第47回(H24) 理学療法士国家試験 解説【午後問題36~40】

 

36 大腿義足の膝継手の選択で適切でないのはどれか。

1.短断端では立脚相での安定性を優先する。
2.長断端では遊脚相でのコントロールを優先する。
3.高齢の切断者では多軸インテリジェント膝を用いる。
4.不整地歩行を行う場合にはイールディング機構を用いる。
5.活動性の低い切断者ではアライメントによる安定化を図る。

解答3

解説
1.〇 正しい。短断端では、立脚相での安定性を優先する。なぜなら、短断端の場合、立脚相が安定しないことには歩行において転倒の危険性が高いため。
2.〇 正しい。長断端では遊脚相でのコントロールを優先する。なぜなら、長断端の場合、すでに膝の安定性(立脚相の安定)が確保されるため。
3.× 高齢の切断者では、多軸インテリジェント膝ではなく、操作がしやすい膝継手(リングロックやダイヤルロック)を用いる。なぜなら、多軸インテリジェント膝は、重量が重く、操作性が複雑であるため。多軸インテリジェント膝は、歩行での遊脚相の膝の屈曲伸展の速度をセンサーで検出し、内蔵のコンピューターで計算をした後、空気圧シリンダ弁を開閉し、膝の動きを加減するものである。
4.〇 正しい。不整地歩行を行う場合にはイールディング機構を用いる。イールディング(yielding) 機構は、体重を支持しながら膝を屈曲させる機能を持つ膝継手である。ちなみに、バウンシング(bouncing) 機構は、立脚初期での膝折れを防止する機能を持つ膝継手である。性を付加することも要求される。や、をもつ膝継手が開発されている。
5.〇 正しい。活動性の低い切断者では、アライメントによる安定化を図る。活動性が低い切断者では、軽量化と膝固定も含めた安定性が要求される。特に、短断端同様に、立脚相での安定性を優先することが多い。ちなみに、アライメントによる安定化には、床反力が膝継手の十分前を通るように、膝継手を後方移動させることが多い。

 

 

 

 

 

 

37 上肢の障害と装具の組合せで誤っているのはどれか。

1.肩腱板断裂:肩外転装具
2.肘関節屈曲位拘縮:ターンバックル式肘装具
3.鷲手:Oppenheimer(オッペンハイマー)型装具
4.スワンネック変形:指用ナックルベンダー
5.ボタン穴変形:指用逆ナックルベンダー

解答3

解説

1.〇 正しい。肩腱板断裂は、肩外転装具を用いる。なぜなら、肩腱板断裂の術後には、腱板にストレスがかからないようにするため。
2.〇 正しい。肘関節屈曲位拘縮は、ターンバックル式肘装具を用いる。ターンバックル式肘装具は、関節の一定肢位を持続的に矯正できる装具のことである。
3.× 鷲手:Oppenheimer (オッペンハイマー)型装具は、鷲手(尺骨神経麻痺)ではなく、下垂手(橈骨神経麻痺)に対して用いる。 Oppenheimer (オッペンハイマー)型装具は、手関節を背屈位に、母指を外転位に保持する装具である。ちなみに、鷲手(尺骨神経麻痺)に対してはナックルベンダーなどを用いる。
4.〇 正しい。スワンネック変形は、指用ナックルベンダーを用いる。指用ナックルベンダーは、PIP関節を屈曲させる装具である。
5.〇 正しい。ボタン穴変形は、指用逆ナックルベンダーを用いる。指用逆ナックルベンダーは、PIP関節を伸展させる装具である。

 

 

 

 

 

 

38 脊髄完全損傷の機能残存レベルと到達可能なADLの組合せで誤っているのはどれか。

1.C3:下顎による電動車椅子の操作
2.C7:自助具なしでの書字
3.T1:プッシュアップ動作
4.T6:床から車椅子への移乗
5.L2:長下肢装具とクラッチとを用いての歩行

