第47回(H24) 理学療法士国家試験 解説【午後問題46~50】

 

46 遠城寺式乳幼児分析的発達検査で3歳未満で獲得されるのはどれか。2つ選べ。

1.ボールを前にける。
2.顔をひとりで洗う。
3.靴をひとりではく。
4.ボタンをはめる。
5.十字をかく。

解答1/3

解説

1.〇 正しい。ボールを前にけるのは、3歳未満で獲得される。1歳9か月~2歳に可能となる。
2.× 顔をひとりで洗うのは、3歳0~4か月に可能となる。
3.〇 正しい。靴をひとりではくのは、3歳未満で獲得される。2歳6~9か月に可能となる。
4.× ボタンをはめるのは、3歳0~4か月に可能となる。
5.× 十字をかくのは、3歳4~8か月に可能となる。 

 

 

 

 

 

 

 

47 呼吸リハビリテーションで正しいのはどれか。

1.ハッフィングは胸郭の伸張を目的とする。
2.横隔膜呼吸は、呼吸補助筋の活動を促進する。
3.呼吸困難時の症状改善には、腹臥位が有効である。
4.インセンティブスパイロメトリは長く吸気を持続させる。
5.口すぼめ呼吸は、呼気よりも吸気を長くするように指導する。

解答4

解説

1.× ハッフィング(強制呼気法とも)は、胸郭の伸張ではなく、排痰を目的とする。ハッフィングとは、「ハッ、 ハッ」と数回呼気を行って痰を出させる方法である。痰の粘性の低い患者は、体位とハッフィングだけで排痰可能な場合もある。胸腔内圧が上昇しないメリットがある。
2.× 横隔膜呼吸(腹式呼吸)は、呼吸補助筋の活動を促進ではなく、抑制する。鼻から息を吸い、呼気に合わせてお腹を膨らます方法である。
3.× 呼吸困難時の症状改善に、一概に腹臥位が有効であるとは断定できない。腹臥位呼吸療法とは、急性呼吸不全に対する治療法の一つで、腹臥位で人工呼吸療法をおこなうことをいう。有効な病態は、肺水腫・肺炎などによって、障害部位が背側肺に限局して分布するいわゆる背側肺障害を有する場合である。一般的に呼吸困難時の症状改善には、起坐位半坐位が有効である。
4.〇 正しい。インセンティブスパイロメトリは、長く吸気を持続させる。インセンティブスパイロメトリは、最大吸気持続訓練(気管支清浄化療法)に用いる訓練機器である。
5.× である。口すぼめ呼吸は、吸気よりも呼気を長くするように指導する。口すぼめ呼吸は、口をすぼめて呼気に抵抗を加える呼吸法である。呼気をゆっくり行うことで、気道の虚脱を防ぐことができる。吸気:呼気 = 1 : 2で実施する。

 

 

 

 

 

 

48 厚生省「循環器疾患のリハビリテーションに関する研究」班(平成8年度)に基づいた心筋梗塞の急性期リハビリテーションプログラム進行基準で、次の段階のプログラムに進行してもよい状態はどれか。

1.訓練時にめまいが出現した。
2.安静時心拍数が140/分であった。
3.ST上昇型で訓練時のSTが0.4 mV低下した。
4.訓練時の収縮期血圧が安静時に比べて10 mmHg上昇した。
5.訓練時の収縮期血圧が安静時に比べて20 mmHg低下した。

解答4

解説

虚血性心疾患とは?

虚血性心疾患(冠動脈疾患)とは、心筋組織に虚血を生じた状態(血流が途絶した状態)である。心筋虚血は、心筋の酸素需要と供給の不均衡によって生じ、冠動脈の血流障害が起こる。ほとんどは冠動脈硬化による。

1.× 訓練時にめまいが出現した場合、次の段階のプログラムは進めない。なぜなら、胸痛・動悸・呼吸困難などの自覚症状が出現しないことに該当するため。
2.× 安静時心拍数が140/分であった場合、次の段階のプログラムは進めない。なぜなら、心拍数が120/分以上にならないことに該当するため。
3.× ST上昇型で訓練時のSTが0.4 mV低下した場合、次の段階のプログラムは進めない。なぜなら、心電図上1mm以上(0.2mV以上)の虚血性ST低下、または著明なST上昇がないことに該当するため。
4.〇 正しい。訓練時の収縮期血圧が安静時に比べて10 mmHg上昇した場合でも、次の段階のプログラムは進める。なぜなら、急性心筋梗塞に対する急性期リハビリテーション負荷試験の判定基準に該当せず、訓練時の収縮期血圧10mmHg上昇は生理的変動の範囲であるため。
5.× 訓練時の収縮期血圧が安静時に比べて20 mmHg低下した場合、次の段階のプログラムは進めない。なぜなら、室内便器使用時までは20mmHg以上の収縮期血圧上昇・低下がないことに該当するため。

急性心筋梗塞に対する急性期リハビリテーション負荷試験の判定基準

①胸痛・動悸・呼吸困難などの自覚症状が出現しないこと。
②心拍数が120/分以上にならないこと。または40/分以上増加しないこと。
③危険な不整脈が出現しないこと。
④心電図上1mm以上(0.2mV以上)の虚血性ST低下、または著明なST上昇がないこと。
⑤室内便器使用時までは20mmHg以上の収縮期血圧上昇・低下がないこと。
(2週間以上経過した場合、血圧に関する基準は設けない)

