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36 心不全患者の作業療法を実施する際の絶対的禁忌はどれか。
1.高齢
2.糖尿病
3.高血圧
4.不安定狭心症
5.上室性期外収縮
解答4
解説
1.× 高齢はどんな疾患であれ作業療法の禁忌にあてはまらない。
2.× 糖尿病のコントロールが不良の場合は、糖尿病の運動の禁忌に当てはまる。ただし、心不全とコントロールされた糖尿病が合併していた場合、運動は可能である。
3.× 高血圧は、重症高血圧として相対的禁忌にあてはまる。
4.〇 正しい。不安定狭心症は、心不全患者の作業療法を実施する際の絶対的禁忌である。なぜなら、安定狭心症に比べ、労作の有無に無関係で発作の起こる状況が一定していないことに加え、心筋梗塞をおこす危険が大きいため。
5.× 上室性期外収縮は、洞結節の興奮よりも早期に心房から興奮が出現する不整脈である。つまり、先行するP波と本来より早いQRS波が特徴である。運動の実施は可能である。
【絶対的禁忌】
2日以内の急性心筋梗塞
内科治療により安定していない不安定狭心症
自覚症状または血行動態異常の原因となるコントロール不良
症候性の高度大動脈弁狭窄症
コントロール不良の症候性心不全
急性の肺塞栓または肺梗塞
急性の心筋炎または心膜炎
急性大動脈解離
意思疎通の行えない精神疾患
【相対的禁忌】
左冠動脈主幹部の狭窄
中等度の狭窄性弁膜症
電解質異常
重症高血圧
頻脈性不整脈または徐脈性不整脈
肥大型心筋症またはその他の流出路狭窄
運動負荷が十分行えないような精神的または身体的障害
高度房室ブロック
37 インスリン療法中の糖尿病患者に対する運動指導で正しいのはどれか。
1.1週間に1回の運動を行う。
2.上肢では等尺性運動とする。
3.無酸素閾値を超えるようにする。
4.食事終了後2時間以内は行わない。
5.最大酸素摂取量の40~60%の運動を行う。
解答5
解説
1型糖尿病の原因として、自己免疫異常によるインスリン分泌細胞の破壊などがあげられる。一方、2型糖尿病の原因は生活習慣の乱れなどによるインスリンの分泌低下である。運動療法の目的を以下に挙げる。
①末梢組織のインスリン感受性の改善(ぶどう糖の利用を増加させる)
②筋量増加、体脂肪・血中の中性脂肪の減少。(HDLは増加する)
③摂取エネルギーの抑制、消費エネルギーの増加。
④運動耐容能の増強。
【糖尿病患者に対する運動療法】
運動強度:一般的に最大酸素摂取量の40~60%(無酸素性代謝閾値前後)、ボルグスケールで『楽である』〜『ややきつい』
実施時間:食後1〜2時間
運動時間:1日20〜30分(週3回以上)
消費カロリー:1日80〜200kcal
運動の種類:有酸素運動、レジスタンス運動(※対象者にあったものを選択するのがよいが、歩行が最も簡便。)
【運動療法の絶対的禁忌】
・眼底出血あるいは出血の可能性の高い増殖網膜症・増殖前網膜症。
・レーザー光凝固後3~6カ月以内の網膜症。
・顕性腎症後期以降の腎症(血清クレアチニン:男性2.5mg/dL以上、女性2.0mg/dL以上)。
・心筋梗塞など重篤な心血管系障害がある場合。
・高度の糖尿病自律神経障害がある場合。
・1型糖尿病でケトーシスがある場合。
・代謝コントロールが極端に悪い場合(空腹時血糖値≧250mg/dLまたは尿ケトン体中等度以上陽性)。
・急性感染症を発症している場合。
(※参考:「糖尿病患者さんの運動指導の実際」糖尿病ネットワーク様HPより)
1.× 1週間に「1回」ではなく「3回以上」の運動を行う。なぜなら、運動によるインスリン抵抗性改善の効果を得るため。
2.× 「上肢で等尺性運動」と分けるのではなく「全身的な有酸素運動(等張性収縮)」を実施する。運動の種類として、①有酸素運動、②レジスタンス運動(※対象者にあったものを選択するのがよいが、歩行が最も簡便。)が望ましい。
3.× 「無酸素閾値を超える」のではなく「無酸素閾値の前後」になるようにする。一般的に最大酸素摂取量の40~60%で、ボルグスケールは『楽である』〜『ややきつい』のあたりに設定する。
4.× 「食事終了後2時間以内は行わない」のではなく「食後1〜2時間」が望ましい。なぜなら、食前の空腹時の運動は低血糖を引き起こすリスクがあるため。
5.〇 正しい。最大酸素摂取量の40~60%の運動を行う。ボルグスケールは『楽である』〜『ややきつい』のあたりに設定する。
38 理学療法士及び作業療法士法で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.作業療法士は診療を行うことを業とする。
2.作業療法士でなくなった後も守秘義務がある。
3.作業療法士免許は内閣総理大臣から交付される。
4.国家試験に合格した日から作業療法士の名称を使用できる。
5.欠格事由に該当した場合には作業療法士免許を取り消されることがある。
