第46回(H23) 作業療法士国家試験 解説【午後問題6~10】

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次の文により6、7の問いに答えよ。
 24歳の男性。農機具に巻き込まれて右上腕を切断した。断端長は標準断端である。図のような上腕義手を製作することとした。

6 パーツの名称で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.胸郭バンド
2.腋窩ループ
3.リテーナー
4.ベースプレート
5.ケーブルハウジング

解答4・5

解説
1.× 「胸郭バンド」ではなく、8の字ハーネス(腋窩ループ)である。
2.× 「腋窩ループ」ではなく、肘継手ロック・コントロールケーブルである。
3.× 「リテーナー」ではなく、前腕リフトレバー(リテーナーベースプレート)である。
4.〇 正しい。ベースプレートである。
5.〇 正しい。ケーブルハウジングである。ケーブルの動きを保護するチューブである。

 

 

 

 

 

次の文により6、7の問いに答えよ。
 24歳の男性。農機具に巻き込まれて右上腕を切断した。断端長は標準断端である。図のような上腕義手を製作することとした。

7 この義手の適合検査結果で適合と判断されるのはどれか。

1.肘90°屈曲位のコントロールケーブルシステムの効率判定が85%
2.引っ張り荷重に対する安定性の判定でずれが20mm
3.義手装着下垂時の長さが残存肢の環指と同じ長さ
4.義手装着時の能動的肘屈曲が100°
5.口元での手先具の操作判定が35%

解答

解説
1.〇 正しい。「肘90°屈曲位のコントロールケーブルシステムの効率判定が85%」の場合、適合検査結果で適合と判断される。基準として、コントロールケーブルシステムの効率は50%以上で適合となる。
2.× 引っ張り荷重に対する安定性の判定でずれが「20mm」ではなく「10mm(20kgに対して)」で適応となる。
3.× 義手装着下垂時の長さが、「残存肢の環指」ではなく「残存肢の母指」と同じ長さで適応となる。
4.× 義手装着時の能動的肘屈曲が「100°」ではなく「135° 以上」で適応となる。
5.× 口元での手先具の操作判定が「35%」ではなく「50%以上」で適応となる。

 

 

 

 

 

8 43歳の女性。頸髄完全損傷。洗濯物干しの作業中の写真を下図に示す。
 この患者のZancolliの四肢麻痺上肢機能分類による機能残存レベルはどれか。

1.C5B
2.C6A
3.C6B1
4.C6B2
5.C7A

解答

解説

(※引用:Zancolli E : Functional restoration of the upper limbs in traumatic quadriplegia. in Structural and Dynamic Basis of Hand Surgery. 2nd ed, Lippincott, Philadelphia, p229-262, 1979)

本症例のポイント

・肘関節がやや屈曲位(肘ロックは行っていない)
・重力に対して肘関節伸展位で保持可能。
→上腕三頭筋が機能している。

本症例の選択物干しの作業中の写真を見ると、上腕三頭筋が働くC6B3 レベル以上と考えられる。したがって、選択肢5.C7Aがこの患者のZancolliの四肢麻痺上肢機能分類による機能残存レベルと考えられる。

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9 自助具写真を下図に示す。
 重度の片麻痺者に用いるのはどれか。2つ選べ。

1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤

解答3・5

解説
1.× ①ボタンエイドである。関節リウマチや脳性麻痺(手指の巧級性が低い場合)などに適応となる。
2.× ②ソックスエイドである。股関節などの可動域制限による、リーチ制限に対応した自助具である。
3.〇 正しい。③縁に傾斜とカープがついている皿(自助食器)である。片手でもすくいやすいように工夫してあるため、重度の片麻痺者に用いることが可能である。
4.× ④座薬挿入器である。主に脊髄損傷者(C6BⅡ)などに適応となる。
5.〇 正しい。⑤ボトルオープナーである。重度の片麻痺者に用いる。体で棒を押してビンの本体を固定し、ビンの蓋を開け閉めする。

 

 

 

 

 

 

10 78歳の女性。脳梗塞による右片麻痺。発症後5か月経過。20cmの段差であれば、手すりを使用し2足1段で昇段し、後ろ向きに2足1段で降段することが可能となり、自宅に退院することとなった。自宅の玄関の様子を図に示す。
 この患者に適している家屋改造案はどれか。
 ただし、上りかまちは36cmとする。

解答

解説

各手すりの働き

縦手すり:出入り口の動作安定などのその場での動作に使用。
横手すり:移動や座位安定に機能する。
L字手すり:縦・横手すりの機能を持つ。座位からの立ち上がりに機能する。

1.3.5.× 設問から「20cm以内の段差で手すりを使用すれば昇降が可能」だが、「上りかまちは36cm」である。したがって、上がりかまちにを設置することが望ましい。
2.〇 正しい。上がりかまちにを設置し、手すりを斜めにつける。この患者に適している家屋改造案である。
4.× 縦手すりは、出入り口の動作安定などのその場での動作に使用する。本症例は、上がりかまちに台を設置するため、段差は2段となる。したがって、その場での動作安定のための縦手すりは優先度が低い。

 

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