(引用:「2021年改訂版心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」日本循環器学会様より)

 

 

 

 

 

 

 

49 合併症のない急性白血病患者の化学療法期間中にみられた症状のうち、運動療法が継続できるのはどれか。

1.持続する38℃以上の発熱
2.輸血を必要とする貧血
3.急激な血小板の減少
4.不整脈の出現
5.倦怠感の訴え

解答5

解説

がん患者におけるリハビリテーションの中止基準

①血液所見(ヘモグロビン 7.5g/dl以下、血小板50.000/μl以下、白血球3.000/μl以下)
②骨皮質の50%以上の浸潤、骨中心部に向かう骨びらん、大腿骨の3cm以上の病変などを有する長管骨の転移所見。
③有腔内臓血管、脊髄の圧迫。
④疼痛、呼吸困難、運動制限を伴う胸膜、心重、腹膜、後腹膜への浸出液貯留。
⑤中枢神経系の機能低下、意識障害、頭蓋内圧亢進。
⑥低・高カリウム血症、低ナトリウム血症、低・高カルシウム血症。
⑦起立性低血圧、160/100mmHg以上の高血圧。
⑧110/分以上の頻脈、心室性不整脈。

1.× 持続する38℃以上の発熱は、運動療法を行わない方が良い。リハビリテーションの実施基準によると、発熱が38.5℃を超えた場合(脳血管障害患者)は、訓練を行わない方がよい。持続する38℃以上の発熱の場合、基準よりは下回るが、急性白血病患者で全身性に消耗していることが考えられるため、主治医に報告するべきである。
2.× 輸血を必要とする貧血(重症貧血)は、運動療法が禁忌である。(※Morehouseによる相対禁忌より)。
3.× 急激な血小板の減少は、運動療法を行わない方が良い。なぜなら、本症例は急性白血病患者の化学療法期間中であるため。化学療法により骨髄抑制がみられる状態と考えられ出血の予防する必要がある。
4.× 不整脈の出現は、運動療法を行わない方が良い。がん患者におけるリハビリテーションの中止基準における⑧110/分以上の頻脈、心室性不整脈に該当する。
5.〇 正しい。倦怠感の訴えは、運動の継続は可能である。倦怠感とは、自覚症状の一つで、気力がない・だるいといったものである。ただし、倦怠感のみで判断するのではなく、主観的運動強度(Borg指数など)や呼吸数、心拍数など客観的に、運動継続できるか判断する。

morehouseによる運動療法の禁忌

A.絶対禁忌
1.コントロールされていない心不全
2.急性心筋梗塞
3.活動性心筋炎、あるいは心膜炎
4.不安定型狭心性
5.急性全身性塞栓症、あるいは肺塞栓症
6.急性感染症
7.血栓性静脈炎
8.心室性頻脈、あるいは難治性心室性不整脈
9.重症心室流出路閉塞
10.コントロールされていない動脈性高血圧、あるいは肺高血圧

B.相対性禁忌
1.コントロールされていない上室性不整脈
2.心室瘤
3.中等度の心室流出路狭窄
4.コントロールされていない代謝性疾患(糖尿病、甲状腺機能亢進症、粘液水腫)
5.著名な心拡大
6.重症貧血

C.特別な注意を要する状態
1.伝導障害
  a.完全房室ブロック
  b.左脚ブロック
  c.WPW症候群
2.固定心迫性ペースメーカー
3.薬物療法
a.ジギタリス
b.β遮断薬
4.狭心症

D.不適応
1.治療を要する明らかな精神病
2.治療を要する神経筋、あるいは筋骨格系の異常
3.著名な肥満

 

 

 

 

 

 

50 短下肢装具を装着して1本杖歩行が自立した患者が、回復期リハビリテーション病棟から自宅に退院した。
 訪問リハビリテーションを開始する際、その訓練内容で優先度が低いのはどれか。

1.ベッドからの立ち上がり訓練
2.筋力増強訓練
3.装具なしでの歩行訓練
4.屋外での歩行訓練
5.自動可動域訓練の指導

解答3

解説

回復期までのリハビリテーション:障害・機能の回復を重要視する。

訪問リハビリテーション:実際の生活に即したADL改善や能力の維持を重要視する。したがって、機能・能力の低下予防、活動性向上が主な目標となる。他にも、家族指導、住宅改修などにより生活に密着したアプローチが必要である。

1.× ベッドからの立ち上がり訓練は優先度が高い。なぜなら、訪問リハビリテーションは、実際の生活に即したADL改善や能力の維持を重要視するため。
2.5.× 筋力増強訓練/自動可動域訓練の指導は優先度が高い。なぜなら、機能・能力の低下予防、活動性向上が主な目標となるため。
3.〇 正しい。装具なしでの歩行訓練は、選択肢の中で最も優先度が低い。なぜなら、装具なしの歩行獲得(本症例の現在の歩行能力は短下肢装具を装着して1本杖歩行)は、回復期までのリハビリテーションにおいて重要視するため。優先度は低いものの本人の希望によっては訓練することもある。
4.× 屋外での歩行訓練は優先度が高い。なぜなら、活動性の向上のため実施する。

 

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