第47回(H24) 作業療法士国家試験 解説【午前問題31~35】

 

31 車椅子とベッドとの移乗動作の練習方法について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.疲労度を同程度に保って練習するのは恒常練習である。
2.車椅子からの立ち上がりのみ練習するのは部分練習である。
3.動作手順を正しく言えるように練習するのは全体練習である。
4.アプローチ角度やベッドの高さを変えて練習するのは多様練習である。
5.車椅子のブレーキ操作と移乗とに区切って練習するのは分散練習である。

解答2・4

解説
1.× 恒常練習は、「疲労度を同程度に保つ」のではなく「同じ動き」を繰り返して練習する方法である。野球の素振りなどがこれにあたる。
2.〇 正しい。車椅子からの立ち上がりのみ練習するのは部分練習である。部分練習とは、間違いやすい部分を徹底的に繰り返し練習することである。つまり、1つの動作をそれぞれの相に分けて1相ずつ練習していく方法を練習という。移乗の立ち上がりを繰り返すといったものがこれにあたる。
3.× 全体練習は、「動作手順を正しく言える」のではなく、「ひとつの動作を始めの相から最後の相まで続けて」練習していく方法である。
4.〇 正しい。アプローチ角度やベッドの高さを変えて練習するのは多様練習である。多様練習は、運動を様々に変化させて行う練習方法である。他にも、ベッドを変えて(リハ室のベッドと病室のベッド)の移乗練習などのことをいう。
5.× 車椅子のブレーキ操作と移乗とに区切って練習するのは、分散練習ではなく「部分練習」である。分散練習は、1回の練習を短く、 試行回数を少なくして、練習回数を増やす練習方法のことである。例えば、縄跳びを朝昼晩に30回ずつとんで練習するといったことである。

 

 

 

 

 

 

 

32 高齢者の住宅改造の際に設置する手すりについて正しいのはどれか。2つ選べ。

1.直径は50〜55 mm とする。
2.石膏ボードの壁には直接取り付けやすい。
3.階段では両端を延長して水平部分を作る。
4.廊下では床から600 mm の高さに取り付ける。
5.壁面から手すりの端までは60 mm 以上空ける。

解答3・5

解説
1.× 手すりの直径は、50〜55 mmではなく「28~36mm」とする。一般的に28~32mmはトイレ・浴室などの移乗用に使われている。一方、32~36mmは廊下・階段などの移動用に使われる。
2.× 石膏ボードの壁には直接「取り付けやすい」のではなく「取り付けにくい」。石膏ボード(プラスターボード)とは、石膏を主成分とした素材を板状にして、特殊な板紙で包んだ建築材料である。石膏ボードは強度が弱く、直接取り付けると土台が不十分なため強い力がかかったときに手すりが壁から外れる危険性がある。そのため、壁面に補強を加えてから手すりを取り付けなければならない。
3.〇 正しい。階段では両端を延長して水平部分を作る。手すりの両端部は水平に200mm(1段分)以上延長して設置する。ちなみに、階段の手すりの高さは、各段鼻(階段板の先端)で測定する。
4.× 廊下では床から、600mmではなく「750~800mm程度(大転子レベル)」の高さに取り付ける。
5.〇 正しい。壁面から手すりの端までは、60mm以上空ける。手すりを握るため、壁と手すりの間は60~80mm程度空ける。

 

 

 

 

 

 

33 関節リウマチ患者に対する生活指導で正しいのはどれか。

1.枕は高くする。
2.歩幅は大きくする。
3.手関節は掌屈位を保つ。
4.本は眼の高さに置いて読む。
5.茶碗は指間を拡げて支える。

解答

解説

関節リウマチ患者に対する生活指導

関節リウマチ患者の日常生活・環境整備の指導の目的は、①家庭生活の自立度を向上させ、介助量の軽減を図ること、②関節にかかる過剰な負担をできるだけ避け、骨破壊の進行を防止することである。また、関節リウマチ患者の合併症の一つに、環軸椎亜脱臼がある。

