第46回(H23) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午後問題91~95】

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91.脳性麻痺で誤っているのはどれか。

1.痙直型四肢麻痺では出生時から筋緊張が高い。
2.痙直型両麻痺では上肢よりも下肢の障害が強い。
3.アテトーゼ型では緊張性頸反射の影響を受ける。
4.精神的緊張でアテトーゼ型の不随意運動は増強する。
5.アテトーゼ型四肢麻痺では下肢よりも上肢の障害が強い。

解答1

解説

1.× 痙直型四肢麻痺の出生時は、筋緊張が高いと一概に言えず、出生時では、「やや反り返りが強いか?」といった症状がみられる程度で目立たない。生後、半年頃から徐々に症状がはっきりとしてくる。
2.〇 痙直型両麻痺では、上肢よりも下肢の障害が強い。両麻痺は、四肢麻痺というには、上肢の麻痺が下肢の麻痺に比べ格段に軽度な状態である。
3.〇 アテトーゼ型では、緊張性頸反射の影響を受ける。アテトーゼ型は、麻痺の程度に関係なく四肢麻痺であるが上肢に麻痺が強い特徴を持つ。錐体外路障害により動揺性の筋緊張を示す。筋緊張は低緊張と過緊張のどちらにも変化する。他にも、特徴として不随意運動が主体であることや、原始反射・姿勢反射が残存しやすいことがあげられる。非対称性緊張性頸反射(ATNR)の影響を受けやすく、非対称性緊張性頸反射(ATNR)とは、背臥位にした子どもの顔を他動的に一方に回すと、頸部筋の固有感覚受容器の反応により、顔面側の上下肢が伸展し、後頭側の上下肢が屈曲する反射である。
4.〇 精神的緊張でアテトーゼ型の不随意運動は増強する。逆に、就寝時などリラックスできる環境では減少する。また、発話などでも不随意運動が増強することが多い。
5.〇 アテトーゼ型四肢麻痺では、下肢よりも上肢の障害が強い。上肢・頸部に強く表れる。アテトーゼ型は、麻痺の程度に関係なく四肢麻痺であるが上肢に麻痺が強い特徴を持つ。錐体外路障害により動揺性の筋緊張を示す。

 

参考にどうぞ↓

理学療法士国家試験 脳性麻痺についての問題9選「まとめ・解説」

 

 

 

 

 

 

92.胸部で聴取される捻髪音について正しいのはどれか。

1.吸気終末に聴取できる。
2.肺尖部で聴取しやすい。
3.太い気管支由来の音である。
4.閉塞性肺疾患で聴取しやすい。
5.喀痰が多い場合に聴取しやすい。

解答1

解説

捻髪音とは?

胸部聴診での捻髪音(高くて細かい断続音のこと)は、肺線維症・間質性肺炎・喘息・過敏性肺炎などで見られる。慢性閉塞性肺疾患で見られるのは、息をする時にヒューヒュー(笛音)やウーウー(いびき音)という連続性副雑音である。慢性閉塞性肺疾患のように、気管支、細気管支に炎症が起こると、咳や痰の症状がみられるようになり、気管支に痰が溜まって空気の通り道が狭くなるため。

1.〇 正しい。吸気終末に聴取できる。
2.× 「肺尖部」ではなく、特に肺底部で聴取しやすい。
3.× 「太い気管支由来」ではなく、末梢気道由来の音である。
4.× 「閉塞性肺疾患」ではなく、拘束性肺疾患で聴取しやすい。ちなみに、閉塞性肺疾患では呼吸時に「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という喘鳴が聴取できる。
5.× 喀痰が多い場合に聴取しやすいのは、水泡音である。粗く吸気相~呼気相初期に、ボコボコと表現される低調音が聞かれる。

 

 

 

 