解答2・5
解説
1.× 診療を行うことを業とするのは、「作業療法士」ではなく「医師」である。作業療法士の定義は「身体又は精神の障害のあるものに対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応の能力の回復を図るため、手芸、後索その他の作業を行わせることをいう」と定められている。
2.〇 正しい。作業療法士でなくなった後も守秘義務がある。業務上知り得た人の秘密を他に漏らしてはならない。それは守秘義務である。退職後も継続的であり、違反した場合は50万円以下の罰金となる。
3.× 作業療法士免許は、「内閣総理大臣」ではなく「厚生労働大臣」から交付される。基本的に国家資格は厚生労働大臣が交付している。
4.× 国家試験に合格した日でも、作業療法士の名称の使用や業務はできない。正しくは、国家試験合格後に免許申請を行い、名簿登録を行わなければ免許は交付されない。それまで作業療法士と名乗っての業務は行えない。
5.〇 正しい。欠格事由に該当した場合には作業療法士免許を取り消されることがある。欠格事由として、①罰金以上の刑に処せられた者、②作業療法士(理学療法士)の業務に関し犯罪もしくは不正の行為があった者、③心身に障害があって業務を適正に行うことができない者、④麻薬、大麻又はあへんの中毒者があげられる。
39 中等度Alzheimer病にみられないのはどれか。
1.想起が低下する。
2.計算が苦手となる。
3.歩行能力が低下する。
4.道具使用が苦手となる。
5.地誌的見当識が低下する。
解答3
解説
Alzheimer型認知症は、認知症の中で最も多く、病理学的に大脳の全般的な萎縮、組織学的に老人斑・神経原線維変化の出現を特徴とする神経変性疾患である。特徴は、①初期から病識が欠如、②著明な人格崩壊、③性格変化、④記銘力低下、⑤記憶障害、⑥見当識障害、⑦語間代、⑧多幸、⑨抑うつ、⑩徘徊、⑩保続などもみられる。Alzheimer型認知症の患者では、現在でもできる動作を続けられるように支援する。ちなみに、休息をとることや記銘力を試すような質問は意味がない。
1.〇 初期から想起が低下する。
2.〇 中期から計算が苦手となる/道具使用が苦手となる/地誌的見当識が低下する。中期ごろから脳の病変が顕著となり、海馬に加え側頭葉・頭頂葉の病変がみられる。地誌的失見当とは、熟知している場所で道に迷う、新しい道順を覚えられない、熟知した場所の見取り図が描けない、熟知した風景や建物を見ても認知できないなどの症状を呈する。地理的障害、地誌的失見当、地誌的見当識障害、広義の地誌的失認などもほぼ同義である。
3.× 歩行能力が低下するのが特徴なのは、レビー小体型認知症である。レビー小体型認知症は幻覚のほか、パーキンソニズムがみられ、小刻み歩行や動作緩慢がみられる。Alzheimer病でも歩行能力は低下するが、顕著となるのは重度(末期)に進行した場合である。
40 軽度認知症患者にみられる調理作業の特徴はどれか。
1.必要な材料がそろえられない。
2.調理の手順を間違える。
3.味加減がわからない。
4.盛り付けができない。
5.道具の使用を誤る。
解答2
解説
2012年の日本の65歳以上の高齢者における、認知症有病率推定値は15%で、認知症有病者数は約462万人と推計されている。軽度認知障害(MCI)の有病率は、13%と推定され、約400万人の軽度認知症の方がいると推計されている。ちなみに、軽度認知障害(MCI)とは、認知症と正常な状態の中間と定義され、時間経過とともにアルツハイマー型認知症を発症すると言われている。軽度認知障害(MCI)とアルツハイマー型認知症の違いは、日常生活を独立して行えるかどうかとされているが、その境界線は曖昧である。
【軽度認知障害〈MCI〉の診断基準】(Winblad B ら、2004)
1.認知症または正常のいずれでもないこと
2.客観的な認知障害があり、同時に客観的な認知機能の経時的低下、または、主観的な低下の自己報告あるいは情報提供者による報告があること
3.日常生活能力は維持されており、かつ、複雑な手段的機能は正常か、障害があっても最小であること
(※引用:「認知症と軽度認知機能障害と軽度認知機能障害について」厚生労働省様HPより)
1.× 必要な材料が「そろえられない」のではなく「一部抜けている」ことが軽度認知症患者にみられる調理作業の特徴である。ただその家庭の料理や材料の違いもあるため、料理する事前に聞き取って比較する必要がある。
2.〇 正しい。調理の手順を間違えるのは、軽度認知症患者にみられる調理作業の特徴である。調理の手順がわからないのは実行機能障害である。思い出すのに時間がかかったり、ノートに記入している人もいる。
3.× 味加減がわからない(味覚の障害)は、重度(末期)の認知症の症状である。
4~5.× 盛り付けができない(構成失行)/道具の使用を誤る(失行)は、中等度の認知症の症状である。