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26 肩関節周囲炎で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.早期から筋萎縮がみられる。
2.肩甲上腕リズムは正常に保たれる。
3.滑車訓練は三角筋の筋力強化を目的とする。
4.結髪に比べて結帯動作の方が制限されやすい。
5.Codman体操は慣性モーメントを利用して行う。
解答4・5
解説
肩関節周囲炎(五十肩)は、慢性炎症に分類される。肩関節周囲炎(五十肩)は、肩関節とその周辺組織(肩峰下滑液包や腱板など)の退行性変性が原因となり肩関節の痛みと運動の制限を伴うものである。加齢による退行変性を基盤に発症し、疼痛(運動時痛、夜間時痛)と運動障害を主徴とする。肩関節周囲炎は痙縮期、拘縮期、回復期と分けられ、筋萎縮は拘縮期に肩甲帯筋の廃用性萎縮としてみられる。リハビリとして、Codman体操(コッドマン体操)を実施する。肩関節周囲炎の炎症期に使用する運動であり、肩関節回旋筋腱板の強化や肩関節可動域拡大を目的に使用する。患側の手に1~1.5㎏の重錘を持ち、振り子運動を行う。
①痙縮期(約2~9か月):急性期で疼痛が主体となる。明らかな誘因はなく、肩の違和感や痛みで出現。運動時痛や安静時・夜間時痛が出現し、急速に関節が硬くなる。局所の安静、三角巾固定痛みの出る動作は避ける。
②拘縮期(約4~12か月):亜急性期で拘縮が主体となる。徐々に安静時痛・夜間痛は軽減しますが、肩関節は拘縮し、可動域制限が残りやすくなる。過度に動かすと強いつっぱり感が出現する。徐々に運動範囲を広げる(お風呂やホットパックでの保温、愛護的に関節可動域の拡大)
③回復期(約6~9か月):慢性期で、症状は徐々に改善する。可動域制限も徐々に回復し、運動時痛も消失する。積極的な運動(ストレッチング)を実施する。
1.× 筋萎縮は、拘縮期にみられる。ちなみに、肩関節周囲炎は①痙縮期、②拘縮期、③回復期と分けられ、①痙縮期は、急性期で疼痛が主体となる。
明らかな誘因はなく、肩の違和感や痛みで出現。運動時痛や安静時・夜間時痛が出現し、急速に関節が硬くなる時期である。
2.× 肩甲上腕リズムは正常に保たれない。なぜなら、肩関節の可動域が制限されるため。肩甲上腕リズムについて、肩関節外転は、肩甲上腕関節のみでは外転90~120°までしかできない。これは肩峰と鳥口肩峰靭帯によって阻害されるためである。さらなる外転位をとるには、肩甲骨・鎖骨を動かすことにより可能となる。上腕骨の外転と肩甲骨の動きを合わせて肩甲上腕リズムという。肩関節を外転させていく際の肩甲上腕リズムの比率は「肩甲上腕関節:肩甲胸郭関節=2:1」である。
3.× 滑車訓練は、「三角筋の筋力強化」ではなく「関節可動域改善」を目的とする。
4.〇 正しい。結髪に比べて結帯動作の方が制限されやすい。結髪は、肩関節外転及び外旋(水平外転)が必要である。一方、結帯は、肩関節内旋が必要である。さらに結帯動作は、肩関節内転も必要となり難易度は高い。(※参考文献:結帯動作(内転結帯)の可動域制限が生じた肩関節周囲炎の一症例)
5.〇 正しい。Codman体操は慣性モーメントを利用して行う。Codman体操(コッドマン体操)は、肩関節周囲炎の炎症期に使用する運動であり、肩関節回旋筋腱板の強化や肩関節可動域拡大を目的に使用する。患側の手に1~1.5㎏の重錘を持ち、振り子運動を行う。肩甲骨と上腕骨の間に関節の遊びを作ることで、痛みや障害を予防する。ちなみに、慣性モーメントとは、物体が回転運動で動こうとする時、もしくは止まる直前に「必要な力の量」を示すものである。