93.同一患者の異なる時刻における心電図モニターを示す。
 認められるのはどれか。


1.洞頻脈
2.心房粗動
3.心室性頻拍
4.洞房ブロック
5.完全左脚ブロック

解答4

解説


1.× 洞頻脈(頻脈性不整脈)とは、 この正常洞調律の範囲を超えて脈が速くなる(1分間に100回以上)タイプの不整脈である。横軸も定かでないため、確実に1分間に100回以上とはいえない。
2.× 「心房粗動」ではなく心房細動がみられる。心房粗動は、P波は見られず、F波(ノコギリ状)が出現する。一方、心房細動は、リズムが不整で心房の興奮が形・大きさ共に不規則であり、基線が揺れている(f波)。
3.× 心室性頻拍は、P波は見えないものが多いが、心拍性期外収縮が3連発以上のものをいう。心臓のポンプ作用が低下し、心拍出量が減少する。心室性頻拍は、左冠動脈の閉塞による前壁梗塞で生じやすい。急性心筋梗塞の10~20%みられる。
4.〇 正しい。洞房ブロックは、心房の興奮が生じず、P波の間隔が延長する。その長さが本来のP-P間隔の整数倍となる。
5.× 完全左脚ブロックとは、V5~6においてQ波が欠如しており、QRS軸は陽性で、Rは幅広く分裂しており、QRS時間0.12秒以上あるものをという。

 

 

 

 

 

 

94.虚血性大腸炎について正しいのはどれか。

1.初発症状は腹痛である。
2.大半が手術適応となる。
3.好発部位は上行結腸である。
4.発症のピークは50歳代である。
5.頻回の下痢が発症の誘因となる。

解答1

解説

虚血性大腸炎とは?

虚血性大腸炎は、腸粘膜の局所的な虚血性変化を示すものである。原因として、腸間膜動脈の末梢枝または腸間膜静脈の閉塞・狭窄によることが多い。好発部位として、上腸間膜動脈と下腸間膜動脈の灌流領域の境目(下行結腸の前後5cm含めたあたりまで)である。症状として、突然の腹痛、しぶり腹様の腹痛、下痢、下血がみられる。予後良好である。安静・絶飲食ののち2週間ほどで自然寛解する。

1.〇 正しい。初発症状は腹痛である。他にも、下痢、下血がみられる。
2.× 大半が手術適応とならない。予後良好である。安静・絶飲食ののち2週間ほどで自然寛解する。虚血性大腸炎の大半は内科的治療にて十分である。
3.× 好発部位は、「上行結腸」ではなく、上腸間膜動脈と下腸間膜動脈の灌流領域の境目(下行結腸の前後5cm含めたあたりまで)である。つまり、左側結腸の脾弯曲部 (Griffith点)から直腸S状結腸接合部(Sudeck点)にかけてである。
4.× 発症のピークは、「50歳代」ではなく、高齢者(50歳以上)である。
5.× 発症の誘因は、「頻回の下痢」ではなく、腸間膜動脈の末梢枝または腸間膜静脈の閉塞・狭窄によることが多い。頻回の下痢は、虚血性大腸炎に罹患したのちの症状である。動脈硬化の上に便秘が誘因となって虚血が生じると考えられている。

 

 

 

 

 

 

95.上位運動ニューロンの障害でみられる症状はどれか。2つ選べ。

1.振戦
2.痙縮
3.腱反射消失
4.筋線維束攣縮
5.病的反射陽性

解答2/5

解説

運動ニューロン

上位運動ニューロンとは、大脳皮質から内包、脳幹、脊髄を経て脊髄前角細胞に至る経路のことである。
下位運動ニューロンとは、脊髄前角細胞から末梢部で筋に至るまでの経路のことである。

1.× 振戦は、パーキンソン病や甲状腺機能亢進症、慢性アルコール中毒の離脱時などにみられる。
2.5.〇 正しい。痙縮/病的反射陽性は、上位運動ニューロンの障害でみられる症状である。
3.× 腱反射は、消失ではなく亢進する。ちなみに、腱反射消失は、下位運動ニューロンの障害で見られる。
4.× 筋線維束攣縮は、下位運動ニューロンの障害で見られる。

 

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