第47回(H24) 作業療法士国家試験 解説【午前問題21~25】

 

21 症例研究の1つであるシングルケースデザインのABA型について正しいのはどれか。

1.基礎水準測定期初日の効果指標の値を判定の基準にする。
2.治療介入終了後に経過を振り返り、効果指標を決定する。
3.治療介入期には効果指標の測定は行わない。
4.2種目の治療介入の効果を立証できる。
5.基礎水準測定期を2回設ける。

解答

解説

用語説明

シングルケースデザイン(単一被験体法):1人の被験者を対象に何らかの実験的介入を行い、その前後の行動変化に基づいて介入の有効性を確認する研究法のことである。

ABA型:介入を行わないA期(基礎水準測定期、ベースライン期)と実験的介入を行うB期(治療介入期、操作導入期)の実施に引き続き、再びA期を実施する方法である。そのため、ABA型での介入は1種目だけである。

1.× 「基礎水準測定期初日(1回目のA)」ではなく、「介入期後の基礎水準測定期(2回目のA)」の効果指標の値を判定の基準にする。ABA型は、介入を行わないA期(基礎水準測定期、ベースライン期)と実験的介入を行うB期(治療介入期、操作導入期)の実施に引き続き、再びA期を実施する方法である。
2.× 「治療介入終了後(B期)」ではなく、「基礎水準測定期初日(1回目のA)」に経過を振り返り、効果指標を決定する。ABA型では、すべてを効果指標として使用する。つまり、「介入期前・後の基礎水準測定期(1・2回目のA)」で得られた結果と「治療介入終了後(B期)」すべて効果指標として使用する。
3.× 治療介入期には効果指標の測定は、行わないのではなく「行う」。ABA型は、介入を行わないA期(基礎水準測定期、ベースライン期)と実験的介入を行うB期(治療介入期、操作導入期)の実施に引き続き、再びA期を実施する方法である。
4.× 2種目ではなく「1種類」の治療介入の効果を立証できる。シングルケースデザイン(単一被験体法):1人の被験者を対象に何らかの実験的介入を行い、その前後の行動変化に基づいて介入の有効性を確認する研究法のことである。1つの事例に効果測定を行う質的方法である。
5.〇 正しい。基礎水準測定期を2回設ける。介入前後に2回の基礎水準測定期(A期)を設ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

22 不随意的に行われる嚥下運動の時期はどれか。2つ選べ。

1.先行期
2.準備期
3.口腔期
4.咽頭期
5.食道期

解答4・5

解説

嚥下の過程

①先行期・・・飲食物の形や量、質などを認識する。
②準備期・・・口への取り込み。飲食物を噛み砕き、飲み込みやすい形状にする。
③口腔期・・・飲食物を口腔から咽頭に送り込む。
④咽頭期・・・飲食物を咽頭から食道に送り込む。
⑤食道期・・・飲食物を食道から胃に送り込む。

1.× 先行期は随意的に行われる。飲食物の形や量、質などを認識する。
2.× 準備期は随意的に行われる。口への取り込み。飲食物を噛み砕き、飲み込みやすい形状にする。
3.× 口腔期は随意的に行われる。飲食物を口腔から咽頭に送り込む。
4.〇 正しい。咽頭期は、不随意的に行われる嚥下運動の時期である。飲食物を咽頭から食道に送り込む。
5.〇 正しい。食道期は、不随意的に行われる嚥下運動の時期である。飲食物を食道から胃に送り込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

23 Daniels らの徒手筋力テストの肩関節段階5と段階4との検査において、腹臥位で肘関節近位の上腕背側に抵抗を加えるのはどれか。2つ選べ。

1.水平外転
2.外転
3.外旋
4.屈曲
5.伸展

解答1・5

解説
1.〇 正しい。水平外転は、腹臥位で肘関節近位の上腕背側に抵抗を加える。肩関節90°外転、肘関節90°屈曲の肢位で行う。
2.× 外転は、座位にて肘関節近位の上腕遠位部に抵抗を加える。
3.× 外旋は、腹臥位で手首に抵抗を加える。
4.× 屈曲は、座位にて肘関節近位の上腕遠位部に抵抗を加える。
5.〇 正しい。伸展は、腹臥位で肘関節近位の上腕背側に抵抗を加える。肩関節伸展位・内旋位で行う。

 

 

 

 

 

 

 

 

24 脊髄性失調の徴候はどれか。

1.Babinski徴候
2.Hoover徴候
3.Kernig徴候
4.Myerson徴候
5.Romberg徴候

解答

解説

脊髄性失調とは?

