第47回(H24) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午後問題86~90】

 

86 関節リウマチについて正しいのはどれか。

1.股関節などの大関節に初発する。
2.罹患関節の症状は非対称性に現れる。
3.約半数にリウマトイド結節が認められる。
4.血清アルカリフォスファターゼが高値となる。
5.悪性関節リウマチでは血管炎による臓器障害が起こりやすい。

解答5

解説

”関節リウマチとは?”
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は7:3前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。

(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)

1.× 股関節などの大関節ではなく、指などの小関節に初発する。
2.× 罹患関節の症状は、非対称性ではなく、左右対称に現れる。ちなみに、非対称性に症状が現れるのはパーキンソン病などである。
3.× リウマトイド結節が認められるのは、約半数ではなく約20%である。リウマトイド結節は、肘関節の伸側・後頭部や膝関節の伸側などの皮下に直径数mmから数cmの硬く隆起したこぶのようなものである。疾患の活動性が高いときに大きくなり、落ち着いてくると縮小もしくは消失することもある。
4.× 血清アルカリフォスファターゼ(ALP)は変化しない。アルカリフォスファターゼ (ALP)は、肝・胆道系疾患や脳の骨転移などで高位となる。ちなみに、関節リウマチは①赤沈、②CRP、③リウマトイド因子、④抗CCP抗体などが高値となる。
5.〇 正しい。悪性関節リウマチでは、血管炎による臓器障害が起こりやすい。悪性関節リウマチとは、既存の関節リウマチに、 血管炎をはじめとする関節以外の症状を認め、難治性もしくは重症な病態を伴う場合と定義されている。悪性関節リウマチは血管外を主体とし、多彩な関節外症状を呈する。

 

 

 

 

 

 

87 腰椎椎間板ヘルニアについて正しいのはどれか。(※不適切問題:解2つ)

1.女性に多く発症する。
2.好発年齢は50歳代である。
3.第4・5腰椎間で生じると前脛骨筋の筋力が低下する。
4.第5腰椎・第1仙椎間で生じると足背の感覚障害が起こる。
5.第3・4腰椎間で生じると大腿神経伸展テストが陽性となる。

解答3/5
対応:複数の選択肢を正解として採点した。

解説
1.× 多く発症するのは、女性ではなく男性である。男女比は約2〜3:1とされている。
2.× 好発年齢は50歳代ではなく、20〜40歳代である。働き盛りに多い。
3.〇 正しい。第4・5腰椎間(L5神経根が障害)で生じると、前脛骨筋の筋力が低下する。他にも長母趾伸筋が麻痺する。
4.× 第5腰椎・第1仙椎間(S1神経根が障害)で生じると、足背ではなく足底の感覚障害が起こる。足背の感覚はL5領域である。
5.〇 正しい。第3・4腰椎間(L4神経根が障害)で生じると、大腿神経伸展テストが陽性となる。大腿神経伸展テストは、L3・L4の神経根がどちらでも障害されると陽性となる。なぜなら、大腿四頭筋は、L2〜L4までと複数の瑞雪からの神経支配を受けているためである。ちなみに、Lasegue test(ラセーグテスト)は、L5・S1の神経根がどちらでも障害されると陽性となる。

 

 

 

 

 

 

88 心原性脳塞栓症の原因として最も多い不整脈はどれか。

1.心室性期外収縮
2.上室性期外収縮
3.房室ブロック
4.心房細動
5.洞性徐脈

解答4

解説

1.× 心室性期外収縮は、心室細動を起こす危険性が高い。心室性期外収縮は、洞調律の心室興奮より早期に異所性の心室興奮が起こる不整脈である。つまり、P波がなく、幅広く変形したQRS波が特徴である。
2.× 上室性期外収縮は、特に治療を要しない場合が多い。上室性期外収縮は、洞結節の興奮よりも早期に心房から興奮が出現する不整脈である。つまり、先行するP波と本来より早いQRS波が特徴である。
3.× 房室ブロックは、重症例の場合、(Mobitz II型・完全房室ブロック)ではペースメーカー植え込みが必要となる。房室ブロックは、心房から心室への興奮伝導が遅延、途絶するものである。軽度であれば治療を必要としないことが多い。
4.〇 正しい。心房細動は、心原性脳塞栓症の原因として最も多い不整脈である。心房細動は、心臓がこまかく震えている状態である。血栓ができやすいため脳塞栓の原因となり最多である。心房細動の特徴として、心房の興奮が形・大きさともに不規則であり、基線が揺れている(f波)。心房が正常に収縮しないためにP波が消失し、QRS波が不規則である。
5.× 洞性徐脈は、無症状のものは特に治療を要しない場合が多い。ただし、徐脈が顕著であると心不全をきたすことがある。

房室ブロックとは?