27 運動学習の結果の知識(KR:Knowledge of Results)の提示による結果効率で正しいのはどれか。
1.提示が遅延すると効率は向上する。
2.提示の頻度が高ければ効率は低下する。
3.提示の内容の正確さが高ければ効率は向上する。
4.提示の後に別の運動を挿入すると効率は向上する。
5.提示が遅延している間に別の運動を挿入すると効率は向上する。
解答3
解説
結果の知識(付加的フィードバック)は、運動の結果に関する情報であり、運動終了後に与えられる。つまり、何らかの運動学習をした際、運動がうまくいったか否かのフィードバックである。ちなみに、運動それ自体に与えられる付加的フィードバックは、パフォーマンスの知識という。
1.× 提示が遅延すると効率は、「向上する」のではなく「減少する」。ただし、わずかな遅延は不変とされている。
2.× 提示の頻度が高ければ効率は、「低下する」のではなく「向上する」。頻度が高いほど運動学習の効率は増加する。
3.〇 正しい。提示の内容の正確さが高ければ効率は向上する。
4.× 提示の後に別の運動を挿入しても効率は、「向上する」のではなく「不変」とされている。
5.× 提示が遅延している間に別の運動を挿入すると効率は、「向上する」のではなく「低下する」。
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【PT/OT/共通】運動学習ついての問題「まとめ・解説」
28 肘継手と適応との組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
1.能動単軸肘ブロック継手:両側前腕切断用
2.単軸肘ブロック継手:上腕切断装飾用
3.単軸肘ヒンジ継手:前腕中短断端用
4.倍動肘ヒンジ継手:上腕標準断端用
5.たわみ肘継手:前腕極短断端用
解答2・3
解説
1.× 能動単軸肘ブロック継手は、「両側前腕切断用」ではなく「上腕義手(上腕長断端と肘離断を除く)、肩義手」である。
2.〇 正しい。単軸肘ブロック継手は、上腕切断装飾用に適応となる。
3.〇 正しい。単軸肘ヒンジ継手は、前腕中短断端用に適応となる。
4.× 倍動肘ヒンジ継手は、「上腕標準断端用」ではなく「前腕極短断端義手」である。
5.× たわみ肘継手は、「前腕極短断端用」ではなく「前腕回内・回外が残存する前腕長断端義手」である。
①ブロック型
能動肘ブロック継手:ロックコントロールケーブルによって屈曲角度の固定・解除が随意に行える。
<適応>
・上腕短断端用義手
・標準上腕断端用義手
②ヒンジ型
(1)能動肘ヒンジ継手:2本組の一方に、ロックコントロールケーブルを操作することによって肘屈曲角の固定・解除が随意に行える。
<適応>
上腕長断端用義手
肘離団用義手
(2)多軸肘ヒンジ継手:2軸の支柱式継手で、2本1組で使用する。短軸に比べて肘軸の設定が楽で、屈伸運動もしやすく、屈曲範囲も大きくなる。
<適応>
前腕短断端用義手
前腕極短断端用義手
(3)倍動肘ヒンジ継手:支柱式の肘継手で、肘関節の可動域が小さく、屈曲が十分でない短断端前腕切断にスプリットソケットと組み合わせて用いる。
<適応>
前腕極短断端用義手
前腕短断端用義手
(4)手動短軸肘ヒンジ継手(骨格用手動式肘継手):手動で屈曲角の固定と解除が可能。
<適応>
・前腕中断端用義手
・前腕短断端用義手
29 橈骨遠位端骨折の作業療法で正しいのはどれか。
1.固定中は肩関節の自動運動を行う。
2.手指の自動運動は固定除去後に開始する。
3.骨癒合後早期にスポーツを訓練課題に取り入れる。
4.浮腫がある場合は上肢を動かさないように指導する。
5.固定除去後の手関節の自動運動は1日に1回1時間行う。
解答1
解説
