第47回(H24) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題71~75】

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71 膝関節について正しいのはどれか。

1.屈曲角度が増すと、ころがり運動が多くなる。
2.内側側副靱帯は屈曲位での外旋運動を制限する。
3.屈曲位から伸展すると、完全伸展する直前で下腿は内旋する。
4.関節運動による内側半月板の移動量は外側半月板よりも大きい。
5.前十字靱帯の主な作用は、脛骨と大骨の間の左右剪断力を制限することである。

解答2

解説
1.× 屈曲角度が増すと、「ころがり運動」ではなくすべり運動が多くなる。完全伸展位からの屈曲初期ではころがり運動のみであるが、屈曲角度が増すにつれて『すべり運動』の要素が多くなる。
2.〇 正しい。内側側副靱帯は、屈曲位での外旋運動を制限する。膝関節完全伸展位では骨性適合が増大することからも回旋運動は生じない。膝関節屈曲位では、下腿は内旋しており、外旋の運動に対して、内側側副靱帯が制限することとなる。
3.× 屈曲位から伸展すると、完全伸展する直前で下腿は、「内旋」ではなく外旋する。膝関節はらせん関節のため、屈曲位から完全伸展すると脛骨の外旋が起こる。これを終末強制回旋運動(スクリューホームムーブメント)という。
4.× である。関節運動による外側半月板の移動量は、内側半月板よりも大きい。なぜなら、内側半月板は関節包と接しているが、外側半月板の後外側に膝窩筋腱があり、関節包と隔てられているため。
5.× 脛骨と大骨の間の左右剪断力を制限するのは、「前十字靱帯」ではなく、内側・外側側副靭帯である。前十字靭帯は、大腿骨に対する脛骨の前方へのすべり出しを抑制する。

 

参考にどうぞ↓

【共通のみ】膝関節の構造についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

72 筋と体幹の運動の組合せで誤っているのはどれか。

1.最長筋:伸展
2.腹直筋:屈曲
3.腰方形筋:回旋
4.外腹斜筋:回旋
5.内腹斜筋:回旋

解答3

解説
1.〇 正しい。最長筋は、伸展作用を持つ。具体的には、両側が作用すると脊柱を反らせ、肋骨を引き下げる。片側が働けば体を同側に曲げる。頭最長筋は同側に頭を曲げるが、そのほかに同側に頭を回す。
2.〇 正しい。腹直筋は、屈曲作用を持つ。具体的には、胸郭の前部を引き下げまたは骨盤の前部を引き上げ、また脊柱を前方に曲げる。
3.× 腰方形筋は、回旋作用を持たない。作用は、腰椎を同側に曲げる。両側が働けば腰椎を後ろへ曲げる(腰を反らす)である。ちなみに、【起始】腸骨稜と腸腰靭帯、腰椎肋骨突起【停止】第12肋骨、腰椎肋骨突起である。
4.〇 正しい。外腹斜筋は、回旋作用を持つ。具体的には、肋骨の引き下げ、脊柱の屈曲、骨盤の引き上げ、また脊柱を同時に曲げ、上体を対側に回す。腹圧を高め、腹式呼吸のとき呼息を行う。
5.〇 正しい。内腹斜筋は、回旋作用を持つ。具体的には、上体を同側に回す。腹圧を高め、腹式呼吸のとき呼息を行う。

 

 

 

 

 

 

73 前方を注視して両足関節底屈位で足底が接地した立位姿勢をとった。
 両足関節底背屈中間位の立位と比べたときの姿勢に関する変化で正しいのはどれか。

1.胸椎後弯は増強する。
2.骨盤は前傾位となる。
3.股関節は伸展位となる。
4.膝関節は屈曲位となる。
5.足圧中心は前方へ移動する。

解答2

解説

(引用:第47回午後問73の図)
※姿勢は第47回午後問73の図をイメージするとわかりやすいため引用した。

姿勢の変化

足底全面接地したまま、足関節底屈(下腿後方に倒れる)すると重心が後方に移動する。
立位を保つためには、股関節屈曲(体幹前屈)する必要がある。
設問から「前方を注視して」との指示であるため、「腰を曲げたまま上体をそらして顔を上げる姿勢」となる。