房室ブロックは、心房から心室への伝導障害をいう。第1度〜第3度に分類される。
・1度房室ブロック:心房から心室への伝導時間が延長するが、P波とQRS波の数や形は変わらない。
・2度房室ブロック
①ウェンケンバッハ型(モビッツⅠ型):PR間隔が徐々に延長してQRSが脱落する。
②モビッツⅡ型:心房から心室への伝導が突然途絶える。P波の後のQRSが突然脱落する。

・3度房室ブロック:心房からの刺激が途絶え、P波とQRSが無関係に生じるようになる。

 

 

 

 

 

 

89 多発性硬化症について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.男性に多い。
2.発症は50 歳代に多い。
3.脱髄病変がみられる。
4.視力低下が出現する頻度が高い。
5.運動負荷に制限を設ける必要はない。

解答3/4

解説

多発性硬化症とは?

 多発性硬化症は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に病変が多発するのが特徴である。病変部位によって症状は様々であるが、視覚障害(視神経炎)を合併することが多く、寛解・増悪を繰り返す。視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。寛解期には易疲労性に注意し、疲労しない程度の強度及び頻度で、筋力維持及び強化を行う。脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)の他にも、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。有痛性強直性痙攣(有痛性けいれん)やレルミット徴候(頚部前屈時に背部から四肢にかけて放散する電撃痛)、ユートホフ現象(体温上昇によって症状悪化)などが特徴である。若年成人を侵し再発寛解を繰り返して経過が長期に渡る。視神経や脊髄、小脳に比較的強い障害 が残り ADL が著しく低下する症例が少なからず存在する長期的な経過をたどるためリハビリテーションが重要な意義を持つ。

(参考:「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」厚生労働省様HPより)

1.× 男性ではなく、女性に多い。男女比は1:2~3位といわれている。
2.× 発症は、50歳代ではなく、若年から中高年(15〜50歳)に多い。
3.〇 正しい。脱髄病変がみられる。中枢神経系の種々の部位に多発性の脱髄病変を起こし多彩な症状がみられる。緩解と増悪を繰り返し、脱髄部位は視神経(眼症状や動眼神経麻痺)、脊髄、脳幹、大脳、小脳の順にみられる。
4.〇 正しい。視力低下が出現する頻度が高い。脱髄部位は、視神経(眼症状や動眼神経麻痺)が初期から見られる。急激な視力低下や視野異常(複視)で発症することが多い。
5.× 運動負荷に制限を設ける。なぜなら、入浴や運動、発熱などによって体温が上がると、一時的に症状が悪化するUhthoff現象(ユートホフ現象)があるため。さらなる過用性筋力低下を招くため過負荷な運動は避ける。

 

 

 

 

 

 

90 生後10か月の健常乳児でみられるのはどれか。

1.Moro 反射
2.手の把握反射
3.緊張性迷路反射
4.パラシュート反応
5.非対称性緊張性頸反射

解答4

解説

1.× Moro反射(モロー反射)は、新生児期からみられ4~6か月までに消失する。Moro反射(モロー反射)の中枢は、脳幹であり、背臥位の子どもの後頭部に手をやって15 cmほど頭を持ち上げ、頭を落下させると、両上肢が伸展、外転し、続いて内転が起こる。
2.× 手の把握反射は、胎児期後期からみられ4~6か月ごろには消失する。新生児を背臥位で顔を正面に向け、上肢は半屈曲位として、検者の指を小指側から手の中に入れ、掌を圧迫すると、検者の指を握り締める。
3.× 緊張性迷路反射(TLR)は、胎児期後期からみられ5~6ヵ月ごろには消失する。背臥位では伸展緊張が促通され、腹臥位では屈曲緊張が促通される。
4.〇 正しい。パラシュート反応(保護伸展反応)は、①下方:6 ヵ月、②前方:6~7 ヵ月、③側方:7~8ヵ月、④後方:9~10ヵ月で発現し、生涯継続する。防御的に四肢を伸展して頭部を保護したり、支持して姿勢を安定させようと働く反応である。
5.× 非対称性緊張性頸反射(ATNR)は、生後からみられ生後4~6ヵ月ごろには消失する。背臥位にした子どもの顔を他動的に一方に回すと、頸部筋の固有感覚受容器の反応により、顔面側の上下肢が伸展し、後頭側の上下肢が屈曲する。

 

参考にどうぞ↓

【暗記用】姿勢反射を完璧に覚えよう!

 

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