第46回(H23) 理学療法士/作業療法士 共通問題解説【午前問題61~65】

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61.頭蓋内圧亢進でみられない症状はどれか。

1.頭痛
2.嘔気
3.頻脈
4.血圧上昇
5.うっ血乳頭

解答3

解説

頭蓋内圧亢進とは?

頭蓋内圧亢進により、①頭痛、②嘔気・嘔吐、③うっ血乳頭、④複視(外転神経麻痺)などを生じる。Cushing現象(脳ヘルニアの直前状態)で、①血圧上昇、②徐脈、③緩徐深呼吸などの症状が出現する。これらは、脳幹下部の脳圧亢進による乏血状態に対する生体の代償作用である。

1〜2.〇 頭痛/嘔気は、頭蓋内圧亢進でみられる。頭蓋内圧亢進により、第4脳室底部にある嘔吐中枢が圧迫刺激されるためである。
3.× 頭蓋内圧亢進すると、「頻脈」ではなく徐脈となる。なぜなら、血圧上昇により迷走神経が刺激されるため。
4.〇 血圧上昇は、頭蓋内圧亢進でみられる。なぜなら、頭蓋内圧が上昇すると血管が圧迫されて脳血流が減少するためである。Cushing現象(脳ヘルニアの直前状態)で、①血圧上昇、②徐脈、③緩徐深呼吸などの症状が出現する。これらは、脳幹下部の脳圧亢進による乏血状態に対する生体の代償作用である。
5.〇 うっ血乳頭は、頭蓋内圧亢進でみられる。うっ血乳頭とは、視神経乳頭が頭蓋内圧の亢進によって浮腫(むくみ)、充血した状態である。視神経乳頭が腫脹して、盲点が拡大するため視力障害を来す場合もある。

 

 

 

 

 

 

62. 正しいのはどれか。

1.腓腹筋の神経支配比は外眼筋よりも小さい。
2.1つの運動単位に属する筋線維は同期して興奮する。
3.γ運動ニューロンは運動単位の構成要素の1つである。
4.遅筋の支配神経線維の径は速筋の支配神経線維よりも太い。
5.大径の脊髄前角細胞は小径の細胞よりも弱い筋収縮力で興奮する。

解答2

解説

1.× 腓腹筋の神経支配比は外眼筋よりも、「小さい」のではなく大きい。神経支配比とは、1本の運動ニューロンが支配する筋線維数のことである。運動単位当たりの筋線維数は、外眼筋:13腓腹筋:1720である。一般的に大きな運動を行う筋ほど、神経支配比は大きい。
2.〇 正しい。1つの運動単位に属する筋線維は同期して興奮する。1つの運動単位とは、①1つのα運動ニューロン、②軸索、③それが支配する筋線維群を指す。したがって、1つのα運動ニューロン(脊髄前角細胞)が活動したとき、この単位に属するすべての筋線維群は同時に収縮する。
3.× 運動単位の構成要素の1つは、「γ運動ニューロン」ではなくα運動ニューロンである。1つの運動単位とは、①1つのα運動ニューロン、②軸索、③それが支配する筋線維群を指す。ちなみに、γ運動ニューロンは筋紡錘内の筋線維(錘内筋)を支配し、筋紡錘の感受性を調節し、筋長を制御している。
4.× 遅筋の支配神経線維の径は、速筋の支配神経線維よりも細い。ちなみに、神経線維は直径が太いほど①刺激に対する閾値が高い、②活動電位の振幅が大きい、③神経衝撃の伝導速度が速い特徴を持つ。
5.× 大径の脊髄前角細胞は小径の細胞よりも、「弱い」ではなく強い筋収縮力で興奮する。脊髄前角細胞は径が大きいほど、強い筋収縮力で興奮する。

運動単位当たりの筋線維数

外眼筋:13
虫様筋:110
前脛骨筋:610
上腕二頭筋:750
側頭筋:930
腓腹筋:1720

 

参考にどうぞ↓

【PT/共通】骨格筋、筋収縮、運動単位についての問題「まとめ・解説」

 

 

 

 