1.× 枕は高くする優先度は低い。なぜなら、枕は高くすると頸椎が屈曲し環軸椎亜脱臼が誘発されやすいため。環軸椎亜脱臼は、頸髄圧迫症状を起こし、ときとして致命的となるため注意が必要である。
2.× あえて歩幅を大きくする必要はない。むしろ、歩幅を大きくすると下肢の関節への負担が増すため小さい方が良い。ちなみに、歩幅とは、一側の踵が接地してから他側の踵が接地するまでの距離を示す。
3.× あえて手関節を掌屈位に保つ必要はない。なぜなら、手関節は掌屈位を保つと、手関節の掌側脱臼を来しやすいため。
4.〇 正しい。本は眼の高さに置いて読む。なぜなら、頸部が中間位となり環軸椎亜脱臼を予防できるため。
5.× 茶碗は指間を拡げて支える必要はない。むしろ、指間を拡げると指の関節に負担がかかるだけでなく亜脱臼を招く恐れがあるため。したがって、茶碗は底を手掌全体で保持するよう指導する。

 

 

 

 

 

 

 

34 上腕義手(手先具は能動開き式)の適合判定の際、肘90度屈曲位で手先具が完全には開かなかった。
 原因として考えられるのはどれか。2つ選べ。

1.ケーブルハウジングが長過ぎる。
2.ソケットが断端と適合していない。
3.前腕支持部のトリミングが不良である。
4.残存肢の肩甲帯の筋力が低下している。
5.切断肢肩関節の回旋可動域に制限を認める。

解答1・4

解説

肘90度屈曲位で手先具の開閉が不完全である原因

①ケーブルシステムの不良(ハウジングが長すぎる)
②ハーネスの調整不良
③力源となる肩甲帯(肩甲骨)に問題がある

1.4.〇 正しい。ケーブルハウジングが長過ぎる/残存肢の肩甲帯の筋力が低下している場合、上腕義手(手先具は能動開き式)の適合判定の際、肘90度屈曲位で手先具が完全には開かない。ちなみに、ケーブルハウジングが短かすぎると、肘90°屈曲位にした時点で手先具が開く。
2.× ソケットが断端と適合していない場合、断端周囲の疼痛支持性低下が起こることがある。
3.× 前腕支持部のトリミングが不良の場合は、肘継手を最大屈曲させて135°以上確保できないことが多い。
5.× 切断肢肩関節の回旋可動域に制限を認める場合でも義手の手先具開閉操作に影響しない。コントロールケーブルシステムの操作効率で異常が起こりやすい。

 

 

 

 

 

 

 

35 Zancolli の頸髄損傷分類と可能な動作の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

1.C4:パソコンの操作
2.C5A:臥位からの起き上がり動作
3.C5B:便座に座っての下衣着脱
4.C6A:床から車椅子への移乗
5.C6B3:自動車の運転

解答1・5

解説

(Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)

1.〇 正しい。パソコンの操作は、C4残存で可能である。なぜなら、マウス・スティックを用いたパソコン操作やスイッチ操作が行えるため。
2.× 臥位からの起き上がり動作は、C5A残存ではなく「C6残存」で可能である。ただし、C6残存でもベッド柵を用いて行う。ちなみに、C5Aでは、上腕二頭筋・上腕筋の収縮は可能だが、腕橈骨筋の収縮は困難である。
3.× 便座に座っての下衣着脱は、C5B残存ではなく「C6B残存」から可能である。なぜなら、ズボンの着脱操作では、効果的な側方つまみや強い握り動作が必要となるため。効果的に発揮できるのは、「C6B3残存」からである。
4.× 床から車椅子への移乗は、C6A残存ではなく「C8残存」で可能である。ただし、プッシュアップ台をしようすることで、「C6B3残存」から可能となることもある。
5.〇 正しい。自動車の運転は「C6B3」で可能である。C6B3以上が残存していれば上腕三頭筋が働くため、プッシュアップによる自動車への移乗動作が可能となり、自動車の運転は可能である。

 

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