解答2

解説
1.〇 C3は、下顎による電動車椅子の操作が可能である。主な動作筋は胸鎖乳突筋で、頭部の前屈や回転は行える。
2.× C7は、自助具なしでの書字は行えないが、自助具(万能カフなど)を使用すれば書字可能である。C7は、手指の運動が不十分である。上腕三頭筋や橈骨手根屈筋が働き、車椅子にて日常生活のほとんどが自立する。
3.〇 T1は、プッシュアップ動作が可能である。プッシュアップ動作はC7で獲得可能となる。なぜなら、C7は上腕三頭筋や橈骨手根屈筋が働き、車椅子にて日常生活のほとんどが自立するため。
4.〇 T6は、床から車椅子への移乗が可能である。T6は、握力を含めた上肢の動きに加え、上部体幹の安定性も獲得できている。車椅子を使用するが介助ほとんど不要で日常生活を送ることができる。
5.〇 L2は、長下肢装具とクラッチとを用いての歩行が可能である。L2は、大腿四頭筋の機能は不十分であるが、腸腰筋を利用して骨盤帯の挙上が行える。長下肢装具を使用した立位保持は、股関節伸展位(腸骨大腿帯でロック)であるが、長下肢装具と両松葉杖で交互歩行練習を実施していく。

 

 

 

 

 

 

39 脊髄損傷患者に生じる異所性骨化で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.脊柱に好発する。
2.初期には局所の熱感を生じる。
3.関節拘縮の矯正手技が誘因になる。
4.血中アルカリフォスファターゼ値が低下する。
5.血中カルシウム値が上昇する。

解答2/3

解説

異所性骨化とは?

異所性骨化とは、本来骨組織が存在しない部位、すなわち筋・筋膜・靱帯・関節包などに異常に骨形成が起こる現象である。骨梁構造を認める点が石灰化との違いである。 好発部位は骨盤・股関節(最も多い)・膝関節(2位)・肩関節(4位)・肘関節(3位)などである。脊髄損傷受傷後1~6か月くらいに発症することが多い。

1.× 脊柱ではなく、骨盤・股関節に好発する。
2.〇 正しい。初期には局所の熱感を生じる。初期の症状として、他には腫脹血中アルカリフォスファターゼ値の上昇が認められる。
3.〇 正しい。関節拘縮の矯正手技が誘因になる。原因は不明とされているが、受傷初期に関節を非愛護的に扱うこと(粗暴な矯正手技)からくる微細損傷浮腫が誘因となるといわれている。
4.× 血中アルカリフォスファターゼ値は、低下ではなく上昇する。なぜなら、骨産生が起こるため。他にもCRPの上昇がみられる。
5.× 血中カルシウム値は、上昇ではなく正常である。血中カルシウム値が上昇した場合、副甲状腺の異常を疑う。

 

 

 

 

 

 

40 脊髄損傷患者(第10胸髄節まで機能残存)の家屋改造について適切でないのはどれか。

1.ドアの開口部は90 cmとする。
2.スロープの勾配は1/6とする。
3.車椅子の回転スペースは直径150 cmとする。
4.便座の高さは車椅子のシートの高さに合わせる。
5.電灯のスイッチは床から90〜100 cmの高さにする。

解答2

解説

第10胸髄節機能残存レベル

車椅子での実用的な生活(ほとんど介助は不要)が可能である。握力は保たれ、上部体幹の安定性が獲得できている。弱いながらも骨盤帯の挙上が可能になってくるレベルである。したがって、車椅子の使用を前提とした家屋改造を考える。

1.〇 正しい。ドアの開口部は90cmとする。ちなみに、一般的な車椅子の幅員は、62~63cmである。+15cmを目安に幅員を確保する。
2.× スロープの勾配は、1/6ではなく、1/12~1/15とする。1/6は勾配がきつすぎる。
3.〇 正しい。車椅子の回転スペースは、直径150cmとする。ちなみに、車椅子と人とのすれ違いには140cm、車椅子同士のすれ違いには180cm必要となる。
4.〇 正しい。便座の高さは、車椅子のシートの高さに合わせる。なぜなら、便座と車椅子のシートの高さに合わせることで、上下の重心移動が少なくなり、移乗がより安全に楽に行えると考えらるため。ただし、多少段差があっても移乗可能と考えられる。
5.〇 正しい。電灯のスイッチは、床から90〜100cmの高さにする。車椅子からも手の届く高さとする。ちなみに、健常者の電灯のスイッチの高さは、110~120cmである。

 

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