1.× 胸椎後弯は、「増強」ではなく減少する。なぜなら、設問より「前方を注視して」との指示であるため、「腰を曲げたまま上体をそらして顔を上げる姿勢」となるため。ちなみに、胸椎後弯を増強させることは、すなわち猫背の姿勢である。
2.〇 正しい。骨盤は、前傾位となる。なぜなら、立位を保つためには、股関節屈曲(体幹前屈)し、上体を反らせる必要があるため。
3.× 股関節は、「伸展位」ではなく屈曲位となる。足底全面接地したまま、足関節底屈(下腿後方に倒れる)すると重心が後方に移動する。立位を保つためには、股関節屈曲(体幹前屈)する必要がある。
4.× 膝関節は、「屈曲位」ではなく伸展位となる。むしろ、足関節底屈位のままであり、少しでも重心を前に移動させる戦略を取るため、膝関節は過伸展(反張膝)の状態となる。
5.× 足圧中心は、「前方」ではなく後方へ移動する。なぜなら、足底全面接地したまま、足関節底屈(下腿後方に倒れる)するため。

 

 

 

 

 

 

74 麻痺のために鶏歩を呈するのはどれか。

1.腓腹筋
2.ヒラメ筋
3.前脛骨筋
4.大腿二頭筋
5.大腿四頭筋

解答3

解説
1~2.× 腓腹筋/ヒラメ筋は、足関節底屈筋である。脛骨神経支配であり、障害されると踵足歩行となる。
3.〇 正しい。前脛骨筋の麻痺で、鶏歩を呈する。前脛骨筋は、足関節背屈に作用する。鶏歩は、腓骨神経麻痺などで足関節が背屈不能になり、下垂足が生じるためにみられる。鶏歩の特徴として、垂れ足 (drop foot)になっているために下肢を高く上げ、つま先から投げ出すように歩く。鶏歩を呈する病態には、 腓骨神経麻痺のほかにも①ポリオ、②Charcot-Marie-Tooth病などがある。
4.× 大腿二頭筋は、股関節伸展・外旋、膝関節屈曲に作用する。膝関節伸展制限が起こると、腰を左右にゆすって歩く動揺性歩行が見られやすい。
5.× 大腿四頭筋は、股関節屈曲・膝関節伸展に作用する。障害により反張膝がみられる。

 

 

 

 

 

 

75 薬物療法について正しいのはどれか。

1.薬物は半減期が長いほど体内から速く排泄される。
2.経口投与されたバクロフェンは髄液に移行しない。
3.脂溶性の薬物は肝臓で代謝されると排泄されやすくなる。
4.血液透析を受けている患者では投薬量を通常よりも多くする。
5.抗てんかん薬の血中濃度が治療域の下限以上であれば発作は起こらない。

解答3

解説
1.× 薬物は半減期が長いほど、体内に残存しやすい。なぜなら、半減期とは、薬物の血中濃度がある濃度から半分の濃度になるために要する時間のことであるため。つまり、薬物は半減期が短いほど体内から速く排泄される。
2.× 経口投与されたバクロフェンは髄液に「移行しない」のではなく移行する。バクロフェンは、GABA受容体の作動薬である。その特徴として、血液脳関門を容易に通過する。血液脳関門とは、薬物の血中から「脳内・中枢神経系の組織液への移行」を制限する機構のことである。ちなみに、バクロフェンは、中枢性筋弛緩薬として使用され、各種疾患による痙性麻痺に適応がある。GABAの作用が増強すると他の神経の活動を抑制するため、不安が軽減するといわれている。
3.〇 正しい。脂溶性の薬物は、肝臓で代謝されると排泄されやすくなる。脂溶性の薬物は、そのままでは排出されにくい。なぜなら、腎臓の糸球体で濾過されても尿細管で再吸収されてしまうため。しかし、肝臓の働き(より水に溶けやすい代謝物にすること)で、腎臓から排泄されやすくなる。
4.× 血液透析を受けている患者の投薬量は、一概に通常よりも多くするとはいえない。なぜなら、透析患者は薬によって半減期が異なるため。例えば、抗てんかん薬のフェノバールは、容易に除去されるため、透析の後で追加服用が必要なことがある。一方、抗パーキンソン薬のシンメトレルは、除去されにくいため服用を避ける必要がある。つまり、薬によって調整するなど慎重な対応が求められる。
5.× 抗てんかん薬の血中濃度が、治療域の下限以上でも一概に発作は起こらないとはいえない。なぜなら、抗てんかん薬以外にも薬を何種類か飲んでいる時は、それぞれの薬がお互いに影響しあって、薬の吸収や代謝に影響が現れることがあるため。薬物相互作用のため、薬の効果が弱くなったり、強くなり過ぎたりすることがしばしばおこる。

 

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