第45回(H22) 理学療法士国家試験 解説【午前問題41~45】

 

41.エネルギー変換熱を用いるのはどれか。2つ選べ。

1.渦流浴
2.超音波
3.ホットパック
4.パラフィン浴
5.レーザー光線

解答2.5

解説

熱伝導形態

熱には3つの熱伝導形態があり、①熱伝導、②対流熱、③熱放射である。
①熱伝導は、物質を介して熱が伝わることをいう。(簡単にいうと、直接触れることによる熱の移動)
②対流熱は、液体や気体の流れに乗って熱が移動することをいう。
③熱放射は、温度差がある物体の間で、熱が移動することをいう。
④エネルギー変換熱は、電磁波や超音波など体内で吸収されて熱エネルギーに変換することをいう。

1.× 渦流浴は、対流熱の熱伝導を利用した温熱療法である。他にも、気泡浴・渦流浴などがある。
2.〇 正しい。超音波は、エネルギー変換熱を利用した温熱療法である。他にも超短波があり、これらは深部まで到達する。
3.× ホットパックは、熱伝導を利用した温熱療法である。熱伝導は、物質を介して熱が伝わることをいう。
4.× パラフィン浴は、熱伝導を利用した温熱療法である。他にも、温浴や交代浴などがある
5.〇 正しい。レーザー光線は、エネルギー変換熱を利用した温熱療法である。特に炭酸ガスレーザー光線は、水分に反応して熱エネルギーに変換されるという性質がある。 医療用のレーザーメスに用いられ、ホクロやイボの切除、またパルス幅を短くして、シワ取り用レーザーとして使用されている。

 

 

 

 

 

42.水流のない水中トレッドミル歩行で運動中の酸素摂取量に最も影響が少ない因子はどれか。

1.水温
2.水深
3.歩行速度
4.粘性抵抗
5.部屋の湿度

解答5

解説

1.× 水温によって、酸素摂取量は変化する。熱くも冷たくも感じない37℃前後の水温(不感温度)は、心拍数、血圧、呼吸数、酸素消費量など最も影響が少ない。
2.× 水深によって、酸素摂取量は変化する。なぜなら、水深により静水圧が異なり、運動負荷量も変化するため。水浸時の抵抗も水深によって異なり、また、静水圧により胸郭が圧迫されて肺活量が減少する。したがって、水深が深いほど抵抗が強く、酸素摂取量が増加する。
3.× 歩行速度によって、酸素摂取量は変化する。なぜなら、歩行速度によって抵抗(摩擦抵抗、粘性抵抗、渦抵抗、造波抵抗)が異なるため。また、歩行速度によって、全身の筋活動量も異なるため。したがって、歩行速度が速いほど、抵抗が強く筋活動量も多いため酸素摂取量が増加する。
4.× 粘性抵抗によって、酸素摂取量は変化する。粘性抵抗とは、流体中を運動する物体が流体から受ける抵抗のうち、物体表面に平行に働く粘性力の合力から成る部分のことである。粘性抵抗は、水中で動く速度の2乗に比例するため、粘性抵抗が大きくなれば強度もそれに比例して大きくなる。
5.〇 正しい。部屋の湿度は、酸素摂取量に最も影響が少ない因子である。※一部抜粋「運動中の酸素摂取水準は、湿度 条件にかかわらず運動強度に応じてほぼ一定であった」(参考文献:高湿度環境における運動時の体温調整

 

 

 

 

 

43.下腿義足歩行中の踵接地後に膝屈曲動作が遅れる原因でないのはどれか。

1.断端前面末梢部に疼痛がある。
2.ソケットが踵に対し前方にある。
3.足部が底屈位にセットされている。
4.大腿四頭筋の筋力が低下している。
5.ソケットの初期屈曲角が不足している。