脊髄性失調は、脊髄後索を走行する深部感覚の伝導路障害により生じる。

1.× Babinski徴候(バビンスキー)徴候は、上位運動ニューロン障害でみられる。患者を背臥位にし、両下肢を伸展させる。気持ちを楽にさせ緊張を取るように指示する。先のとがったハンマーの柄や鍵などで、足底の外側を踵から足先に向けてこする。刺激によって母趾がゆっくりと背屈すれば陽性(母趾現象または伸展足底反射)である。
2.× Hoover徴候(フーバー徴候)は、解離性障害(ヒステリー性)の詐病を疑う患者にみられる。仰臥位にして、両踵の下に手を入れ、一側下肢の膝を伸展したまま挙上させ、他側の踵に加わる力を感じとる。反対圧がかからない場合には意識的に足の挙上を抑制しているため陽性となる。
3.× Kernig徴候(ケルニッヒ)徴候は、髄膜刺激症状であり髄膜炎などでみられる。方法は、①背臥位にて股・膝関節90°屈曲位に保持する。②他動的に膝関節伸展する。③膝関節に痛みが出たら陽性。膝関節を135°以上伸展できない。 
4.× Myerson徴候(マイヤーソン)徴候は、parkinson病でみられる。眉間を指やハンマーで叩き続けた場合、その刺激に慣れることなく瞬きし続ける(眉間叩打反射)。
5.〇 正しい。Romberg徴候(ロンベルグ)徴候は、脊髄性失調の徴候である。開眼した状態で患者に直立不動の姿勢をとらせ、姿勢の保持が安定しているかどうか診た後、次に閉眼させて同じことを行う。体幹の動揺が生じる、開眼時より不安定になる、または転倒するなどがみられた場合は陽性とする。脊髄性失調のほかにも、前庭神経障害などでみられる。

Myerson徴候(マイヤーソン徴候)とは?

 眉間をハンマーや指で軽く叩くと、正常では両側眼輪筋の収縮すなわち瞬目(しゅんもく、まばたきのこと)が起こる。これを眉間反射という。これを何度も行ううちに眼輪筋の収縮は弱くなり、数回のうちに収縮しなくなるのが正常の反応である。しかし、パーキンソン症候群などの場合この反射が亢進し、何度叩いても瞬目が起こるようになる。これをMyerson徴候(マイヤーソン徴候)と呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

25 訪問作業療法で対象者と何に取り組むかを決定するためにカナダ作業遂行測定(COPM)を用いることとした。
 正しいのはどれか。

1.対象者の能力向上に効果的な作業を作業療法士が選択する。
2.作業の遂行度は過去1週間に何回実施したかで評価する。
3.障害の状態から実施すべき作業の重要度を評価する。
4.実際の作業遂行状況を家族から聴取する。
5.作業に関する満足度を10 段階で聞く。

解答

解説

COPM(Canadian Occupational Performance Measure:カナダ作業遂行測定)とは?

 COPM(Canadian Occupational Performance Measure:カナダ作業遂行測定)とは、患者が現時点で改善したいと考える活動と、それらの重要度、遂行度、満足度を10点満点で示したものである。第1段階~第4段階まである。第4段階は、再評価となり、核問題の遂行度と満足度をクライエントがもう一度評定する。総スコアを計算し、初回評価時と再評価時の変化を見る。

1.× 対象者の能力向上に効果的な作業を「作業療法士」ではなく「患者(対象者)」が選択する。作業は、対象者が改善したいものを選択する。
2.× 作業の遂行度は、「過去1週間に何回実施したか(回数)」ではなく「患者本人が測定時に主観的」に評価する。作業の遂行度の評価は回数ではなく、に評価する。患者が現時点で改善したいと考える活動と、それらの重要度、遂行度、満足度を10点満点で示したものである。
3.× 「障害の状態から」ではなく「患者(対象者)」が実施すべき作業の重要度を評価する。
4.× 実際の作業遂行状況を「家族から」ではなく「本人から」聴取する。つまり、本人の主観的評価による。
5.〇 正しい。作業に関する満足度を10 段階で聞く。患者が現時点で改善したいと考える活動と、それらの重要度、遂行度、満足度を10点満点で示したものである。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)