第47回(H24) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題76~80】

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76 急性炎症の初期にみられないのはどれか。

1.発赤
2.腫脹
3.疼痛
4.熱感
5.拘縮

解答5

解説

急性炎症の徴候

①発赤、②腫脹、③熱感、④疼痛、⑤機能障害

1~4.× 発赤/腫脹/疼痛/熱感は、急性炎症の初期にみられる。これに加え、機能障害が含まれる。主に、①血流量の増加(発赤、熱感)、②血管透過性の亢進(腫脹)、③白血球の活性化(疼痛、機能障害)によって起こる。
5.〇 正しい。拘縮は、急性炎症の初期にはみられない。拘縮は主に長期間の関節の不動によって生じる。

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【共通のみ】炎症(急性・慢性)についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

77 多発性骨髄腫に特徴的でないのはどれか。

1.貧血
2.腎障害
3.易感染性
4.病的骨折
5.低カルシウム血症

解答5

解説

多発性骨髄腫とは?

 多発性骨髄腫は形質細胞がクローン性に増殖するリンパ系腫瘍である。増殖した形質細胞やそこから分泌される単クローン性免疫グロブリンが骨病変、腎機能障害、M蛋白血症などさまざまな病態や症状を引き起こす。多発性骨髄腫の発症年齢は65~70歳がピークで男性が女性より多く約60%を占める。腫瘍の増大、感染症の合併、腎不全、出血、急性白血病化などで死に至る。

 主な症状として、頭痛、眼症状の他に①骨組織融解による症状(腰痛・背部痛・圧迫骨折・病的骨折・脊髄圧迫症状・高カルシウム血症など)や②造血抑制、M蛋白増加による症状(貧血・息切れ・動悸・腎機能障害)、易感染性(免疫グロブリン減少)、発熱(白血球減少)、出血傾向(血小板減少)などである。

1~4.〇 貧血/腎障害/易感染性/病的骨折/は、多発性骨髄腫に特徴的である。
5.× 「低カルシウム血症」ではなく、高カルシウム血症がみられる。なぜなら、骨組織融解による症状を伴うため。

 

 

 

 

78 ボツリヌス毒素を用いた治療で、効果の一般的な持続期間はどれか。

1.1〜3日
2.1〜3週間
3.3〜6か月
4.1〜3年
5.10年以上

解答3

解説

ボツリヌス療法とは?

ボツリヌス療法は、脳・脊髄疾患などによる痙性麻痺に対して有効とされている。ボツリヌス毒素を筋肉内に数か所注射し、筋収縮を抑制する。効果持続は、3~6か月のため、数か月ごとに再投与が必要である。ボツリヌス毒素が神経終末の受容体に結合することで、アセチルコリンの放出を阻害し、アセチルコリンを介した筋収縮および発汗が阻害される。なお、アセチルコリンの合成や貯蔵、神経伝導には影響を及ぼさない特徴を持つ。

1~2.4~5.× 1〜3日/1〜3週間/1〜3年/10年以上は、ボツリヌス毒素を用いた治療で、効果の一般的な持続期間とはいえない
3.〇 正しい。3〜6か月は、ボツリヌス毒素を用いた治療で、効果の一般的な持続期間である。効果は3〜6か月で消失するため、定期的な再投与が必要である。ただし3か月以内の短い間隔で頻回に注射をするとボツリヌス毒素に対する抗体が生じやすくなり、逆に効果が減退する。

 

 

 

 

 

 

79 逆転移に相当するのはどれか。

1.治療者が患者に夢の解釈を教える。
2.治療者が患者に様々な感情を向ける。
3.治療者が無意識の葛藤を患者に意識させる。
4.おとぎ話の内容が患者の精神症状に現れる。
5.患者が過去の治療者に向けた感情を現在の治療者に向ける。

解答2

解説

転移と逆転移とは?

転移と逆転移は、精神分析療法の上で重要な概念である。
①転移:患者が今までの生活史における重要人物(親、学校の先生)に示してきた感情や態度を治療者に向けること。
②逆転移:治療者が患者に向けることである。

1.× 治療者が、患者に夢の解釈を教えることは、精神分析療法での夢解釈という。精神分析療法での夢解釈とは、夢は患者の無意識 (願望や不安など)が形を変えて現れたものであると考え、患者の無意識を明らかにする手法のことである。
2.〇 正しい。逆転移は、治療者が、患者に様々な感情を向ける。逆転移は、治療者の過去の生活史と、患者側の転移が結びついて治療者側に活性化されてくる感情であるため、患者の転移を知る手掛かりとして重要である。
3.× 治療者が、無意識の葛藤を患者に意識させるのは、精神分析療法の手法である。精神分析療法では、患者の欲動 (感情や願望)が無意識の中に抑圧されたために葛藤状態となり、その結果、様々な症状が起こると考える。
4.× おとぎ話の内容が患者の精神症状に現れることに関しては、逆転移とは関係はほとんどないが、精神科医のユングは、個人の無意識のさらに下に、人類に共通する「集合的無意識」があることを提唱している。
5.× 患者が過去の治療者に向けた感情を現在の治療者に向けることは、「逆転移」ではなく転移である。

 

 

 

 

 

 

80 投影法検査はどれか。2つ選べ。

1.MMPI
2.P-F スタディ
3.バウムテスト
4.東大式エゴグラム
5.内田・クレペリン精神テスト

解答2/3

解説

人格検査の方法

①投影法、②質問紙法、③作業検査法

投影法は、被験者に図版などを示して何に見えるかなどを答えさせ、被検者の中に反映される人格特徴を知るものである。

1.× MMPI(Minnesota Multiphasic Personality Inventory:ミネソタ多面人格目録)は、質問紙法による人格検査である。550の項目にyes/noで答えさせさせ(自己記入式)、10の臨床尺度および4の妥当性尺度により被験者の人格プロフィールを表す。
2.〇 正しい。P-F スタディ(Picture Frustration Study:絵画欲求不満テスト)は、心理検査(性格特性を把握する検査)である。欲求不満の場面の柄を24枚見せて応答する場面を想定して文章を書いてもらう。ある場面が描かれており、それにどのような対応をするのか吹き出しの空欄にセリフを書き込む。用紙は3種類あり、児童用・青年用・成人用である。投影法の一種である。投影法は、被験者に図版などを示して何に見えるかなどを答えさせ、被検者の中に反映される人格特徴を知るものである。
3.〇 正しい。バウムテスト(Baum Test)とは、「実のなる木」を1本自由に描いてもらう描画検査(投影法の人格検査)である。コッホによって開発された。「バウム(Baum)」がドイツ語で「木」という意味である。幼児以上の幅広い年齢が対象となる。
4.× 東大式エゴグラム(Tokyo University Egogram:東大式エゴグラム)は、個人の人格を知ることに特化している検査である。53の質問項目からなり、被験者の回答によりエゴ(自我)の状態を調べる。質問紙法の一種である。
5.× 内田・クレペリン精神テストは、性格検査・職業適性検査の一種である。被験者に一定時間計算させ続けることで、作業量・集中力・注意力などの作業能力と、性格傾向を知ることができる。作業検査法の一種である。

 

(画像引用:当施設HPより:第48回(H25) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題81~85】「P-Fスタディ」)

 

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