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16. 70歳の男性。慢性閉塞性肺疾患で%VC 70%、FEV1.0% 75%。
この患者に対する理学療法で誤っているのはどれか。
1.息切れ時のポジショニングの指導
2.息こらえをしながら立ち上がる訓練
3.自転車エルゴメーターによる持久力訓練
4.下肢の筋力強化のためのハーフスクワット訓練
5.上肢の筋力強化のための四つ這いでの腕立て伏せ訓練
解答2
解説
・70歳の男性、慢性閉塞性肺疾患
・%VC(%肺活量) 70%、FEV1.0%(1秒率) 75%
※慢性閉塞性肺疾患の定義として、%VC(%肺活量) 80%以上、FEV1.0%(1秒率) 70%以下である。設問の「%VC(%肺活量) 70%、FEV1.0%(1秒率) 75%」は、拘束性障害に当てはまる。したがって、本症例は、医師の診断では慢性閉塞性肺疾患となっているが、定義上・身体機能面上では拘束性換気障害も伴っていると考えられる。
1.〇 息切れ時のポジショニングの指導は優先度が高い。なぜなら、息苦しさがある場合は、半坐位や起坐位での呼吸など頭を高くし、両足を下げる姿勢の方が楽であるため。また、腹式呼吸も大切になる。
2.× 息こらえをしながら立ち上がる訓練は原則行わない。なぜなら、動作時の息こらえ(呼吸を止める)をすることは、呼吸の乱れにつながるため。立ち上がる訓練は、息を吐きながら行う。
3~5.〇 自転車エルゴメーターによる持久力訓練/下肢の筋力強化のためのハーフスクワット訓練/上肢の筋力強化のための四つ這いでの腕立て伏せ訓練/は優先度が高い。なぜなら、肺理学療法としての全身運動は、肺を十分に膨らませて肺の柔らかさを維持し、肺の虚脱(無気肺)を防ぐことと、肺をきれいに保つために有効な咳を確保すること、痰の排泄を促すことが期待できるため。
(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)
混合性換気障害:肺気腫など
拘束性換気障害:肺結核、肺線維症など
閉塞性換気障害:気管支喘息、気管支拡張症など
17.膝継手の名称で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.オフセット
2.リングロック
3.ファンロック
4.スイスロック
5.遊動
解答1.4
解説
1.〇 正しい。オフセットである。継手中心が後方にセットされている。立脚相において膝を安定させる(膝折れ防止)。
2.× 「リングロック」ではなくダイヤルロックである。ダイヤルロックは、固定ネジなどにより可動範囲を制限する。ちなみに、リングロックは選択肢3である。
3.× 「ファンロック」ではなくリングロック(輪止め付き伸展制限継手)である。リングロックは、下腿支柱と大腿支柱を随時固定する方式である。ちなみに、ファンロックはダイヤルロックの継手部が扇状であるものをいう。ダイヤルロック同様に、固定ネジなどにより固定角度を調節できる。
4.〇 正しい。スイスロックである。内外側の継手のロックを同時に、かつ容易に解除できる。対麻痺に使用されることが多い。
5.× 「遊動」ではなく伸展制限付き膝継手である。
18.左片麻痺者のADL指導で適切でないのはどれか。
1.上着を着る
2.ポータブル便器へ移乗する
3.浴槽から出る
4.低い障害物をまたぐ
5.階段を上る
解答5
解説
上り:杖→非麻痺側→麻痺側
下り:杖→麻痺側→非麻痺側
1.〇 上着を着る場合、麻痺側から行う。ちなみに、脱ぐ場合は非麻痺側から行う。
2.〇 ポータブル便器へ移乗する場合、トイレを麻痺側に置いて行う。ポータブルトイレ使用であっても、ズボンの上げ下ろしはできるだけ健常のパターンに沿って立った状態で行うのが望ましい。介助を要する場合でも、手すりに掴まるか壁に寄りかかった状態で姿勢を安定させ、ズボンと下着をおろす。
3.〇 浴槽から出る場合、麻痺側から出る。ちなみに、入る場合は熱傷の防止のため非麻痺側から入る。
4.〇 低い障害物をまたぐのは、麻痺側(杖→麻痺側→非麻痺)から行う。ちなみに、高い障害物をまたぐ際は、杖→非麻痺側→麻痺側の順に行う。低いや高いは、その患者の身体能力に応じて変わる。
5.× 階段を上る場合、非麻痺側(杖→非麻痺側→麻痺側)から上る。ちなみに、下る場合は、麻痺側(杖→麻痺側→非麻痺側)から下りる。
19. 70歳の男性。左被殻出血発症後3か月経過。Brunnstrom法ステージは上肢Ⅱ、下肢Ⅲ。歩行は四点杖を使用し、屋内歩行は自立している。立ち上がりは手すりか杖を使用すればかろうじて可能である。左上肢の支持がないとバランスを崩すが、体幹か下肢が壁などに接していれば立位の保持は可能である。
