。
Ⅲ期:「安静時疼痛」。安静にしていても脚に痛みが生じる。
Ⅳ期:「潰瘍」「壊疽」。血液が足の先に行かないので、足に潰瘍ができ、ついには足が腐ってしまう。

【治療】
まず動脈硬化の原因である糖尿病・高血圧・脂質異常症の治療を行う。喫煙者は禁煙する。初期の手足の冷感やしびれには血管拡張薬や血液を固まりにくくする薬(抗血小板剤)を用いる。また歩くことによって、側副血行路が発達し血行の流れの改善をはかる。

(※参考:「閉塞性動脈硬化症」厚生労働省HPより)

 

2 COMMENTS

匿名

問題24
下肢長には、棘果長と転子果長があると思いますが、基本、下肢長と言われたら、後者を指すのでしょうか?

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大川 純一

コメントありがとうございます。
完全に私の主観でお話しさせていただきますと、かなりグレーな問題だと思います。
基本、下肢長と言われたら、優劣なく棘果長と転子果長を指すと思います。
下肢長は棘果長であるともいえるし、下肢長は転子果長でもあると言えます(日本語が下手でごめんなさい)。
なので、試験の際は、明確に正解と断定できるものから選択していただき、それでも該当するものがなければ「一概にはそうは言えないもの」をやむを得ず選択する流れでいいと思います。

もし、下肢長が基本的に「転子果長を指す」といった参考書があればご教授いただければ幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします。

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