63.運動時の生体反応で正しいのはどれか。

1.腎血流は増加する。
2.脳血流は増加する。
3.冠血流は増加する。
4.拡張期血圧は低下する。
5.酸素含有量の動静脈較差は減少する。

解答3

解説

1.× 腎血流は、「増加」ではなく減少する。消化器官(消化管、肝臓、胆義、膵臓)、腎臓、脾臓では血流が減少する。
2.× 脳血流は、「増加」ではなくほぼ一定である。運動負荷が加わっても安静時とほぼ一定に保たれる。
3.〇 正しい。冠血流は増加する。なぜなら、心拍出量を増やすため。運動時には、心拍出量は安静時の5倍にも増加する。運動時は筋肉や肺への血流量を増やすために、心拍出量が増える。増加した心拍出量を維持するために心臓への血流量も増える。
4.× 拡張期血圧(収縮期血圧も)は、「低下」ではなく増加する
5.× 酸素含有量の動静脈較差は、「減少」ではなく増加する。なぜなら、運動により筋で取り込まれる酸素が増加するため。動静脈酸素較差とは、動脈血に含まれる酸素量と静脈血に含まれる酸素量の差のことである。

 

 

 

 

 

 

64.循環生理で正しいのはどれか。

1.Valsalva(バルサルバ)試験中は一回拍出量が増加する。
2.Aschner(アシュネル)試験では心拍数が増加する。
3.頸動脈洞マッサージでは心拍数が増加する。
4.右心房への静脈還流は吸気時に増加する。
5.臥位と立位では静脈還流に大きな変化はない。

解答4

解説

副交感神経優位となる試験

①Valsalva試験(バルサルバ:息こらえ)、②頸動脈洞マッサージ、③顔面浸水、④Aschner試験(アシュネル:眼球圧迫)

1.× Valsalva(バルサルバ)試験中は一回拍出量が、「増加」ではなく低下する。Valsalva(バルサルバ)試験とは、呼気時に息をこらえることである。胸腔内圧が上昇し、圧受容器の刺激により、迷走神経が刺激される。
2.× Aschner(アシュネル)試験では心拍数が、「増加」ではなく低下する。Aschner(アシュネル)試験とは、両側の眼球を圧迫した時に起こる眼球心臓反射(徐脈)を診る試験のことである。機序として、眼球圧迫→眼神経より延髄の副交感神経中枢→同側の迷走神経が刺激される。
3.× 頸動脈洞マッサージでは心拍数が、「増加」ではなく低下する。頸動脈洞マッサージは、頚動脈洞反射(ツェルマーク・ヘーリング反射)により迷走神経が刺激される。機序として、頚動脈洞圧迫→迷走神経が過剰な反射を起こす。徐脈となり、血圧が低下し、脳幹へ行く血液が少なくなり脳幹での酸素量減少で失神状態に陥ることもある。
4.〇 正しい。右心房への静脈還流は、吸気時に増加する。なぜなら、呼吸性洞性不整脈が関係するため。呼吸性洞性不整脈とは、心拍数は呼気時に減少し、吸気時に増加することである。吸気時は、迷走神経が抑制(心拍数が増加)され、右心房への静脈環流は増加する。
5.× 臥位と立位では、静脈還流に「大きな変化はない」とは一概にいえない。そもそもどの程度が大きな変化と定義付けるのか曖昧である。臥位では下肢の血流が心臓に戻りやすくなるため静脈還流量は増加する。一方、立位では重力により下肢に血液が流れるため静脈還流量は減少する。静脈還流とは、どれだけ心臓に血液が戻ってくるか、つまり大静脈から右心房に流入する血液量を表す。

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65.心電図について正しいのはどれか。

1.P波は洞結節の興奮に対応する。
2.PQ間隔は心房内の興奮伝導時間である。
3.QRS間隔は心室全体への興奮伝導時間である。
4.ST部分は心室の再分極する過程を示す。
5.T波はPurkinje(プルキンエ)線維の再分極に対応する。

解答3

解説

1.× P波は、「洞結節の興奮」ではなく、心房の興奮に対応する。
2.× PQ間隔は、「心房内の興奮伝導時間」ではなく、「心房から左右脚までの興奮伝導時間」である。ちなみに、心房内の興奮伝導時間に対応するのはP波である。
3.〇 正しい。QRS間隔は、心室全体への興奮伝導時間である。ちなみに、プルキンエ線維と心室筋の興奮伝導時間が含まれる。
4.× ST部分は、「心室の再分極する過程」ではなく、「心室の再分極が完了し興奮が冷めるまで」を示す。
5.× T波は、「Purkinje(プルキンエ)線維の再分極」ではなく、「心室の再分極」に対応する。

(図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)

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