解答2

解説

膝関節過伸展の原因

「接地時の膝屈曲動作が遅れる」=「膝関節過伸展」

原因
①断端前面末梢部の痛み
②ソケットが踵に対し後方
②足部が底屈位
③四頭筋の筋力低下
④ソケットの初期屈曲角の不足

1.〇 断端前面末梢部に疼痛がある。なぜなら、前面の疼痛を避けるように、踵接地後の膝関節伸展するため。
2.× ソケットが踵に対し、前方ではなく「後方」にあると膝関節過伸展の原因となる。ちなみに、ソケットが踵に対し前方にある場合、膝が前方に押し出されるため膝折れしやすくなる。
3.〇 足部が底屈位にセットされている。なぜなら、立脚初期に、つま先から床面に接地するため。反張膝傾向になる。
4.〇 大腿四頭筋の筋力が低下している。なぜなら、膝折れを防ごうと膝関節ロック(過伸展)するため。
5.〇 ソケットの初期屈曲角が不足している。なぜなら、義足立脚期に膝が後方に押され、膝関節屈曲が制限されるため。

 

 

 

 

 

44.下肢装具の適合判定で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.骨盤帯は腸骨稜と大転子との間に置く。
2.下腿半月の上端は腓骨頭の高さとする。
3.膝継手の高さは膝関節裂隙に合わせる。
4.大腿上位半月の上端は外側で腸骨稜よりも2~3cm下とする。
5.膝継手から大腿下位半月の下端までと下腿半月の上端までとの距離を同じにする。

解答1.5

解説

1.〇 正しい。骨盤帯は、(側方)腸骨稜と大転子との間に置く。ちなみに、後方は、上後腸骨棘と仙骨下縁の中間に設定する。
2.× 下腿半月の上端は、「腓骨頭の高さ」ではなく、「腓骨頭下端より2〜3cm下方」とする。なぜなら、腓骨神経の圧迫を避けるため。
3.× 膝継手の高さは、「膝関節裂隙」ではなく「内転筋結節と膝関節裂隙の中間(大腿骨顆部の最も幅の厚いところ)」に合わせる。ちなみに、矢状面では、「前後径の中央と後1/3との間」に設定する。
4.× 大腿上位半月の上端は外側で、「腸骨稜」ではなく「大転子」から2~3cm下とする。ちなみに、大腿上位半月の上端の内側は、会陰から2〜3cm下方である。
5.〇 正しい。膝継手から「大腿下位半月の下端まで」と「下腿半月の上端まで」との距離を同じにする。つまり、膝継手を挟んで等間隔に位置を決定する。

 

 

 

 

 

45.国際生活機能分類(ICF)に基づく活動と参加の評価で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.「態度」は評価項目に含まれる。
2.「支援と関係」は評価項目に含まれる。
3.d(domain)で始まるコードで分類される。
4.「能力」は標準的な生活機能レベルを示す。
5.「実行状況」は個人が現在の環境で行っている活動や参加を示す。

解答3.5

解説

国際生活機能分類(ICFは、障害者のみならず、すべての人を対象として、障害を「生活機能」というプラス面からみるように視点を転換した分類法である。この「生活機能」は、「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3レベルに分類されたうえで、さらに「個人因子」「環境因子」の観点が加えられる。

1.× 「態度」は評価項目に含まれない。活動と参加の評価項目に含まれるのは、第1評価点:実行状況(現在の環境における課題の遂行)、第2評価点:能力(標準的環境における課題の遂行)である。
2.× 「支援と関係」は評価項目に含まれない。「支援と関係」は、環境因子に含まれる。環境因子分類で、第1レベルの項目は、①生産品障と用具、②自然環境と人間がもたらした環境変化、③支援と関係、④態度、⑤サービス・制度・政策である。
3.〇 正しい。d(domain)で始まるコードで分類される。ちなみに、心身機能は「b」から、身体構造は 「s」から、環境因子は「e」 から始めるコードで分類される。
4.× 「能力」は、標準的な「生活機能レベル」ではなく、「環境における活動や参加」を示す。能力は、活動と参加(コードd)の第2評価点にあたる。
5.〇 正しい。「実行状況」は、個人が現在の環境で行っている活動や参加を示す。実行状況は、活動と参加(コードd)の第1評価点にあたる。

ICFのコード分類

構成要素 第1評価点 第2評価点
心身機能(コードb) 機能障害の程度、大きさ なし
身体構造(コードs) 構造障害の程度や大きさ 性状
活動と参加(コードd) 実行状況 能力
環境因子(コードe) 阻害因子と促進因子 なし

 

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