この患者が自動的な諸機能のない洋式トイレを使用した場合に転倒の危険性が高いのはどれか。
1.便器の蓋を開ける。
2.便座に座る。
3.清拭をする。
4.便座から立ち上がる。
5.ズボンを上げる。
解答1
解説
屋内歩行:自立(四点杖)
立ち上がり:なんとか可能(支持物使用)
立位の保持:なんとか可能(支持物使用)
→手すりのない立位以上の動作は困難。
1.〇 便器の蓋を開ける動作は、選択肢の中で転倒の危険性が最も高い。なぜなら、便器の蓋を開ける動作は、立位で行わなければならないため。また、本症例の右上肢Ⅱであり、便器の蓋を開けるためには左上肢(非麻痺側)を使用しなければならない。便器の蓋を開ける際は、膝関節軽度屈曲位、体幹屈曲し、重心の前方へ移動する。これらは、体幹や下肢を壁などに接した状態で行うことが難しい動作である。したがって、左上肢の支持が一時的に無くなる分、他の選択肢より転倒の危険性が高いと考えられる。
2.4.× 便座に座る/便座から立ち上がることより、他の選択肢の中で転倒が高いものが他にある。なぜなら、それら動作は、左上肢(非麻痺側)で手すりを握って行うことが可能であるため。手すりがない場合でも、設問から「立ち上がりは手すりか杖を使用すればかろうじて可能である」ため杖を使用することができる。
3.× 清拭をすることより、他の選択肢の中で転倒が高いものが他にある。なぜなら、清拭は座位で行うため。
5.× ズボンを上げることより、他の選択肢の中で転倒が高いものが他にある。なぜなら、立位で行う場合、体幹か下肢を壁などに接して行うことが可能であるため。ズボンの上げ下ろしはできるだけ健常のパターンに沿って立った状態で行うのが望ましいが、座位のまま、左右の重心移動によっても可能である。
20. 80歳の男性。右大腿骨骨折の手術後4週で回復期リハビリテーション病棟に転棟した。初回訓練時の理学療法士(PT)と患者との会話を以下に示す。
PT①「こんにちは。〇〇太郎さんですか。担当する理学療法士の△△花子と申します」
患者「はい、〇〇太郎です。よろしくお願いいたします」
PT②「交通事故で右の太ももの骨を骨折されて本当に大変でしたね」
患者「はい」
PT③「骨を固定する手術を受けてから4週間が過ぎましたが、右膝関節拘縮と筋力低下を起こし、歩行障害となっているのですね」
患者「まだ足をついてはいけないと言われています」
PT④「今日はこれから右膝の関節を柔らかくする運動と足の力を強くする運動、右足に体重を乗せないで歩く練習を行います。関節を曲けるときに少し痛いかもしれませんが、我慢ができないときには遠慮なさらずにおっしゃってください」
<運動実施>
患者「少し痛いのですが」
PT⑤「すみませんでした。もう少し優しく行うように配慮いたします。運動の前に関節を温めておきますと痛みが少なくて済むことがありますので、担当医とよく相談して許可を得るようにいたします」
理学療法士の発言で適切でないのはどれか。
1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤
解答3
解説
1.〇 ①「こんにちは。〇〇太郎さんですか。担当する理学療法士の△△花子と申します」と患者の確認と自己紹介をしている。患者の確認は事故防止、自己紹介は基本的な関係形成を構築するために大切なことである。
2.〇 ②「交通事故で右の太ももの骨を骨折されて本当に大変でしたね」と共感的態度を用いることができている。共感的態度は、患者の中の張りつめたものを解きほぐし、安心感を与えることができる。
3.× ③「骨を固定する手術を受けてから4週間が過ぎましたが、右膝関節拘縮と筋力低下を起こし、歩行障害となっているのですね」は、専門用語を使用しているため、理解しやすい表現とは言えない。専門用語の使用は必要最小限とし、理解しやすい表現を心がける。
4.〇 ④「今日はこれから右膝の関節を柔らかくする運動と足の力を強くする運動、右足に体重を乗せないで歩く練習を行います。関節を曲けるときに少し痛いかもしれませんが、我慢ができないときには遠慮なさらずにおっしゃってください」と治療内容を具体的に説明している。また、あらかじめ痛みが出現する可能性があることを伝えておくことも信頼関係を築くうえで重要である。
5.〇 ⑤「すみませんでした。もう少し優しく行うように配慮いたします。運動の前に関節を温めておきますと痛みが少なくて済むことがありますので、担当医とよく相談して許可を得るようにいたします」と対処法と今後の方針をわかりやすく説明している。安心して治療を受け易くなる。
Q18の解説3は、浴槽に入る場合は非麻痺側からではないのですか?
コメントありがとうございます。
ご指摘通り間違えておりました。
修正致しましたのでご確認ください。
今後ともよろしくお願いいたします。