・Smith骨折(スミス骨折):Colles骨折とは逆に骨片が掌側に転位する。
・Colles骨折(コーレス骨折):Smith骨折とは逆に骨片が背側に転位する。
・Barton骨折(バートン骨折):橈骨遠位部の関節内骨折である。遠位部骨片が手根管とともに背側もしくは掌側に転位しているものをいう。それぞれ背側Barton骨折・掌側Barton骨折という。
主な治療として、骨転位が軽度である場合はギプス固定をする保存療法、骨転位が重度である場合はプレート固定を行う手術療法である。
1.〇 正しい。固定中は肩関節の自動運動を行う。なぜなら、患部外の関節の筋力低下や関節可動域制限、浮腫を予防するため。
2.× 手指の自動運動は、「固定除去後」ではなく「固定除去前」から開始する。なぜなら、患部外の関節の筋力低下や関節可動域制限、浮腫を予防するため。職場ごとにプロトコル(手順や計画表)が作成されていることが多く、心配であれば主治医に許可をもらう。
3.× 骨癒合後早期にスポーツを訓練課題に取り入れる優先度は低い。なぜなら、骨癒合後早期はまだ骨の転移やずれ、偽関節が生じやすく、治癒遅延の原因となりえるため。偽関節とは、骨折した部分で骨がつかないことである。抵抗運動が許可されても、スポーツは想定に反した負荷がかかりやすいため、主治医の指示のもと開始していく。
4.× 浮腫がある場合は、「上肢を動かさないように」ではなく「積極的に上肢挙上と運動」を指導する。
5.× 固定除去後の手関節の自動運動は、1日に1回1時間行う優先度は低い。なぜなら、運動には①強度、②頻度、③時間が大切であるため。1日に1回1時間の自動運動と決まりきった量ではなく、その患者の患部の状況に合わせて行う。炎症が残存している場合は運動量を減らす。
30 Brunnstrom法ステージ上肢V、手指Ⅳの片麻痺患者に対する作業療法で適切なのはどれか。
1.リーチ動作の改善にポータブルスプリングバランサーを用いる。
2.肩関節の疼痛予防に肩内転位でのポジショニングを指導する。
3.肩関節亜脱臼を予防するためにアームスリングを作製する。
4.手関節伸筋の筋再教育に電気刺激療法を用いる。
5.手指屈筋の痙縮にナックルベンダーを用いる。
解答4
解説
1.× リーチ動作の改善にポータブルスプリングバランサーを用いる優先度は低い。ポータブルスプリングバランサーは、スプリングの張力によりわずかな力でも自身の腕を動かすことのできる福祉用具(写真参照)である。適応疾患は、高位脊髄損傷、筋ジストロフィー、腕神経叢麻痺、多発性筋炎、筋萎縮性側索硬化症、Guillain-Barré症候群などの上肢の筋力低下が著しい疾患である。
2~3.× 肩関節の疼痛予防に肩内転位でのポジショニングを指導する/肩関節亜脱臼を予防するためにアームスリングを作製する優先度は低い。なぜなら、本症例のBrunnstrom法ステージ上肢Vであるため。それらは不活動につながりかねない。ちなみに、ポジショニングやアームスリングの適応として、Brunnstrom法ステージ上肢Ⅰ~Ⅱの弛緩性麻痺に用いることが多い。
4.〇 正しい。手関節伸筋の筋再教育に電気刺激療法を用いる。本症例は、Brunnstrom法ステージ手指Ⅳで半随意的に伸展運動が可能である。したがって、手関節伸筋の筋再教育に電気刺激療法を用い、手指伸展の獲得を目指す。
5.× 手指屈筋の痙縮にナックルベンダーを用いる必要はない。なぜなら、ナックルベンダーは、MP関節を屈曲位に保持するため。むしろ、手指の痙性は高まる可能性が高い。ちなみに、手指屈筋の伸張を狙うのであれば、コックアップスプリントやパンケーキ型スプリントなどを用いる。
(※スプリングバランサーの写真:株式会社あうる様より写真引用)